2023.10.10
◇第35回出雲駅伝(10月9日/6区間45.1km:島根・出雲大社正面鳥居前スタート、出雲ドームフィニッシュ)
学生三大駅伝の幕開けとなる出雲駅伝は、駒大が2時間7分51秒の大会新記録を打ち立て、2位の創価大には1分43秒の大差を付ける圧勝劇で連覇を果たした。
「3区の山川(拓馬、2年)が後ろとの差を広げた時点で、『これだったら(連覇は)行ける』と思いました」
1区・篠原倖太朗(3年)の区間賞に始まり、一度も先頭を明け渡すことのない完勝だったが、このレースで、藤田敦史監督が「勝てる」と最初に確信を持ったのが3区・山川の走りだった。
出雲の3区は、6区間中2番目に長く、各校のエース級が集う区間。昨年度の駒大は大エースの田澤廉(現・トヨタ自動車)が務めている。今回も、城西大のヴィクター・キムタイ(2年)、創価大のリーキー・カミナ(3年)の留学生をはじめ、國學院大の伊地知賢造(4年)、青学大の佐藤一世(4年)、早大の石塚陽士(3年)、中大の吉居駿恭(2年)と各校のエース級が名前を連ねた。
山川は昨年度の全日本大学駅伝の4区区間賞、箱根駅伝5区区間4位という実績があるとはいえ、強者ぞろいの駒大で出雲3区は大抜擢と言っていい。藤田監督は3区に篠原を起用するプランも考えていたが、篠原の状態が上りきっていなかったことから、山川を起用した。3区はアップダウンがあり、向かい風の予報が出ていたことも、タフな山川を3区に配した理由だった。
「去年は田澤さんが担った区間で、すごく重要な区間なのでプレッシャーがありました。でも、任されたからには良い走りをしなきゃいけないと思っていました」
そして、山川はその起用に見事に応えて見せた。
1区・篠原、2区・佐藤圭汰(2年)と連続区間賞で、山川がタスキを受けた時には、2位・青学大に39秒のアドバンテージがあった。
「1位で来るのは分かっていましたが、(2位以下を)離してくれて、だいぶ楽に走れました。いかに(4区の)伊藤(蒼唯、2年)を楽にさせてあげられるかを考えて走りました」
こう話すように、序盤の勢いを受けて、山川は積極的にレースを進め後続との差をどんどん広げていった。
最終的に留学生の城西大・キムタイに14秒、創価大・カミナに7秒及ばなかったものの、留学生2人に次いで区間3位と堂々とした走りを披露。区間4位の青学大・佐藤には32秒もの差をつけて、日本人トップで走った。また、2位との差を57秒とし、優勝をぐっと近づけた。
だが、この快走にも山川は満足することはない。
「設定では24分10秒と決めていたので、10秒も遅かった。できれば田澤さんの記録までいきたかったですが、留学生にも全然歯が立ちませんでした。そこに食い込んでいけるような選手にならないといけません。それに、ラストが利かなかったし、根本的なスピード持久力が足りていなかった。まだまだ力不足です」
山川の口からは、反省ばかりがついて出た。
「自分の目標は大学で終わるんじゃなくて、実業団で活躍すること。しっかりと力をつけて、もっと上を目指したい」
向上心の塊。すでに駅伝を中心に実績を重ねているが、山川は目線は高い。
駒大には、大八木弘明総監督のもとで、OBの田澤と練習を共にする鈴木芽吹(4年)、篠原、佐藤らの「Sグループ」がある。いずれは山川もこのグループに加わりたい意欲がある。その時には、駒大のエースとしてさらなる活躍を見せるつもりでいる。
文/和田悟志
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.08
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.08
サニブラウンがU20合宿にサプライズ登場!「みなさんが日本陸上界の未来」期待のジュニア選手たちにエール
有力ジュニア選手が全国から集まるU20オリンピック育成競技者研修合宿が12月4日から7日までの4日間、ナショナルトレーニングセンターで行われた。 選手たちが集合し、開講式が開かれて最初の研修に登場したのが男子短距離のサニ […]
2025.12.08
U20世代トップ選手約60人が4日間合宿! 100mインターハイ2位の菅野翔唯、100mH高校記録保持者・石原南菜ら参加
ジュニア世代の有力選手が対象の「U20オリンピック育成競技者研修合宿」が12月4~7日の4日間、東京都北区のナショナルトレーニングセンターで行われた。 インターハイやU20日本選手権、U18大会などで上位に入った高校生や […]
2025.12.08
富士山女子駅伝の全日本大学選抜に立教大・小川陽香、明治国際医療大・古西亜海ら12人選出
日本学生陸上競技連合は12月8日、2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)に出場する全日本大学選抜チームの選手を発表した。 全日本大学選抜チームは全国8地区学連(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国四国、 […]
2025.12.08
2026年関東インカレは5月21日~24日に宇都宮で初開催! 参加標準記録も発表
12月8日、関東学連は2026年の関東インカレを、栃木県宇都宮市のカンセキスタジアムとちぎで5月21日から24日に開催すると発表した。 関東の学生ナンバーワンを決める関東インカレは、来年で第105回を迎える伝統の対校戦。 […]
2025.12.08
女子400mのナセルがアディダスと契約 パリ五輪銀、東京世界陸上銅メダリスト
女子400mのアジア記録保持者、S.E.ナセル(バーレーン)がアディダスとのプロ契約を結んだことを発表した。自身のSNSで契約締結に関して「新たな挑戦と歴史的偉業に向け、アディダスの献身的な取り組みとパートナーシップは極 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025