2023.08.01
高校生によるナンバーワン決定戦、全国高校総体(以下、インターハイ)の陸上競技が8月2日~8月6日の5日間、北海道札幌市の厚別公園競技場で行われる。
昨年と同様に、男女41種目(男子21種目、女子20種目)が実施。ここではエントリー選手を元に、男子の見どころを紹介していく。
トラック
200mは2年生軸に大激戦の予感
3000m障害は高校記録保持者・永原のさらなる記録更新なるか
100mは黒木海翔(東福岡3福岡)が優勝候補筆頭だ。昨年のU18大会を制すと、今年は5月に高校歴代8位タイの10秒28を2度もマーク。北九州大会では向かい風1.6mの中で10秒37と強さを発揮した。
自己記録で続くのが10秒36を持つ鶴巻陽太(三条3新潟)と中川穂泉(佐世保西3長崎)、10秒37の西岡尚輝(東海大仰星2大阪)。なかでも西岡は2年生ながら今季3度も10秒3~4台を出すなど安定感も高く、激戦の近畿大会も制した。6月のU20日本選手権では予選落ちだったものの、北海道の地でさらなる飛躍の可能性が広がる。
鶴巻は北信越大会を制し、中川は北九州で黒木に次ぐ2位。ともに実績面では黒木に及ばないものの、本番の調子次第で頂点に立つ可能性を秘める。
西岡が予選落ちだったU20日本選手権で高校生最上位の2位を占めたのが小室歩久斗(つくば秀英2茨城)。昨年の国体少年B優勝者で、北関東大会も10秒61(-1.5)と悪条件でも強さを発揮して制した。
現時点では黒木が一歩リードしている状況だが、複数が10秒4を切るハイレベルな戦いになりそうだ。
200mではU20日本選手権で高2歴代3位の20秒78(+0.9)をマークした若菜敬(佐野・栃木)、東海大会を20秒87(+0.5)で優勝した成川倭士(東海大翔洋・静岡)、激戦の南関東大会を21秒12(+2.0)で制した山﨑天心(城西・東京)、21秒08のベストを持つ松本悠斗(佐賀北・佐賀)ら2年生に勢いがある。100mとの2冠を目指す黒木、昨年の全九州新人で黒木を破って優勝した平川慧(コザ3沖縄)、前回4位の津田伊万(洛南3京都)ら3年生も負けられないところだ。
400mは3年前の全中覇者・平川が最有力だが、今大会は200mに専念する可能性を示唆。出場すれば強力だが、不出場だと多くの選手にチャンスが広がる。U20日本選手権で高校生最上位の3位に入った谷野佑成(岡山工3岡山)、同5位の庄籠大翔(東福岡3福岡)も有力で、庄籠を抑えて北九州大会を制した髙木煌之介(大分舞鶴3)は、右ハムストリングスに痛みを抱える中で47秒17を出しており、さらなる飛躍の可能性を秘める。南関東大会優勝の正野巧磨(東海大浦安3千葉)、僅差で同2位になった菊田響生(法政二2神奈川)も46秒台に入る力を備え、誰が勝ってもおかしくない接戦模様だ。
800mは1分49秒台のベストを持つ立迫大徳(鹿児島城西3鹿児島)、坂元龍晟(鹿児島南3鹿児島)、落合晃(滋賀学園2滋賀)が優勝争いを繰り広げそう。なかでも前回4位の立迫は実績面で一歩リードしている。昨年はU20日本選手権を制し、今年はU20アジア選手権を1分49秒22で制覇。南九州大会でも坂元を下している。2年生の落合も高2歴代3位の1分49秒40をマークして好調をアピール。落合が主導権を握り、立迫がレースを動かせば、1分47~48秒台での決着も十分あり得る。そこに坂元が加わればハイレベルな激戦となりそうだ。
大本命不在の1500mは、6月の東海大長距離競技会で高2歴代4位の3分45秒77をマークした濵口大和(佐久長聖・長野)が記録面で一歩リードしている。南関東大会で0.02秒差の激戦を演じた吉倉ナヤブ直希(早稲田実3)と尾熊迅斗(東京実3)、同レースをハイペースに持ち込んだ寺田向希(國學院久我山3)の東京勢も強力で、6月のU20日本選手権でも尾熊が優勝、寺田が3位、吉倉が5位を占めるなど勢いがある。前回大会で2年生以下最上位の5位に入った谷本昴士朗(大牟田3福岡)、北九州大会で谷本を抑えて優勝した川原琉人(五島南3長崎)も全国優勝を狙える位置にある。
5000mは前回までアフリカ出身の留学生が28連覇中。今回も13分23秒76の自己記録を持つ、サムエル・キバティ(倉敷3岡山)の力が頭一つ抜きん出ている。昨年はU20世界選手権で6位に入り、全国高校駅伝3区(8.1075㎞)で区間新(22分30秒)をマーク。ここについて行くとすれば、前回5位のマイナ・ダンカン・ガツクミ(専大熊本3)か。
追いかける日本人選手では、近畿大会1、2位で13分台の記録を持つ折田壮太(須磨学園3兵庫)と岡田開成(洛南3京都)、6月のU20日本選手権3000mを制し、東北大会でも13分53秒28の自己新で優勝した大濱逞真(仙台育英3宮城)、北信越大会でワン・ツーを占めた濵口大和、山口竣平の佐久長聖コンビあたりがしのぎを削る。
110mハードルは14秒0~1台に5人と高水準だ。ランキングトップは東海大会の準決勝で14秒08(+0.1)を出した宮本皓寿(浜松市立3静岡)。東北大会で追い風参考ながら13秒92(+2.3)を出した高橋大史(山形中央3)が14秒09で続き、U20日本選手権覇者の山中恭介(市船橋3千葉)が14秒10、14秒14の大久保然(長岡大手3新潟)、14秒17の北條友葵(三田国際3東京)と続く。今季の成績を考慮すると、優勝候補は上記5人に絞られそう。直接対決が少ないために比較が難しいが、本番に調子を合わせた選手が頂点に立つだろう。
400mハードルは前回3位の渕上翔太(東福岡3福岡)が7月に50秒47の自己新を出して好調を示している。しかし、同じく7月に50秒58をマークした橋本諒生(乙訓3京都)、6月の南関東大会を50秒92で制した志村武(日本工大駒場3東京)、U20日本選手権で高校生最上位の3位に入った下田隼人(豊川3愛知)などライバルが多い。激しい競り合いの末に、大会記録(50秒27)更新もあるかもしれない。
3000m障害は北信越大会の予選で8分36秒06の高校新記録を打ち立てた永原颯磨(佐久長聖3長野)が優勝候補の大本命だ。従来の記録(8分39秒37:三浦龍司、洛南/現・順大)を3秒以上更新し、驚異のラストスパートを見せた決勝も8分42秒58で完勝した。
永原を追う一番手は、自己記録が8分49秒32の辻本桜寿(浜松開誠館3静岡)か。高校生最上位の2位を占めた6月のU20日本選手権後、東海大会は鈴木陸覇(名経大高蔵3愛知)に競り負けたが、それでも8分57秒93の大会新だった。中国大会を高校歴代11位の8分50秒19で制した黒田然(玉野光南3岡山)には勢いがある。父・将由さんはこの種目のインターハイ王者で、兄・朝日(現・青学大)は高校時代、当時高校歴代2位の8分39秒79をマークし、インターハイも日本人最上位の2位。偉大な父や兄に続けるか。
涼しいコンディションに恵まれれば、さらなる高校記録の更新や、8位入賞ラインが過去最速となる可能性がありそうだ。
5000m競歩は20分台の自己記録を持つ選手がひしめくハイレベルの様相。なかでも逢坂草太朗(川西緑台3兵庫)の充実ぶりが際立つ。5月中旬には20分15秒80をマークすると、兵庫県大会で20分35秒03、近畿大会で20分23秒60と好タイムを連発。連覇を飾った近畿大会では20分30秒台のベストを持つ西秋克海(滋賀学園3滋賀)に40秒近い差をつける強さを見せている。北九州大会覇者の下田悠樹(自由ケ丘3福岡)も、その翌週に20分18秒01と自己記録を大幅更新して勢いに乗る。前回2年生以下でただ1人の入賞者(6位)となった守屋海斗(保土ケ谷3神奈川)、その守屋に南関東大会で競り勝った向井優太郎(我孫子3千葉)も有力だ。
トラック 200mは2年生軸に大激戦の予感 3000m障害は高校記録保持者・永原のさらなる記録更新なるか
100mは黒木海翔(東福岡3福岡)が優勝候補筆頭だ。昨年のU18大会を制すと、今年は5月に高校歴代8位タイの10秒28を2度もマーク。北九州大会では向かい風1.6mの中で10秒37と強さを発揮した。 自己記録で続くのが10秒36を持つ鶴巻陽太(三条3新潟)と中川穂泉(佐世保西3長崎)、10秒37の西岡尚輝(東海大仰星2大阪)。なかでも西岡は2年生ながら今季3度も10秒3~4台を出すなど安定感も高く、激戦の近畿大会も制した。6月のU20日本選手権では予選落ちだったものの、北海道の地でさらなる飛躍の可能性が広がる。 鶴巻は北信越大会を制し、中川は北九州で黒木に次ぐ2位。ともに実績面では黒木に及ばないものの、本番の調子次第で頂点に立つ可能性を秘める。 西岡が予選落ちだったU20日本選手権で高校生最上位の2位を占めたのが小室歩久斗(つくば秀英2茨城)。昨年の国体少年B優勝者で、北関東大会も10秒61(-1.5)と悪条件でも強さを発揮して制した。 現時点では黒木が一歩リードしている状況だが、複数が10秒4を切るハイレベルな戦いになりそうだ。 200mではU20日本選手権で高2歴代3位の20秒78(+0.9)をマークした若菜敬(佐野・栃木)、東海大会を20秒87(+0.5)で優勝した成川倭士(東海大翔洋・静岡)、激戦の南関東大会を21秒12(+2.0)で制した山﨑天心(城西・東京)、21秒08のベストを持つ松本悠斗(佐賀北・佐賀)ら2年生に勢いがある。100mとの2冠を目指す黒木、昨年の全九州新人で黒木を破って優勝した平川慧(コザ3沖縄)、前回4位の津田伊万(洛南3京都)ら3年生も負けられないところだ。 400mは3年前の全中覇者・平川が最有力だが、今大会は200mに専念する可能性を示唆。出場すれば強力だが、不出場だと多くの選手にチャンスが広がる。U20日本選手権で高校生最上位の3位に入った谷野佑成(岡山工3岡山)、同5位の庄籠大翔(東福岡3福岡)も有力で、庄籠を抑えて北九州大会を制した髙木煌之介(大分舞鶴3)は、右ハムストリングスに痛みを抱える中で47秒17を出しており、さらなる飛躍の可能性を秘める。南関東大会優勝の正野巧磨(東海大浦安3千葉)、僅差で同2位になった菊田響生(法政二2神奈川)も46秒台に入る力を備え、誰が勝ってもおかしくない接戦模様だ。 800mは1分49秒台のベストを持つ立迫大徳(鹿児島城西3鹿児島)、坂元龍晟(鹿児島南3鹿児島)、落合晃(滋賀学園2滋賀)が優勝争いを繰り広げそう。なかでも前回4位の立迫は実績面で一歩リードしている。昨年はU20日本選手権を制し、今年はU20アジア選手権を1分49秒22で制覇。南九州大会でも坂元を下している。2年生の落合も高2歴代3位の1分49秒40をマークして好調をアピール。落合が主導権を握り、立迫がレースを動かせば、1分47~48秒台での決着も十分あり得る。そこに坂元が加わればハイレベルな激戦となりそうだ。 [caption id="attachment_105345" align="alignnone" width="800"] 6月のU20アジア選手権で金メダルを獲得している立迫大徳[/caption] 大本命不在の1500mは、6月の東海大長距離競技会で高2歴代4位の3分45秒77をマークした濵口大和(佐久長聖・長野)が記録面で一歩リードしている。南関東大会で0.02秒差の激戦を演じた吉倉ナヤブ直希(早稲田実3)と尾熊迅斗(東京実3)、同レースをハイペースに持ち込んだ寺田向希(國學院久我山3)の東京勢も強力で、6月のU20日本選手権でも尾熊が優勝、寺田が3位、吉倉が5位を占めるなど勢いがある。前回大会で2年生以下最上位の5位に入った谷本昴士朗(大牟田3福岡)、北九州大会で谷本を抑えて優勝した川原琉人(五島南3長崎)も全国優勝を狙える位置にある。 5000mは前回までアフリカ出身の留学生が28連覇中。今回も13分23秒76の自己記録を持つ、サムエル・キバティ(倉敷3岡山)の力が頭一つ抜きん出ている。昨年はU20世界選手権で6位に入り、全国高校駅伝3区(8.1075㎞)で区間新(22分30秒)をマーク。ここについて行くとすれば、前回5位のマイナ・ダンカン・ガツクミ(専大熊本3)か。 追いかける日本人選手では、近畿大会1、2位で13分台の記録を持つ折田壮太(須磨学園3兵庫)と岡田開成(洛南3京都)、6月のU20日本選手権3000mを制し、東北大会でも13分53秒28の自己新で優勝した大濱逞真(仙台育英3宮城)、北信越大会でワン・ツーを占めた濵口大和、山口竣平の佐久長聖コンビあたりがしのぎを削る。 110mハードルは14秒0~1台に5人と高水準だ。ランキングトップは東海大会の準決勝で14秒08(+0.1)を出した宮本皓寿(浜松市立3静岡)。東北大会で追い風参考ながら13秒92(+2.3)を出した高橋大史(山形中央3)が14秒09で続き、U20日本選手権覇者の山中恭介(市船橋3千葉)が14秒10、14秒14の大久保然(長岡大手3新潟)、14秒17の北條友葵(三田国際3東京)と続く。今季の成績を考慮すると、優勝候補は上記5人に絞られそう。直接対決が少ないために比較が難しいが、本番に調子を合わせた選手が頂点に立つだろう。 400mハードルは前回3位の渕上翔太(東福岡3福岡)が7月に50秒47の自己新を出して好調を示している。しかし、同じく7月に50秒58をマークした橋本諒生(乙訓3京都)、6月の南関東大会を50秒92で制した志村武(日本工大駒場3東京)、U20日本選手権で高校生最上位の3位に入った下田隼人(豊川3愛知)などライバルが多い。激しい競り合いの末に、大会記録(50秒27)更新もあるかもしれない。 3000m障害は北信越大会の予選で8分36秒06の高校新記録を打ち立てた永原颯磨(佐久長聖3長野)が優勝候補の大本命だ。従来の記録(8分39秒37:三浦龍司、洛南/現・順大)を3秒以上更新し、驚異のラストスパートを見せた決勝も8分42秒58で完勝した。 [caption id="attachment_106026" align="alignnone" width="800"] 北信越地区大会男子3000m障害で連覇を飾った永原颯磨[/caption] 永原を追う一番手は、自己記録が8分49秒32の辻本桜寿(浜松開誠館3静岡)か。高校生最上位の2位を占めた6月のU20日本選手権後、東海大会は鈴木陸覇(名経大高蔵3愛知)に競り負けたが、それでも8分57秒93の大会新だった。中国大会を高校歴代11位の8分50秒19で制した黒田然(玉野光南3岡山)には勢いがある。父・将由さんはこの種目のインターハイ王者で、兄・朝日(現・青学大)は高校時代、当時高校歴代2位の8分39秒79をマークし、インターハイも日本人最上位の2位。偉大な父や兄に続けるか。 涼しいコンディションに恵まれれば、さらなる高校記録の更新や、8位入賞ラインが過去最速となる可能性がありそうだ。 5000m競歩は20分台の自己記録を持つ選手がひしめくハイレベルの様相。なかでも逢坂草太朗(川西緑台3兵庫)の充実ぶりが際立つ。5月中旬には20分15秒80をマークすると、兵庫県大会で20分35秒03、近畿大会で20分23秒60と好タイムを連発。連覇を飾った近畿大会では20分30秒台のベストを持つ西秋克海(滋賀学園3滋賀)に40秒近い差をつける強さを見せている。北九州大会覇者の下田悠樹(自由ケ丘3福岡)も、その翌週に20分18秒01と自己記録を大幅更新して勢いに乗る。前回2年生以下でただ1人の入賞者(6位)となった守屋海斗(保土ケ谷3神奈川)、その守屋に南関東大会で競り勝った向井優太郎(我孫子3千葉)も有力だ。フィールド&混成 走高跳は最古の大会記録更新がターゲット 投てきにも注目選手そろう
走高跳は連覇を狙う川﨑俊祐(市尼崎3兵庫)、南関東大会で2m17を成功した福士湊(明星学園3東京)の対決になりそう。川﨑は昨年のインターハイで優勝した時の2m12がベスト。今季は故障で出遅れていたものの、近畿大会を2m10で制して復調を遂げている。3年前の全国中学生覇者である福士は、U20日本選手権も2m14で制すなど安定度も高い。ともに今大会では全種目を通じて最古の大会記録2m20を上回る「2m21以上」がターゲットだ。2人が本調子を出せないようだと、北関東大会を2m12で制した佐藤卓巳(市前橋3群馬)にもチャンスがめぐってきそうだ。 棒高跳は千葉県勢に今季ランキング上位者が並ぶ。その中でも自己記録で一歩リードするのが昨年の国体4位だった村社亮太(日体大柏3)だ。南関東大会では自己記録を21㎝も更新する5m21で優勝し、勢いに乗る。同2位の鈴木拓実(成田3)はU20日本選手権で5m10に成功し、高校生最上位の3位に入った。昨年の時点で5m00に成功していた宮嵜裕大(日体大柏3)、昨秋のU18大会で鈴木と宮嵜を下して優勝した牧野友哉(成田3)と、千葉県勢が上位を独占する可能性を秘める。それを阻止する可能性が最も高いのが、北関東大会で5m07に成功した原口顕次朗(前橋育英3群馬)。他にも矢野真一(観音寺総合3香川)、佐々木秀晟(高松一3香川)と5mジャンパーは多く、一歩間違えればメダル争いからも脱落する気の抜けない戦いになるだろう。 走幅跳は大本命が不在。嶋田直弥(九産大九州3福岡)と成川倭士(東海大翔洋3静岡)が7m50を跳んで今季全国リストのトップに並ぶが、7m30~40台に多くがひしめく状態だ。実績面では3年前の全国中学生大会覇者で前回3位の元木涼介(洛南3京都)が一歩リード。同8位の曲山純平(日大東北3福島)も、U20日本選手権で高校生最上位の3位を占めて安定感がある。“一発”がある種目なだけに、6回の試技を有効に進めた選手に勝利の女神がほほ笑むか。 [caption id="attachment_105704" align="alignnone" width="800"] 向かい風のなか、7m50で東海地区大会男子走幅跳を制した成川倭士[/caption] 三段跳は、前回6、7位でU18大会でも2、3位に食い込んでいる工藤匠真(乙訓3)、中田凱斗(北稜3)の京都勢が記録、実績面で優位に立つ。ともに2年時から15m台に乗せ、大舞台で安定して結果を残してきた。安定感、実績面では上記2人には劣るものの、地区大会で15m30オーバーの記録を叩き出した丹野正知(盛岡一3岩手)、鷲頭慶士(崇徳3広島)も有力。北関東1位の宮﨑光(吾妻中央3群馬)も7月1日の県選手権で15m07(+0.4)と大台に乗せ、勢いに乗る。 砲丸投は逆転で近畿大会を制した須田旺来(社3兵庫)、16m56でリストトップに立つ同2位通過の桑添喬偉(和歌山工3和歌山)がやや抜け出すかたちだ。桑添は3年前の全国中学生大会、昨秋のU18大会で優勝し、今年6月のU20日本選手権でも高校生最上位の5位に食い込むなど常に世代をリードしてきた。中学時代からのライバル関係にある須田とともに、最後の夏も優勝争いを繰り広げそうだ。2年生ながら16m台のベストを持つアツオビン・アンドリュウ(花園・京都)は、この種目の高校記録保持者であるアツオビン・ジェイソン(大阪桐蔭/現・福岡大)の弟。6月のU20日本選手権では16m03を投げて8位に入った森川陽介(添上3奈良)とともに、近畿勢が上位を占めそうだ。 円盤投は4月に亀井翔(上野原3山梨)、5月に藤原琢磨(稲生3三重)がそれぞれ48m05を投げてリストトップに立っていたものの、7月に入って近畿大会覇者の永江翔太朗(紀央館2和歌山)が48m20をスロー。一躍優勝候補に躍り出た。至近10大会はすべて優勝記録が49mを超えており、日本一のためには自己新が必須か。 ハンマー投は、京都府大会で高2歴代最高となる65m11を放ったアツオビン・アンドリュウ(花園・京都)が記録、勢いともに群を抜く。悪条件となった近畿大会でも2位に7m以上の差をつけており、全国では「67~68m」での優勝を目論む。実績面では昨年のインターハイで下級生ただ一人入賞を果たし、10月のU18大会を制している尾濱太陽(西条農3広島)が光る。記録面では63m21にとどまっているものの、今年のU20日本選手権でも高校生最上位の2位。65m以上まで伸ばせば勝機が見えてくる。今季63m77を投げている北関東大会覇者・浅利磨海(守谷3茨城)もU20日本選手権で3位と安定感があり、優勝候補の1人だ。 [caption id="attachment_105580" align="alignnone" width="800"] 近畿地区大会男子ハンマー投でワン・ツーを占めた花園コンビ、アツオビン・アンドリュウ(左)と髙屋友希[/caption] やり投は絶対的優勝候補不在の大混戦が予想される。今季リストトップは6月に67m92を投げた谷口大翔(彦根翔西館3滋賀)だ。昨年のインターハイで5位入賞を果たし、U18大会を大会新で制して実績も十分。昨年は68m55を放っており、「優勝はもちろん、2位にどれだけ差をつけられるかに挑戦したい」と意気込む。近畿大会で谷口を抑えた渡邉宙(草津東3滋賀)と、U20日本選手権2位の森澤知慶(鳥取西3鳥取)、今季リスト2位の67m44を投げている池田栄志(長崎日大3長崎)、南関東大会優勝の國安大悟(片倉3東京)が対抗に挙がる。いずれも自己記録は66m以上。70mの大台に乗せ、ライバルに先手を打てるか。 八種競技は高校歴代8位の5914点の記録を持ち、前人未到の3連覇が懸かっていた高橋諒(桐朋3東京)が左ハムストリングスを痛めて南関東大会を欠場。大本命不在となり、多くの選手にチャンスが広がった。 その中でランキングトップに立つのが、5699点で中国大会を制した河原怜音(岡山商大附3岡山)。110mハードルが得意で、個人種目でも14秒64(+0.7)で中国大会を制している。僅差で追うのが宮下輝一(市船橋1千葉)だ。南関東大会で高橋が持っていた高1最高記録(5528点)を大幅に更新する5682点を記録。「自分が史上初になります」と、尊敬する高橋が挑戦できなかったインターハイ3連覇を目標に掲げ、その第一歩として1年生優勝を貪欲に狙っている。地区大会で5600点以上を記録したのが、大島克範(鶴岡工3山形)と緒方陽平(伊奈総合3埼玉)。ここまでは100点以内の僅差のため、いかに本番で力を発揮できるかが勝敗のカギを握る。
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