HOME 国内、日本代表

2023.07.12

「力を見せつけたかった」田中希実が中盤に仕掛けてアジアの頂点に! 世界選手権に向けて視界良好 /アジア選手権
「力を見せつけたかった」田中希実が中盤に仕掛けてアジアの頂点に! 世界選手権に向けて視界良好 /アジア選手権

アジア選手権女子1500mで1位、2位を占めた田中希実と後藤夢

◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)1日目

アジア選手権の1日目が行われ、女子1500mでは田中希実(New Balance)が世界水準の快走を見せた。

スタートして、250mで早くも先頭へ。「どこかで仕掛けるというよりは、他の選手がこぼれていくような、細かくペースを上げるビルドアップを意識した」と田中。最初の400mを72秒で通過すると一段ペースを上げ、集団の人数を6人に絞る。

広告の下にコンテンツが続きます

800m通過が2分17秒。この400mを65秒に上げ、ここからさらにペースアップして独走へ。そして残り300m、「全米選手権で走っている自分を想像」しながらダメ押しのスパートを放った。7月5日にフィンランドで出した今季ベスト(4分07秒05)を上回る4分06秒75をマークし、堂々のアジア女王に輝いた。

同種目の日本勢では2005年仁川大会(韓国)の杉森美保以来4人目の金メダルで、この時に杉森が出した4分12秒69が従来の大会記録。それを6秒近く塗り替え、田中は「シーズンベストが出たのでうれしいです」と笑顔をのぞかせた。

レースプランについては、まさに世界を意識したもの。「海外選手もそういうレースをしますし、私も前回(17年)はまったく歯が立たなかったところから、力を見せつけたかったんです」。インド・ブバネーシュワルで開催された17年は兵庫・西脇工高3年のとき。4分20秒43で4位と世界との差を突きつけられたが、6年の成長をしっかりと示す圧巻の内容だった。

21年の東京五輪で8位入賞の快挙を成し遂げて以降、必ずしも思い描く結果、走りができたわけではない。昨年のオレゴン世界選手権は5000mでは2大会連続のファイナルに進んだものの、1500mは準決勝で敗退した。

だが、今は違う。「世界のトップ争いができるところを目指して」4月にプロ転向を決意し、目標に向かってまっすぐ突き進んできた。

6月の日本選手権では2年連続で1500m、5000mの2冠に輝くと、その後のケニア合宿を経て、今大会直前には5000mで日本歴代3位、ブダペスト世界選手権参加標準記録(14分57秒00)を突破する14分53秒60をマーク。試合を重ねながら調子を上げていく、田中のいつものスタイルだが、その水準は昨年までよりも着実に上がっている。

オレゴン世界選手権では800mを含む3種目にチャレンジしたが、ブダペストでは「より世界と戦える種目」として1500mと5000mに照準を絞る。プロとして初めて挑む世界大会へ、「アジアで勝てたことを誇りに変えたい」と田中。「少し休んで」、いよいよ世界選手権への準備に入る。

◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)1日目 アジア選手権の1日目が行われ、女子1500mでは田中希実(New Balance)が世界水準の快走を見せた。 スタートして、250mで早くも先頭へ。「どこかで仕掛けるというよりは、他の選手がこぼれていくような、細かくペースを上げるビルドアップを意識した」と田中。最初の400mを72秒で通過すると一段ペースを上げ、集団の人数を6人に絞る。 800m通過が2分17秒。この400mを65秒に上げ、ここからさらにペースアップして独走へ。そして残り300m、「全米選手権で走っている自分を想像」しながらダメ押しのスパートを放った。7月5日にフィンランドで出した今季ベスト(4分07秒05)を上回る4分06秒75をマークし、堂々のアジア女王に輝いた。 同種目の日本勢では2005年仁川大会(韓国)の杉森美保以来4人目の金メダルで、この時に杉森が出した4分12秒69が従来の大会記録。それを6秒近く塗り替え、田中は「シーズンベストが出たのでうれしいです」と笑顔をのぞかせた。 レースプランについては、まさに世界を意識したもの。「海外選手もそういうレースをしますし、私も前回(17年)はまったく歯が立たなかったところから、力を見せつけたかったんです」。インド・ブバネーシュワルで開催された17年は兵庫・西脇工高3年のとき。4分20秒43で4位と世界との差を突きつけられたが、6年の成長をしっかりと示す圧巻の内容だった。 21年の東京五輪で8位入賞の快挙を成し遂げて以降、必ずしも思い描く結果、走りができたわけではない。昨年のオレゴン世界選手権は5000mでは2大会連続のファイナルに進んだものの、1500mは準決勝で敗退した。 だが、今は違う。「世界のトップ争いができるところを目指して」4月にプロ転向を決意し、目標に向かってまっすぐ突き進んできた。 6月の日本選手権では2年連続で1500m、5000mの2冠に輝くと、その後のケニア合宿を経て、今大会直前には5000mで日本歴代3位、ブダペスト世界選手権参加標準記録(14分57秒00)を突破する14分53秒60をマーク。試合を重ねながら調子を上げていく、田中のいつものスタイルだが、その水準は昨年までよりも着実に上がっている。 オレゴン世界選手権では800mを含む3種目にチャレンジしたが、ブダペストでは「より世界と戦える種目」として1500mと5000mに照準を絞る。プロとして初めて挑む世界大会へ、「アジアで勝てたことを誇りに変えたい」と田中。「少し休んで」、いよいよ世界選手権への準備に入る。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.26

【学生長距離Close-upインタビュー】全日本大学駅伝1区区間賞の志學館大・中村晃斗 「結果にこだわっていきたい」

学生長距離Close-upインタビュー 中村 晃斗 Nakamura Akito 志學館大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。54回目は、志 […]

NEWS 熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

2025.11.26

熊本信愛女学院高の元監督・山口和也さん死去 五輪1万m7位・川上優子さん、世界陸上マラソン4位・飛瀬貴子さんらを指導

熊本信愛女学院高(熊本)の元陸上競技部監督で、長年多くのランナーを育てた山口和也さんが11月23日、病気のため亡くなった。71歳。 1980年に同校に赴任した山口さん。当時の日本女子長距離は黎明期であったが、山口さんは高 […]

NEWS 世界クロカンU20代表選考会エントリー確定 インターハイ&国スポV新妻遼己や本田桜二郎ら 女子は細見芽生、真柴愛里

2025.11.26

世界クロカンU20代表選考会エントリー確定 インターハイ&国スポV新妻遼己や本田桜二郎ら 女子は細見芽生、真柴愛里

日本陸連は11月26日、第46回世界クロスカントリー選手権(2026年1月10日/米国・タラハシー)の男女U20日本代表代表選考会(11月30日/京都)の確定エントリーリストを発表した。 男子は当初エントリーしていた24 […]

NEWS パリ五輪4×400mR金のウィルソンが地元のメリーランド大に進学決定

2025.11.26

パリ五輪4×400mR金のウィルソンが地元のメリーランド大に進学決定

男子短距離のQ.ウィルソン(米国)がメリーランド大へ入学することが発表された。 ウィルソンは2008年生まれの17歳。23年ごろから400mで頭角を現し、同年の米国室内選手権で優勝するなど注目を浴びた。今年6月には400 […]

NEWS 男子3000m障害・ジャガーが現役引退 リオ五輪銀、ロンドン世界陸上銅など活躍 「別れの時が来た」

2025.11.26

男子3000m障害・ジャガーが現役引退 リオ五輪銀、ロンドン世界陸上銅など活躍 「別れの時が来た」

2016年リオ五輪の男子3000m障害で銀メダルに輝いたE.ジャガー(米国)が引退を表明した。 ジャガーは35歳。ジュニア時代には中長距離でU20世界選手権1500m7位などの成績を収め、シニアでは3000m障害で世界的 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top