2023.06.19
◇インターハイ近畿地区大会(6月15日~18日/和歌山・紀三井寺公園競技場)4日目
夏の北海道インターハイを懸けた近畿地区大会の最終日が行われ、学校対抗の男子は洛南(京都)が8大会連続21回目、女子は京都橘(京都)が初優勝を果たした。
女子は京都橘が初日に400m、2日目に100mと4×100mリレー、3日目に200mと400mハードル、そして最終日に4×400mリレーと、短距離種目をほぼ総なめにして、61点を獲得。他の追随を許さなかった。
「一人ひとりが力を出し切った結果です。サポートに回ったメンバーも含め、一丸となって4日間戦い抜くことができました」と主将の瀧野未来(3年)は誇らしげに語った。自らも全国連覇を狙う400mハードルで貫禄勝ちし、マイルリレーでも2走で優勝に貢献した。
選手の頑張りを見守った松本幸之先生も、「全員が力を発揮してくれ、うまく行き過ぎたぐらい。北海道につながる試合ができました。いい意味で瀧野が目立たなかった。チーム力の底上げが進んだと思います」と健闘を称える。
チームの悲願でもあるリレーの全国制覇に向け、「4継は3本とも45秒台をそろえられたのは良かった。マイルは、今回走った4人のベストラップを合計すれば3分38秒前後は出る計算になります。選手たちも3分40秒は切りたいと思っていたので、悔しがっています。一度リセットして最強メンバーを組み直し、インターハイに臨みたい」と松本先生。激しいチーム内の競争を経て、夏にはその強さがさらに増していることだろう。
「総合のことなどは意識していませんが、今回のように、一人ひとりが力を出し切ることができればリレーも含め目標に手が届くと信じています」と瀧野。真夏の北海道で、最速、そして最強の座にチーム一丸で臨む。
昨年の徳島インターハイで総合V10の金字塔を打ち立てた洛南は、全国への最後の関門となる近畿を、前回(93点)に迫る90点を積み上げて快勝した。エースとして奮闘した津田伊万(3年)は、洛南の持ち味でもあるチーム力を結集して、勝って締めくくることができて良かった」とホッと胸をなでおろす。
4×100mリレーの準決勝で、両リレーの主軸でもある村松悦基(2年)が故障と熱中症で戦線離脱を余儀なくされるアクシデントが発生。津田は、4継とともにアンカーを務める最終種目の4×400mリレーは「正直、負けるかもと思いました」と心境を吐露し、決勝の前は「過去イチで緊張しました」。
それでも、ここまで100m2位、200mは21秒20(-0.9)で優勝など計11本を走り抜いた津田は、最後の最後でこれまでの自身最速ラップとなる46秒5で駆け抜け、3位からの逆転優勝へと導いた。
昨年までは「200mとマイルだけでも無理と思っていましたが、冬季に継続して練習ができて自信がついたことが大きいです」と成長の要因を話す。
それは津田に限ったことではない。「全員が1点でも多く勝ち取るために、『何ができるか』を考えながら行動してくれ、初日からいい雰囲気の中で戦い抜くことができました」と主将の元木涼介は胸を張る。自身も走幅跳を7m37(+1.9)で制し、チームを鼓舞した。激戦の近畿を勝ち抜いた自信を胸に北の大地でも、あくまで「洛南らしく」11度目の総合優勝に挑む。
男子の総合2位は53点を獲得した社(兵庫)。800m、1500m2冠でMVPに輝いた落合晃(2年)の活躍が光った滋賀学園(滋賀)が43点で3位を占めた。
女子の2位は東大阪大敬愛(大阪)で、久保凛が1年生優勝を飾った800mを含む3種目を制するなど54点を獲得。3位は51点の立命館宇治(京都)で、山本釉未(3年)の1500m・3000mの2冠、3000mはメダル独占など中長距離を軸に得点を積み重ねた。
全国インターハイは8月2日から6日に北海道・厚別公園競技場で開催。各地区大会上位6位までが出場する(※男女競歩は5位、女子棒高跳、女子三段跳、女子ハンマー投は4位まで、混成は3位+各地区4~6位の記録上位5名)。
文/花木 雫
写真/弓庭保夫
インターハイ近畿地区大会の優勝者一覧
●男子 100m 西岡尚輝(東海大仰星2大阪) 10秒54(-1.7) 200m 津田伊万(洛南3京都) 21秒20(-0.9) 400m 小幡丈士(宝塚3兵庫) 47秒77 800m 落合 晃(滋賀学園2滋賀) 1分49秒40=大会新 1500m 落合 晃(滋賀学園2滋賀) 3分52秒17 5000m 折田壮太(須磨学園3兵庫) 14分05秒89 110mH 蓮香 颯(社3兵庫)14秒27(+1.5) 400mH 橋本諒生(乙訓3京都) 50秒96 3000m障害 加嶋 翼(洛南2京都) 9分08秒16 5000m競歩 逢坂草太朗(川西緑台3兵庫) 20分23秒60=大会新 4×100mR 洛南(京都) 40秒20 4×400mR 洛南(京都)3分12秒75 走高跳 川﨑俊祐(市尼崎3兵庫) 2m10 棒高跳 長野董也(王寺工2奈良) 4m80 前中颯斗(近大和歌山2和歌山) 4m80 走幅跳 元木涼介(洛南3京都) 7m37(+1.9) 三段跳 中田凱斗(北稜3京都)15m35(+1.2) 砲丸投 須田旺来(社3兵庫) 16m38 円盤投 永江翔太朗(紀央館2和歌山)46m80 ハンマー投 アツオビン・アンドリュウ(花園2京都) 63m74 やり投 渡邉 宙(草津東3滋賀) 65m20 八種競技 河田隼利(京都文教3京都) 5314点 ●女子 100m 森本海咲希(京都橘3京都) 11秒81(-1.6) 200m 森本海咲希(京都橘3京都) 24秒26(±0) 400m 福井彩乃(京都橘3京都) 55秒23 800m 久保凛(東大阪大敬愛1大坂) 2分06秒19 1500m 山本釉未(立命館宇治3京都) 4分17秒55 3000m 山本釉未(立命館宇治3京都) 9分11秒47 100mH 妹尾千里(大阪2大阪) 13秒93(-0.4) 400mH 瀧野未来(京都橘3京都) 58秒74 5000m競歩 林 千華(立命館宇治2京都) 24分00秒55 4×100mR 京都橘(京都) 45秒68 4×400mR 京都橘(京都) 3分42秒07 走高跳 高田知佳(関大北陽2大阪) 1m68 棒高跳 松井愛果(大塚2大阪) 3m80 走幅跳 釣本陽香(大阪桐蔭3大阪) 5m86(+0.7) 三段跳 釣本陽香(大阪桐蔭3大阪) 12m48 (+0.1) 砲丸投 坂ちはる(大体大浪商2大阪) 14m24 円盤投 矢野結衣(添上2奈良) 42m25 ハンマー投 嶋本美海(添上3奈良) 55m98=大会新 やり投 乾 奈子(東大阪大敬愛3大阪) 50m86 七種競技 福島波暖(東大阪大敬愛2大阪) 4842点
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2024.07.27
混合競歩代表の川野将虎「自分らしい粘り強い歩きで上位を目指したい」/パリ五輪
-
2024.07.27
-
2024.07.26
-
2024.07.25
2024.07.24
やり投・北口榛花がオメガのアンバサダーに就任!パリ代表の阿部兄妹、早田ひなら6人
-
2024.07.20
-
2024.07.02
-
2024.07.24
-
2024.06.28
-
2024.06.29
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.07.27
女子競歩の岡田久美子は調整順調「メダルを狙える位置。新たな挑戦でワクワクしている」/パリ五輪
パリ五輪・陸上競技に向けて日本代表選手団が7月27日午前、出国前に羽田空港で会見を行い、意気込みを語った。 2016年リオ、21年東京に続く3大会連続の五輪代表となる女子競歩の岡田久美子(富士通)は「いよいよだなという気 […]
2024.07.27
中大ルーキー・岡田開成が3000m7分55秒41! U20歴代4位の好タイム
7月26日、中大多摩キャンパス競技場で「Summer Night Run Festival in CHUO」が行われ、男子3000mで岡田開成(中大1)が7分55秒41とU20歴代4位のタイムをマークした。 同大会はこれ […]
Latest Issue
最新号
![2024年8月号 (7月12日発売)](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2024/07/202408cover.jpg)
2024年8月号 (7月12日発売)
W別冊付録
パリ五輪観戦ガイド&福岡インターハイ完全ガイド