2023.04.30
「チームに貢献したい」
ケガからの復活は長引いたものの、唐澤は今年2月からジョグを再開した。3月下旬からは強度の高いポイント練習にも加わり、Bチームではあるものの、出されたメニューは一度も外さずに来ているという。
1年3ヵ月ぶりのレースだった4月8日の世田谷競技会を経て、23日の10000mへ。レース中は大八木弘明総監督から「8000m以降で我慢すれば27分台出せるぞ!」という言葉をもらい、奮起した。
「2年前の自己ベストの時はしっかり練習ができていたんです。今回は上体的にも70%くらいでしたし、なんで27分台が出せたのか自分でもわかっていません。まぐれだと思います」
そう謙遜するが、レース後に大八木総監督から「よくやった」と言葉をかけられたことについては「うれしかったです」と素直に喜んだ。
3年目のシーズンを棒に振り、チームに貢献できなかったことについて「みんなには迷惑をかけて申し訳ないという気持ちしかありません。これから結果で恩返ししていきます」と頼もしい言葉が返ってきた。
今後は5月中旬の関東インカレ2部10000mに出場する予定。「今回も日本人トップには立ちたいですね。その後は5000mの自己ベストを更新して、もう一度10000mを走る機会があれば27分40秒台を目指します」と青写真を描いている。
ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。次期エース候補と言われた男が、空白の1年間を取り戻しに行く。

2022年箱根駅伝1区で2位と好スタートを切った唐澤拓海(左)から2区の田澤廉へのタスキ渡し
◎からさわ・たくみ/2001年10月11日生まれ。埼玉県草加市出身。青柳中→花咲徳栄高→駒大。自己記録5000m13分32秒58、10000m27分57秒52、ハーフマラソン1時間2分45秒。高校3年時の全国都道府県対抗男子駅伝4区で区間賞を獲得してブレイク。駒大では2年時に台頭し、関東インカレ5000m・10000mで日本人トップ(3位)に輝くと、箱根駅伝では1区2位と好走した。3年時はケガなどで1試合も出場できなかったが、4年目に突入した今年4月に10000mの自己記録を2年ぶりに更新した。
文/松永貴允
1年3ヵ月ぶりのレース復帰
「次世代エース候補」と呼ばれた男が、1年ぶり3ヵ月ぶりに帰ってきた――。 4月8日の世田谷競技会男子5000m8組。13分50秒56で1着を飾った駒大の唐澤拓海(4年)だ。唐澤は24日の日体大長距離競技会の中で開催された「NITTAIDAI Challenge Games」10000mでも自己新の27分57秒52で走破。“完全復活”を印象づけた。 2年時の箱根駅伝以来のレース。「不安もありましたが、日体大では練習を積めていない中でも27分台を視野に入れていました。無事に走れてホッとしています」と唐澤は振り返る。 ここまでの道のりは決して平たんではなかった。 2年生になった2021年4月の記録会10000mで28分02秒52を出して注目を集めると、翌月の関東インカレ(2部)では5000mと10000mで日本人トップの3位。5000mではチームメイトである鈴木芽吹との壮絶なスパート合戦を制した。 その後はケガを繰り返しながらも箱根駅伝では2年時に1区2位と好走。1学年先輩である田澤廉(現・トヨタ自動車)の区間賞をアシストした。 この時の唐澤は鈴木と並び、チーム内で田澤に次ぐ準エース格という位置づけだった。実際に、鈴木は昨年3月の取材で「一番怖い存在は唐澤」と話している。 唐澤も当時、「ケガさえ気をつければ27分台はいつでも出せる」と話していた。 その実現が1年以上も先になってしまうとは、チーム関係者、ファン、そして唐澤自身も思いもしなかっただろう――。チームの3冠達成にも「どこか他人事だった」
小学校まで姉の影響で始めたバドミントンに取り組んだ拓海少年は、中学校で陸上競技と出合う。中学3年間は全国大会とは無縁だったものの、花咲徳栄高で急成長。3年時にインターハイ2種目で決勝に進出(1500m10位、5000m18位)すると、1月の全国都道府県対抗駅伝では4区区間賞(区間タイ)の走りで埼玉県チームの準優勝に貢献している。 唐澤は高校時代の印象に残ったレースにこの2大会を挙げ、なかでも都道府県駅伝は「あこがれの設楽悠太さんと同じチームで走れてうれしかった」と当時を振り返る。 [caption id="attachment_100477" align="alignnone" width="800"]
「チームに貢献したい」
ケガからの復活は長引いたものの、唐澤は今年2月からジョグを再開した。3月下旬からは強度の高いポイント練習にも加わり、Bチームではあるものの、出されたメニューは一度も外さずに来ているという。 1年3ヵ月ぶりのレースだった4月8日の世田谷競技会を経て、23日の10000mへ。レース中は大八木弘明総監督から「8000m以降で我慢すれば27分台出せるぞ!」という言葉をもらい、奮起した。 「2年前の自己ベストの時はしっかり練習ができていたんです。今回は上体的にも70%くらいでしたし、なんで27分台が出せたのか自分でもわかっていません。まぐれだと思います」 そう謙遜するが、レース後に大八木総監督から「よくやった」と言葉をかけられたことについては「うれしかったです」と素直に喜んだ。 3年目のシーズンを棒に振り、チームに貢献できなかったことについて「みんなには迷惑をかけて申し訳ないという気持ちしかありません。これから結果で恩返ししていきます」と頼もしい言葉が返ってきた。 今後は5月中旬の関東インカレ2部10000mに出場する予定。「今回も日本人トップには立ちたいですね。その後は5000mの自己ベストを更新して、もう一度10000mを走る機会があれば27分40秒台を目指します」と青写真を描いている。 ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。次期エース候補と言われた男が、空白の1年間を取り戻しに行く。 [caption id="attachment_100478" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
-
2025.06.11
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
【画像】愛知県・大村知事から表彰される山西利和 競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価|月陸Online https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives […]
2025.06.16
砲丸投・大垣尊良ビッグショットなるか 女子短距離は山崎心愛に注目 男子中長距離は吉田星が軸/IH北海道
広島インターハイ(7月25日~29日)を懸けた地区大会が6月に各地で開催される。 インターハイ北海道地区大会は6月17日から20日まで、旭川花咲スポーツ公園陸上競技場で行われる。 広告の下にコンテンツが続きます 昨年、男 […]
2025.06.16
100mH・石原南菜が13秒33!地元で高校歴代2位・U18日本新・高2歴代最高の激走/IH北関東
女子100mH高校歴代10傑をチェック! 13.31 0.7 井上凪紗(滝川二3兵庫) 2025. 5.30 13.33 1.3 石原南菜(白鴎大足利2栃木) 2025. 6.16 13.34 -0.3 小林歩未(市船橋 […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会