HOME 駅伝、箱根駅伝

2023.04.30

「駒澤大学から世界へ!」名将・大八木弘明総監督が指導の真髄語る/箱根駅伝シンポジウム
「駒澤大学から世界へ!」名将・大八木弘明総監督が指導の真髄語る/箱根駅伝シンポジウム

駒大の大八木弘明総監督

箱根駅伝100回記念シンポジウムが4月30日、京都市のロームシアター京都で行われ、第2部のパネリストとして出席した大八木弘明・駒大総監督は、「箱根駅伝は中学の時からラジオで聞いていた、やはりあこがれの大会。それを目指して陸上を始めたところがある」と改めて箱根駅伝への思いを馳せた。

106年前の1917年4月27日午後2時、日本最初の駅伝とされる「東京奠都記念東海道五十三次駅伝」がスタート。その3年後に歴史が始まった箱根駅伝が来年正月で100回の節目を迎えることから、開演時間もスタート時間に合わせて午後2時から実施された。

大八木総監督は、Kao監督の高岡寿成氏、京都・洛南高顧問の奥村隆太郎先生と席を並べ、同年代の上田誠仁・監督学連駅伝対策委員長のコーディーネートを受け、時に笑顔で、時に真剣なまなざしで語った。

広告の下にコンテンツが続きます

特に、「選手の指導で大事にしてる事」というテーマでは、真っ先に「情熱」を挙げた。上田委員長と会場のリクエストを受け、名セリフ「男だろ!」を披露するとともに、「情熱に勝る能力はなし」ときっぱり語った。

とはいえ、選手への接し方は時代とともに変化し、「若い時は一方通行。その頃の選手は私のことを怖かったでしょう。でも、今は親以上の年齢ですから、自分から問いかけて、自分からコミュニケーションを取り、楽しくやろう、と。そんなやり方でキャッチボールしている」。

また、今年の箱根駅伝ではエースの田澤廉(現・トヨタ自動車)が直前に体調を崩し、万全の状態では臨めなかったが、「お前を信じている」と声をかけたという。以前よりも、選手に寄り添うアプローチになってきたことも付け加えた。

近年、急速に進むスピード化については、「シューズの進化も含めて、陸上が本当に変わってきている」と言い、「(5000m、10000m、マラソンの日本記録を作った)高岡さんのように、トラックのスピードをマラソンへという流れになっている」。

そんな流れを受け、「大学まででスピードをつけて、そこからマラソンへ。スピードがなかなかつかない選手はスタミナ型として、じっくり力をつけて、実業団に行ったらすぐにマラソンへとなるように指導しないといけない」と、選手の持ち味に合わせた指導の必要性を説く。同時に、大学の指導者に対しては、「箱根の山よりもっと高い山がある。大学の指導者は、やはりそれを目指して指導しないといけないと思う」。

箱根駅伝の大きなテーマである「箱根駅伝から世界へ」を体現し続けてきた大八木総監督は、「駒澤大学から世界へ」を掲げ、OBの田澤らの指導に引き続き当たっていく。

そして、箱根駅伝に対してのもう一つの思いも口にした。

「箱根駅伝は最終的にチームワーク。学生三大駅伝のうち、出雲駅伝と全日本大学駅伝は、(遠征になるため)全員では応援に行けない。でも、箱根駅伝はチーム全員が関わり、一つになって戦う。出られない子も、俺もやるんだという気持ちで1月2日、3日を戦う。駒澤大学ではそこに箱根駅伝の魅力を感じているし、チームがその気持ちを持っている時は、勝てるチームになる」

箱根駅伝で8度の優勝を含む学生駅伝最多27度のタイトルを手にしてきた名将は、その真髄の一端を明かした。

※本文中に誤りがありましたのでお詫びをして訂正します。

箱根駅伝100回記念シンポジウムが4月30日、京都市のロームシアター京都で行われ、第2部のパネリストとして出席した大八木弘明・駒大総監督は、「箱根駅伝は中学の時からラジオで聞いていた、やはりあこがれの大会。それを目指して陸上を始めたところがある」と改めて箱根駅伝への思いを馳せた。 106年前の1917年4月27日午後2時、日本最初の駅伝とされる「東京奠都記念東海道五十三次駅伝」がスタート。その3年後に歴史が始まった箱根駅伝が来年正月で100回の節目を迎えることから、開演時間もスタート時間に合わせて午後2時から実施された。 大八木総監督は、Kao監督の高岡寿成氏、京都・洛南高顧問の奥村隆太郎先生と席を並べ、同年代の上田誠仁・監督学連駅伝対策委員長のコーディーネートを受け、時に笑顔で、時に真剣なまなざしで語った。 特に、「選手の指導で大事にしてる事」というテーマでは、真っ先に「情熱」を挙げた。上田委員長と会場のリクエストを受け、名セリフ「男だろ!」を披露するとともに、「情熱に勝る能力はなし」ときっぱり語った。 とはいえ、選手への接し方は時代とともに変化し、「若い時は一方通行。その頃の選手は私のことを怖かったでしょう。でも、今は親以上の年齢ですから、自分から問いかけて、自分からコミュニケーションを取り、楽しくやろう、と。そんなやり方でキャッチボールしている」。 また、今年の箱根駅伝ではエースの田澤廉(現・トヨタ自動車)が直前に体調を崩し、万全の状態では臨めなかったが、「お前を信じている」と声をかけたという。以前よりも、選手に寄り添うアプローチになってきたことも付け加えた。 近年、急速に進むスピード化については、「シューズの進化も含めて、陸上が本当に変わってきている」と言い、「(5000m、10000m、マラソンの日本記録を作った)高岡さんのように、トラックのスピードをマラソンへという流れになっている」。 そんな流れを受け、「大学まででスピードをつけて、そこからマラソンへ。スピードがなかなかつかない選手はスタミナ型として、じっくり力をつけて、実業団に行ったらすぐにマラソンへとなるように指導しないといけない」と、選手の持ち味に合わせた指導の必要性を説く。同時に、大学の指導者に対しては、「箱根の山よりもっと高い山がある。大学の指導者は、やはりそれを目指して指導しないといけないと思う」。 箱根駅伝の大きなテーマである「箱根駅伝から世界へ」を体現し続けてきた大八木総監督は、「駒澤大学から世界へ」を掲げ、OBの田澤らの指導に引き続き当たっていく。 そして、箱根駅伝に対してのもう一つの思いも口にした。 「箱根駅伝は最終的にチームワーク。学生三大駅伝のうち、出雲駅伝と全日本大学駅伝は、(遠征になるため)全員では応援に行けない。でも、箱根駅伝はチーム全員が関わり、一つになって戦う。出られない子も、俺もやるんだという気持ちで1月2日、3日を戦う。駒澤大学ではそこに箱根駅伝の魅力を感じているし、チームがその気持ちを持っている時は、勝てるチームになる」 箱根駅伝で8度の優勝を含む学生駅伝最多27度のタイトルを手にしてきた名将は、その真髄の一端を明かした。 ※本文中に誤りがありましたのでお詫びをして訂正します。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.05

富士通に駒大・伊藤蒼唯、國學院大・上原琉翔が加入! 今季はともに学生三大駅伝優勝

富士通は11月5日、2026年の新加入選手を発表した。 長距離ブロックには、駒大の伊藤蒼唯、國學院大の主将・上原琉翔が加入する。 伊藤は島根県出身で出雲工高卒。1年時の箱根駅伝では6区区間賞で総合優勝に貢献すると、その後 […]

NEWS 富士通に400mH小川大輝、競歩・柳井綾音が新加入!ともに五輪、世界陸上代表

2025.11.05

富士通に400mH小川大輝、競歩・柳井綾音が新加入!ともに五輪、世界陸上代表

富士通は11月5日、2026年度の新加入選手を発表した。 パリ五輪、東京世界選手権代表である、男子400ハードルの小川大輝(東洋大)と女子20km競歩の柳井綾音(立命大)が加入する。 愛知県出身の小川は、石巻中から豊橋南 […]

NEWS 千葉男子は常盤松が2年ぶり全国切符 山梨は男子の塩山が32年ぶり 女子は櫛形が20回目の全国へ/中学駅伝

2025.11.04

千葉男子は常盤松が2年ぶり全国切符 山梨は男子の塩山が32年ぶり 女子は櫛形が20回目の全国へ/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場権を懸けた県大会が、11月1日から3日にかけ、6県で行われた。 1日に行われた千葉県男子は、常盤松が2年ぶり2回目の全国出場を決めた。1区・池田佳十(3年)が区間4位で滑 […]

NEWS 埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

2025.11.04

埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた埼玉県高校駅伝が11月4日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場周辺コースで行われ、埼玉栄が男女Vを果たした。女子(5区間21.0975km)は1時間8分28秒で3年連続28回目の制覇。男子(7区間 […]

NEWS 東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

2025.11.04

東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた神奈川県高校駅伝が11月3日、横浜市の日産フィールド小机及び付設ハーフマラソンコースで行われた。男子(7区間42.4km)は、東海大相模が大会新となる2時間4分24秒で4年ぶり3回目、女子(5 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top