箱根駅伝100回記念シンポジウムが4月30日、京都市のロームシアター京都で行われ、第2部のパネリストとして出席した大八木弘明・駒大総監督は、「箱根駅伝は中学の時からラジオで聞いていた、やはりあこがれの大会。それを目指して陸上を始めたところがある」と改めて箱根駅伝への思いを馳せた。
106年前の1917年4月27日午後2時、日本最初の駅伝とされる「東京奠都記念東海道五十三次駅伝」がスタート。その3年後に歴史が始まった箱根駅伝が来年正月で100回の節目を迎えることから、開演時間もスタート時間に合わせて午後2時から実施された。
大八木総監督は、Kao監督の高岡寿成氏、京都・洛南高顧問の奥村隆太郎先生と席を並べ、同年代の上田誠仁・監督学連駅伝対策委員長のコーディーネートを受け、時に笑顔で、時に真剣なまなざしで語った。
特に、「選手の指導で大事にしてる事」というテーマでは、真っ先に「情熱」を挙げた。上田委員長と会場のリクエストを受け、名セリフ「男だろ!」を披露するとともに、「情熱に勝る能力はなし」ときっぱり語った。
とはいえ、選手への接し方は時代とともに変化し、「若い時は一方通行。その頃の選手は私のことを怖かったでしょう。でも、今は親以上の年齢ですから、自分から問いかけて、自分からコミュニケーションを取り、楽しくやろう、と。そんなやり方でキャッチボールしている」。
また、今年の箱根駅伝ではエースの田澤廉(現・トヨタ自動車)が直前に体調を崩し、万全の状態では臨めなかったが、「お前を信じている」と声をかけたという。以前よりも、選手に寄り添うアプローチになってきたことも付け加えた。
近年、急速に進むスピード化については、「シューズの進化も含めて、陸上が本当に変わってきている」と言い、「(5000m、10000m、マラソンの日本記録を作った)高岡さんのように、トラックのスピードをマラソンへという流れになっている」。
そんな流れを受け、「大学まででスピードをつけて、そこからマラソンへ。スピードがなかなかつかない選手はスタミナ型として、じっくり力をつけて、実業団に行ったらすぐにマラソンへとなるように指導しないといけない」と、選手の持ち味に合わせた指導の必要性を説く。同時に、大学の指導者に対しては、「箱根の山よりもっと高い山がある。大学の指導者は、やはりそれを目指して指導しないといけないと思う」。
箱根駅伝の大きなテーマである「箱根駅伝から世界へ」を体現し続けてきた大八木総監督は、「駒澤大学から世界へ」を掲げ、OBの田澤らの指導に引き続き当たっていく。
そして、箱根駅伝に対してのもう一つの思いも口にした。
「箱根駅伝は最終的にチームワーク。学生三大駅伝のうち、出雲駅伝と全日本大学駅伝は、(遠征になるため)全員では応援に行けない。でも、箱根駅伝はチーム全員が関わり、一つになって戦う。出られない子も、俺もやるんだという気持ちで1月2日、3日を戦う。駒澤大学ではそこに箱根駅伝の魅力を感じているし、チームがその気持ちを持っている時は、勝てるチームになる」
箱根駅伝で8度の優勝を含む学生駅伝最多27度のタイトルを手にしてきた名将は、その真髄の一端を明かした。
※本文中に誤りがありましたのでお詫びをして訂正します。
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