HOME 特集

2022.03.04

最速VS最速!世界記録保持者キプチョゲに鈴木健吾らが挑む 一山&新谷はコスゲイに挑戦/東京マラソン
最速VS最速!世界記録保持者キプチョゲに鈴木健吾らが挑む 一山&新谷はコスゲイに挑戦/東京マラソン

東京マラソンが3月6日に行われる。2年ぶりの開催となるレースには、史上最高とも言えるメンバーがそろった。なんと、エリウド・キプチョゲ(ケニア)と、ブリジット・コスゲイ(ケニア)の、男女の世界記録保持者が出場。世界的注目を集める一戦となりそうだ。

37歳になったキプチョゲはリオ五輪、そして昨年の東京五輪と2大会連続で金メダルを獲得。2時間1分39秒の世界記録だけではなく、非公認レースで人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒を持っている。

広告の下にコンテンツが続きます

5000mで2003年パリ世界選手権金メダルを獲得するなどトラックで一流。13年にマラソンに転向すると、14年以降は連戦連勝で、18年に世界記録を樹立した。これまでのマラソン成績は15戦13勝。キプチョゲは今後の目標に、「ワールドマラソンメジャーズ全制覇」を掲げる。

すでにロンドン、ベルリン、シカゴを制しており、東京、ボストン、ニューヨークがターゲットとなる。夢の全制覇に向け、東京で圧巻の走りを見せるだろう。

だが、キプチョゲといえども易々と勝てる相手ではないのがその他の海外招待選手。東京マラソンを連覇するなどコースを熟知しているビルハヌ・レゲゼ(エチオピア)や、2時間2分台の自己記録を持つモシネト・ゲレメウ(エチオピア)ら、錚々たる顔ぶれが並ぶ。

迎え撃つ日本勢は、こちらも「最速」が登場。昨年2月のびわ湖毎日マラソンで日本人初の2時間5分切りとなる2時間4分56秒をマークした鈴木健吾(富士通)が出場する。昨年10月にはシカゴマラソンで海外勢との競り合いも経験。速さに強さを加え、どんな走りを見せるか注目が集まる。

18年のアジア大会金メダリストの井上大仁(三菱重工)は、19、20年と苦しいシーズンを過ごしたが、昨年から調子を取り戻した。鈴木と同じびわ湖では2時間6分47秒をマーク。昨年11月には10000mで27分43秒17の自己新を出すと、調整として出場した1月の大阪ハーフマラソンでは1時間1分14秒でトップだった。灼熱のジャカルタで見せた勝負強さで海外勢に挑む。

20年の福岡国際マラソンで優勝した吉田祐也(GMOインターネットグループ)も注目の一人。これが3回目のマラソンとなるが、青学大4年時に出た別府大分で2時間8分30秒と鮮烈なマラソンデビューを飾ると、福岡は2時間7分05秒で制すなど、一度も“外していない”。昨年はトラックでややタイムが伸び悩んだが、調整がうまくいっていれば上位陣と互角に戦うだろう。

そのほか、土方英和(Honda/2時間6分26秒)、細谷恭平(黒崎播磨/2時間6分35秒)、高久龍(ヤクルト/2時間6分45秒)、小椋裕介(同/2時間6分51秒)と、2時間6分台ランナーも力がある。特に細谷は12月の福岡国際でも日本人トップの2位に入るなど安定感がある。

ペースメーカーの設定なども影響するが、日本勢がどこまでキプチョゲらに食い下がることができるのか注目したい。

女子のコスゲイは19年のシカゴマラソンで2時間14分04秒という衝撃的な世界記録を樹立した。強さも兼ね備え、19、20年とロンドンマラソンも連覇。昨年の東京五輪は銀メダルだった。

今年のアムステルダムマラソンで2時間17分57秒をマークした29歳のアンジェラ・タヌイ(ケニア)も力がある。

そういった海外勢に挑むのは、現役日本最速の一山麻緒(ワコール)と、10000m“最速”で13年ぶりマラソンとなる新谷仁美(積水化学)だ。

一山は東京五輪で8位入賞。20年にマークした2時間20分29秒は日本歴代4位で、現役日本最速タイムだ。東京マラソンには19年に出場し、2時間24分33秒の日本人大会最高記録で7位。五輪後は疲労の抜けない様子が続くレース結果だったが、史上4人目の2時間20分切りに向けてどんな展開でレースを進めるか。

10000mで30分20秒44、ハーフマラソンで1時間6分38秒と日本記録を持つ新谷。高校時代から天才ランナーとして名を馳せた新谷は、元々はマラソン志向で高卒2年目の2007年第1回東京マラソンで優勝している。

その後も2レースを経験したが撃沈し、トラックを主戦場として世界選手権入賞など活躍した。13年シーズンを最後に一度は引退したが18年に復帰。昨年は東京五輪10000mに出場したが、自ら遠ざけていたマラソンへの挑戦を決意した。新谷が常々「結果がすべて」と言うように、東京で狙うのはもちろん、野口みずきが持つ2時間19分12秒の日本記録更新だ。

東京マラソンはジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズのG1で、オレゴン世界選手権選考会と、24年パリ五輪選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催)の出場権獲得対象レース(条件は以下の通り)。JMCシリーズの1期チャンピオンはオレゴン世界選手権代表に内定する。

国内外の“最速”が激突する東京決戦。3月6日、見逃し厳禁のレースは9時10分にスタートする。大会の様子は日本テレビ系で中継される。

●男子
オレゴン世界選手権派遣設定記録
2時間7分53秒
MGC出場条件
・日本人1~3位で2時間10分00秒以内
・同4~6位で2時間09分00秒以内
・順位に関係なく2時間08分00秒以内
・「第1期」の2レースの平均で2時間10分00秒以内

●女子
オレゴン世界選手権派遣設定記録
2時間23分18秒
MGC出場条件
・日本人1~3位で2時間28分00秒以内
・同4~6位で2時間27分00秒以内
・順位に関係なく2時間24分00秒以内
・「第1期」の2レースの平均で2時間28分00秒以内

東京マラソンが3月6日に行われる。2年ぶりの開催となるレースには、史上最高とも言えるメンバーがそろった。なんと、エリウド・キプチョゲ(ケニア)と、ブリジット・コスゲイ(ケニア)の、男女の世界記録保持者が出場。世界的注目を集める一戦となりそうだ。 37歳になったキプチョゲはリオ五輪、そして昨年の東京五輪と2大会連続で金メダルを獲得。2時間1分39秒の世界記録だけではなく、非公認レースで人類初の2時間切りとなる1時間59分40秒を持っている。 5000mで2003年パリ世界選手権金メダルを獲得するなどトラックで一流。13年にマラソンに転向すると、14年以降は連戦連勝で、18年に世界記録を樹立した。これまでのマラソン成績は15戦13勝。キプチョゲは今後の目標に、「ワールドマラソンメジャーズ全制覇」を掲げる。 すでにロンドン、ベルリン、シカゴを制しており、東京、ボストン、ニューヨークがターゲットとなる。夢の全制覇に向け、東京で圧巻の走りを見せるだろう。 だが、キプチョゲといえども易々と勝てる相手ではないのがその他の海外招待選手。東京マラソンを連覇するなどコースを熟知しているビルハヌ・レゲゼ(エチオピア)や、2時間2分台の自己記録を持つモシネト・ゲレメウ(エチオピア)ら、錚々たる顔ぶれが並ぶ。 迎え撃つ日本勢は、こちらも「最速」が登場。昨年2月のびわ湖毎日マラソンで日本人初の2時間5分切りとなる2時間4分56秒をマークした鈴木健吾(富士通)が出場する。昨年10月にはシカゴマラソンで海外勢との競り合いも経験。速さに強さを加え、どんな走りを見せるか注目が集まる。 18年のアジア大会金メダリストの井上大仁(三菱重工)は、19、20年と苦しいシーズンを過ごしたが、昨年から調子を取り戻した。鈴木と同じびわ湖では2時間6分47秒をマーク。昨年11月には10000mで27分43秒17の自己新を出すと、調整として出場した1月の大阪ハーフマラソンでは1時間1分14秒でトップだった。灼熱のジャカルタで見せた勝負強さで海外勢に挑む。 20年の福岡国際マラソンで優勝した吉田祐也(GMOインターネットグループ)も注目の一人。これが3回目のマラソンとなるが、青学大4年時に出た別府大分で2時間8分30秒と鮮烈なマラソンデビューを飾ると、福岡は2時間7分05秒で制すなど、一度も“外していない”。昨年はトラックでややタイムが伸び悩んだが、調整がうまくいっていれば上位陣と互角に戦うだろう。 そのほか、土方英和(Honda/2時間6分26秒)、細谷恭平(黒崎播磨/2時間6分35秒)、高久龍(ヤクルト/2時間6分45秒)、小椋裕介(同/2時間6分51秒)と、2時間6分台ランナーも力がある。特に細谷は12月の福岡国際でも日本人トップの2位に入るなど安定感がある。 ペースメーカーの設定なども影響するが、日本勢がどこまでキプチョゲらに食い下がることができるのか注目したい。 女子のコスゲイは19年のシカゴマラソンで2時間14分04秒という衝撃的な世界記録を樹立した。強さも兼ね備え、19、20年とロンドンマラソンも連覇。昨年の東京五輪は銀メダルだった。 今年のアムステルダムマラソンで2時間17分57秒をマークした29歳のアンジェラ・タヌイ(ケニア)も力がある。 そういった海外勢に挑むのは、現役日本最速の一山麻緒(ワコール)と、10000m“最速”で13年ぶりマラソンとなる新谷仁美(積水化学)だ。 一山は東京五輪で8位入賞。20年にマークした2時間20分29秒は日本歴代4位で、現役日本最速タイムだ。東京マラソンには19年に出場し、2時間24分33秒の日本人大会最高記録で7位。五輪後は疲労の抜けない様子が続くレース結果だったが、史上4人目の2時間20分切りに向けてどんな展開でレースを進めるか。 10000mで30分20秒44、ハーフマラソンで1時間6分38秒と日本記録を持つ新谷。高校時代から天才ランナーとして名を馳せた新谷は、元々はマラソン志向で高卒2年目の2007年第1回東京マラソンで優勝している。 その後も2レースを経験したが撃沈し、トラックを主戦場として世界選手権入賞など活躍した。13年シーズンを最後に一度は引退したが18年に復帰。昨年は東京五輪10000mに出場したが、自ら遠ざけていたマラソンへの挑戦を決意した。新谷が常々「結果がすべて」と言うように、東京で狙うのはもちろん、野口みずきが持つ2時間19分12秒の日本記録更新だ。 東京マラソンはジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズのG1で、オレゴン世界選手権選考会と、24年パリ五輪選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC/23年秋開催)の出場権獲得対象レース(条件は以下の通り)。JMCシリーズの1期チャンピオンはオレゴン世界選手権代表に内定する。 国内外の“最速”が激突する東京決戦。3月6日、見逃し厳禁のレースは9時10分にスタートする。大会の様子は日本テレビ系で中継される。 ●男子 オレゴン世界選手権派遣設定記録 2時間7分53秒 MGC出場条件 ・日本人1~3位で2時間10分00秒以内 ・同4~6位で2時間09分00秒以内 ・順位に関係なく2時間08分00秒以内 ・「第1期」の2レースの平均で2時間10分00秒以内 ●女子 オレゴン世界選手権派遣設定記録 2時間23分18秒 MGC出場条件 ・日本人1~3位で2時間28分00秒以内 ・同4~6位で2時間27分00秒以内 ・順位に関係なく2時間24分00秒以内 ・「第1期」の2レースの平均で2時間28分00秒以内

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.07

メモリードが実業団陸上部の活動終了を発表 今後は個人アスリート支援へ

11月7日、実業団のメモリードは、27年3月をもって実業団陸上部としての活動を終了すると発表した。今後は「チーム単位での支援」から「個人アスリート支援」へと方針を転換し、陸上競技に限らず幅広いスポーツ分野の選手を対象に支 […]

NEWS 110mH学生世界一の阿部竜希がエターナルホスピタリティG内定!「勇往邁進の精神で」棒高跳・柄澤、短距離・木梨もアスナビ就職

2025.11.07

110mH学生世界一の阿部竜希がエターナルホスピタリティG内定!「勇往邁進の精神で」棒高跳・柄澤、短距離・木梨もアスナビ就職

公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が実施するアスリート支援ナビゲーション「アスナビ」を活用し、陸上3選手の就職・内定が決まった。 男子110mハードルで13秒12(学生歴代3位、日本歴代4位)を持つ阿部竜希(順 […]

NEWS 日本陸連・有森裕子会長に岡山市市民栄誉賞「本市の名を高めることに特に顕著な功績」五輪2大会メダル

2025.11.07

日本陸連・有森裕子会長に岡山市市民栄誉賞「本市の名を高めることに特に顕著な功績」五輪2大会メダル

岡山市は11月7日、女子マラソンで五輪2大会連続メダリストの日本陸連・有森裕子会長に、岡山市市民栄誉賞を授与し同日授与式が執り行われた。 有森会長は岡山県岡山市出身の58歳。女子マラソンにおいて、1992年バルセロナ五輪 […]

NEWS 神奈川県高校駅伝で誤誘導により4校記録無効 嘆願書提出の三浦学苑が関東大会に異例のオープン参加 高体連が認める

2025.11.07

神奈川県高校駅伝で誤誘導により4校記録無効 嘆願書提出の三浦学苑が関東大会に異例のオープン参加 高体連が認める

11月3日の神奈川県高校駅伝(横浜市のフィールド小机・日産スタジアム付設ハーフマラソンコース)で誤誘導による4校が記録無効となり、記録無効となった4校のうち三浦学苑について、高体連が関東高校駅伝(11月22日/埼玉・熊谷 […]

NEWS 仙台育英男女2連覇 地区代表は男子・八戸学院光星10年ぶり都大路、女子・東北2年連続全国切符/東北高校駅伝

2025.11.07

仙台育英男女2連覇 地区代表は男子・八戸学院光星10年ぶり都大路、女子・東北2年連続全国切符/東北高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた東北高校駅伝は11月6日、秋田県立中央公園陸上競技場で行われ、男女ともに仙台育英(宮城)が優勝を果たした。県大会1位校を除いた最上位校に与えられる全国大会の地区代表は、男子は八戸学院光星(青森 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top