2025.12.25
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。
「山上り一本にかける」
箱根駅伝予選会の出場を回避した山梨学大のキャプテン、弓削征慶(4年)が「山上り」に懸けている。
予選会の欠場は大会直前に腰に違和感が出たため。他の仲間も充実していたから自ら申し出て、出場を辞した。すぐに練習を再開しており、本戦は問題ない。
まさに山のスペシャリストだ。5区で2年時に区間11位で1時間12分59秒、3年時に区間8位で1時間12分03秒。この成績が、チームに希望を運んできた。
2年時は目標とした「1時間13分台」をクリアした点は良かったのだが、「レース内容が良くなかったんです」と言う。それでいて、この大会の山梨学大は5区終了時に「シードラインと48秒差」だった。「48秒差と聞いて、少しは貢献できたのかとホッとしました」と当時に語っている。
3年時は夏までが不調、しかし10月以降は完璧な準備ができて、「それが約1分短縮できた部分です」。序盤に3校を抜いた後にずっと独走。弓削自身はそこが「中だるみ」だったとして、「もったいなかった。71分台くらいで走れれば流れが変わっていました」と満足していない。
これまでは走力アップに焦点を当ててきたため、上り坂で具体的な5区対策をしたことはなかったと言う。しかし前年とは違い、「年間を通して良い練習ができている」ことを下地に、最後の舞台へ向けた「実践練習」に踏み込んだ。
大学の練習場の近くには、ふんだんに坂がある。11月、坂に特化した3km・3本のインターバル走などをやり始めた。
「走力が上がった分、上りの余裕度が変わってくると思います。70分台を1つの目標に、そこ(5区)一本にかけてやっています」
「山上り一本にかける」
箱根駅伝予選会の出場を回避した山梨学大のキャプテン、弓削征慶(4年)が「山上り」に懸けている。 予選会の欠場は大会直前に腰に違和感が出たため。他の仲間も充実していたから自ら申し出て、出場を辞した。すぐに練習を再開しており、本戦は問題ない。 まさに山のスペシャリストだ。5区で2年時に区間11位で1時間12分59秒、3年時に区間8位で1時間12分03秒。この成績が、チームに希望を運んできた。 2年時は目標とした「1時間13分台」をクリアした点は良かったのだが、「レース内容が良くなかったんです」と言う。それでいて、この大会の山梨学大は5区終了時に「シードラインと48秒差」だった。「48秒差と聞いて、少しは貢献できたのかとホッとしました」と当時に語っている。 3年時は夏までが不調、しかし10月以降は完璧な準備ができて、「それが約1分短縮できた部分です」。序盤に3校を抜いた後にずっと独走。弓削自身はそこが「中だるみ」だったとして、「もったいなかった。71分台くらいで走れれば流れが変わっていました」と満足していない。 これまでは走力アップに焦点を当ててきたため、上り坂で具体的な5区対策をしたことはなかったと言う。しかし前年とは違い、「年間を通して良い練習ができている」ことを下地に、最後の舞台へ向けた「実践練習」に踏み込んだ。 大学の練習場の近くには、ふんだんに坂がある。11月、坂に特化した3km・3本のインターバル走などをやり始めた。 「走力が上がった分、上りの余裕度が変わってくると思います。70分台を1つの目標に、そこ(5区)一本にかけてやっています」勝負手が豊富な今回
京都・洛南高時代はケガが多く、佐藤圭汰(現・駒大)ら全国トップクラスの同期たちの活躍の陰に隠れていた。大学1年時までケガが続いたが、身体作りを怠らなかったことが土台となって、2年時に花開く。入学後初の「表舞台」が激坂王決定戦で、2位になり注目された。 10000mの自己ベストが30分04秒02。この秋、記録会に1本でも出場すれば大きく塗り替えたに違いないが、目もくれずに山を目指す弓削だ。 山梨学大は大﨑悟史監督の就任2年目。予選会を2大会連続で3位通過した。一方で本戦は9大会シードから遠ざかっており、高い壁となっている。 大﨑監督はこれまでのトレーニングを一新。長いスパンでの「継続」を最重視し、力を振り絞って追い込む練習を減らしている。このやり方は即効性が低い。その点、大﨑流が2年目になり、持久力向上の効果がじわじわと表れてきている。 今季の夏合宿。練習メニューは昨季と同じ流れを踏襲したのだが、質、量ともに昨季を大きく上回ったと言う。選手の側からタイム設定を上げる要望が出るほどに充実していた。 前回より今回、今回より次回が楽しみなチームだが、今回は今回で勝負の手札が豊富。注目は往路だ。留学生を含めた前回までの好走経験者が残り、そこに予選会で日本人3位の阿部紘也が加わるのだ。 「たぶん、今までより良い位置で走れるのではないかと楽しみです」と弓削。今回の山梨学大は、互いの力を引き出し合う駅伝ができる。 [caption id="attachment_194111" align="alignnone" width="800"]
3度目の5区にかけている主将の弓削征慶[/caption]
文/奥村 崇 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.25
名古屋アジア大会の派遣設定記録クリアと日本選手権優勝で代表内定 参考競技会も決定
-
2025.12.25
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.21
早大が来春入部選手発表!高校駅伝1区激闘の増子陽太、新妻、本田がそろって加入!
2025.12.21
【大会結果】第76回全国高校駅伝・男子(2025年12月21日)
-
2025.12.21
-
2025.12.20
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.25
名古屋アジア大会の派遣設定記録クリアと日本選手権優勝で代表内定 参考競技会も決定
日本陸連は12月25日までに来年の名古屋アジア大会の派遣設定記録と、選考要項にかかる参考競技会について公開した。 来年9月19日から10月4日まで行われるアジア大会。日本開催は1994年の広島以来、32年ぶりとなる。陸上 […]
2025.12.25
箱根駅伝の出場チーム増が決定!記念大会も「改革」4年に一度の五輪イヤー、予選会は全国へ門戸拡大
関東学生陸上競技連盟(関東学連)は12月25日、箱根駅伝における「記念大会改革」と「出走チーム数増加」について発表した。 2028年の第104回大会から、これまで5年に1回だった記念大会を五輪イヤーの4回大会ごとに変更。 […]
2025.12.25
箱根駅伝Stories/前年より質・量ともに充実の山梨学大 主将の弓削征慶「今までより良い位置で走れる」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 「山上り一本にかける」 箱根駅伝予選会の出場を回避した山梨学大のキャ […]
2025.12.25
箱根駅伝Stories/主将としてチームを牽引する立教大・國安広人 競技人生ラストラン「ずっと悔しい思いを持ってきた」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 華々しい記憶と挫折を経験 2023年の第99回大会で、立教大の55年 […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
