HOME バックナンバー
Rising Star Athlete/クレイ・アーロン竜波 米国でさらなる進化を
Rising Star Athlete/クレイ・アーロン竜波 米国でさらなる進化を

【Rising Star Athlete】

クレイ・アーロン竜波(相洋AC)
米国でさらなる進化を
参加標準突破を目指し、TOKYOへ

米国留学を控え、その胸中を語ったクレイ

男子800mで日本選手権優勝、インターハイ2連覇、高校記録樹立など、3年間で輝かしい実績を打ち立てて、この春に神奈川・相洋高を卒業したクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。この秋からは米国・テキサスA&M大への進学が決まっており、日本中距離界の〝原石〟に注目は大きい。1年後の東京五輪に向け、米国でさらなる躍進を期す。

広告の下にコンテンツが続きます

◎文/小野哲史

テキサスA&M大学へ進学

今秋から米国・テキサスA&M大学に進学するクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。海外の大学に行きたいという思いは高2の頃からあったという。「陸上以外にも仕事でも何でもいいので、世界を回りたい、いろいろな文化を見てみたいと思っていました」。米国出身の父を持つというルーツも、〝海外〟をより身近に感じさせていたかもしれない。競技者としては、陸上大国への憧憬の念を深めていた。

「SNSなどでアメリカの試合を見ていると、ものすごくレベルが高かった。自分もああいうレベルが高いところで陸上をやってみたいと思いました」

広告の下にコンテンツが続きます

テキサスA&M大に決めたのは、「全米学生選手権などで800mの実績があり、4×400mリレーも強かった」からだ。昨年のドーハ世界選手権の金メダリスト、ドノヴァン・ブレイジャー(米国)は同校出身。在学中の2016年には当時の全米学生記録である1分43秒55をマークした。また、マイルリレーは昨年、2分59秒05の全米学生記録を打ち立てた。

練習環境や、「どの選手に対しても気遣ってくれる」というコーチ陣も申し分なかった。ただ、そうした点以上に、テキサスA&M大がクレイの目に魅力的に映ったのは、チームの雰囲気だった。ブレイジャーがドーハで金メダルを手にした同時期に渡米して大学を見学したが、「中距離チームが練習している時の、みんなでがんばって切磋琢磨しているところが一番いいなぁと。楽しそうにしつつも、真剣に取り組んでいる姿が印象に残りました」。

とはいえ、米国の大学への進学は簡単なものではない。英会話は問題ないが、GPAという内申点のような成績評価値や、SAT(大学進学適性試験)で一定基準を満たす必要がある。クレイは早い段階から準備し、そうした難関を一つずつクリアしていった。

高校の枠を飛び出し、世界へ

高校3年間を「とても充実していた」とクレイは振り返る。800mで全中2位の実績を引っ提げて、2017年春に神奈川・相洋高に入学した。インターハイでは1年生で2位に入ると、2、3年と2連覇。2年の秋には高校新記録(1分47秒51)を樹立した。またマイルリレーや駅伝でも活躍するマルチな才能を見せ、1年時には日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定された。

3年生だった昨季は、5月の世界リレー選手権で日本代表として、2×2×400mリレーの3位に貢献。翌月の日本選手権800mでは同種目史上初めて高校生で優勝を遂げた。タイムも日本歴代6位となる1分46秒59をマーク。自身の高校記録を1秒近く更新した。

昨年の日本選手権800mでは日本記録保持者の川元奨(スズキAC、右)に勝利し、1分46秒59のU20日本新を樹立した

高校アスリートとしては十分の実績。相洋高の銭谷満先生は、入学時から3年間の活躍は予兆できたとそうで、「高望みした練習プランを立てず、ちょっと抑えた内容にしていましたが、それでも試合になればしっかり走ってきました。また私が言わなくても、しっかり管理してきました」と評価する。

そして、目線は自然と世界へ向き、インターハイ後は高校の枠を飛び出し、ドーハ世界選手権を目指したクレイ。だが、牙城は厚かった。

※この続きは2020年7月14日発売の『月刊陸上競技8月号』をご覧ください。

※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する
定期購読はこちらから

【Rising Star Athlete】

クレイ・アーロン竜波(相洋AC) 米国でさらなる進化を 参加標準突破を目指し、TOKYOへ

米国留学を控え、その胸中を語ったクレイ 男子800mで日本選手権優勝、インターハイ2連覇、高校記録樹立など、3年間で輝かしい実績を打ち立てて、この春に神奈川・相洋高を卒業したクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。この秋からは米国・テキサスA&M大への進学が決まっており、日本中距離界の〝原石〟に注目は大きい。1年後の東京五輪に向け、米国でさらなる躍進を期す。 ◎文/小野哲史

テキサスA&M大学へ進学

今秋から米国・テキサスA&M大学に進学するクレイ・アーロン竜波(相洋AC)。海外の大学に行きたいという思いは高2の頃からあったという。「陸上以外にも仕事でも何でもいいので、世界を回りたい、いろいろな文化を見てみたいと思っていました」。米国出身の父を持つというルーツも、〝海外〟をより身近に感じさせていたかもしれない。競技者としては、陸上大国への憧憬の念を深めていた。 「SNSなどでアメリカの試合を見ていると、ものすごくレベルが高かった。自分もああいうレベルが高いところで陸上をやってみたいと思いました」 テキサスA&M大に決めたのは、「全米学生選手権などで800mの実績があり、4×400mリレーも強かった」からだ。昨年のドーハ世界選手権の金メダリスト、ドノヴァン・ブレイジャー(米国)は同校出身。在学中の2016年には当時の全米学生記録である1分43秒55をマークした。また、マイルリレーは昨年、2分59秒05の全米学生記録を打ち立てた。 練習環境や、「どの選手に対しても気遣ってくれる」というコーチ陣も申し分なかった。ただ、そうした点以上に、テキサスA&M大がクレイの目に魅力的に映ったのは、チームの雰囲気だった。ブレイジャーがドーハで金メダルを手にした同時期に渡米して大学を見学したが、「中距離チームが練習している時の、みんなでがんばって切磋琢磨しているところが一番いいなぁと。楽しそうにしつつも、真剣に取り組んでいる姿が印象に残りました」。 とはいえ、米国の大学への進学は簡単なものではない。英会話は問題ないが、GPAという内申点のような成績評価値や、SAT(大学進学適性試験)で一定基準を満たす必要がある。クレイは早い段階から準備し、そうした難関を一つずつクリアしていった。

高校の枠を飛び出し、世界へ

高校3年間を「とても充実していた」とクレイは振り返る。800mで全中2位の実績を引っ提げて、2017年春に神奈川・相洋高に入学した。インターハイでは1年生で2位に入ると、2、3年と2連覇。2年の秋には高校新記録(1分47秒51)を樹立した。またマイルリレーや駅伝でも活躍するマルチな才能を見せ、1年時には日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定された。 3年生だった昨季は、5月の世界リレー選手権で日本代表として、2×2×400mリレーの3位に貢献。翌月の日本選手権800mでは同種目史上初めて高校生で優勝を遂げた。タイムも日本歴代6位となる1分46秒59をマーク。自身の高校記録を1秒近く更新した。 昨年の日本選手権800mでは日本記録保持者の川元奨(スズキAC、右)に勝利し、1分46秒59のU20日本新を樹立した 高校アスリートとしては十分の実績。相洋高の銭谷満先生は、入学時から3年間の活躍は予兆できたとそうで、「高望みした練習プランを立てず、ちょっと抑えた内容にしていましたが、それでも試合になればしっかり走ってきました。また私が言わなくても、しっかり管理してきました」と評価する。 そして、目線は自然と世界へ向き、インターハイ後は高校の枠を飛び出し、ドーハ世界選手権を目指したクレイ。だが、牙城は厚かった。 ※この続きは2020年7月14日発売の『月刊陸上競技8月号』をご覧ください。
※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する 定期購読はこちらから

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.16

三浦龍司メダルまであと一歩の8位「悔しさ大きい」足首の痛み影響/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションに行われた男子3000m障害で、三浦龍司(SUBARU)が8分35秒90で2大会連続入賞となる8位に入った。 割れんばかりの […]

NEWS 400mH・小川大輝は50秒08で準決勝届かず 「世界の舞台で力出せない弱さが悔しい」/東京世界陸上

2025.09.16

400mH・小川大輝は50秒08で準決勝届かず 「世界の舞台で力出せない弱さが悔しい」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、男子400mハードル予選2組に出場した小川大輝(東洋大)は50秒08の6着で準決勝進出はならなかった。 同じ組には […]

NEWS 走幅跳・伊藤陸は7m68で全体27位 1、2回目ファウルで3回目に記録残す/東京世界陸上

2025.09.15

走幅跳・伊藤陸は7m68で全体27位 1、2回目ファウルで3回目に記録残す/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、男子走幅跳の予選A組に出場した伊藤陸(スズキ)は全体27位の7m68(+0.7)にとどまり、決勝進出とはならなかっ […]

NEWS 走幅跳・津波響樹は7m42で全体36位 2回目以降記録で記録を伸ばせず/東京世界陸上

2025.09.15

走幅跳・津波響樹は7m42で全体36位 2回目以降記録で記録を伸ばせず/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のイブニングセッションが行われ、男子走幅跳予選B組に出場した津波響樹(大塚製薬)は7m42(+0.1)のB組17位全体36位で決勝進出はならなかっ […]

NEWS 110mH野本周成が着順で堂々の予選突破「逃げろ、逃げろと自分に言い聞かせた」/東京世界陸上

2025.09.15

110mH野本周成が着順で堂々の予選突破「逃げろ、逃げろと自分に言い聞かせた」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上の3日目のイブニングセッションが行われ、男子110mハードル予選3組に出場した野本周成(愛媛競技力本部)は13秒29(-0.6)の4着で準決勝進出を決め […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top