2023.03.01
オリンピックや世界陸上に出場し、華々しい活躍をしてきた陸上界のレジェンドたち。誰もがあこがれたスターたちも、最初からスターだったわけではなく、初々しい中学生、高校生時代があったのです。
そんな陸上界のレジェンドたちに、自身の青春時代を語ってもらう企画「レジェンドのアオハル」がスタート。栄光だけでなく、挫折を経験し、悩みを乗り越えて頂点を極めた先人たちに、中高生のみなさんへのアドバイスもしていただきます。
第1回は男子400mで北京、ロンドン、リオの五輪3大会に出場し、日本選手権では11連覇を果たした金丸祐三さんに中高生時代を語っていただきました。
――中高の陸上部の雰囲気は?
中学の陸上部は、練習日と休みの日が決まっていて、朝練習もしっかりやるという部でした。顧問の竹口恵子先生がとても熱心で、専門的なことというよりは基本的なことを指導してくださいました。礼儀や礼節にも厳しい方で、みんなで毎日楽しくやっていましたが、私自身はやんちゃな部分もあったので、一番怒られていたと思います。
高校は朝練習もなく、それほど練習量が多くなかったので、そこまできついとは感じませんでした。ただ、先輩は速い人ばかりなので、常にチャレンジするという環境で、自分が食らいついていくという練習がとても楽しかったです。強豪校にありがちな厳しさはまったくなく、もちろん、最低限の敬語やあいさつはしっかりやっていましたが、陸上をやっていた中で高校3年間が1番楽しかったと言えるほど充実していました。
――当時はどんな目標を持っていた?
中学の頃は、大阪府で3位になった1つ上の先輩が全中に行けませんでした。その先輩とは力の差があり、全中は難しいと感じていましたが、逆にあこがれが増して絶対に全中に行きたいと思うようになりました。
高校では1年生の時に400mブロックで練習するようになり、走りのフォームを改善して急に伸びたので、当時、為末大さん(広島・広島皆実)が持っていた高校記録45秒94を塗り替えることが目標でした。インターハイはあまり意識していませんでした。
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高校2年のインターハイ400mで日本一に。当時、顧問から言われた「強くなったからと驕ってはいけない」という言葉が強く心に残っているという
次ページ 先輩、後輩との関係で悩んだことは?
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――中高の陸上部の雰囲気は?
中学の陸上部は、練習日と休みの日が決まっていて、朝練習もしっかりやるという部でした。顧問の竹口恵子先生がとても熱心で、専門的なことというよりは基本的なことを指導してくださいました。礼儀や礼節にも厳しい方で、みんなで毎日楽しくやっていましたが、私自身はやんちゃな部分もあったので、一番怒られていたと思います。 高校は朝練習もなく、それほど練習量が多くなかったので、そこまできついとは感じませんでした。ただ、先輩は速い人ばかりなので、常にチャレンジするという環境で、自分が食らいついていくという練習がとても楽しかったです。強豪校にありがちな厳しさはまったくなく、もちろん、最低限の敬語やあいさつはしっかりやっていましたが、陸上をやっていた中で高校3年間が1番楽しかったと言えるほど充実していました。 ――当時はどんな目標を持っていた? 中学の頃は、大阪府で3位になった1つ上の先輩が全中に行けませんでした。その先輩とは力の差があり、全中は難しいと感じていましたが、逆にあこがれが増して絶対に全中に行きたいと思うようになりました。 高校では1年生の時に400mブロックで練習するようになり、走りのフォームを改善して急に伸びたので、当時、為末大さん(広島・広島皆実)が持っていた高校記録45秒94を塗り替えることが目標でした。インターハイはあまり意識していませんでした。 [caption id="attachment_94313" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/0efb62624cb33d1e08ee8baa26165ab8.jpg)
――先輩、後輩との関係で悩んだことは?
まったくありません。特に高校時代の先輩とは仲が良くて、学校帰りに近くのたこ焼き屋さんに毎日のように通っていましたし、いまだに会って遊んだりするくらいです。陸上は個人競技ですが、自分1人では気づけないことも多いです。練習仲間は必ず自分にプラスアルファを与えてくれるので、すごく人に恵まれたなと感じています。 ――一番きつかった練習や、それをやったから強くなれたと思える練習は? 練習自体はあまり覚えていませんが、1本1本の練習に対して集中して取り組むことは意識していました。中学時代は全中に行くという目標があって、普通に練習していたのでは絶対に無理だろうなと考えていたので、たとえば精神統一してから走るといったやり方を中学2年の冬ぐらいから始めたと思います。集中してやることでいろいろな課題が見えてきますし、同じ練習でも練習効果が変わります。結果も出るようになったという点では、私にとってのターニングポイントで、その後の引退するまでその意識は持ち続けました。 [caption id="attachment_94314" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/18bff79e3ffc16dfa6c63948e850c0cf.jpg)
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――自身の中学高校生時代と今の中高生との違いはありますか?
かなりの違いを感じますね。今は私の時代のような厳しい指導者がしっかり教える“昭和的な”指導が少なくなって、中高生の自由度は増えているのかなと。ただ、その結果、強い選手になるために、自分からコミュニケーションを取って求めていかないといけないことも多くなっていると思います。 [caption id="attachment_94315" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/37acc2fd19b2060370feb1c7e2adfc9e.jpg)
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かねまる・ゆうぞう/1987年9月18日生まれ。大阪府出身。芝谷中→大阪高→法大→大塚製薬。中学から陸上を始め、中3で全中200mに出場するも予選落ちだった。高校進学後に400mで頭角を現し、2年のインターハイで優勝。秋には45秒89の日本高校記録を樹立した。翌年もインターハイを連覇したほか、45秒47と記録を短縮。高校生でヘルシンキ世界選手権4×400mリレーに出場している。以降はロングスプリントのエースとして活躍。日本選手権11連覇のほか、五輪3大会、世界選手権7大会に出場した。現在は大阪成蹊大監督を務めている。 |
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