2022.12.28
花の2区を務めるのはどっち!?
箱根の2区といえば、“花の2区”と呼ばれるほどエースが担うことの多い区間だ。青学大では2020年に岸本、21年に中村、そして前回は近藤と、同じ世代の選手が3人も務めてきた。
――ずばり、今回は誰が2区に入ると思いますか!?
岸本 今回は幸太郎の一択でしょ。やっぱり最後は田澤選手に勝つところを見たいし、彼を止められるとすれば幸太郎しかいないよ。
近藤 自分たちの世代は1年時の岸本の2区を見て、それを目指して成長してきた。僕はもう一度、岸本のあの走りを見たいなぁ……。
岸本 エース区間で勝負したい気持ちはあるけど、自分の現状を客観的に見た時に厳しい部分もあるかな。幸太郎が全日本であれだけの走りをして、次は田澤選手に勝ってくれると思うから、僕は復路あたりでどっしりと構えているよ。
近藤 正直、勝てる戦力はあると思っている。ここから上げていけるのがアオガクの強さだから。個人としては関わってきたすべての方々へ感謝の気持ちが伝わる熱い走りをしたい。最後は勝ちたいね。
岸本 箱根に向けて高まる緊張感に打ち勝ち、強くなっていくからこそ、本番で力を出せると思う。最後は「勝ち逃げ」して、笑って終わろうよ。
きしもと・ひろのり/2000年10月7日生まれ。新潟県燕市出身。172cm・53kg。新潟・分水中→三条高。5000m13分37秒96、10000m28分20秒29、ハーフ1時間3分49秒
こんどう・こうたろう/2001年1月30日生まれ。愛知県豊川市出身。175cm・66kg。愛知・代田中→豊川工高。5000m13分34秒88、10000m28分10秒50、ハーフ1時間3分42秒
構成/松永貴允
お互い4年目は故障に苦しむ
3年時の箱根では近藤がエース区間の2区(区間7位)、故障上がりだった岸本が7区区間賞で2年ぶり総合優勝に貢献した。 今季はこれまで故障とは無縁だった近藤が箱根後に故障して前期シーズンを全休し、代わって岸本が大活躍。秋になると近藤が復活し、代わりに岸本が脚を痛めて出遅れた。 ――今では青学大を背負って立つ2人ですが、大学入学までに接点はありましたか。 近藤 高校時代まではまったく接点ないよね? 岸本 当時の僕は陸上競技にまったく興味がなかったから(笑)。誰が一緒に走っているとか、誰が青学大に入るとか、全然知らなかったし、考えてもいなかった。 ――青学大に入ってからは岸本選手が1年目から三大駅伝にフル出場。箱根ではいきなり花の2区で先頭に立つ快走を見せました。 近藤 岸本のことをずっと目標にしてきましたし、今でも背中を追いかけています。 岸本 いや、何を言ってんの(笑)。僕は周りから認められるような努力をしていないし、真面目な人間ではないよ。幸太郎は1年目からコツコツと練習を続けてきて、それが今の強さにつながっている。僕は故障が多くて練習を継続する難しさを痛感しているので、それを体現している幸太郎はすごいよ。 近藤 そんなことないよ。やっぱり1年目から、この学年の中心はずっと岸本なんだから。だから、今季のトラックでの活躍は素直にうれしかったな。これまでトラックでなかなか走ることができなかったけど、かなり調子が良さそうだったね。逆に、僕が結果でチームを引っ張らないといけなかったんだけど、それができなかったふがいなさを感じていたよ。 岸本 幸太郎も、主将の宮坂(大器)も故障していたから、自分が盛り上げていかないといけないと思っていたんだ。関東インカレもチームの代表になって、(2部)10000mで日本人トップ(2位)も取れた。5000mでも13分40秒を切れて、駅伝シーズンが楽しみだなと感じていたトラックシーズンだった。でも、1次合宿の後半に脚がちょっと気になり始めて……。2次合宿1回目のポイント練習が終わってから痛みが出て、翌日からノーランニングだった。 近藤 それまで本当に状態が良かった分、もったいなかったね。自分自身は9月の日本インカレで久しぶりに良い走り(5000mで2連覇)ができた。自分が走れるようになってきたから「エース」と呼ばれる重圧や負担になる部分を分け合えればと思っていたんだけど……。 岸本 原因不明の痛みで、走れるようになっても痛みが出る繰り返し。ラストイヤーだからうまくごまかしながらやっていたけど、さすがに精神的につらかった時期もあった。 近藤 故障を乗り越えると、精神的な成長につながるし、僕は新しい自分に出会えたという自信になったよ。 岸本 やっぱり幸太郎の復活は大きい。大エースがいるのはチームにとっても頼もしいよ。 次のページ 良いライバル心を持ち続けて高め合ってきた良いライバル心を持ち続けて高め合ってきた
岸本、近藤のほか、今季の4年生は中村唯翔、中倉啓敦、横田俊吾など、実力者がそろい「青学大史上最強世代」との呼び声が高い。 ――「黄金世代」と呼ばれた学年も最後の箱根駅伝を迎えます。4年間を振り返ってください。 近藤 みんな努力家だよね。入学してから誰1人辞めなかった。(原晋)監督もよく言っているけど、この世代は最初から強かったわけではなく、努力でコツコツと成長してきた選手が多いよね。 岸本 みんな努力家だし、負けず嫌いだから。箱根では全員が走れるわけではないけど、最後まで自分の存在意義を出してくれるはず。それが箱根メンバーにも良い影響をもたらしてくれると思う。 [caption id="attachment_89887" align="alignnone" width="800"]
花の2区を務めるのはどっち!?
箱根の2区といえば、“花の2区”と呼ばれるほどエースが担うことの多い区間だ。青学大では2020年に岸本、21年に中村、そして前回は近藤と、同じ世代の選手が3人も務めてきた。 ――ずばり、今回は誰が2区に入ると思いますか!? 岸本 今回は幸太郎の一択でしょ。やっぱり最後は田澤選手に勝つところを見たいし、彼を止められるとすれば幸太郎しかいないよ。 近藤 自分たちの世代は1年時の岸本の2区を見て、それを目指して成長してきた。僕はもう一度、岸本のあの走りを見たいなぁ……。 岸本 エース区間で勝負したい気持ちはあるけど、自分の現状を客観的に見た時に厳しい部分もあるかな。幸太郎が全日本であれだけの走りをして、次は田澤選手に勝ってくれると思うから、僕は復路あたりでどっしりと構えているよ。 近藤 正直、勝てる戦力はあると思っている。ここから上げていけるのがアオガクの強さだから。個人としては関わってきたすべての方々へ感謝の気持ちが伝わる熱い走りをしたい。最後は勝ちたいね。 岸本 箱根に向けて高まる緊張感に打ち勝ち、強くなっていくからこそ、本番で力を出せると思う。最後は「勝ち逃げ」して、笑って終わろうよ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
-
2025.04.30
2025.04.29
100mH田中佑美が予選トップ通過も決勝棄権「故障ではない」昨年の結婚も明かす/織田記念
-
2025.04.28
-
2025.04.26
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.30
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」
テクノロジーとパフォーマンスの向上 典型的な例が2008年北京オリンピック水泳競技で25個の世界記録更新のうち23個が同じ水着(レーザーレーサー)を着用した選手によって樹立されたことは大きく注目された。 2009年の世界 […]
2025.04.30
【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦
山田大智選手のプロフィールをチェック! ◎やまだ・だいち/2007年4月23日生まれ。兵庫県加東市出身。滝野中(兵庫)→西脇工(兵庫)。小学生時代はサッカー少年。中学でもそのままサッカー部に所属した。陸上は高校からで、最 […]
2025.04.30
5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場
5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]
2025.04.30
26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得
世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)