HOME 駅伝、箱根駅伝

2022.10.16

早大の新指揮官・花田勝彦駅伝監督が箱根路へ「周りから心配されていましたが、あまり不安はなかった」/箱根駅伝予選会
早大の新指揮官・花田勝彦駅伝監督が箱根路へ「周りから心配されていましたが、あまり不安はなかった」/箱根駅伝予選会

早大・花田勝彦駅伝監督

◇第99回箱根駅伝予選会(10月15日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

来年正月の第99回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われ、3年ぶりに箱根駅伝予選会からの出発となった早大は4位で本大会への出場を決めた。

これまでは、どちらかといえば、スピード型のチーム。「夏場は彼らが苦手な走り込みをしっかりやれていた」と、今年6月に就任した花田勝彦駅伝監督が言うように、今夏は例年以上に走り込みスタミナ面を強化した。

その反動もあって9月24日の早大競技会では全体的に記録が振るわず、前評判は決して高いわけではなかった。しかし、妙高高原での3次合宿明けの記録会だったため、不振の理由は明確。「直近の試合が悪かったので、周りから心配されていましたが、それぞれ能力が高い選手たちなので、予選会に向けては良いかたちで仕上がっており、あまり不安はなかったです」と花田監督は言う。

主将の鈴木創士(4年)も「ここから疲労を抜いていけば大丈夫。下がるところまで下がったんで、あとは上がっていくだけ」とポジティブにその結果を受け止めていた。

実際に2週間前の大事な練習では状態が上向いているのを確認できたといい、本番には自信を持って臨んだ。

広告の下にコンテンツが続きます

レースは、調子が良かった井川龍人(4年)と山口智規(1年)がフリー。残りのメンバーは終盤の5kmに備えて、前半はペースを抑えめに走った。

想定外だったのは、予想以上にスローペースになったことだ。

「タイムではなく順位想定で指示を出していたので、遅いペースならば、ある程度前にいくことも大事だったなと思います。後半伸びなかった選手は、そのスローペースにはまってしまったし、スローな展開でキャプテンの鈴木も転倒してしまいました。私の反省点ですが、遅くなったときは、自分たちのペースで行くように話をしておけばよかった」

入りの5kmの暫定順位は、通過圏内ギリギリの10位だった。
それでも、そこからは盤石なレースを見せた。じわりじわり順位を上げると、17.4kmの折り返しでは、ついにトップに立った。

エースの井川は日本人先頭集団でレースを進め、17km過ぎに木村暁仁(専大)には離されたものの、富田峻平(明大)と競り合いながら日本人2番手の9位でフィニッシュした。

「上りが得意ではないので、公園内のコースは本当にきつかった。途中の通過順位が一番と言われたので、全日本もありますし、無理はせずに行こうと思いました」と井川は、3週間後を見据えつつも、きっちりエースとしての役割を果たした。

そして、後方では、佐藤航希(3年)、鈴木、伊藤大志(2年)が1時間3分台でしっかりとまとめた。18km過ぎに山口が過呼吸を起こし、立ち止まるアクシデントもあったものの、それでも貫禄の上位通過を果たした。

また、石塚陽士(2年)、間瀬田純平(1年)、菖蒲敦司(3年)は、本来はチーム内で上位にくる選手たちだが、8月末から9月頭に新型コロナウイルスに感染した影響で、まだまだ本調子ではなかった。特に菖蒲は、7月頭まで中距離に取り組んでおり、走り込みが不足していた。

「昨年度まで相楽豊前駅伝監督(現チーム戦略アドバイザー)がしっかりスピードを強化してきたなかで、今年はスタミナ強化を始めた1年目。2年、3年と重ねていけば、非常におもしろいチームになれるかなと思います」

花田監督が就任して初めて迎えたロードシーズン。初陣となった箱根予選会は、決して会心のレースというわけではなかったかもしれない。しかしながら、名門復活へ、希望を抱かせるレースになった。

文/和田悟志

◇第99回箱根駅伝予選会(10月15日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 来年正月の第99回箱根駅伝の出場権を懸けた箱根駅伝予選会が行われ、3年ぶりに箱根駅伝予選会からの出発となった早大は4位で本大会への出場を決めた。 これまでは、どちらかといえば、スピード型のチーム。「夏場は彼らが苦手な走り込みをしっかりやれていた」と、今年6月に就任した花田勝彦駅伝監督が言うように、今夏は例年以上に走り込みスタミナ面を強化した。 その反動もあって9月24日の早大競技会では全体的に記録が振るわず、前評判は決して高いわけではなかった。しかし、妙高高原での3次合宿明けの記録会だったため、不振の理由は明確。「直近の試合が悪かったので、周りから心配されていましたが、それぞれ能力が高い選手たちなので、予選会に向けては良いかたちで仕上がっており、あまり不安はなかったです」と花田監督は言う。 主将の鈴木創士(4年)も「ここから疲労を抜いていけば大丈夫。下がるところまで下がったんで、あとは上がっていくだけ」とポジティブにその結果を受け止めていた。 実際に2週間前の大事な練習では状態が上向いているのを確認できたといい、本番には自信を持って臨んだ。 レースは、調子が良かった井川龍人(4年)と山口智規(1年)がフリー。残りのメンバーは終盤の5kmに備えて、前半はペースを抑えめに走った。 想定外だったのは、予想以上にスローペースになったことだ。 「タイムではなく順位想定で指示を出していたので、遅いペースならば、ある程度前にいくことも大事だったなと思います。後半伸びなかった選手は、そのスローペースにはまってしまったし、スローな展開でキャプテンの鈴木も転倒してしまいました。私の反省点ですが、遅くなったときは、自分たちのペースで行くように話をしておけばよかった」 入りの5kmの暫定順位は、通過圏内ギリギリの10位だった。 それでも、そこからは盤石なレースを見せた。じわりじわり順位を上げると、17.4kmの折り返しでは、ついにトップに立った。 エースの井川は日本人先頭集団でレースを進め、17km過ぎに木村暁仁(専大)には離されたものの、富田峻平(明大)と競り合いながら日本人2番手の9位でフィニッシュした。 「上りが得意ではないので、公園内のコースは本当にきつかった。途中の通過順位が一番と言われたので、全日本もありますし、無理はせずに行こうと思いました」と井川は、3週間後を見据えつつも、きっちりエースとしての役割を果たした。 そして、後方では、佐藤航希(3年)、鈴木、伊藤大志(2年)が1時間3分台でしっかりとまとめた。18km過ぎに山口が過呼吸を起こし、立ち止まるアクシデントもあったものの、それでも貫禄の上位通過を果たした。 また、石塚陽士(2年)、間瀬田純平(1年)、菖蒲敦司(3年)は、本来はチーム内で上位にくる選手たちだが、8月末から9月頭に新型コロナウイルスに感染した影響で、まだまだ本調子ではなかった。特に菖蒲は、7月頭まで中距離に取り組んでおり、走り込みが不足していた。 「昨年度まで相楽豊前駅伝監督(現チーム戦略アドバイザー)がしっかりスピードを強化してきたなかで、今年はスタミナ強化を始めた1年目。2年、3年と重ねていけば、非常におもしろいチームになれるかなと思います」 花田監督が就任して初めて迎えたロードシーズン。初陣となった箱根予選会は、決して会心のレースというわけではなかったかもしれない。しかしながら、名門復活へ、希望を抱かせるレースになった。 文/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.13

ケガから復帰の駒大・佐藤圭汰「インパクトのある走りをしたい」青学大・太田に闘志燃やす 伊藤、山川との3年生トリオが充実

第101回箱根駅伝に出場する駒大がオンラインで記者会見を開き、藤田敦史監督、大八木弘明総監督、選手が登壇、報道陣の取材に応じた。 前回、3区区間2位の力走を見せたものの、青学大・太田蒼生(4年)との競り合いに敗れた佐藤圭 […]

NEWS 箱根駅伝V奪還狙う駒大 藤田敦史監督「100回大会の悔しさ晴らしたい」選手層に課題も手応えあり

2024.12.13

箱根駅伝V奪還狙う駒大 藤田敦史監督「100回大会の悔しさ晴らしたい」選手層に課題も手応えあり

第101回箱根駅伝に出場する駒大がオンラインで記者会見を開き、藤田敦史監督、大八木弘明総監督、選手が登壇、報道陣の取材に応じた。 藤田監督は「前回は出雲駅伝、全日本大学駅伝を制した状態で迎え、青山学院に負けて準優勝でした […]

NEWS 國學院大エースの平林清澄「どの区間でもエースとしての走りをする」最後の箱根駅伝「監督を大号泣させたい」

2024.12.13

國學院大エースの平林清澄「どの区間でもエースとしての走りをする」最後の箱根駅伝「監督を大号泣させたい」

第101回箱根駅伝に出場する國學院大が12月13日、東京の渋谷キャンパスで壮行会が開かれ、前田康弘監督と選手たちが登壇。壮行会後に主将の平林清澄(4年)が報道陣の合同取材に応じた。 2冠を獲得しているだけに、壮行会にはフ […]

NEWS 國學院大・前田康弘監督 箱根駅伝初制覇へ「復路で仕留めにいく」自身も駒大初Vの主将「平林にも…」

2024.12.13

國學院大・前田康弘監督 箱根駅伝初制覇へ「復路で仕留めにいく」自身も駒大初Vの主将「平林にも…」

第101回箱根駅伝に出場する國學院大が12月13日、東京の渋谷キャンパスで壮行会が開かれ、前田康弘監督と選手たちが登壇。壮行会後に前田監督が報道陣の合同取材に応じた。 前田監督は壮行会を振り返り、「すごい人数でビックリし […]

NEWS 箱根駅伝初V狙う國學院大が壮行会 前田康弘監督「チーム力、団結力がある」

2024.12.13

箱根駅伝初V狙う國學院大が壮行会 前田康弘監督「チーム力、団結力がある」

第101回箱根駅伝に出場する國學院大が12月13日、東京の渋谷キャンパスで壮行会が開かれ、前田康弘監督と選手たちが登壇した。 出雲駅伝、全日本大学駅伝を制した國學院大。多くのファン・学生が壮行会を見守り、その注目度の高さ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top