2022.07.26
FOCUS! 高校生INTERVIEW
後田 築 Ushiroda Kizuku
創成館3長崎
活躍中の注目高校アスリートをフォーカスして紹介! 今回は男子中距離の後田築選手(創成館3長崎)にインタビューしました。6月の日本選手権800mでは予選で高校歴代2位の1分47秒69をマークすると、決勝は6位入賞。8月1日に開幕するU20世界選手権(8月6日まで/コロンビア・カリ)の日本代表に選出され、初の世界舞台に立ちます。ハイパフォーマンスの要因を質問したところ、意外な返事が返ってきました。
1分47秒69にびっくり
――800m予選で高校歴代2位の1分47秒69をマークした日本選手権を振り返ってください。
後田 決勝に残れたらいいなと思っていたので、予選のタイムも、決勝の6位(1分49秒14)も全体的に良かったと思います。
――タイムは1分47秒台を出す手応えがあったのですか?
後田 日本選手権前は故障などで練習をあまり積めなくて、3週間前ぐらいからやっと練習をできた感じだったので、自信はありませんでした。でも、予選で思った以上にタイムが良くてびっくりしました。
――日本選手権が終わって、それほどまもなくインターハイ北九州大会。800mは27年ぶりに大会記録を更新する1分49秒16で2連覇を達成しました。
後田 北九州大会まで中3日しかなくて、正直、移動疲れもありました。初日の1500mで3位に終わって悔しかったのですが、その分、800mで取り返せたことには満足しています。
――800mのレース内容はいかがでしたか?
後田 いつもは集団の後方につくレースが多いのですが、勝つことを前提に大会新記録も視野に入れていたので、自分から引っ張ろうと思い、1周目は53秒後半ぐらいのハイペースで走りました。
――日本選手権で良い走りをして、同じ高校生には負けられないという思いがありましたか?
後田 はい。日本選手権の結果が自信につながっていました。
――U20世界選手権の日本代表に選出されました。
後田 今年はU20世界選手権出場が最大の目標でした。ただ、そのために特別なことに取り組んだわけではなく、日本選手権にピークを合わせるつもりでやってきました。
――昨年のインターハイは800mと1500mにエントリーしながら、右足に違和感が出て1500m(7位)だけの出場でした。最後のインターハイに出場したかったのでは?
後田 インターハイで勝って一番強いことを証明したかったので、それができなくて残念な部分もあります。でも、もう気持ちを切り替えています。
――先日、オレゴン世界選手権が終りました。見て感じたことは?
後田 自分とは全然違う世界ですけど、いつかああいう舞台に立ちたいなと思いながら見ています。
――日本選手権前に故障したというお話でしたが、今季に向けた練習の状況を教えてもらえますか?
後田 冬季に両脚のシンスプリントで、春はアキレス腱も痛めました。アキレス腱は治ったらまた痛めてしまい、本格的に練習をできるようになったのが5月中頃からです。その間はバイクなどできることをやって、6月上旬の県大会は2週間も練習できないまま臨んだ感じです。
――U20世界選手権での目標を教えてください。
後田 日の丸をつけるのが初めてなので、少し不安もありますが、自己ベストに近いタイムを目指して、日本代表としてふさわしい走りをしたいです。
父が走れなかった箱根駅伝を目指す
――今年の秋以降の目標は?
後田 U20世界選手権が終わったら長い距離に移行して、5000mをメインにするつもりです。チームでは都大路(全国高校駅伝)出場を目標にがんばりたいです。
――5000mのタイムの目安は?
後田 今の自己ベストが2年前の14分24秒34なので、13分40秒台は出したいです。
――高校の進学先に創成館を選んだ理由は?
後田 3つ上の学年に溝口仁さん(現・東海大)など、強い選手が何人かいて憧れていたことと、梅津先生に指導していただきたいと思って創成館に決めました。
――普段はどんな練習をしているか教えてください。
後田 中距離のための練習はそれほどしていません。12000mのような長めの距離を取り入れたメニューが多いですし、僕自身は長い距離は苦ではないです。
――800mや1500mで実績がありますが、将来的にはどのように考えていますか?
後田 今は中距離メインになっていますが、今後は長距離をやっていきたいと考えています。
――顧問の梅津富浩先生は1996年日本選手権男子1500mの覇者で、日大で箱根駅伝に4回出場しています。
後田 僕も中学生の頃から、短い距離も長い距離もすべて走れる選手になりたいと思っていました。
――勉強に関して得意な教科や苦手な教科は?
後田 得意というほどではありませんが、科学や数学が好きで、国語や英語が苦手です。
――休日の過ごし方を教えてください。
後田 自分の家が学校から近いので、寮生活をしている部員と温泉に行ったり、野球をしたり、家でゆっくりしていることが多いです。
――趣味は?
後田 ソフトボールをやっていたので野球が大好きです。ソフトバンクホークスのファンで、プロ野球中継はしょっちゅう見ています。
――高校卒業後の目標や競技者としての最終的な夢を教えてください。
後田 大学に入って、世界大会で日本代表に選ばれるような選手になることと、父が目指して走れなかった箱根駅伝に、チームの主軸として出ることが目標です。大学の先は全然決めていませんが、できれば実業団で陸上を続けていきたいと思っています。
――競技以外で将来の夢はありますか?
後田 どういう仕事に就くかなどは全然考えていませんが、親孝行ができればいいかなと思っています。
◎うしろだ・きずく/2004年12月14日生まれ。長崎・西諫早中→創成館高。小学生時代はソフトボールに取り組み、中学では陸上も含めて両方の試合に出ていたという。中3の全中800mで5位に入ると、高1の全国高校大会800mでは当時の高1歴代2位の1分51秒51で4位入賞を果たした。昨年のU20日本選手権800mでは、高2歴代2位の1分48秒87をマークして優勝。福井インターハイは1500mに出場して7位だった。自己ベストは800m1分47秒69(22年)、1500m3分47秒14(21年)、5000m14分24秒34(20年)
構成/小野哲史
1分47秒69にびっくり
――800m予選で高校歴代2位の1分47秒69をマークした日本選手権を振り返ってください。 後田 決勝に残れたらいいなと思っていたので、予選のタイムも、決勝の6位(1分49秒14)も全体的に良かったと思います。 ――タイムは1分47秒台を出す手応えがあったのですか? 後田 日本選手権前は故障などで練習をあまり積めなくて、3週間前ぐらいからやっと練習をできた感じだったので、自信はありませんでした。でも、予選で思った以上にタイムが良くてびっくりしました。 ――日本選手権が終わって、それほどまもなくインターハイ北九州大会。800mは27年ぶりに大会記録を更新する1分49秒16で2連覇を達成しました。 後田 北九州大会まで中3日しかなくて、正直、移動疲れもありました。初日の1500mで3位に終わって悔しかったのですが、その分、800mで取り返せたことには満足しています。 ――800mのレース内容はいかがでしたか? 後田 いつもは集団の後方につくレースが多いのですが、勝つことを前提に大会新記録も視野に入れていたので、自分から引っ張ろうと思い、1周目は53秒後半ぐらいのハイペースで走りました。 ――日本選手権で良い走りをして、同じ高校生には負けられないという思いがありましたか? 後田 はい。日本選手権の結果が自信につながっていました。 ――U20世界選手権の日本代表に選出されました。 後田 今年はU20世界選手権出場が最大の目標でした。ただ、そのために特別なことに取り組んだわけではなく、日本選手権にピークを合わせるつもりでやってきました。 ――昨年のインターハイは800mと1500mにエントリーしながら、右足に違和感が出て1500m(7位)だけの出場でした。最後のインターハイに出場したかったのでは? 後田 インターハイで勝って一番強いことを証明したかったので、それができなくて残念な部分もあります。でも、もう気持ちを切り替えています。 ――先日、オレゴン世界選手権が終りました。見て感じたことは? 後田 自分とは全然違う世界ですけど、いつかああいう舞台に立ちたいなと思いながら見ています。 ――日本選手権前に故障したというお話でしたが、今季に向けた練習の状況を教えてもらえますか? 後田 冬季に両脚のシンスプリントで、春はアキレス腱も痛めました。アキレス腱は治ったらまた痛めてしまい、本格的に練習をできるようになったのが5月中頃からです。その間はバイクなどできることをやって、6月上旬の県大会は2週間も練習できないまま臨んだ感じです。 ――U20世界選手権での目標を教えてください。 後田 日の丸をつけるのが初めてなので、少し不安もありますが、自己ベストに近いタイムを目指して、日本代表としてふさわしい走りをしたいです。父が走れなかった箱根駅伝を目指す
――今年の秋以降の目標は? 後田 U20世界選手権が終わったら長い距離に移行して、5000mをメインにするつもりです。チームでは都大路(全国高校駅伝)出場を目標にがんばりたいです。 ――5000mのタイムの目安は? 後田 今の自己ベストが2年前の14分24秒34なので、13分40秒台は出したいです。 ――高校の進学先に創成館を選んだ理由は? 後田 3つ上の学年に溝口仁さん(現・東海大)など、強い選手が何人かいて憧れていたことと、梅津先生に指導していただきたいと思って創成館に決めました。 ――普段はどんな練習をしているか教えてください。 後田 中距離のための練習はそれほどしていません。12000mのような長めの距離を取り入れたメニューが多いですし、僕自身は長い距離は苦ではないです。 ――800mや1500mで実績がありますが、将来的にはどのように考えていますか? 後田 今は中距離メインになっていますが、今後は長距離をやっていきたいと考えています。 ――顧問の梅津富浩先生は1996年日本選手権男子1500mの覇者で、日大で箱根駅伝に4回出場しています。 後田 僕も中学生の頃から、短い距離も長い距離もすべて走れる選手になりたいと思っていました。 ――勉強に関して得意な教科や苦手な教科は? 後田 得意というほどではありませんが、科学や数学が好きで、国語や英語が苦手です。 ――休日の過ごし方を教えてください。 後田 自分の家が学校から近いので、寮生活をしている部員と温泉に行ったり、野球をしたり、家でゆっくりしていることが多いです。 ――趣味は? 後田 ソフトボールをやっていたので野球が大好きです。ソフトバンクホークスのファンで、プロ野球中継はしょっちゅう見ています。 ――高校卒業後の目標や競技者としての最終的な夢を教えてください。 後田 大学に入って、世界大会で日本代表に選ばれるような選手になることと、父が目指して走れなかった箱根駅伝に、チームの主軸として出ることが目標です。大学の先は全然決めていませんが、できれば実業団で陸上を続けていきたいと思っています。 ――競技以外で将来の夢はありますか? 後田 どういう仕事に就くかなどは全然考えていませんが、親孝行ができればいいかなと思っています。 ◎うしろだ・きずく/2004年12月14日生まれ。長崎・西諫早中→創成館高。小学生時代はソフトボールに取り組み、中学では陸上も含めて両方の試合に出ていたという。中3の全中800mで5位に入ると、高1の全国高校大会800mでは当時の高1歴代2位の1分51秒51で4位入賞を果たした。昨年のU20日本選手権800mでは、高2歴代2位の1分48秒87をマークして優勝。福井インターハイは1500mに出場して7位だった。自己ベストは800m1分47秒69(22年)、1500m3分47秒14(21年)、5000m14分24秒34(20年) 構成/小野哲史RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.04.23
-
2024.04.23
-
2024.04.23
2024.04.18
U20アジア選手権・女子100mの山形愛羽、女子400mHの瀧野未来が出場辞退
-
2024.04.20
-
2024.04.18
-
2024.04.20
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.03.28
-
2024.04.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.04.24
木南記念・男子100mに坂井隆一郎、女子走幅跳に秦澄美鈴! 女子100mHは寺田明日香と田中佑美が出場
大阪陸協は4月24日、5月12日に開催される第11回木南記念(ヤンマースタジアム長居・ヤンマーフィールド長居)の主な出場選手4人を発表した。 男子100mで昨年の日本選手権で優勝を飾り、ブダペスト世界選手権に出場した坂井 […]
2024.04.24
セイコーGGP男子5000mに日本歴代8位の伊藤達彦、太田智樹、吉居兄弟、鈴木芽吹ら追加出場
日本陸連は4月24日、セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(5月19日/東京・国立競技場)の男子5000mの追加出場選手15人を発表した。 2021年東京五輪、22年オレゴン世界選手権男子10000m代表で、昨年 […]
2024.04.24
新潟アルビレックスRC サトウ食品とクラブネーミングライツパートナー契約「日本の陸上界にとって新たな1ページ」
新潟アルビレックスランニングクラブは4月24日、地元(新潟市)に本社を置くサトウ食品とクラブ初のネーミングライツパートナー契約を締結したことを発表した。契約は3年としている。 同市内で行われた記者会見にはサトウ食品の佐藤 […]
2024.04.24
世界リレーのエントリーリスト発表 米国男子4×100mRにN.ライルズ! ジャマイカ女子4×100mRは若手中心
バハマ・ナッソーで開催される世界リレー大会(5月4、5日)のエントリーリストが4月23日に発表された。 4×100mリレーは男子32チーム、女子30チームがエントリー。4×400mリレーは男子32チーム、女子27チーム、 […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!