2022.07.21
◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)6日目
オレゴン世界陸上6日目のイブニングセッションを締めくくる女子3000m障害決勝は、上位3人が従来の大会記録(8分57秒84)を上回るという高速バトルが展開された。制したのは今年1月末にケニアからの国籍変更が認めらえたノラ・ジェルト(カザフスタン)。4人の優勝争いから最終周の水壕を跳び越えて一気に抜け出し、旧姓タヌイだった昨年8月に出した世界歴代3位の自己ベスト(8分53秒65)を更新する8分53秒02で、新たな母国に同種目初の金メダルをもたらした。
序盤からケニア、エチオピア勢と、アフリカ出身選手たちがハイペースでレースを進め、1000mを2分57秒で通過。2000mが5分58秒とややペースを落としたが、そこからの金メダル争いで一気にスピードアップした。ジェルトに続いてエチオピア勢が2位、3位を占め、ウェルクハ・ゲタチェウが自国新・世界歴代4位の8分54秒61、メキデス・アベベが歴代5位の8分56秒08をマーク。4位にはケニアから国籍変更したウィンフレド・ムチレ・ヤヴィ(バーレーン) が9分01秒31で入った。
ジェルトは1995年10月生まれの26歳。2011年のU18世界選手権(2000m障害)に16歳で優勝しているが、その後は激戦の国内レースをなかなか勝ち抜くことができず、国際舞台に立てていない。欧米のレースに出られるようになったのは2017年頃からで、ダイヤモンドリーグ(DL)で何度も優勝を重ねるなど活躍の場を広げた。
ただ、ケニア代表として世界大会への出場はなかなかできなかった。昨年からカザフスタンへの国籍変更を進めていたが、認められずに東京五輪にも出場できていない。今回が世界大会初出場で、いきなり頂点に立ったということだ。
他の中長距離種目と同様に高速化が進む女子3000m障害は、レースごとに勝者が変わる群雄割拠の時代が続いている。その中で、ジェルトが一歩抜け出す存在となりそうだ。
■女子3000mSC上位成績
1位 ノラ・ジェルト(カザフスタン) 8分53秒02=大会新
2位 ウェルクハ・ゲタチェウ(エチオピア) 8分54秒61
3位 メキデス・アベベ(エチオピア) 8分56秒08
4位 ウィンフレド・ムチレ・ヤヴィ(バーレーン)9分01秒31
5位 リザ・ゲガ(アルバニア) 9分10秒04
6位 コートニー・フレリックス(米国) 9分10秒59
7位 アイミー・プラット(英国) 9分15秒64
8位 エマ・コバーン(米国) 9分16秒49
■女子3000mSC世界歴代10傑【2022. 7.20時点】
8.44.32 B.チェプコエチ(ケニア) 2018. 7.20
8.52.78 R.ジェベト(バーレーン)D 2016. 8.27
8.53.02 N.ジェルト(カザフスタン) 2022. 7.20★
8.54.61 W.ゲタチェウ(エチオピア) 2022. 7.20★
8.56.03 M.アベベ(エチオピア) 2022. 7.20★
8.56.55 W.ヤヴィ(バーレーン) 2022. 6.18
8.57.77 C.フレリックス(米国) 2021. 8.21
8.58.78 C.チェスポル(ケニア) 2017. 5.26
8.58.81 G.サミトワ・ガルキナ(ロシア) 2008. 8.17
9.00.01 H.ジェプケモイ(ケニア) 2016. 5.28
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.03.28
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.27
-
2024.03.28
-
2024.03.23
-
2024.03.22
-
2024.03.10
-
2024.03.18
-
2024.03.03
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.03.28
世界パラ選手権の代表66人発表! 車いすの佐藤友祈や前回400mVの福永凌太、女子走幅跳・髙桑早生らが選出 5月に神戸で開催
3月28日、日本パラ陸上競技連盟は第11回世界パラ選手権(5月17日~25日/兵庫・神戸)の日本代表選手を発表した。 代表に選ばれたのは男女66人。車いすクラスの400m、1500mで東京パラリンピック2冠に輝いた佐藤友 […]
2024.03.28
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」 桜の開花予報が伝えられるこの季節は、年度 […]
2024.03.28
東京2025世界陸上財団が日本陸連、東京都、TBSと連携・協力に関する協定を締結!大会の成功と満員のスタジアム目指して マラソンは東京マラソン財団と協定結ぶ
2025年東京世界陸上の大会運営を主管する一般財団法人東京2025世界陸上財団は3月28日、理事会を開催し、大会の成功を目指して日本陸連、東京都、世界陸連メディアパートナーであるTBSとの間で相互に連携・協力体制を構築す […]
2024.03.28
東農大エースの並木寧音がSUBARUへ「攻めのスタイルを生かしたレースをしたい」
SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 東農大で今年の箱根駅伝2区を務め、区間7位と力走した並木寧音は、真新しいジャージを着用し「重みを感じます」と気を引き締める。 広告の […]
2024.03.28
山の妖精がSUBARUで世界へ!山本唯翔が意気込み「ロス五輪でマラソン代表に」
SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 城西大で箱根駅伝の5区を2年連続区間賞・区間新記録を打ち立てて今年は金栗四三杯を受賞した“山の妖精”こと山本唯翔。2月末に入寮し「1 […]
Latest Issue 最新号
2024年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 記録年鑑2023
パリ五輪マラソン代表決定