HOME 国内、大学

2022.05.20

順大・伊豫田達弥「結果は100点」1部1万m制す 2部は青学大の岸本大紀が日本人トップ/関東IC
順大・伊豫田達弥「結果は100点」1部1万m制す 2部は青学大の岸本大紀が日本人トップ/関東IC

◇第101回関東インカレ(5月19日〜22日/東京・国立競技場)1日目

関東インカレの初日。学生長距離界を引っ張るランナーたちが母校の誇りを背負って男子10000mに出場した。

広告の下にコンテンツが続きます

入りの400mが72秒とスローペースで始まった男子1部は、ラスト1周でレースが大きく動く。鐘が鳴ってスパートを仕掛けたのは、順大の伊豫田達弥(4年)。児玉悠輔(東洋大4年)も反応するが、伊豫田は帽子を投げ捨てると、もう一段ペースアップし、後続を一気に突き放した。

「4月からは三浦(龍司、3年)と一緒にスピード練習をやっていて、三浦には敵わないなりにしっかりつかせてもらっています」と、磨いてきたスパート力を発揮し優勝を勝ち取った。記録は28分42秒85にとどまり、「記録を出せなかったのは50点」と厳しい採点だったが、「大学で勝ち切るレースができていなかったので、結果の方は100点」と優勝という結果は素直に喜んだ。

レースは、3000mまでは小澤大輝(明大4年)が引っ張り、そこからはピーター・カマウ(国士大)が集団を抜け出し一人旅を展開した。その中で伊豫田は、常に集団の2番手付近をキープし、勝負どころが来るまで力を温存していた。そして、「ずっと力を溜めて、最後爆発させることができたので良かったです」と、ラスト1周で一気に力を放出した。

昨年の関東インカレ100回大会の学校対抗では圧勝で総合優勝を飾った順大だったが、連覇が懸かった今回、初日は思うように得点を稼げずにいた。110mハードルは村竹ラシッド(3年)が欠場し、400mは出場した3人全員が予選敗退。100mはからくも1人が準決勝に駒を進めたものの、総合連覇には早くも黄信号が点っていた。そんな状況で、初日のトラック最終決勝種目の10000mで伊豫田が奮闘を見せた。

「スローペースになった時に、前にでなかったのも対校戦を意識したところがあったから。まだまだ厳しいですけど、長距離がしっかり走ることができたら、2日目以降、総合優勝に近づけるかなと思った」

カマウが飛び出した際に付いていかなかったのも、集団を引っ張ることがなかったのも、チーム事情を考慮してのことだった。しかしながら、結果的にはそれが功を奏したと言える。

「今季、チームは箱根駅伝総合優勝を目標に掲げています。結果を出すことでチームを引っ張るのが僕の役割だと思うので、まず結果を出せたことで、箱根優勝に1ミリでも近付いたかなと思います」

箱根駅伝では総合2位に入った順大。東京五輪男子3000m障害7位入賞の三浦の話題が先行するが、最上級生として伊豫田もまた存在感を示した。

2位には、今回日本人で唯一27分台を持つ井川龍人(早大4年)が入った。昨年長距離種目で入賞者ゼロだった東洋大は、3位に児玉悠輔 (4年)、6位に松山和希(3年)、7位に佐藤真優(3年)とトリプル入賞。明大も、4位に児玉真輝 (3年)、5位に富田峻平 (4年)とダブル入賞だった。

1部に先立って行われた男子2部10000mも混戦になった。

レースは、ノア・キプリモ(日本薬大4年)と平林清澄(國學院大2年)が代わる代わる先頭を引っ張りながら、岸本大紀(青山学院大4年)、篠原倖太朗(駒澤大2年)、カマウ・パトリック(上武大1年)を従えて終盤を迎えた。9000mでまず篠原が後退すると、ラスト1周はキプリモ、岸本、カマウの3人の争いに。最後は、キモリモが岸本との接戦を制し、28分28秒58でタイトルを手にした。

日本人トップの2位には岸本が入った。2年、3年とケガに苦しだ岸本にとって、今回は1年時(5000mに出場)以来の関東インカレとなった。

「最終盤でしっかり勝負しようと思っていた。自分自身、陸上人生のなかで、トラックレースであんまりいい結果を出せていないので、今回しっかり上位でゴールして結果を残そうと思って走った」

これまではロードで強さを見せてきたが、トラックでもしっかりと結果を残してみせた。3位にカマウと続き、4位には後方集団から浮上した大川歩夢 (東京経済大4年)が入った。5位以降は、中西大翔(國學院大4年)、平林、丹所健(東京国際大)、篠原と続いた。

■1部男子10000m上位成績
伊豫田達弥 (順大) 28.42.85
井川龍人 (早大)  28.44.82
児玉悠輔 (東洋大) 28.45.74
児玉真輝 (明大)  28.47.06
富田峻平 (明大)  28.47.71
松山和希 (東洋大) 28.47.86
佐藤真優 (東洋大) 28.49.54
阿部陽樹 (中大)  28.50.23

■2部男子10000m上位成績
ノア・キプリモ(日本薬科大) 28.28.58
岸本大紀(青学大)      28.28.94
カマウ・パトリック(上武大) 28.31.41
大川歩夢(東経大)      28.35.51
中西大翔(國學院大)     28.35.87
平林清澄(國學院大)     28.36.32
丹所 健(東京国際大)    28.36.72
篠原倖太朗(駒大)      28.41.13
小野隆一朗(帝京大)     29.05.01
新田  颯(育英大)     29.10.17

文/和田悟志

◇第101回関東インカレ(5月19日〜22日/東京・国立競技場)1日目 関東インカレの初日。学生長距離界を引っ張るランナーたちが母校の誇りを背負って男子10000mに出場した。 入りの400mが72秒とスローペースで始まった男子1部は、ラスト1周でレースが大きく動く。鐘が鳴ってスパートを仕掛けたのは、順大の伊豫田達弥(4年)。児玉悠輔(東洋大4年)も反応するが、伊豫田は帽子を投げ捨てると、もう一段ペースアップし、後続を一気に突き放した。 「4月からは三浦(龍司、3年)と一緒にスピード練習をやっていて、三浦には敵わないなりにしっかりつかせてもらっています」と、磨いてきたスパート力を発揮し優勝を勝ち取った。記録は28分42秒85にとどまり、「記録を出せなかったのは50点」と厳しい採点だったが、「大学で勝ち切るレースができていなかったので、結果の方は100点」と優勝という結果は素直に喜んだ。 レースは、3000mまでは小澤大輝(明大4年)が引っ張り、そこからはピーター・カマウ(国士大)が集団を抜け出し一人旅を展開した。その中で伊豫田は、常に集団の2番手付近をキープし、勝負どころが来るまで力を温存していた。そして、「ずっと力を溜めて、最後爆発させることができたので良かったです」と、ラスト1周で一気に力を放出した。 昨年の関東インカレ100回大会の学校対抗では圧勝で総合優勝を飾った順大だったが、連覇が懸かった今回、初日は思うように得点を稼げずにいた。110mハードルは村竹ラシッド(3年)が欠場し、400mは出場した3人全員が予選敗退。100mはからくも1人が準決勝に駒を進めたものの、総合連覇には早くも黄信号が点っていた。そんな状況で、初日のトラック最終決勝種目の10000mで伊豫田が奮闘を見せた。 「スローペースになった時に、前にでなかったのも対校戦を意識したところがあったから。まだまだ厳しいですけど、長距離がしっかり走ることができたら、2日目以降、総合優勝に近づけるかなと思った」 カマウが飛び出した際に付いていかなかったのも、集団を引っ張ることがなかったのも、チーム事情を考慮してのことだった。しかしながら、結果的にはそれが功を奏したと言える。 「今季、チームは箱根駅伝総合優勝を目標に掲げています。結果を出すことでチームを引っ張るのが僕の役割だと思うので、まず結果を出せたことで、箱根優勝に1ミリでも近付いたかなと思います」 箱根駅伝では総合2位に入った順大。東京五輪男子3000m障害7位入賞の三浦の話題が先行するが、最上級生として伊豫田もまた存在感を示した。 2位には、今回日本人で唯一27分台を持つ井川龍人(早大4年)が入った。昨年長距離種目で入賞者ゼロだった東洋大は、3位に児玉悠輔 (4年)、6位に松山和希(3年)、7位に佐藤真優(3年)とトリプル入賞。明大も、4位に児玉真輝 (3年)、5位に富田峻平 (4年)とダブル入賞だった。 1部に先立って行われた男子2部10000mも混戦になった。 レースは、ノア・キプリモ(日本薬大4年)と平林清澄(國學院大2年)が代わる代わる先頭を引っ張りながら、岸本大紀(青山学院大4年)、篠原倖太朗(駒澤大2年)、カマウ・パトリック(上武大1年)を従えて終盤を迎えた。9000mでまず篠原が後退すると、ラスト1周はキプリモ、岸本、カマウの3人の争いに。最後は、キモリモが岸本との接戦を制し、28分28秒58でタイトルを手にした。 日本人トップの2位には岸本が入った。2年、3年とケガに苦しだ岸本にとって、今回は1年時(5000mに出場)以来の関東インカレとなった。 「最終盤でしっかり勝負しようと思っていた。自分自身、陸上人生のなかで、トラックレースであんまりいい結果を出せていないので、今回しっかり上位でゴールして結果を残そうと思って走った」 これまではロードで強さを見せてきたが、トラックでもしっかりと結果を残してみせた。3位にカマウと続き、4位には後方集団から浮上した大川歩夢 (東京経済大4年)が入った。5位以降は、中西大翔(國學院大4年)、平林、丹所健(東京国際大)、篠原と続いた。 ■1部男子10000m上位成績 伊豫田達弥 (順大) 28.42.85 井川龍人 (早大)  28.44.82 児玉悠輔 (東洋大) 28.45.74 児玉真輝 (明大)  28.47.06 富田峻平 (明大)  28.47.71 松山和希 (東洋大) 28.47.86 佐藤真優 (東洋大) 28.49.54 阿部陽樹 (中大)  28.50.23 ■2部男子10000m上位成績 ノア・キプリモ(日本薬科大) 28.28.58 岸本大紀(青学大)      28.28.94 カマウ・パトリック(上武大) 28.31.41 大川歩夢(東経大)      28.35.51 中西大翔(國學院大)     28.35.87 平林清澄(國學院大)     28.36.32 丹所 健(東京国際大)    28.36.72 篠原倖太朗(駒大)      28.41.13 小野隆一朗(帝京大)     29.05.01 新田  颯(育英大)     29.10.17 文/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.18

駒大4年生4本柱は主要区間を熱望! 主将・山川拓馬「エース区間に挑みたい」 佐藤圭汰「しっかり走って恩返しを」

第102回箱根駅伝で3年ぶりの総合優勝を狙う駒大が12月18日、オンラインで合同会見を行い、エントリー選手が出席した。 今季の駒大は4年生の4人が強力。それぞれ希望区間を問われると、主将の山川拓馬は2区と5区、伊藤蒼唯は […]

NEWS 箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

2025.12.18

箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

前回優勝メンバーから6人が卒業 前回、10時間41分19秒の大会新記録で連覇を飾ったメンバーから6人が卒業。それも4区で歴代2位の好タイムをマークした太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)に5、6区連続区間新で、「 […]

NEWS 横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

2025.12.18

横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

鳥取・由良育英高(現・鳥取中央育英高)の陸上部顧問として、インターハイで2度の総合優勝に導き、高校駅伝でも全国大会で2度の準優勝を果たした横山隆義氏が、12月15日、肺炎のため亡くなった。81歳だった。 横山氏は1944 […]

NEWS 26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

2025.12.18

26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

アジア陸連は11月に理事会を開催し、2026年7月9日から12日の日程で、第1回U23アジア選手権を中国・オルドスで開催することを発表した。 陸上競技では、U18やU20など年齢別の競技会が実施されており、U20カテゴリ […]

NEWS 中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

2025.12.18

中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

第102回箱根駅伝で30年ぶりとなる総合優勝を狙う中大が12月18日、東京・八王子市の多摩キャンパスで合同取材を開いた。 主将の吉居駿恭(4年)は「昨年の11月中旬くらいに(総合優勝の)目標を立てました。昨年の全日本の結 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top