HOME ニュース、国内

2022.05.02

男子800mは川元奨が復活の大会新V 「日本記録、標準突破の準備はできている」/木南記念
男子800mは川元奨が復活の大会新V 「日本記録、標準突破の準備はできている」/木南記念


◇木南記念(4月30日・5月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目

日本グランプリシリーズ大阪大会の木南記念が行われ、3組タイムレースで行われた男子800mは、リオ五輪代表で日本記録保持者の川元奨(スズキ)が1分47秒02の大会新記録で2018年の日本選手権以来となるタイトルを獲得。1分45秒台のベストを持つ若手を抑え、復活の狼煙を上げた。

「大会1週間前の600mでベストを約2秒更新していたので、日本記録(1分45秒75)を更新するつもりで臨んだ」と話すように、ペースメーカーが400mを52秒で引っ張る直後を追走。2周目のバックストレートでペースメーカーが外れた後もしっかりリズムを切り替え、後続の追い上げを封じた。それでも「後半もいくぶん余裕があったので、400m手前で少しペースが速く感じて引いてしまったのが結果的にタイムに響いた。せっかくいいペースで進めてくれたのにもったいなかった」と、目指すタイムに届かず悔しさを滲ませた。

川元は好調の要因に冬季練習の充実を挙げる。昨夏のホクレンディスタンスで、2016年以来となる1分45秒台をマークしたあと、秋に主要レースがなかったことなどもあり両アキレス腱横の腱を取り除く手術を決めた。「あのレースでまだやれる自信が出た」と不安要素を取り除き、もう一度世界の舞台で勝負するための英断だった。

約2カ月間のリハビリの後、練習に復帰。「トレーナーさんとも相談しつつ、体型も絞ることで動きも軽くなった。好きな甘いものを控えるなど食生活にも気を配ってきた」と言い、さらにジョグの距離を伸ばすなどスタミナ強化にも取り組んだ。「何年かぶりに脚の痛みなどもなく日本記録を出したシーズンより充実した練習ができている」と笑顔で話す。

今大会で3位に入り、1分45秒85(日本歴代3位)のベストを持つ金子魅玖人(中大)と普段から練習を積む。「質の高い練習ができている」と互いに刺激し合うことでの相乗効果で日本記録更新、1分45秒20のオレゴン世界選手権標準突破を目論む。

広告の下にコンテンツが続きます

次戦に静岡国際を予定しており、「今回をいい刺激練習と捉え、静岡に生かしたい。日本記録、標準突破の準備はできているので、練習の感覚をしっかり本番のレースで活かせるようにしたい」と川元。まだまだ若い選手には負けられない。源や金子ら若手の台頭もあり盛り上がりをみせる男子800m。男子短距離や男女ハードル陣のように誰かが壁を突破することで堰を切ったように、2人、3人と記録を破り、レベル引き上げられる。その先陣となるべく第一人者が再びスパートをかける。
文/花木 雫

◇木南記念(4月30日・5月1日/大阪・ヤンマースタジアム長居)2日目 日本グランプリシリーズ大阪大会の木南記念が行われ、3組タイムレースで行われた男子800mは、リオ五輪代表で日本記録保持者の川元奨(スズキ)が1分47秒02の大会新記録で2018年の日本選手権以来となるタイトルを獲得。1分45秒台のベストを持つ若手を抑え、復活の狼煙を上げた。 「大会1週間前の600mでベストを約2秒更新していたので、日本記録(1分45秒75)を更新するつもりで臨んだ」と話すように、ペースメーカーが400mを52秒で引っ張る直後を追走。2周目のバックストレートでペースメーカーが外れた後もしっかりリズムを切り替え、後続の追い上げを封じた。それでも「後半もいくぶん余裕があったので、400m手前で少しペースが速く感じて引いてしまったのが結果的にタイムに響いた。せっかくいいペースで進めてくれたのにもったいなかった」と、目指すタイムに届かず悔しさを滲ませた。 川元は好調の要因に冬季練習の充実を挙げる。昨夏のホクレンディスタンスで、2016年以来となる1分45秒台をマークしたあと、秋に主要レースがなかったことなどもあり両アキレス腱横の腱を取り除く手術を決めた。「あのレースでまだやれる自信が出た」と不安要素を取り除き、もう一度世界の舞台で勝負するための英断だった。 約2カ月間のリハビリの後、練習に復帰。「トレーナーさんとも相談しつつ、体型も絞ることで動きも軽くなった。好きな甘いものを控えるなど食生活にも気を配ってきた」と言い、さらにジョグの距離を伸ばすなどスタミナ強化にも取り組んだ。「何年かぶりに脚の痛みなどもなく日本記録を出したシーズンより充実した練習ができている」と笑顔で話す。 今大会で3位に入り、1分45秒85(日本歴代3位)のベストを持つ金子魅玖人(中大)と普段から練習を積む。「質の高い練習ができている」と互いに刺激し合うことでの相乗効果で日本記録更新、1分45秒20のオレゴン世界選手権標準突破を目論む。 次戦に静岡国際を予定しており、「今回をいい刺激練習と捉え、静岡に生かしたい。日本記録、標準突破の準備はできているので、練習の感覚をしっかり本番のレースで活かせるようにしたい」と川元。まだまだ若い選手には負けられない。源や金子ら若手の台頭もあり盛り上がりをみせる男子800m。男子短距離や男女ハードル陣のように誰かが壁を突破することで堰を切ったように、2人、3人と記録を破り、レベル引き上げられる。その先陣となるべく第一人者が再びスパートをかける。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.07.12

【男子100m】安田夢雄生(明桜館高) 10秒33=高2歴代9位タイ

7月12日、鹿児島市の白波スタジアムで鹿児島県選手権が行われ、男子ジュニアA100mで安田夢雄生(明桜館高2鹿児島)が10秒33(+1.3)で優勝。高2歴代9位タイの好記録をマークした。 安田は2年前の全中で5位、高校入 […]

NEWS ハンマー投・中川達斗は70m47 マッカーサー・ジョイは64m66 ロサンゼルスの投てき競技会に出場/WAコンチネンタルツアー

2025.07.12

ハンマー投・中川達斗は70m47 マッカーサー・ジョイは64m66 ロサンゼルスの投てき競技会に出場/WAコンチネンタルツアー

7月11日、米国カリフォルニア州ロサンゼルスでWAコンチネンタルツアー・ブロンズのLAスロー・カップが行われ、男子ハンマー投で中川達斗(サトウ食品新潟アルビレックスRC)が70m47で9位にとなった。 5月のアジア選手権 […]

NEWS 男子200m ライルズがテボゴ抑えてV! 3ヵ月ぶり復帰戦で19秒88 女子400mボルは今季世界最高/DLモナコ

2025.07.12

男子200m ライルズがテボゴ抑えてV! 3ヵ月ぶり復帰戦で19秒88 女子400mボルは今季世界最高/DLモナコ

7月11日、ダイヤモンドリーグ(DL)第10戦の第39回ヘラクレスがモナコで開催され、男子200mでは世界選手権3連覇中のN.ライルズ(米国)が19秒88(-0.8)で優勝した。 27歳のライルズは、昨年のパリ五輪100 […]

NEWS ホクレンDC最終戦・網走大会に三浦龍司がエントリー! 女子5000mに廣中璃梨佳 世界陸上代表・安藤友香、梅野倖子も登録

2025.07.12

ホクレンDC最終戦・網走大会に三浦龍司がエントリー! 女子5000mに廣中璃梨佳 世界陸上代表・安藤友香、梅野倖子も登録

日本陸連は7月12日、ホクレンディスタンス第5戦・網走大会(7月19日)のエントリー選手を発表した。 男子5000mには3000m障害で日本記録を更新した三浦龍司(SUBARU)がエントリー。井川龍人(旭化成)のほか、遠 […]

NEWS 十種競技・奥田啓祐は脚を痛め無念の途中棄権「しっかり休んで次戦に」/日本選手権混成

2025.07.12

十種競技・奥田啓祐は脚を痛め無念の途中棄権「しっかり休んで次戦に」/日本選手権混成

◇第109回日本選手権・混成競技(7月12、13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)1日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権混成競技の1日目が行われている。男子十種競技で優勝候補だった奥田啓祐(ウィ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top