HOME ニュース、国内

2022.03.14

安藤友香 パリ五輪見据えた果敢な走り「挑戦者として思い切って行った」/名古屋ウィメンズマラソン
安藤友香 パリ五輪見据えた果敢な走り「挑戦者として思い切って行った」/名古屋ウィメンズマラソン


◇名古屋ウィメンズマラソン2022(3月13日/バンテリンドーム ナゴヤ発着)

2019年ドーハ世界選手権金メダリストのルース・チェプンゲティチ(ケニア)が大会新記録の2時間17分18秒(女子単独レース世界歴代2位)で優勝。安藤友香(ワコール)が2時間2分22秒で日本人トップの3位に入った。

気温は16.7度と高かったものの、風はほとんどない。好条件のなかでスタートした今回の名古屋ウィメンズマラソンは、安藤と細田あい(エディオン)が第1集団に挑戦した。

しかし、5㎞過ぎに世界歴代4位の2時間17分08秒を持つチェプンゲティチが抜け出す意外な展開になった。さらに、2時間20分39秒ペースとなる1㎞3分20秒で30㎞まで引っ張る予定だったペースメーカーが15㎞過ぎに離脱。安藤と細田は2時間17分45秒のタイムを持つロナ・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)の背後でレースを進めていく。

20㎞を前に細田が遅れると、中間点を過ぎて、サルペーターがペースアップ。安藤もついていけず、その後は単独走となった。安藤は中間点を1時間9分47秒で通過。25㎞までの5㎞を16分14秒とペースを引き上げるも終盤は苦しくなる。

徐々にペースが鈍っていくなかでも、「世界陸上代表に選ばれれば光栄。そのために後悔なく力を出し切りたい」という安藤が粘りの走りを見せる。5年前のこの大会でマークした自己ベスト(2時間21分36秒)の更新はならなかったが、自己2番目の記録で3番目にフィニッシュ。オレゴン世界選手権の派遣設定記録(2時間23分18秒)を突破した。

レース直後のインタビューでは、「たくさんの応援ありがとうございます。強い選手についていくことができず悔しいですけど、自分のやり切る走りをしっかりやろうと思って最後まで粘れたかなと思います」と自身のレースを評価した。

広告の下にコンテンツが続きます

ただし、世界トップの強さを痛感したようで、「思ったよりも早い段階で出られたので、世界との差を感じました」とも語り、今後に向けて「自分自身、ベストを尽くして日々の練習をやっていくしかないと思っているので、少しでも近づけるよう精進していきたいです。パリ五輪ではマラソンでメダルを目指してがんばりたい」と24年の五輪を意識した。

表彰式では体調不良を訴えて途中で退場。記者会見も出席することはできなかったが、ゴールから4時間半後、代表取材に応じた。

ペースメーカーが15㎞過ぎで離脱したことについては、「30㎞まで行くとは考えていなくて、どこかでレースが動いてもおかしくないと思っていました」と流れのなかでレースをする覚悟を持っていたという。

5㎞過ぎのチェプンゲティチが飛び出した場面は、「ここで行くと持たない」と冷静に判断。15㎞過ぎにサルペーターが出た時は、「ここでついていかないと自分が後悔する」と〝挑戦者〟として勇気ある走りを見せた。

しかし、安藤は25㎞までの5㎞を15分59秒まで引き上げたサルピーターに食らいつくことはできず、ズルズルと引き離された。

「今回のような上げ下げは海外レースや、五輪・世界選手権では当たり前なので、そこに対応できるようにしていきたい。オレゴン世界選手権の代表に選んでいただけたら、しっかり鍛え直して、後悔なく出し切れるレースをしたいです」

3人の代表選手を選ぶ、オレゴン世界選手権の選考レース3大会で、安藤の記録は4番目。ペースメーカーが15㎞でいなくなり、フィニッシュ時の気温は20度を超えた。そのなかで果敢に攻めた安藤の走りはどう評価されるのか。

文/酒井政人

◇名古屋ウィメンズマラソン2022(3月13日/バンテリンドーム ナゴヤ発着) 2019年ドーハ世界選手権金メダリストのルース・チェプンゲティチ(ケニア)が大会新記録の2時間17分18秒(女子単独レース世界歴代2位)で優勝。安藤友香(ワコール)が2時間2分22秒で日本人トップの3位に入った。 気温は16.7度と高かったものの、風はほとんどない。好条件のなかでスタートした今回の名古屋ウィメンズマラソンは、安藤と細田あい(エディオン)が第1集団に挑戦した。 しかし、5㎞過ぎに世界歴代4位の2時間17分08秒を持つチェプンゲティチが抜け出す意外な展開になった。さらに、2時間20分39秒ペースとなる1㎞3分20秒で30㎞まで引っ張る予定だったペースメーカーが15㎞過ぎに離脱。安藤と細田は2時間17分45秒のタイムを持つロナ・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)の背後でレースを進めていく。 20㎞を前に細田が遅れると、中間点を過ぎて、サルペーターがペースアップ。安藤もついていけず、その後は単独走となった。安藤は中間点を1時間9分47秒で通過。25㎞までの5㎞を16分14秒とペースを引き上げるも終盤は苦しくなる。 徐々にペースが鈍っていくなかでも、「世界陸上代表に選ばれれば光栄。そのために後悔なく力を出し切りたい」という安藤が粘りの走りを見せる。5年前のこの大会でマークした自己ベスト(2時間21分36秒)の更新はならなかったが、自己2番目の記録で3番目にフィニッシュ。オレゴン世界選手権の派遣設定記録(2時間23分18秒)を突破した。 レース直後のインタビューでは、「たくさんの応援ありがとうございます。強い選手についていくことができず悔しいですけど、自分のやり切る走りをしっかりやろうと思って最後まで粘れたかなと思います」と自身のレースを評価した。 ただし、世界トップの強さを痛感したようで、「思ったよりも早い段階で出られたので、世界との差を感じました」とも語り、今後に向けて「自分自身、ベストを尽くして日々の練習をやっていくしかないと思っているので、少しでも近づけるよう精進していきたいです。パリ五輪ではマラソンでメダルを目指してがんばりたい」と24年の五輪を意識した。 表彰式では体調不良を訴えて途中で退場。記者会見も出席することはできなかったが、ゴールから4時間半後、代表取材に応じた。 ペースメーカーが15㎞過ぎで離脱したことについては、「30㎞まで行くとは考えていなくて、どこかでレースが動いてもおかしくないと思っていました」と流れのなかでレースをする覚悟を持っていたという。 5㎞過ぎのチェプンゲティチが飛び出した場面は、「ここで行くと持たない」と冷静に判断。15㎞過ぎにサルペーターが出た時は、「ここでついていかないと自分が後悔する」と〝挑戦者〟として勇気ある走りを見せた。 しかし、安藤は25㎞までの5㎞を15分59秒まで引き上げたサルピーターに食らいつくことはできず、ズルズルと引き離された。 「今回のような上げ下げは海外レースや、五輪・世界選手権では当たり前なので、そこに対応できるようにしていきたい。オレゴン世界選手権の代表に選んでいただけたら、しっかり鍛え直して、後悔なく出し切れるレースをしたいです」 3人の代表選手を選ぶ、オレゴン世界選手権の選考レース3大会で、安藤の記録は4番目。ペースメーカーが15㎞でいなくなり、フィニッシュ時の気温は20度を超えた。そのなかで果敢に攻めた安藤の走りはどう評価されるのか。 文/酒井政人

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.12

日本GPシリーズチャンピオンは福部真子と筒江海斗!種目別800mは落合晃&久保凛の高校日本記録保持者コンビがV、女子1500m田中希実が4連覇

日本グランプリ(GP)シリーズ2024のシリーズチャンピオンが発表され、男子は400mハードルの筒江海斗(ST-WAKO)、女子は100mハードルの福部真子(日本建設工業)と、ともにパリ五輪のハードル種目代表が初の栄冠に […]

NEWS 青学大・原晋監督 連覇へ「山で区間新を出せる準備」チームの雰囲気「単なる仲良しクラブじゃない」

2024.12.12

青学大・原晋監督 連覇へ「山で区間新を出せる準備」チームの雰囲気「単なる仲良しクラブじゃない」

第101回箱根駅伝に出場する前回王者の青学大が、東京の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。その後、会見が開かれて報道陣の取材に応えた。 原監督が掲げた恒例の作戦名は「あいたいね大作戦」。 […]

NEWS 青学大がキャンパスで箱根駅伝壮行会 太田蒼生「俺が箱根を勝たせてやる」残り3週間で体調管理徹底で臨む構え

2024.12.12

青学大がキャンパスで箱根駅伝壮行会 太田蒼生「俺が箱根を勝たせてやる」残り3週間で体調管理徹底で臨む構え

第101回箱根駅伝に出場する前回王者の青学大が、東京の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 関係者だけでなく、学生やファンなどが見守るなか、一部授業のある選手以外が一人ひとりあいさつ。主 […]

NEWS 世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に

2024.12.12

世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に

12月11日、世界陸連は5月から10月にかけて誕生した世界記録を正式に承認したことを発表した。 10月27日の日本選手権35km競歩(山形・高畠)で、川野将虎(旭化成)が樹立した2時間21分47秒も世界記録として認定。同 […]

NEWS 月刊陸上競技2025年1月号

2024.12.12

月刊陸上競技2025年1月号

Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top