HOME 海外

2022.02.11

ジャスティン・ガトリンが引退 2度のドーピング違反も男子スプリントで一時代築く
ジャスティン・ガトリンが引退 2度のドーピング違反も男子スプリントで一時代築く

ジャスティン・ガトリン(米国)

2004年アテネ五輪の男子100m金メダリストのジャスティン・ガトリン(米国)が10日、自身のSNSで引退を表明した。

この日、40歳の誕生日を迎えたガトリンはインスタグラムで「Dear Track(トラックへ)」というタイトルで投稿し、「『トラック』その名前を知った時から、私の人生は大きく変わった。あなたは私に悲しみと喜びの涙をくれた、そして決して忘れられない教訓も教えてくれた」と引退にあたり自身の気持ちを綴った。

高校時代に110mハードルの選手として活躍していたガトリンは、スプリンターとしての能力を見いだされ、テネシー大進学後は100m、200mで頭角を現した。

広告の下にコンテンツが続きます

2004年アテネ五輪では100mで9秒85の自己新で金メダルに輝くと、200mで銅メダル、4×100mリレーでも銀メダルを獲得。05年のヘルシンキ世界選手権では100m、200mのスプリント2冠にも輝いた。35歳で迎えた17年のロンドン世界選手権100mでは世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)を抑えて優勝するなど、ベテランとなってからもトップスプリンターとして永く活躍した。

しかし、ガトリンはドーピング違反で2度出場停止を受けるなど、そのキャリアには暗い影もつきまとった。06年には5月に9秒77の世界タイ記録をマークしたが、2ヵ月後に体内から禁止薬物のテストステロンが検出され、記録が抹消された上、4年間の出場停止処分を受けている。10年に復帰した後は、当時スプリント界の王者として君臨していたボルトと熱戦を繰り広げ、15年には100mで9秒74、200m19秒57の自己記録をマークしたものの、欧州での競技会ではレース後に観客からブーイングを受けることもあった。

ガトリンは日本のレースにもたびたび出場し、東京五輪出場を目指した昨季も5月に行われた「READY STEADY TOKYO」では10秒24で国内のトップ選手を抑えて優勝している。しかし、6月の全米五輪選考会では決勝のレース中に脚を痛めて8位に終わり、五輪出場を逃していた。五輪、世界選手権で獲得したメダルはリレーを含めると金5、銀8、銅2。数々の栄光と挫折を繰り返したスプリンターがトラックに別れを告げた。

■ジャスティン・ガトリンの五輪、世界選手権成績
04年五輪    100m金、200m銅、4×100mR銀
05年世界選手権 100m金、200m金
11年世界選手権 100m準決勝、4×100mR途中棄権
12年五輪    100m銅、4×100mR失格
13年世界選手権 100m銀、4×100mR銀
15年世界選手権 100m銀、200m銀、4×100mR失格
16年五輪    100m銀、200m準決勝、4×100mR失格
17年世界選手権 100m金、4×100mR銀
19年世界選手権 100m銀、4×100mR金

2004年アテネ五輪の男子100m金メダリストのジャスティン・ガトリン(米国)が10日、自身のSNSで引退を表明した。 この日、40歳の誕生日を迎えたガトリンはインスタグラムで「Dear Track(トラックへ)」というタイトルで投稿し、「『トラック』その名前を知った時から、私の人生は大きく変わった。あなたは私に悲しみと喜びの涙をくれた、そして決して忘れられない教訓も教えてくれた」と引退にあたり自身の気持ちを綴った。 高校時代に110mハードルの選手として活躍していたガトリンは、スプリンターとしての能力を見いだされ、テネシー大進学後は100m、200mで頭角を現した。 2004年アテネ五輪では100mで9秒85の自己新で金メダルに輝くと、200mで銅メダル、4×100mリレーでも銀メダルを獲得。05年のヘルシンキ世界選手権では100m、200mのスプリント2冠にも輝いた。35歳で迎えた17年のロンドン世界選手権100mでは世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)を抑えて優勝するなど、ベテランとなってからもトップスプリンターとして永く活躍した。 しかし、ガトリンはドーピング違反で2度出場停止を受けるなど、そのキャリアには暗い影もつきまとった。06年には5月に9秒77の世界タイ記録をマークしたが、2ヵ月後に体内から禁止薬物のテストステロンが検出され、記録が抹消された上、4年間の出場停止処分を受けている。10年に復帰した後は、当時スプリント界の王者として君臨していたボルトと熱戦を繰り広げ、15年には100mで9秒74、200m19秒57の自己記録をマークしたものの、欧州での競技会ではレース後に観客からブーイングを受けることもあった。 ガトリンは日本のレースにもたびたび出場し、東京五輪出場を目指した昨季も5月に行われた「READY STEADY TOKYO」では10秒24で国内のトップ選手を抑えて優勝している。しかし、6月の全米五輪選考会では決勝のレース中に脚を痛めて8位に終わり、五輪出場を逃していた。五輪、世界選手権で獲得したメダルはリレーを含めると金5、銀8、銅2。数々の栄光と挫折を繰り返したスプリンターがトラックに別れを告げた。 ■ジャスティン・ガトリンの五輪、世界選手権成績 04年五輪    100m金、200m銅、4×100mR銀 05年世界選手権 100m金、200m金 11年世界選手権 100m準決勝、4×100mR途中棄権 12年五輪    100m銅、4×100mR失格 13年世界選手権 100m銀、4×100mR銀 15年世界選手権 100m銀、200m銀、4×100mR失格 16年五輪    100m銀、200m準決勝、4×100mR失格 17年世界選手権 100m金、4×100mR銀 19年世界選手権 100m銀、4×100mR金

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.06

第一工科大が最終区での逆転で3年ぶり栄冠! 初V目指した鹿児島大は13秒差で涙/島原学生駅伝

12月6日、第43回九州学生駅伝が長崎県島原市の市営競技場をスタートし、島原文化会館にフィニッシュする7区間57.75kmのコースで行われ、第一工科大が3時間3分10秒で3年ぶり21回目の優勝を飾った。 第一工科大は1区 […]

NEWS 全日本入賞の福岡大が全区間トップで圧勝 九大5年連続2位 佐賀大は過去最高3位/九州学生女子駅伝

2025.12.06

全日本入賞の福岡大が全区間トップで圧勝 九大5年連続2位 佐賀大は過去最高3位/九州学生女子駅伝

12月6日、第25回九州学生女子駅伝(5区間22.8km)が長崎県島原市で行われ、福岡大が1時間17分31秒で14回目の優勝を果たした。 10月の全日本大学女子駅伝で8位に入賞している福岡大は1区から他校を圧倒。前回に続 […]

NEWS やり投・﨑山雄太がヤマダHDへ!「新たな船出」今年日本歴代2位、世界陸上代表

2025.12.06

やり投・﨑山雄太がヤマダHDへ!「新たな船出」今年日本歴代2位、世界陸上代表

男子やり投の﨑山雄太が自身のSNSを更新し、12月1日からヤマダホールディングスに移籍加入したことを発表した。 﨑山は奈良県出身の29歳。大阪・関西創価高でやり投を始めるとケガのため主要大会の実績こそないが、日大入学早々 […]

NEWS 西山和弥、竹内竜真、デレセらが防府読売マラソンでV目指す 五輪MGC出場権懸けた一戦

2025.12.05

西山和弥、竹内竜真、デレセらが防府読売マラソンでV目指す 五輪MGC出場権懸けた一戦

◇第56回防府読売マラソン(12月7日/山口県防府市) MGCシリーズ2025-26の第56回防府読売マラソンが12月7日(日)に行われる。大会は男子がMGCシリーズのG1(グレード1)、女子がG3に位置づけられており、 […]

NEWS 細谷恭平が悲願の初Vなるか!?伝統の福岡国際マラソン 2時間9分でロス五輪MGCへ

2025.12.05

細谷恭平が悲願の初Vなるか!?伝統の福岡国際マラソン 2時間9分でロス五輪MGCへ

◇福岡国際マラソン2025(12月7日/福岡市・平和台陸上競技場発着) MGCシリーズ2025-26男子G1の福岡国際マラソン2025が12月7日に行われる。来年の名古屋アジア大会代表選考会を兼ねているだけでなく、28年 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top