◇全日本実業団対抗(9月24~26日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目
男子短距離を牽引してきたスプリンターがスパイクを脱いだ。12年ロンドン、16年リオと2大会でオリンピックに出場した高瀬慧(富士通)が今大会で引退。100mで10秒09、200mは日本歴代5位の20秒14を持つ名スプリンターだ。
静岡県出身で、静岡西高時代はインターハイ準決勝止まり。だが、順大に進学してからその才能が花開いた。11年に富士通に進み、同年の日本選手権は200mでリストトップとなって日本選手権を迎えた。しかし、5位に敗れて個人ではテグ世界選手権に進めず。「悔しい思いをして、勝つことができずに悩んでいました。12年にかけてはどうすれば日本選手権で勝って五輪に出られるんだろうと考えて、いろんな方に指導していただいて、12年は初めて勝つことができました」と、思い出のレースを挙げる。
ロンドン五輪では準決勝に進出。世界選手権には3回出場。100m、200m、そしてマイルリレーとマルチな活躍を見せ、日本短距離に欠かせない存在だった。リオ五輪以降は「この先はないな、と新たな走りを模索しました」。結果的に、思うような結果は残せなかったが、「気づけたこと、陸上に対する知識、経験は財産になる」。
十分な実績を残しつつも、ケガなどもあり、どこか不運で、「あと一歩」という印象もあった。結果的に銀メダルを獲得した4×100mリレーでは調子が良かったもののメンバー外。だが「不運だと思ったことはありません。すごく幸せ者でした。最高の時間を過ごすことができましたし、やりきってよかったです」。全日本実業団では200mでB決勝、4×100mリレー、4×400mリレーで2冠を獲得。「最後まで真剣勝負をできた」。現役生活を通して目指してきたのは「記録よりも記憶に残る、応援背してもらえて、自分の走りでいろんな人の心を動かせる選手」というが、高瀬の走りは確かに人々の心に刻まれた。
今後は社業に専念しながら、休日などを利用して指導者としての経験を積んでいきたいという。「自分もそうでしたが、世界大会に行くと結果がついてこなかった。やっぱり強さを身につけることが、個人でファイナルを目指すための課題だと思います。タフな試合に出て、気持ち、身体のタフさを求めていってほしい」と後輩たちに「ファイナル」という夢を託した。
また、同じく富士通所属の橋元晃志も現役引退。鹿児島・川薩清修館高時代には大瀬戸一馬(小倉東高・福岡)とライバルとして活躍して、インターハイ200mで優勝。早大1年目には200mで20秒35(U20日本歴代3位)をマークした。類い希なスピードを備えたが、反面ケガに泣かされる現役生活だったが、「やりきりました」と笑顔でスパイクを脱いだ。

RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.10.19
三井住友海上が大会新!4区から独走、3人が区間賞でクイーンズへ!/プリンセス駅伝
2025.10.19
「もう二度と、こんな小説は書けない」池井戸潤原作『俺たちの箱根駅伝』ドラマ化決定!
-
2025.10.19
-
2025.10.19
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/チーム総合(2025年10月18日)
-
2025.10.13
-
2025.10.13
-
2025.10.18
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.10.19
三井住友海上が大会新!4区から独走、3人が区間賞でクイーンズへ!/プリンセス駅伝
◇第11回全日本実業団対抗女子駅伝予選会(プリンセス駅伝in宗像・福津/10月19日、福岡県宗像市・宗像ユリックスを発着 6区間42.195km) 第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)の出場権を懸けた第11 […]
2025.10.19
「もう二度と、こんな小説は書けない」池井戸潤原作『俺たちの箱根駅伝』ドラマ化決定!
日本テレビは来年、池井戸潤さん原作『俺たちの箱根駅伝』の連続ドラマ放送が決定したと発表した。 「半沢直樹」「下町ロケット」など人間ドラマを描く作家・池井戸さんによる『俺たちの箱根駅伝』は21年から23年まて『週刊文春』で […]
2025.10.19
バレガが貫禄のV 日本人トップは大迫傑の6位「暑い中でしっかり走れた」/レガシーハーフ
◇東京レガシーハーフマラソン2025(10月18日/国立競技場発着:21.0975km) 東京レガシーハーフマラソンの男子エリートの部が行われ、セレモン・バレガ(エチオピア)が1時間1分22秒(速報値)で優勝した。 日差 […]
Latest Issue
最新号

2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望