HOME 東京五輪、日本代表、五輪
37年ぶり決勝の走幅跳・橋岡優輝メダルの可能性は? これまで史上初U20世界一&52年ぶりユニバ金など数々の金字塔
37年ぶり決勝の走幅跳・橋岡優輝メダルの可能性は? これまで史上初U20世界一&52年ぶりユニバ金など数々の金字塔


男子走幅跳で日本人37年ぶりに五輪の決勝に進出した橋岡優輝(富士通)。日本にとって大きな快挙で、陸上ファン以外にも名前が一気に知れ渡ったが、これに“驚き”はまったくない。橋岡はすでに世界のロングジャンプ界で有力選手の一人として知られる存在。「最低メダル」を目指す橋岡にとってはようやくスタートラインに立ったに過ぎない。

父・利行さんは棒高跳で、母・直美さん(旧姓・城島)は100mハードルと三段跳で、それぞれ元日本記録保持者というのは、いろいろなメディアで取り上げられている。さらに、八王子高で指導を受けた走幅跳シドニー五輪代表の渡邉大輔先生は橋岡の叔父に当たる。いとこはサッカー日本代表の橋岡大樹(シントトロイデン)。まさにアスリート一家に育った。

広告の下にコンテンツが続きます

中学時代は四種競技で全中3位。走幅跳を始めたのは高校に入ってからだった。3年目にインターハイ優勝など、その才能は瞬く間に花開いていった。日大入学時から現在まで、当時日本記録8m25を持っていた森長正樹コーチに師事し、さらに磨きをかけている。

今回、「37年ぶりの五輪決勝」の快挙だが、橋岡がこれまでに打ち立ててきた金字塔を並べていくと……

2017年、日大1年時の日本選手権を18歳の若さで初優勝(8m05)。そこから3連覇を達成した。
(ちなみに父・利行さんは棒高跳で5連覇、7度優勝、母・直美さんは100mハードルで2回、三段跳で3回制している!)

翌年、20歳未満の世界一決定戦であるU20世界選手権で、8m03を跳んで金メダルを獲得。走幅跳だけでなく男女フィールド種目で初めての快挙だった。さらにアジア大会では8m05を跳んで4位入賞。

広告の下にコンテンツが続きます

大学3年になってすぐの19年アジア選手権では8m22で金メダルを獲得した。これは海外日本人最高記録で、この種目のアジア選手権優勝は1998年の森長正樹以来、21年ぶりのこと。7月のユニバーシアードは8m01を跳んで“大学世界一”。1967年東京大会の阿部直紀(順大)以来、52年ぶりの快挙だった。

19年8月には森長コーチが保持していた日本記録を27年ぶりに塗り替える8m32の日本新(※その後、城山正太郎が8m40に更新)。ドーハ世界選手権では日本人初入賞(8位)を果たした。

今年に入り、3月の日本選手権室内では8m19の室内日本新。森長コーチが1999年に樹立した室内日本記録8m07を22年ぶりに更新。そして東京五輪で37年ぶりの決勝進出。入賞すれば1984年ロサンゼルス五輪の臼井淳一(7位)以来37年ぶり、メダルとなれば1936年ベルリン五輪の田島直人(銅メダル)以来、実に85年ぶりの快挙、銀メダル以上は史上初となる。

上記の通り、“ここぞ”という場面で必ず8m以上を安定して跳んでいるのも橋岡の強み。

今回、ともにメダル争いとなるのは、予選で8m50を跳んだJ.M.エチェバリア(キューバ)や、ギリシャのM.テントグルー、ドーハ世界選手権VのT.ゲイル(ジャマイカ)、走高跳と2種目で決勝に進んでいるJ.ハリソン(米国)など。ちなみに、エチェバリアやテントグルーは、橋岡が1回目に出場した2016年U20世界選手権からずっと戦い、意識してきた同じ1998年生まれの相手だ。

「やるべきことをやればメダルに届く」

過去3大会のメダルラインは16年リオ8m29、12年ロンドン8m12、08年北京8m20。ドーハ世界選手権は8m34だった。橋岡が見据えるのは8m40の日本記録更新、そして8m50以上。今季はファウルで8m50を軽々超えるようなジャンプも見せているだけに、期待は高まる。3回目までに自己記録8m36に近い記録を出せば、ライバルたちにプレッシャーを与えられ、メダルの可能性が大きくなるだろう。

8月2日10時20分からの決勝。それが終わった時が、「Hashioka Yuki」が世界トップジャンパーの仲間入りを果たす時だ。

橋岡優輝 年次ベスト
高1 6m73
高2 7m70
高3 7m75
大1 8m05
大2 8m09
大3 8m32
大4 8m29
社1 8m36

男子走幅跳で日本人37年ぶりに五輪の決勝に進出した橋岡優輝(富士通)。日本にとって大きな快挙で、陸上ファン以外にも名前が一気に知れ渡ったが、これに“驚き”はまったくない。橋岡はすでに世界のロングジャンプ界で有力選手の一人として知られる存在。「最低メダル」を目指す橋岡にとってはようやくスタートラインに立ったに過ぎない。 父・利行さんは棒高跳で、母・直美さん(旧姓・城島)は100mハードルと三段跳で、それぞれ元日本記録保持者というのは、いろいろなメディアで取り上げられている。さらに、八王子高で指導を受けた走幅跳シドニー五輪代表の渡邉大輔先生は橋岡の叔父に当たる。いとこはサッカー日本代表の橋岡大樹(シントトロイデン)。まさにアスリート一家に育った。 中学時代は四種競技で全中3位。走幅跳を始めたのは高校に入ってからだった。3年目にインターハイ優勝など、その才能は瞬く間に花開いていった。日大入学時から現在まで、当時日本記録8m25を持っていた森長正樹コーチに師事し、さらに磨きをかけている。 今回、「37年ぶりの五輪決勝」の快挙だが、橋岡がこれまでに打ち立ててきた金字塔を並べていくと…… 2017年、日大1年時の日本選手権を18歳の若さで初優勝(8m05)。そこから3連覇を達成した。 (ちなみに父・利行さんは棒高跳で5連覇、7度優勝、母・直美さんは100mハードルで2回、三段跳で3回制している!) 翌年、20歳未満の世界一決定戦であるU20世界選手権で、8m03を跳んで金メダルを獲得。走幅跳だけでなく男女フィールド種目で初めての快挙だった。さらにアジア大会では8m05を跳んで4位入賞。 大学3年になってすぐの19年アジア選手権では8m22で金メダルを獲得した。これは海外日本人最高記録で、この種目のアジア選手権優勝は1998年の森長正樹以来、21年ぶりのこと。7月のユニバーシアードは8m01を跳んで“大学世界一”。1967年東京大会の阿部直紀(順大)以来、52年ぶりの快挙だった。 19年8月には森長コーチが保持していた日本記録を27年ぶりに塗り替える8m32の日本新(※その後、城山正太郎が8m40に更新)。ドーハ世界選手権では日本人初入賞(8位)を果たした。 今年に入り、3月の日本選手権室内では8m19の室内日本新。森長コーチが1999年に樹立した室内日本記録8m07を22年ぶりに更新。そして東京五輪で37年ぶりの決勝進出。入賞すれば1984年ロサンゼルス五輪の臼井淳一(7位)以来37年ぶり、メダルとなれば1936年ベルリン五輪の田島直人(銅メダル)以来、実に85年ぶりの快挙、銀メダル以上は史上初となる。 上記の通り、“ここぞ”という場面で必ず8m以上を安定して跳んでいるのも橋岡の強み。 今回、ともにメダル争いとなるのは、予選で8m50を跳んだJ.M.エチェバリア(キューバ)や、ギリシャのM.テントグルー、ドーハ世界選手権VのT.ゲイル(ジャマイカ)、走高跳と2種目で決勝に進んでいるJ.ハリソン(米国)など。ちなみに、エチェバリアやテントグルーは、橋岡が1回目に出場した2016年U20世界選手権からずっと戦い、意識してきた同じ1998年生まれの相手だ。 「やるべきことをやればメダルに届く」 過去3大会のメダルラインは16年リオ8m29、12年ロンドン8m12、08年北京8m20。ドーハ世界選手権は8m34だった。橋岡が見据えるのは8m40の日本記録更新、そして8m50以上。今季はファウルで8m50を軽々超えるようなジャンプも見せているだけに、期待は高まる。3回目までに自己記録8m36に近い記録を出せば、ライバルたちにプレッシャーを与えられ、メダルの可能性が大きくなるだろう。 8月2日10時20分からの決勝。それが終わった時が、「Hashioka Yuki」が世界トップジャンパーの仲間入りを果たす時だ。 橋岡優輝 年次ベスト 高1 6m73 高2 7m70 高3 7m75 大1 8m05 大2 8m09 大3 8m32 大4 8m29 社1 8m36

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.07.05

新潟医療福祉大14年連続全国へ 5000mレースで清水杏夏筆頭に上位ほぼ独占/全日本大学女子駅伝北信越地区選考会

第43回全日本大学女子駅伝対校選手権北信越地区選考会が7月5日、長野県佐久市の佐久総合運動公園陸上競技場で行われ、新潟医療福祉大がトップとなり、14年連続14回目となる本大会の出場権を獲得した。 北信越地区からの全国大会 […]

NEWS 信州大が4大会ぶり16回目の伊勢路へ! 初の出場枠2・出雲駅伝は信州大と新潟大が出場権獲得/全日本大学駅伝北信越選考会

2025.07.05

信州大が4大会ぶり16回目の伊勢路へ! 初の出場枠2・出雲駅伝は信州大と新潟大が出場権獲得/全日本大学駅伝北信越選考会

秩父宮賜杯第57回全日本大学駅伝の北信越地区選考会は7月5日、長野・佐久総合運動公園陸上競技場で行われ、信州大が4時間15分59秒69で4大会連続16回目の本大会出場を決めた。 選考会には6校が出場し、各校最大10人がエ […]

NEWS やり投・ディーン元気13年ぶり自己新84m66!同期・新井涼平と交わした約束果たし「メモリアルな1投」/日本選手権

2025.07.05

やり投・ディーン元気13年ぶり自己新84m66!同期・新井涼平と交わした約束果たし「メモリアルな1投」/日本選手権

◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子やり投でディーン元気(ミズノ)が84m66で2位に入った。 広告の下にコンテンツが続きます 同 […]

NEWS 札幌学大が4年ぶり3回目、北大が4年ぶり2回目の出場権獲得!/出雲駅伝北海道予選会

2025.07.05

札幌学大が4年ぶり3回目、北大が4年ぶり2回目の出場権獲得!/出雲駅伝北海道予選会

7月5日、札幌円山競技場で第37回出雲大学選抜駅伝の北海道地区予選会が行われ、札幌学大と北大が本戦の出場権を獲得した。 出雲駅伝の出場枠は前年度の大会成績によって振り分けられ、24年出雲駅伝で北海道学連選抜が14位に入っ […]

NEWS 﨑山雄太、大器覚醒の87m16!!「どうにかして投げてやる」伝説の記録に肉薄で世界陸上内定/日本選手権

2025.07.05

﨑山雄太、大器覚醒の87m16!!「どうにかして投げてやる」伝説の記録に肉薄で世界陸上内定/日本選手権

◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子やり投は﨑山雄太(愛媛県競技力本部)が初優勝を飾った。4回目に83m56を投げると、5回目に8 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top