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2021.07.27

白熱の高校日本一決定戦! 棒高跳、ハンマー投に高校新の期待高まる/インターハイ展望(女子編)
白熱の高校日本一決定戦! 棒高跳、ハンマー投に高校新の期待高まる/インターハイ展望(女子編)

2年ぶりに開催される全国高校総体(以下、インターハイ)の陸上競技が7月28日~8月1日の5日間、福井市の福井県営陸上競技場(9.98スタジアム)で行われる。2年前の沖縄大会と同様に、男女41種目(男子21種目、女子20種目)が実施。ここではエントリー選手を元に、女子の見どころを紹介していく。

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トラック
100mは好勝負の予感
河内に個人3種目制覇の偉業懸かる

100mは11秒65の永石小雪(佐賀北3)、11秒66の角良子(倉吉東3鳥取)、11秒74の佐藤美里(常盤木学園3宮城)の3人に注目が集まる。角は中学3年時のジュニア五輪で優勝し、昨年の全国高校大会で2年生以下最上位の4位に食い込むなど実績十分。対する永石は角が不在のU20日本選手権で優勝し、今季の勢いでは角を上回る。そこに200mでも優勝候補となる佐藤が急激に力をつけており、優勝タイムは悪条件でない限りは11秒5~6台となりそうだ。

角良子(倉吉東3鳥取)

200mは100mとの2冠が狙える佐藤美里(常盤木学園3宮城)が24秒08(+0.4)でU20日本選手権を制し、V候補筆頭と言える。その下は24秒2~4台に9人がひしめき、メダル争いは混戦だ。なかでも注目は南関東大会を制した税田ジェニファー瑠美(城西1東京)。176㎝という長身と長い手足を生かしたダイナミックなフォームで先輩たちを圧倒し、追い風参考ながら23秒94(+2.1)をマークしている。まだまだ伸びしろを秘めていることに加え、個人種目が200mだけという点を加味すれば、1年生優勝も決して不可能な位置ではない。実績のある藏重みう倉橋美穂(ともに中京大中京)、鶴澤亜里沙(相洋3神奈川)、1年生ながら近畿大会を制した坂本実南(和歌山北)らがメダルを争うことになるだろう。

400mは54秒台のベストを持つ河内瀬桜(東大阪大敬愛3)とタネル舞璃乃(埼玉栄3)の一騎打ちになりそう。自己記録では54秒27の河内が54秒54のタネルを上回るが、U20日本選手権ではタネルが2位、河内が3位となった。2人は400mハードルでも優勝候補に挙がり、初日のこの種目を制して残りの種目に勢いをつけたいところだ。3番手争いでは新田望(法政二3神奈川)、小鉢ひなた(諫早3長崎)、大川寿美香(三田国際3東京)、利根川心暖(八王子3東京)ら55秒台前半を持つ7人が2強を追う。準決勝から激しいバトルが繰り広げられそうだ。

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800mでは今季2分07秒台に3人。青山理奈(中京大中京3愛知)、小山愛結(安城学園3愛知)、400m、400mハードルに続く個人3冠目を目指す河内瀬桜(東大阪大敬愛3)だ。青山と小山の愛知勢はこれまで何度もぶつかり、大舞台での対戦成績はほぼ互角。河内は他種目の疲れが懸念点で、3種目制覇なら女子トラックでは史上初の快挙だ。1年時に2分07秒81をマークしてインターハイ4位の実績がある谷口ゆき(星稜3石川)、北関東優勝の丹羽遥奈(昌平3埼玉)、全国高校大会6位の長谷川麻央(京都文教3)らも上位候補に挙がる。

河内瀬桜(東大阪大敬愛3)

1500mJ.ニーヴァ(倉敷2)が4分13秒72で優勝争いの中心に立つ。日本人では、昨年の日本選手権で2位に食い込んでいる米澤奈々香(仙台育英3宮城)、U20日本選手権で優勝した大河原萌花(学法石川3福島)、その米澤と大河原を東北大会で下した伊藤瑠音(青森山田3)、今年の日本選手権で高校生最上位の7位に入賞した道清愛紗(須磨学園3兵庫)が有力候補に挙がる。自己記録では4分15秒62の米澤が秀でており、その時の調子にどれだけ戻せるかがポイント。このほか、U20日本選手権で3位の柳楽あずみ(筑紫女学園3福岡)、近畿大会覇者の村松結(立命館宇治3京都)も上位に食い込める力がある。

3000mは7月に日本高校国内国際記録の8分47秒85を出したK.カロライン(神村学園1鹿児島)、同じく8分台のベストを持つW.エスターが優勝候補に挙がる。この2人が中心となってレースが進んでいきそうだが、9分ひとケタの自己記録を持つ米澤奈々香(3年)、杉森心音(2年)の仙台育英コンビが打倒・留学生の一番手に挙がる。杉森はU20日本選手権も制して勝負強さを証明しており、ともに全中1500mを制するなど夏のレースを苦にしていない。留学生の作る高速ペースに乗ることができれば、8分台突入も見えてくる。近畿大会優勝の水本佳菜(薫英女学院2大阪)、北九州大会優勝の松本明莉(筑紫女学園2福岡)、9分06秒22のベストを持つ久保心優(神村学園3鹿児島)も調子を合わせられれば日本人トップの力がありそうだ。

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100mハードルは今季2年生に勢いがあり、13秒60の吉田江梨花(園田学園・兵庫)、13秒67の山田裕未(市船橋・千葉)、13秒71の大谷すみれ(法政二・神奈川)、13秒80の藤原かれん(園田学園・兵庫)、13秒87の福嶋ひなた(鳥取中央育英)と、ランキング上位5傑を独占している。直接対決では南関東大会で山田が大谷を下し、近畿大会では藤原が吉田に先着したが、U20日本選手権では吉田が高校生最上位の2位、藤原が3位、大谷が4位という結果となった(山田と福嶋は不出場)。昨年の全国高校大会2位の浅木都紀葉(広島皆実3)や1年時に13秒75をマークしている松本佳音彩(中京大中京3愛知)ら実績ある最上級生たちも黙っていなさそうで、決勝では13秒5~6台のハイレベルな戦いが繰り広げられそうだ。

吉田江梨香と藤原かれん(ともに園田学園2兵庫、左から)

400mハードルは58秒01の河内瀬桜(東大阪大敬愛3)が優勝候補筆頭に君臨する。58秒95のタネル舞璃乃(埼玉栄3)、今季は59秒22が最高ながら昨年58秒89をマークしている大川寿美香(三田国際)が2番手争いをリードし、59秒台の内藤香乃(北摂三田2兵庫)、工藤美月(滝川二3兵庫)らがメダル候補といった構図だ。河内とタネルは400mで勝っていれば3日目のこの種目で2冠目を狙うことになる。

5000m競歩は昨年の全国高校大会で1位、2位を占めた山岸芽生(十日町3新潟)と永井優会(北見緑陵3北海道)のライバル対決に注目が集まる。今季は北海道大会で22分37秒59をマークした永井がリードしているが、山岸も県大会、北信越大会と23分10秒台で安定している。ともに「タイムよりも優勝にこだわる」と明言しており、スパートをどこで仕掛けるかの判断が勝敗を左右しそうだ。このほか3000mで9分20秒19を持つ柳井綾音(北九州市立3福岡)も急激に力をつけており、上位に食らいついていければ、4年前に優勝した先輩・藤井菜々子(現・エディオン)に続く優勝が見えてくる。

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フィールド
走高跳&棒高跳で1年生優勝の可能性
ハンマー投の村上は自身の高校記録更新なるか

走高跳では伊藤楓(東京3)が7月に今季高校最高の1m78に成功。ただし1m76に岡野弥幸(埼玉栄3)、森崎優希(明星学園3)、1m75に山下愛生(北摂三田2兵庫)と僅差で続いており、絶対的な優勝候補は不在。これまでの実績でいえば3年前の全中を制し、昨年の全国高校大会で高校生最上位の4位、今年の日本選手権で3位に食い込んだ岡野に一日の長がある。ルーキーの森崎はU20日本選手権を制覇。2017~19年は優勝記録が1m75~77にとどまっており、同水準なら十分に1年生優勝の可能性がありそうだ。

棒高跳は1年生の柳川美空(前橋育英・群馬)がただ一人4m00にクリアして優勝候補筆頭に躍り出る。ただし日本選手権では3m60で17位と力を発揮できず、同大会では3m90を持つ村田蒼空(前橋女子2群馬)と3m94の松本百音(明石商3兵庫)が3m80に成功して13位、15位だった。同時開催のU20日本選手権では今井葉月(樹徳1群馬)が自己新の3m85をクリアして優勝。2位だった荻野未悠(浜松南3静岡)は7月に3m91を成功させている。優勝記録は2017年から3大会連続で3m90となっており、インターハイ初の4m00クリアが見られるかもしれない。

柳川美空(前橋育英1群馬)

走幅跳では6m16のベストを持つ中尾優花(中村学園女3福岡)が優勝候補だ。今季は5月に6m11、6月のU20日本選手権でも追い風参考ながら6m13(+3.8)を跳んで優勝すると、7月に6m16まで伸ばして勢いがある。6m10のベストを持つ吉田花鈴(摂津3大阪)も6月の日本選手権で6位と大舞台での強さを発揮している。今季は6mを超えたのが上記2人のみ。3番手候補としてはU20日本選手権で2位、3位に入った佐藤琴望(園田学園2兵庫)、乙津美月(八王子3東京)が挙がる。自己記録は5m98と5m97でランキングも3位、4位。今季は5m83が最高だが、昨年は6m12を跳んで全国高校大会も制した中田茉希(大塚3大阪)も本調子なら優勝争いに加わりそうだ。

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三段跳はU20日本選手権で優勝した三木麗菜(姫路商3兵庫)が7月に高校歴代7位の12m80をマーク。近畿大会は2位だったものの、夏に向けて調子を上げてきた。その三木を下して近畿を制した宮繁愛葉(大体大浪商3大阪)も12m68と力がある。同3位の吉田花鈴(大塚3大阪)も12m61と大差なく、走幅跳との2冠が狙える位置につけている。そこに昨年の全国高校大会覇者である大塚葉月(星稜3石川)を加えた4選手が優勝候補と言えそうだ。そこに続くのが12m47の村田友菜(春日丘3大阪)、12m41の片野坂唯月(鹿児島2)ら。入賞ラインは12m10~20台となりそうで、メダル獲得には12m60以上の跳躍が必要か。12m71の大会記録更新にも期待が高まる。

砲丸投は今季14m台を連発している今西あかり(添上3奈良)と奥山琴未(岡山商大附2)の一騎打ちとなりそうだ。自己記録は今西が14m38、奥山が14m44と大差なく、今西は自身初、奥山は中3時以来となる全国タイトルが近づいている。今季の記録では13m86の吉成美羽(青藍泰斗3栃木)、13m82の村瀬にこ(浜松工2静岡)がその次に続くが、昨年の全国高校大会覇者である川口由眞(生光学園2徳島)も自己記録は14m37と、本調子に戻れば優勝争いに加わるはず。メダル争いも熾烈になるだろう。

円盤投は昨年の全国高校大会優勝者の友利晟弓(那覇西2沖縄)が自己記録(45m27)でトップに立ち、2年生Vに突き進む。県大会後に右足首を捻挫したが、南九州大会はしっかり勝ち切った。そこに待ったをかける一番手が東海大会覇者の西井琳音(三重3)。全国高校大会も2位で、自己記録も45m05と僅差で追う。U20日本選手権で11位にとどまるなど不安材料もあるが、友利と優勝を争うことになるのは間違いないだろう。42m台のベストを持つ石澤美菜海(弘前実3青森)、桑島弥々(咲くやこの花2大阪)、廣井楓(就実3岡山)、金華鈴(花園3京都)らがメダルを争う。

ハンマー投は高校記録保持者の村上来花(弘前実3青森)の独壇場となるだろう。自己記録の62m88はランキング2位に8m以上の差をつけ、大会記録をも6m以上上回る。注目は自身が持つ高校記録をどれだけ伸ばせるかだ。村上に次ぐ記録を持つのが54m29の有汲颯妃(玉野光南3岡山)。大舞台に強いほか、ランキング3位に3m以上の差をつけており、順当なら銀メダルは堅い。このほか、50m以上を投げている高橋萌々子(花園3京都)、佐野陽菜(松江工2島根)、西井琳音(三重3)がメダル争いの軸となりそうで、入賞ラインは例年通り48~49m台となりそうだ。

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村上来花(弘前実3青森)

やり投は今季3人が52mをマークするなどレベルが高い。なかでも昨年の全国高校大会で優勝している村上碧海(西条農3広島)は54m72と自己記録で大きくリードする。大舞台で成績が安定しているのも武器で、雨中の中国大会でも52m42の大会新で勝ち切った。52m75の辻萌々子(名古屋大谷3愛知)、52m40の齋藤乃彩(玉野光南3岡山)も今季力をつけており、51m80でU20日本選手権4位の倉田紗優加(伊那北2長野)、同7位で51m52を持つ山川楓(松阪商3三重)も一発が出れば頂点に手が届く可能性を秘めている。

七種競技はただ一人5000点を超えている中尾日香(長田2兵庫)が優勝争いをリードしている。6月のU20日本選手権混成で5002点をマークすると、翌週の近畿大会では5042点と自己新を連発して勢いに乗る。中尾に次ぐ4870点を持つのが南九州大会覇者の松田果子(済々黌3熊本)。5000点の大台に乗せることができればVが見えてくる。4700点台の舘野晃歩(明大中野八王子3東京)、越智心愛(聖カタリナ3愛媛)、下元香凜(白梅学園1東京)、中村和花(大塚2大阪)がメダル争いに加わりそうで、4900点台には乗せたいところだ。

リレー
4継は中京大中京が一歩リード
マイルは相洋が充実の布陣

4×100mリレーは5月に高校歴代6位の45秒44をマークした中京大中京(愛知)が頭一つ抜きんでた存在だ。県大会45秒70、東海大会45秒89と悪くても45秒台でまとめる安定感があり、高校生史上2校目となる44秒台突入も視野に入る。ほかに45秒台をマークしているのが45秒92で北九州大会優勝の大分雄城台と、南関東大会予選で45秒94をマークした市船橋(千葉)。46秒0台の神戸山手女(兵庫)、城西(東京)も力があり、メダル争いは熾烈を極めそうだ。この他にも46秒3台に4チームがひしめき、決勝進出ラインは2年前の46秒22を上回るかもしれない。

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4×400mリレーは南関東大会を3分42秒78で制した相洋(神奈川)がランキング2位に2秒差をつけてトップに立つ。絶対的なエースは不在だが、全員が高い走力を持ち、前半からリードを奪える。ただし多くの選手が個人種目と兼ねているため、真夏のインターハイでは疲労の蓄積が懸念点。そうした意味ではリザーブも含めて豊富な選手層を誇る中京大中京にもチャンスがある。チームベストは3分44秒96だが、この時は800mで優勝候補に挙がる青山を温存していた。アンカー対決になれば、絶対的エースの河内瀬桜を擁する東大阪大敬愛、千葉県大会で非公式ながら53秒台のラップを記録した佐藤葵唯を擁する市船橋(千葉)、55秒27の新田望がいる法政二(神奈川)も面白い。最終種目のマイルでどんなドラマが待っているか。

男子の種目別展望

2年ぶりに開催される全国高校総体(以下、インターハイ)の陸上競技が7月28日~8月1日の5日間、福井市の福井県営陸上競技場(9.98スタジアム)で行われる。2年前の沖縄大会と同様に、男女41種目(男子21種目、女子20種目)が実施。ここではエントリー選手を元に、女子の見どころを紹介していく。

トラック 100mは好勝負の予感 河内に個人3種目制覇の偉業懸かる

100mは11秒65の永石小雪(佐賀北3)、11秒66の角良子(倉吉東3鳥取)、11秒74の佐藤美里(常盤木学園3宮城)の3人に注目が集まる。角は中学3年時のジュニア五輪で優勝し、昨年の全国高校大会で2年生以下最上位の4位に食い込むなど実績十分。対する永石は角が不在のU20日本選手権で優勝し、今季の勢いでは角を上回る。そこに200mでも優勝候補となる佐藤が急激に力をつけており、優勝タイムは悪条件でない限りは11秒5~6台となりそうだ。 角良子(倉吉東3鳥取) 200mは100mとの2冠が狙える佐藤美里(常盤木学園3宮城)が24秒08(+0.4)でU20日本選手権を制し、V候補筆頭と言える。その下は24秒2~4台に9人がひしめき、メダル争いは混戦だ。なかでも注目は南関東大会を制した税田ジェニファー瑠美(城西1東京)。176㎝という長身と長い手足を生かしたダイナミックなフォームで先輩たちを圧倒し、追い風参考ながら23秒94(+2.1)をマークしている。まだまだ伸びしろを秘めていることに加え、個人種目が200mだけという点を加味すれば、1年生優勝も決して不可能な位置ではない。実績のある藏重みう倉橋美穂(ともに中京大中京)、鶴澤亜里沙(相洋3神奈川)、1年生ながら近畿大会を制した坂本実南(和歌山北)らがメダルを争うことになるだろう。 400mは54秒台のベストを持つ河内瀬桜(東大阪大敬愛3)とタネル舞璃乃(埼玉栄3)の一騎打ちになりそう。自己記録では54秒27の河内が54秒54のタネルを上回るが、U20日本選手権ではタネルが2位、河内が3位となった。2人は400mハードルでも優勝候補に挙がり、初日のこの種目を制して残りの種目に勢いをつけたいところだ。3番手争いでは新田望(法政二3神奈川)、小鉢ひなた(諫早3長崎)、大川寿美香(三田国際3東京)、利根川心暖(八王子3東京)ら55秒台前半を持つ7人が2強を追う。準決勝から激しいバトルが繰り広げられそうだ。 800mでは今季2分07秒台に3人。青山理奈(中京大中京3愛知)、小山愛結(安城学園3愛知)、400m、400mハードルに続く個人3冠目を目指す河内瀬桜(東大阪大敬愛3)だ。青山と小山の愛知勢はこれまで何度もぶつかり、大舞台での対戦成績はほぼ互角。河内は他種目の疲れが懸念点で、3種目制覇なら女子トラックでは史上初の快挙だ。1年時に2分07秒81をマークしてインターハイ4位の実績がある谷口ゆき(星稜3石川)、北関東優勝の丹羽遥奈(昌平3埼玉)、全国高校大会6位の長谷川麻央(京都文教3)らも上位候補に挙がる。 河内瀬桜(東大阪大敬愛3) 1500mJ.ニーヴァ(倉敷2)が4分13秒72で優勝争いの中心に立つ。日本人では、昨年の日本選手権で2位に食い込んでいる米澤奈々香(仙台育英3宮城)、U20日本選手権で優勝した大河原萌花(学法石川3福島)、その米澤と大河原を東北大会で下した伊藤瑠音(青森山田3)、今年の日本選手権で高校生最上位の7位に入賞した道清愛紗(須磨学園3兵庫)が有力候補に挙がる。自己記録では4分15秒62の米澤が秀でており、その時の調子にどれだけ戻せるかがポイント。このほか、U20日本選手権で3位の柳楽あずみ(筑紫女学園3福岡)、近畿大会覇者の村松結(立命館宇治3京都)も上位に食い込める力がある。 3000mは7月に日本高校国内国際記録の8分47秒85を出したK.カロライン(神村学園1鹿児島)、同じく8分台のベストを持つW.エスターが優勝候補に挙がる。この2人が中心となってレースが進んでいきそうだが、9分ひとケタの自己記録を持つ米澤奈々香(3年)、杉森心音(2年)の仙台育英コンビが打倒・留学生の一番手に挙がる。杉森はU20日本選手権も制して勝負強さを証明しており、ともに全中1500mを制するなど夏のレースを苦にしていない。留学生の作る高速ペースに乗ることができれば、8分台突入も見えてくる。近畿大会優勝の水本佳菜(薫英女学院2大阪)、北九州大会優勝の松本明莉(筑紫女学園2福岡)、9分06秒22のベストを持つ久保心優(神村学園3鹿児島)も調子を合わせられれば日本人トップの力がありそうだ。 100mハードルは今季2年生に勢いがあり、13秒60の吉田江梨花(園田学園・兵庫)、13秒67の山田裕未(市船橋・千葉)、13秒71の大谷すみれ(法政二・神奈川)、13秒80の藤原かれん(園田学園・兵庫)、13秒87の福嶋ひなた(鳥取中央育英)と、ランキング上位5傑を独占している。直接対決では南関東大会で山田が大谷を下し、近畿大会では藤原が吉田に先着したが、U20日本選手権では吉田が高校生最上位の2位、藤原が3位、大谷が4位という結果となった(山田と福嶋は不出場)。昨年の全国高校大会2位の浅木都紀葉(広島皆実3)や1年時に13秒75をマークしている松本佳音彩(中京大中京3愛知)ら実績ある最上級生たちも黙っていなさそうで、決勝では13秒5~6台のハイレベルな戦いが繰り広げられそうだ。 吉田江梨香と藤原かれん(ともに園田学園2兵庫、左から) 400mハードルは58秒01の河内瀬桜(東大阪大敬愛3)が優勝候補筆頭に君臨する。58秒95のタネル舞璃乃(埼玉栄3)、今季は59秒22が最高ながら昨年58秒89をマークしている大川寿美香(三田国際)が2番手争いをリードし、59秒台の内藤香乃(北摂三田2兵庫)、工藤美月(滝川二3兵庫)らがメダル候補といった構図だ。河内とタネルは400mで勝っていれば3日目のこの種目で2冠目を狙うことになる。 5000m競歩は昨年の全国高校大会で1位、2位を占めた山岸芽生(十日町3新潟)と永井優会(北見緑陵3北海道)のライバル対決に注目が集まる。今季は北海道大会で22分37秒59をマークした永井がリードしているが、山岸も県大会、北信越大会と23分10秒台で安定している。ともに「タイムよりも優勝にこだわる」と明言しており、スパートをどこで仕掛けるかの判断が勝敗を左右しそうだ。このほか3000mで9分20秒19を持つ柳井綾音(北九州市立3福岡)も急激に力をつけており、上位に食らいついていければ、4年前に優勝した先輩・藤井菜々子(現・エディオン)に続く優勝が見えてくる。

フィールド 走高跳&棒高跳で1年生優勝の可能性 ハンマー投の村上は自身の高校記録更新なるか

走高跳では伊藤楓(東京3)が7月に今季高校最高の1m78に成功。ただし1m76に岡野弥幸(埼玉栄3)、森崎優希(明星学園3)、1m75に山下愛生(北摂三田2兵庫)と僅差で続いており、絶対的な優勝候補は不在。これまでの実績でいえば3年前の全中を制し、昨年の全国高校大会で高校生最上位の4位、今年の日本選手権で3位に食い込んだ岡野に一日の長がある。ルーキーの森崎はU20日本選手権を制覇。2017~19年は優勝記録が1m75~77にとどまっており、同水準なら十分に1年生優勝の可能性がありそうだ。 棒高跳は1年生の柳川美空(前橋育英・群馬)がただ一人4m00にクリアして優勝候補筆頭に躍り出る。ただし日本選手権では3m60で17位と力を発揮できず、同大会では3m90を持つ村田蒼空(前橋女子2群馬)と3m94の松本百音(明石商3兵庫)が3m80に成功して13位、15位だった。同時開催のU20日本選手権では今井葉月(樹徳1群馬)が自己新の3m85をクリアして優勝。2位だった荻野未悠(浜松南3静岡)は7月に3m91を成功させている。優勝記録は2017年から3大会連続で3m90となっており、インターハイ初の4m00クリアが見られるかもしれない。 柳川美空(前橋育英1群馬) 走幅跳では6m16のベストを持つ中尾優花(中村学園女3福岡)が優勝候補だ。今季は5月に6m11、6月のU20日本選手権でも追い風参考ながら6m13(+3.8)を跳んで優勝すると、7月に6m16まで伸ばして勢いがある。6m10のベストを持つ吉田花鈴(摂津3大阪)も6月の日本選手権で6位と大舞台での強さを発揮している。今季は6mを超えたのが上記2人のみ。3番手候補としてはU20日本選手権で2位、3位に入った佐藤琴望(園田学園2兵庫)、乙津美月(八王子3東京)が挙がる。自己記録は5m98と5m97でランキングも3位、4位。今季は5m83が最高だが、昨年は6m12を跳んで全国高校大会も制した中田茉希(大塚3大阪)も本調子なら優勝争いに加わりそうだ。 三段跳はU20日本選手権で優勝した三木麗菜(姫路商3兵庫)が7月に高校歴代7位の12m80をマーク。近畿大会は2位だったものの、夏に向けて調子を上げてきた。その三木を下して近畿を制した宮繁愛葉(大体大浪商3大阪)も12m68と力がある。同3位の吉田花鈴(大塚3大阪)も12m61と大差なく、走幅跳との2冠が狙える位置につけている。そこに昨年の全国高校大会覇者である大塚葉月(星稜3石川)を加えた4選手が優勝候補と言えそうだ。そこに続くのが12m47の村田友菜(春日丘3大阪)、12m41の片野坂唯月(鹿児島2)ら。入賞ラインは12m10~20台となりそうで、メダル獲得には12m60以上の跳躍が必要か。12m71の大会記録更新にも期待が高まる。 砲丸投は今季14m台を連発している今西あかり(添上3奈良)と奥山琴未(岡山商大附2)の一騎打ちとなりそうだ。自己記録は今西が14m38、奥山が14m44と大差なく、今西は自身初、奥山は中3時以来となる全国タイトルが近づいている。今季の記録では13m86の吉成美羽(青藍泰斗3栃木)、13m82の村瀬にこ(浜松工2静岡)がその次に続くが、昨年の全国高校大会覇者である川口由眞(生光学園2徳島)も自己記録は14m37と、本調子に戻れば優勝争いに加わるはず。メダル争いも熾烈になるだろう。 円盤投は昨年の全国高校大会優勝者の友利晟弓(那覇西2沖縄)が自己記録(45m27)でトップに立ち、2年生Vに突き進む。県大会後に右足首を捻挫したが、南九州大会はしっかり勝ち切った。そこに待ったをかける一番手が東海大会覇者の西井琳音(三重3)。全国高校大会も2位で、自己記録も45m05と僅差で追う。U20日本選手権で11位にとどまるなど不安材料もあるが、友利と優勝を争うことになるのは間違いないだろう。42m台のベストを持つ石澤美菜海(弘前実3青森)、桑島弥々(咲くやこの花2大阪)、廣井楓(就実3岡山)、金華鈴(花園3京都)らがメダルを争う。 ハンマー投は高校記録保持者の村上来花(弘前実3青森)の独壇場となるだろう。自己記録の62m88はランキング2位に8m以上の差をつけ、大会記録をも6m以上上回る。注目は自身が持つ高校記録をどれだけ伸ばせるかだ。村上に次ぐ記録を持つのが54m29の有汲颯妃(玉野光南3岡山)。大舞台に強いほか、ランキング3位に3m以上の差をつけており、順当なら銀メダルは堅い。このほか、50m以上を投げている高橋萌々子(花園3京都)、佐野陽菜(松江工2島根)、西井琳音(三重3)がメダル争いの軸となりそうで、入賞ラインは例年通り48~49m台となりそうだ。 村上来花(弘前実3青森) やり投は今季3人が52mをマークするなどレベルが高い。なかでも昨年の全国高校大会で優勝している村上碧海(西条農3広島)は54m72と自己記録で大きくリードする。大舞台で成績が安定しているのも武器で、雨中の中国大会でも52m42の大会新で勝ち切った。52m75の辻萌々子(名古屋大谷3愛知)、52m40の齋藤乃彩(玉野光南3岡山)も今季力をつけており、51m80でU20日本選手権4位の倉田紗優加(伊那北2長野)、同7位で51m52を持つ山川楓(松阪商3三重)も一発が出れば頂点に手が届く可能性を秘めている。 七種競技はただ一人5000点を超えている中尾日香(長田2兵庫)が優勝争いをリードしている。6月のU20日本選手権混成で5002点をマークすると、翌週の近畿大会では5042点と自己新を連発して勢いに乗る。中尾に次ぐ4870点を持つのが南九州大会覇者の松田果子(済々黌3熊本)。5000点の大台に乗せることができればVが見えてくる。4700点台の舘野晃歩(明大中野八王子3東京)、越智心愛(聖カタリナ3愛媛)、下元香凜(白梅学園1東京)、中村和花(大塚2大阪)がメダル争いに加わりそうで、4900点台には乗せたいところだ。

リレー 4継は中京大中京が一歩リード マイルは相洋が充実の布陣

4×100mリレーは5月に高校歴代6位の45秒44をマークした中京大中京(愛知)が頭一つ抜きんでた存在だ。県大会45秒70、東海大会45秒89と悪くても45秒台でまとめる安定感があり、高校生史上2校目となる44秒台突入も視野に入る。ほかに45秒台をマークしているのが45秒92で北九州大会優勝の大分雄城台と、南関東大会予選で45秒94をマークした市船橋(千葉)。46秒0台の神戸山手女(兵庫)、城西(東京)も力があり、メダル争いは熾烈を極めそうだ。この他にも46秒3台に4チームがひしめき、決勝進出ラインは2年前の46秒22を上回るかもしれない。 4×400mリレーは南関東大会を3分42秒78で制した相洋(神奈川)がランキング2位に2秒差をつけてトップに立つ。絶対的なエースは不在だが、全員が高い走力を持ち、前半からリードを奪える。ただし多くの選手が個人種目と兼ねているため、真夏のインターハイでは疲労の蓄積が懸念点。そうした意味ではリザーブも含めて豊富な選手層を誇る中京大中京にもチャンスがある。チームベストは3分44秒96だが、この時は800mで優勝候補に挙がる青山を温存していた。アンカー対決になれば、絶対的エースの河内瀬桜を擁する東大阪大敬愛、千葉県大会で非公式ながら53秒台のラップを記録した佐藤葵唯を擁する市船橋(千葉)、55秒27の新田望がいる法政二(神奈川)も面白い。最終種目のマイルでどんなドラマが待っているか。 男子の種目別展望

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