◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021第4戦北見大会(7月14日)
三浦龍司(順大)は、レースを走る度に進化している印象がある。今季は本職の3000m障害で2度の日本新、障害物のないフラットの3000mでもU20日本記録(7分48秒07)を樹立しているが、14日に行われたホクレン・ディスタンスチャレンジ2021第4戦北見大会(北海道)でも驚きの走りを見せた。
東京五輪の3000m障害代表の三浦は、オリンピック本番前の最後のレースとして5000mに出場。三浦が出走した男子5000mAのターゲットタイムは13分40秒で、三浦にとっては自己記録(この試合前まで13分48秒90)を上回る設定タイムだった。
「オリンピックの予選、決勝を想定したレースということで、今回はラスト1000mからの切り替えを意識していました。オリンピックの予選や決勝はラストの切り替えが他のレースとは違う、というか、レベルがさらに上がると思うので、ついて行くだけでなく、自分で行けるような力をつけたい」
三浦は、こんなテーマを持ってレースに臨んでいた。
7月の北海道。日中は30℃を超えていた気温も、スタート時(18時50分)には25℃まで下がり、コンディション面もまずまず。
4000mまでのラップは、
1000m2分41秒2
2000m5分24秒1(2分42秒9)
3000m8分07秒9(2分43秒8)
4000m10分53秒7(2分45秒8)
と、ペースメーカーを務めた東京国際大のイエゴン・ヴィンセントのすぐ後ろについて、設定タイムを上回るペースで三浦はレースを進めた。
そして、テーマに掲げていた4000mに差し掛かると、同じく3000m障害五輪代表の青木涼真(Honda)をも振り切って、400m61秒までペースアップ。ヴィンセントが外れた後もペースを緩めず、三浦はラスト1000mを2分33秒でカバーし、U20日本歴代2位、日本人学生歴代8位、U20アジア歴代4位の13分26秒78で1着フィニッシュした。今季の学生リストでトップに立つ。
「切り替えというか、ギアを増やすことは、大学に入って取り組んできたことだったので、自分でもいいレースだったなと思います。切り替え(ができること)は大きな強みになったと思うので、それを公式レースで出せたのはすごい自信になりました」
三浦にとって、五輪を前に大きな手応えを得たレースになった。ただ、快走にも慢心はない。
「自分の最大の目標は、(五輪の)決勝に残って、世界レベルのレースで自分の力を出して走ること。しっかり決勝に残れるように、最初から自分の力を出していきたいと思います」と、16日後のオリンピック予選突破に向けて、気持ちをいっそう高めていた。
まだまだ青天井の19歳。「東京五輪では決勝に残るだけでなく、(自身の持つ)日本記録を更新したいです」とも話しており、五輪本番で今季3度目(もしかしたら決勝で4度目も!?)の日本記録更新も見られるかもしれない。
三浦が登場する男子3000m障害の予選は、陸上競技の第1日目のモーニングセッションに実施。つまり日本チームの先陣を切ることになるだけに、三浦が快走を見せれば、日本チームをいっそう勢いづけることになりそうだ。
うっかりすると忘れてしまいそうだが、2月生まれの三浦はまだU20世代今回5000mで、昨年12月の日本選手権で同学年の吉居大和(中大)がマークしたU20日本記録(13分25秒87)には惜しくも届かなかったが、秋以降に記録更新の可能性は十分あるだろう。三浦自身、「次に走る時には目指していきたい」と意欲を示していた。3000m障害、ハーフマラソン(U20日本最高記録)、3000mと、次々にU20日本記録を塗り替えてきただけに、稀代のランナー、三浦のマルチな活躍ぶりはまだまだ続きそうだ。東京五輪出場も三浦の陸上人生の序章に過ぎないのかもしれない。
写真・文/和田悟志
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.04.19
和田遼がDL廈門・男子100mに出場決定! オレゴン金のカーリー、先輩の桐生祥秀らと対決
2024.04.19
編集部コラム「新年度スタート」
-
2024.04.19
-
2024.04.19
-
2024.04.19
2024.04.17
パリ五輪の公式スポーツウエアが公開!赤を基調にパリの日の出イメージ 環境への配慮も
-
2024.04.18
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.03.28
-
2024.04.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.04.19
和田遼がDL廈門・男子100mに出場決定! オレゴン金のカーリー、先輩の桐生祥秀らと対決
4月19日、ダイヤモンドリーグ(DL)の主催者は20日に行われる第1戦廈門大会のスタートリストを発表し、男子100mに和田遼(ミキハウス)が新たにエントリーされたことが明らかとなった。 和田は東洋大卒の23歳。京都・洛南 […]
2024.04.19
北京ハーフマラソンで優勝した何傑を含む上位4人の成績を取り消し アフリカ選手がフィニッシュ前に順位譲り国際的な問題に
4月19日、北京ハーフマラソン組織委員会は、14日のレースで優勝した何傑(中国)を含む、上位4人の成績を取り消すことを発表した。 このレースでは何が1時間3分44秒で優勝を飾ったが、フィニッシュ寸前で先導していたケニアの […]
2024.04.19
編集部コラム「新年度スタート」
毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 広告の下にコンテンツが続きます 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り […]
2024.04.19
十種競技・右代啓祐が7164点 06年から続く7000点超えを“19年連続”に伸ばす/マウントサックリレー
4月17日、18日の両日、米国カリフォルニア州ウォルナットで第64回マウントサックリレーの1日目、2日目が行われ、男子十種競技に出場した右代啓祐(国士舘クラブ)が7164点で14位に入った。 8308点の日本記録を持つ右 […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!