2021.05.24
緊急事態宣言下で行われたインターハイ愛知県大会は5月21日から3日間、岡崎市の龍北競技場で開催された。家族・友人の応援をシャットアウトし、閑散とした競技場は初日が梅雨空、2日目は曇り空ながら心地よい風に包まれ、3日目は初夏の陽射しを浴びた。
大会のハイライトは2日目の最終プログラム。中京大中京が男女アベック優勝を遂げた4×100mリレー決勝だった。
この日は100mのラウンドすべてが行われる日でもあり、男女とも中京大中京勢が制覇。男子は舘野峰輝(3年)、田邉隼門(2年)、香山勇輝(2年)が1、2、4着を占めた。優勝記録は10秒67(-0.9)だが、準決勝では舘野が10秒57(+1.6)、田邉が10秒58(±0)の自己新を出している。女子100mは11秒95(-1.1)の倉橋美穂(3年)と藏重みう(2年)がワン・ツーを決めた。
男子の田邉隼門、女子の福本萌菜(3年/準決勝敗退)以外の100m出場者は、リレーの予選と準決勝を回避してリザーブメンバーに委ねた。男子エースの舘野は予選、準決勝を務めた向井悠汰(1年)、桂木大和(3年)の名をあげ、女子をけん引する倉橋は片山心菜(1年)、福本の「つないでくれたバトン」に、感謝の思いを乗せたという。
倉橋は100mでラウンドを重ねるごとに「調子をどんどん上げていけた」と言い、4×100mリレー決勝の2走には「急遽入ることになった」と明かす。これは、リザーブメンバーでも東海大会進出には不足ない戦力を背景に、まずは100mに集中させた北村肇監督の配慮もあるだろう。
そのリレーで「一番いい走りができたのでは」と倉橋は振り返る。いつもはピタリと合う3走・須崎心優へのバトンパスだが、倉橋のスピードが高く「すごく詰まった」。
県大会へのステップとなる名古屋南支部で46秒24。5月9日のREADY STEADY TOKYOで高校歴代6位45秒44。続いて今大会の45秒70。大会記録を46秒49(2015年愛知高)から大幅に更新し、「全国優勝と44秒台」に照準を定める。
男子4継で高校歴代6位の好タイムが誕生
衝撃度は男子が上回った。香山、舘野、田邉、高橋大地(2年)とつないだトラック1周。1走が100m4位の香山だけあって、序盤から大きくリードする。1~2走のバトンパスが、走者の身体が重なりそうなくらいに詰まった。だが、2~3走、3~4走の受け渡しはスムーズ。
2走のバトンパスは高橋が上体をめいっぱい倒してフィニッシュすると、フィニッシュタイマーは「40.01」で停止した。正式タイムは高校歴代7位となる40秒00。2年前の自チームが残した40秒49の大会記録を大幅に塗り替えた。
「まだミスがある。しっかり治していけば、2年前の39秒79も超えられるのではないかと思っています」と舘野。中京大中京は2年前にインターハイ男子4×100mリレーを制覇。その準決勝で出した39秒79がインターハイの大会記録だが、そのチームを上回るポテンシャルを示したと言える。
最終日の200m。舘野は向かい風1.8mを受ける条件で21秒32の大会新をマーク。女子は倉橋と藏重が100m同様ワン・ツーを決めた。
中京大中京は男女4×400mリレーも制し、男女ミドル陣、男子棒高跳、子やり投、女子七種競技などで充実の結果を残した。この先も「C」の旋風が続きそうだ。
大会注目種目のひとつだった男子110mハードルは、雨間のレースを西徹朗(名古屋3)が14秒13(―0.6)で制し、この種目の元・日本記録保持者である内藤真人の大会記録14秒25(1998年)を塗り替えた。西は故障上がりで2位だったライバル・高橋遼将(中京大中京3/自己記録14秒05)を慮り、「高橋が復活してきた時に負けないようにやっていきます」と先を見据える。
学校対抗は男女ともに中京大中京が制した。
文/奥村 崇
緊急事態宣言下で行われたインターハイ愛知県大会は5月21日から3日間、岡崎市の龍北競技場で開催された。家族・友人の応援をシャットアウトし、閑散とした競技場は初日が梅雨空、2日目は曇り空ながら心地よい風に包まれ、3日目は初夏の陽射しを浴びた。
大会のハイライトは2日目の最終プログラム。中京大中京が男女アベック優勝を遂げた4×100mリレー決勝だった。
この日は100mのラウンドすべてが行われる日でもあり、男女とも中京大中京勢が制覇。男子は舘野峰輝(3年)、田邉隼門(2年)、香山勇輝(2年)が1、2、4着を占めた。優勝記録は10秒67(-0.9)だが、準決勝では舘野が10秒57(+1.6)、田邉が10秒58(±0)の自己新を出している。女子100mは11秒95(-1.1)の倉橋美穂(3年)と藏重みう(2年)がワン・ツーを決めた。
男子の田邉隼門、女子の福本萌菜(3年/準決勝敗退)以外の100m出場者は、リレーの予選と準決勝を回避してリザーブメンバーに委ねた。男子エースの舘野は予選、準決勝を務めた向井悠汰(1年)、桂木大和(3年)の名をあげ、女子をけん引する倉橋は片山心菜(1年)、福本の「つないでくれたバトン」に、感謝の思いを乗せたという。
倉橋は100mでラウンドを重ねるごとに「調子をどんどん上げていけた」と言い、4×100mリレー決勝の2走には「急遽入ることになった」と明かす。これは、リザーブメンバーでも東海大会進出には不足ない戦力を背景に、まずは100mに集中させた北村肇監督の配慮もあるだろう。
そのリレーで「一番いい走りができたのでは」と倉橋は振り返る。いつもはピタリと合う3走・須崎心優へのバトンパスだが、倉橋のスピードが高く「すごく詰まった」。
県大会へのステップとなる名古屋南支部で46秒24。5月9日のREADY STEADY TOKYOで高校歴代6位45秒44。続いて今大会の45秒70。大会記録を46秒49(2015年愛知高)から大幅に更新し、「全国優勝と44秒台」に照準を定める。
男子4継で高校歴代6位の好タイムが誕生
衝撃度は男子が上回った。香山、舘野、田邉、高橋大地(2年)とつないだトラック1周。1走が100m4位の香山だけあって、序盤から大きくリードする。1~2走のバトンパスが、走者の身体が重なりそうなくらいに詰まった。だが、2~3走、3~4走の受け渡しはスムーズ。 2走のバトンパスは高橋が上体をめいっぱい倒してフィニッシュすると、フィニッシュタイマーは「40.01」で停止した。正式タイムは高校歴代7位となる40秒00。2年前の自チームが残した40秒49の大会記録を大幅に塗り替えた。 「まだミスがある。しっかり治していけば、2年前の39秒79も超えられるのではないかと思っています」と舘野。中京大中京は2年前にインターハイ男子4×100mリレーを制覇。その準決勝で出した39秒79がインターハイの大会記録だが、そのチームを上回るポテンシャルを示したと言える。 最終日の200m。舘野は向かい風1.8mを受ける条件で21秒32の大会新をマーク。女子は倉橋と藏重が100m同様ワン・ツーを決めた。 中京大中京は男女4×400mリレーも制し、男女ミドル陣、男子棒高跳、子やり投、女子七種競技などで充実の結果を残した。この先も「C」の旋風が続きそうだ。 大会注目種目のひとつだった男子110mハードルは、雨間のレースを西徹朗(名古屋3)が14秒13(―0.6)で制し、この種目の元・日本記録保持者である内藤真人の大会記録14秒25(1998年)を塗り替えた。西は故障上がりで2位だったライバル・高橋遼将(中京大中京3/自己記録14秒05)を慮り、「高橋が復活してきた時に負けないようにやっていきます」と先を見据える。 学校対抗は男女ともに中京大中京が制した。 文/奥村 崇RECOMMENDED おすすめの記事
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