2021.05.16
中学時代から全国大会で活躍していた佐藤圭汰(洛南3京都)の存在感がより一層高まっている。今年2月のU20日本選手権クロカンでは強力なケニア人留学生と対等に渡り合う姿に、今後の飛躍が予想された。そして4月に入ると、その進化は勢いを増した。10日の金栗記念選抜では1500mで高校歴代2位の3分40秒36、29日の織田記念では5000mで同4位の13分42秒50。今夏の福井インターハイは、日本人では1992年の中原大輔(由良育英・鳥取)以来となる1500m・5000m2冠を見据えている。
◎文/花木 雫 撮影/弓庭保夫
中長距離3種目で好記録連発
カメラマンにポーズをせがまれ、あどけなく笑う姿は今どきの高校生そのものだ。しかし、前傾姿勢を保ち、ジョグと変わらぬ力感でショートインターバルをこなす姿は、183㎝・67㎏のスラリと伸びた体格とも相まって欧米の選手を彷彿とさせる。
暮れの全国高校駅伝で日本高校最高の2時間2分07秒をマークし、3位入賞を果たした洛南(京都)。その3区を走り、2年生ながら日本人トップの区間5位(23分40秒/日本人区間歴代5位)の快走を見せ、チームを勢いづけたのが佐藤圭汰(3年)だ。それでもレース後、佐藤が口にしたのは喜びではなく〝悔しさ〟だった。
「チームとしては良かったですが、個人の走りとしては満足のいく結果ではありませんでした。これからはさらに記録、そして1位にこだわりたい」
そう熱く語った言葉通り、年明けからチームの主将となった佐藤の快進撃が始まった。1月16日に行われた京都陸協記録会3000mで高校歴代2位となる8分00秒09をマークしたのを皮切りに、続く2月のU20日本選手権クロスカントリー(8㎞)では2位以下を30秒近く引き離して圧勝(23分19秒)。3月の伊那駅伝では雨のなか「得意」と話す下りの4区(9.1㎞)でこちらも区間2位に47秒の大差をつける区間トップ(25分31秒)の走りでチームの優勝に貢献した。
その勢いはトラックでも加速。4月の金栗記念選抜1500mでは日本の一線級に交じって、高校歴代2位の3分40秒36を叩き出した。それでもなお、佐藤からはまたも反省の弁。そこには常に現状に満足せず、高い頂を見据え突き進むアスリート像が見え隠れする。
「3000mも(U20日本記録7分54秒79を破る)7分55秒切りを目指していましたし、伊那駅伝も留学生(ポール・カマイシ/世羅、2014年)の持つ区間記録(25分12秒)の更新を狙っていました。1500mも高校記録(3分38秒49)の更新を目指して準備をしてきましたが、3周目にペースが落ちた分だけ届きませんでした」
今回、取材に訪れたのは3度目の緊急事態宣言が出る前の4月18日。次走を予定していたゴールデンゲームズ in のべおか(5000m)に向けてトレーニングを積んでいる最中だった。その日の練習は、昨シーズン更新されたばかりの高校記録(13分34秒74)を大きく上回る13分20秒を想定。63~ 64秒(200mジョグ50秒切り)で設定された400mのインターバルを余裕を持ってこなし、「13分30秒は必ず切りたい。練習も順調にこなせているので自信があります」と力強く話した。
結果的に延岡のレースは中止となったが、急きょ出場を決めた4月29日の織田記念5000mで高校歴代4位の13分42秒50をマーク。今年中にどれだけ記録を更新するのか、期待は高まる一方だ。
1500m、3000m、5000mで好記録を連発した佐藤圭汰(洛南3京都)
活躍の原動力となっている高1の故障
佐藤が陸上を始めたのは小学校3年生から。高校時代、陸上部に所属していた父親の勧めもあり、「楽しく体力をつけられれば」という軽い気持ちからのスタートだった。
この続きは2021年5月14日発売の『月刊陸上競技6月号』をご覧ください。
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中長距離3種目で好記録連発
カメラマンにポーズをせがまれ、あどけなく笑う姿は今どきの高校生そのものだ。しかし、前傾姿勢を保ち、ジョグと変わらぬ力感でショートインターバルをこなす姿は、183㎝・67㎏のスラリと伸びた体格とも相まって欧米の選手を彷彿とさせる。 暮れの全国高校駅伝で日本高校最高の2時間2分07秒をマークし、3位入賞を果たした洛南(京都)。その3区を走り、2年生ながら日本人トップの区間5位(23分40秒/日本人区間歴代5位)の快走を見せ、チームを勢いづけたのが佐藤圭汰(3年)だ。それでもレース後、佐藤が口にしたのは喜びではなく〝悔しさ〟だった。 「チームとしては良かったですが、個人の走りとしては満足のいく結果ではありませんでした。これからはさらに記録、そして1位にこだわりたい」 そう熱く語った言葉通り、年明けからチームの主将となった佐藤の快進撃が始まった。1月16日に行われた京都陸協記録会3000mで高校歴代2位となる8分00秒09をマークしたのを皮切りに、続く2月のU20日本選手権クロスカントリー(8㎞)では2位以下を30秒近く引き離して圧勝(23分19秒)。3月の伊那駅伝では雨のなか「得意」と話す下りの4区(9.1㎞)でこちらも区間2位に47秒の大差をつける区間トップ(25分31秒)の走りでチームの優勝に貢献した。 その勢いはトラックでも加速。4月の金栗記念選抜1500mでは日本の一線級に交じって、高校歴代2位の3分40秒36を叩き出した。それでもなお、佐藤からはまたも反省の弁。そこには常に現状に満足せず、高い頂を見据え突き進むアスリート像が見え隠れする。 「3000mも(U20日本記録7分54秒79を破る)7分55秒切りを目指していましたし、伊那駅伝も留学生(ポール・カマイシ/世羅、2014年)の持つ区間記録(25分12秒)の更新を狙っていました。1500mも高校記録(3分38秒49)の更新を目指して準備をしてきましたが、3周目にペースが落ちた分だけ届きませんでした」 今回、取材に訪れたのは3度目の緊急事態宣言が出る前の4月18日。次走を予定していたゴールデンゲームズ in のべおか(5000m)に向けてトレーニングを積んでいる最中だった。その日の練習は、昨シーズン更新されたばかりの高校記録(13分34秒74)を大きく上回る13分20秒を想定。63~ 64秒(200mジョグ50秒切り)で設定された400mのインターバルを余裕を持ってこなし、「13分30秒は必ず切りたい。練習も順調にこなせているので自信があります」と力強く話した。 結果的に延岡のレースは中止となったが、急きょ出場を決めた4月29日の織田記念5000mで高校歴代4位の13分42秒50をマーク。今年中にどれだけ記録を更新するのか、期待は高まる一方だ。
活躍の原動力となっている高1の故障
佐藤が陸上を始めたのは小学校3年生から。高校時代、陸上部に所属していた父親の勧めもあり、「楽しく体力をつけられれば」という軽い気持ちからのスタートだった。 この続きは2021年5月14日発売の『月刊陸上競技6月号』をご覧ください。
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