東京世界選手権の開幕を控える9月4日、都内で壮行会が開かれ、その後に選手は国立競技場へ移動。練習公開と取材対応があった。
「過去最高のメンバー」
リレーの主将に任命された桐生祥秀(日本生命)の言葉に熱がこもる。最終日に決勝が行われる男子4×100mリレーは19年ドーハ大会(銅)以来のメダルに向け、短距離担当の信岡沙希重コーチは「金メダルも目指せる」と、悲願の世界大会金メダルも見据えている。
31日から合宿をスタート。今回は男女混合4×400mリレーでの“異例”の選出となった栁田大輝(東洋大)、清水空跳(星稜高2)なども含め大人数に。この日も午前中にいろいろなメンバーの組み合わせでバトン練習を行った。
そうしたなか、「軸になる」と言うのはやはり、100mと200mの日本選手権チャンピオンである桐生と鵜澤飛羽(JAL)だ。信岡コーチも「3走のスペシャリストである桐生選手と、200mの鵜澤選手は個人もあるのでバトンの負担が少ないところ」と3走・桐生、4走・鵜澤が中心になる。
これまで、リオ五輪銀メダルをはじめ、世界でメダルを手にしてきた中で3走・桐生が日本の武器だった。今年は9秒99と8年ぶりに10秒を切り、絶好調で迎える。
合宿の雰囲気も「すごく良い」と選手、スタッフともに口々に言う。鵜澤は「桐生さんと小池さんがいてくれるのは大きい。自分がわからないところを言わなくても、教えてくれたりしました」と、経験豊富な2人がチームを牽引する。
有効期間内の記録のトップ4もサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)の9秒96、桐生の9秒99、複数人が出している10秒00と、過去最高の数字。それに加えて、代々、継承してきたバトン技術がある。
代表チームはバトンパス区間の40mのタイムを一つに指針にしているが、過去トップクラスのタイムでもある3秒7が複数組み合わせで出せているという。桐生は「まだやったことのないメンバーもいるので少し時間はかかるかもしれませんが、そこさえできれば過去最高のメンバーだと思います」とうなずく。
ぎりぎりまで標準記録突破を目指し続け、最終的にリレー代表となった栁田は「全員が納得できる選ばれ方ではないというのはわかっています。その分は自分の走り、パフォーマンスで示したい」とメンバー入りを見据えている。
信岡コーチは「15年北京大会以降の世界大会で銅メダルの最高は19年ドーハの日本の37秒43(アジア記録)です。まずはその日本記録を狙えばメダルは見えますし、37秒3を出せば金メダルの可能性もあります。十分狙えるメンバーです」と期待を込める。
21年東京五輪では途中棄権でバトンがつながらなかった悔しい経験も知っている桐生。「最近はメダルを取れていないので、自国開催でしっかりメダルを取りたい」。鵜澤は「僕のところでメダルの色が変わる。自分が走るんだという気持ちでずっとやってきました。さっきトラックに立った時はここを走るんだと思いました。100mの選手にも劣らないスピードを持っていると思うので、4走が適任」と強い思いを語る。
3大会ぶりのメダル、そして悲願の世界一へ。伝統のバトンワークとチームワーク、そして個の力を集合してつかみ取りに行く。
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