2025.04.15
女子100mハードル元日本記録保持者の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が都内で会見を開き、今季限りでの第一線を退く意向を表明した。
冒頭のキャリアを振り返るVTRが流れると、登壇早々から涙を浮かべた寺田。一線を退く意向を明かし、「日本選手権など代表選考レースなどに出場するのは今シーズンが最後。東京世界選手権目指して頑張りたい」と語る。今後は4月29日の織田記念でシーズンインし、日本GPシリーズなどを経て日本選手権に向かって行く予定。「最後のシーズンの本気の走りをたくさんの方々に見ていただきたいこのタイミングで発表しました」。
この日は交流のある清宮幸太郎(日本ハムファイターズ)からのビデオメッセージ、さらに父・清宮克幸さん(日本ラグビーフットボール協会副会長)がサプライズ登壇して息子が使用しているバッドを贈呈した。
「引退」の文字を使わない理由についてはこう語る。「全国の陸上競技場を回りたいという一つの夢がありました。競技場を回って、いろんな世代の競技者とガチンコレースをしたい。秋以降も来年までしっかり冬季練習をする。だから引退という言葉を使いません」。
他にも、期間限定で、小学生を対象にした走りの基本を伝える陸上教室や、中高生に向けてのスプリントセッション、学校・企業向けの講演会など、各地を回る予定だ。
ずっと「辞め方を探していた」と寺田。東京五輪が無観客になったことで「応援してくださる方々に見てもらえなかった」ことも走り続けてきた理由の一つ。福部真子(日本建設工業)や青木益未(七十七銀行)、田中佑美(富士通)らが寺田の背中を追ってどんどんと成長するなか、「競らないといけないと思う一方で、『頑張れ』と思うことが増えた」とも。
通算22年になる競技生活について「大した成績を残せていないのは悔いがありますが、戻ってきてくれてありがとうと言ってもらえて、戻ってきた意味というのが見出せた」。一度は嫌いになり、競技場に行くのさえ苦しくなった頃と思い、「陸上競技の良さを、自信を持って伝えられるようになったのは悔いが残らない」と胸を張った。
また、娘の果緒ちゃんも陸上を始めたそうで「私を見て走りの楽しそうと思ってくれたのがうれしい。娘が(陸上を)やりたいと言ってくれた時にやっていてよかったと思った」。この日は愛娘から花束も贈呈された。
改めて自身にとって陸上競技は「私の人生を豊かにしてくれたもの。目標設定や、試行錯誤していく過程、みなさんとのつながりを持たせてくれた」。もちろん、最後のシーズンで狙うのは東京世界選手権。「日本選手権は優勝して“勝ち逃げ”したい」。秋には、21年には無観客だった国立競技場で、めいっぱい走り抜ける姿を示すつもりだ。
寺田は1990年生まれの35歳で北海道出身。恵庭北高時代に中村宏之氏の指導を受け、100mハードルでインターハイ3連覇、高3時には100mとの2冠を成し遂げた。卒業後も北海道ハイテクACで中村氏のもとで成長。日本選手権は2008年に3連覇し、09年に出した13秒05は今もU20日本記録として残る。同年にはベルリン世界選手権に出場した。
13年に一度は現役を退き、その後、結婚、出産を経て7人制ラグビーに挑戦。五輪を目指したが届かなかった。
19年に陸上に電撃復帰すると、同年8月には金沢イボンヌの日本記録に並ぶ13秒00をマーク。さらに翌月に、日本女子初の13秒切りとなる12秒97をマーク。ドーハ世界選手権にも出場した。その後も、21年に12秒96、12秒87と日本新を出すと、悲願の東京五輪にも出場を果たす。
パリ五輪を目指す過程で22年はほぼシーズンを休養・強化に充てると、23年には12秒86の自己新(当時・日本歴代2位タイ、現・3位タイ)をマークし、日本選手権も制して同年のブダペスト世界選手権で日本代表入り。昨年のパリ五輪出場はならなかった。
一度は集大成とし、昨年の日本選手権後も「最後になるかもしれない」と語っていたが、その後は現役続行の意向を示していた。今年9月に行われる東京世界選手権のアスリートアンバサダーも務めている。
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