2024.08.30
◇Athlete Night Games in FUKUI 2024(8月30日/福井・9.98スタジアム)
日本グランプリシリーズG2のAthlete Night Games in FUKUI 2024が行われ、男子砲丸投で奥村仁志(センコー)が19m09をマーク。日本人で初めて19mオーバーを果たした。
地元・福井で歴史を動かした。投てきピットの近くに並んだ観客の声援を受け、優勝を決めた6回目。「冷静にかつ、闘志を燃やして。最後は思いっきり投げました」。指にかかった感じはなかったというが、「考えずに投げられた」ことでビッグプットにつながったと振り返る。大声援に「サイコーです!!」と応えた。
1投目から18m19を投げ、3回目には18m40。「コンスタントに18mを超えられていた」と手応えがあった。この1ヵ月で「右脚で蹴った後に跳んでしまっていた」部分を改善。パリ五輪を含めて海外トップ選手の脚の運びなどを細かく分析して感覚を研ぎ澄ませていった。
砲丸投を始めたのは福井・和泉中時代。当時、全校生徒はわずか9人だった。小学校の時に相撲にも取り組み、わんぱく相撲、中1では相撲で全中に進んでいる。中学卒業時にはいくつかの相撲部屋からもオファーが届いたほどの逸材だった。ただ、奥村はたった1人で投げ込んでいた砲丸投に夢中になった。中3時の国体では今も残る17m85の中学記録を樹立している。
全国屈指の強豪・敦賀高に進んでからは土台作りの日々。「インターハイの表彰台にも上れなかった」。伝統の坂道ダッシュに何度も挫けそうになったが、「心折れずにできて、下積みがあったから」だという。国士大では女子砲丸投日本記録保持者の森千夏(故人)らを育てた岡田雅次監督のもと「ウエイトトレーニングなどもして、岡田監督と試行錯誤しながらやってこられました」。
この日、国内大会では珍しく記録を示すラインが「17m」と「19m」に敷かれていた。高校時代に指導を受けた中山東コーチが「仁志が投げるはず」と思いを込めて設定していた。台風で中止の可能性もある中での実施。「今日投げるしかない。日本記録は行きたい」と意気に感じていた奥村が、大記録で応えてみせた。
この記録を投げてなお、世界から遠い種目なのは十分に理解している。だが、190cm、150kgの大きな身体が、小さなサークルで7.26kgの小さな鉄球をどれだけ遠くに飛ばせるか。この種目を愛し、究めていくつもりでいる。
普段からあまり大きな記録を明言せず「自己ベストを」と言う奥村。「まずはアジアの大会に出ることを目標に頑張っていきたいです」。一歩ずつ、少しずつ。これからも日本の砲丸投の歴史を塗り替えていく。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.12.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.11
タイの19歳ブーンソンが100m9秒94!!!日本記録上回るアジア歴代3位、U20世界選手権2大会ファイナル
東南アジア大会がタイ・バンコクのスパチャラサイ競技場で行われ、男子100mでタイのプリポル・ブーンソンが9秒94(+0.7)をマークした。 予選で出されたこの記録はアジア歴代で日本記録(9秒95:山縣亮太)を上回る3位。 […]
2025.12.11
青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」
第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 壮行会後に記者会見が行われ、一番のライバル校を問われた原監督は「一番はやはり駒澤大学です。ここ11年 […]
2025.12.11
箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」
第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 お昼休みで多くの学生や教職員が集まるなか、原監督は「シーズン当初は新体制となり、学生たちには『勝つ確 […]
2025.12.10
【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ
第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025