◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)9日目
パリ五輪・陸上競技9日目のイブニングセッションが行われ、女子10000mはベアトリス・チェベト(ケニア)が30分43秒25で制し、5000mとの2冠に輝いた。この組み合わせでの2冠は08年北京大会のティルネス・ディババ(エチオピア)、前回大会のシファン・ハッサン(オランダ)に続く史上3人目の快挙だ。
序盤はスローペースから、五島莉乃(資生堂)が引っ張る展開。5000mを15分38秒4で通過したあたりから徐々にレースが動き始めたが、誰からが大きくレースを動かすことはしない。その中で、チェベトは常に先頭のすぐ近くの位置をキープし続けた。
細かい揺さぶりが続きながら、10人ほどの集団でラスト1周へ。そこからのスプリント勝負で、チェベトはバックストレートから満を持してスパートをかけた。昨年のブダペスト世界選手権覇者のグダフ・ツェガイ(エチオピア)が追い切れず、ハッサンも追い上げたが届かない。ただ1人食い下がった欧州女王のナディア・バットクレッティ(イタリア)を0.10秒差で退け、フィニッシュラインを駆け抜けた。
これまで、世界選手権雄5000mで22年オレゴン銀、23年ブダペスト銅と2つ目のメダルを獲得しているものの、一躍注目を集めたのは今季。5月のダイヤモンドリーグ(DL)・ユージン大会10000mで、トラックでは史上初の29分切りとなる28分54秒14の世界新記録を樹立した。同種目の公認レースでは自身2度目の挑戦での快走に、世界中が衝撃を受けた。
そして、五輪初出場だった今大会で2冠と大ブレイク。「とてもうれしいです。5000mと10000mを走るのは簡単なことではありません。でも、集中して、達成できると信じていました」と振り返る。
特に世界記録を持つ10000mは、「ケニアは金メダルを獲得したことがありません。だから、10000mで金メダルを獲得するケニア最初の女性になりたいと思っていました」。意外にも同種目でまだ手にしていなかった勲章を、長距離王国にもたらした。
「まず5000m、次に10000m」と語っていた目標を、有言実行で見事に成し遂げた24歳。時代の到来を告げる、圧巻の強さだった。
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