HOME 国内

2024.07.01

100mH寺田明日香「最後の日本選手権になるかもしれない」五輪目指し12秒台連発、涙の3位/日本選手権
100mH寺田明日香「最後の日本選手権になるかもしれない」五輪目指し12秒台連発、涙の3位/日本選手権

寺田明日香の元に駆け寄る福部真子と田中佑美

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目

パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた女子100mハードルは、福部真子(日本建設工業)が12秒86(-0.2)で2年ぶり2度目の優勝。参加標準記録を準決勝で突破していたため、パリ五輪代表に内定した。

2位に田中佑美(富士通)が続き、3位に寺田明日香(ジャパンクリエイト)が入った。

フィニッシュ後には涙がこぼれた。

「いろんな思いがあります。今やれることはやってきたので、仕方ないと思っています」

将来を期待されたハードラーとして彗星のごとく現われ、高校記録を出し、世界選手権にも出場した。その後、引退し、結婚、出産を経てラグビーに挑戦。そして2019年、オリンピックを目指してトラックに戻ってきた。

広告の下にコンテンツが続きます

日本女子初の12秒台に突入。東京五輪にも出場し、夢を叶えた。だが、そのスタンドに、応援してくれる人たち、愛する家族の姿はなかった。もう一度、と奮起したここまでの3年間。時には試合出場を抑えてでも、この1本に懸けてきた。

だが、「35歳を前にして本当に身体が動かなくなってきたとすごく感じる。全然走れなかった」。脚の痛みにも耐えながら何とか仕上げたからこそ、「13秒かからないで日本選手権を終えられた」。それでも、参加標準記録(12秒77)に届かず、ワールドランキングでも出場枠には届かなかった。

「オリンピックイヤーに合わせられなかったのは、前の自分に戻っちゃったのかなと思ったり…」。ただ、この大一番で12秒台をそろえてトップ3位
に入る存在感は際立つ。

これまで何度も「最後のオリンピックへの挑戦」と口にしてきた寺田。明言は避けたが、「これが最後の日本選手権になるかもしれない」。それだけ「懸けてきた」。だからこそ、簡単に来年のことは語れない。

「(福部)真子ちゃん、(田中)佑美ちゃん、青木(益未)を含めて、みんなで3枠を争ってきて、行けなかったのはすごく残念です」

寺田の元にともに戦ったハードラーが駆け寄る。みな、寺田明日香の偉大さを理解し、その背中を追って成長してきた。

「一度引退した時の日本選手権では予選で落ちて、みなさんにご挨拶できずに姿を消しました。次にトップシーンから退く時は、いろんな方の前で走って辞めたい。中高生と一緒に走るのか、陸上教室なのか、いろいろなところにいって辞めたいと思っています」

もう少し、その美しく、芸術的なハードリングを見たい。そう思うファンは多い。今は静かに、寺田の決断を待つ。

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目 パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた女子100mハードルは、福部真子(日本建設工業)が12秒86(-0.2)で2年ぶり2度目の優勝。参加標準記録を準決勝で突破していたため、パリ五輪代表に内定した。 2位に田中佑美(富士通)が続き、3位に寺田明日香(ジャパンクリエイト)が入った。 フィニッシュ後には涙がこぼれた。 「いろんな思いがあります。今やれることはやってきたので、仕方ないと思っています」 将来を期待されたハードラーとして彗星のごとく現われ、高校記録を出し、世界選手権にも出場した。その後、引退し、結婚、出産を経てラグビーに挑戦。そして2019年、オリンピックを目指してトラックに戻ってきた。 日本女子初の12秒台に突入。東京五輪にも出場し、夢を叶えた。だが、そのスタンドに、応援してくれる人たち、愛する家族の姿はなかった。もう一度、と奮起したここまでの3年間。時には試合出場を抑えてでも、この1本に懸けてきた。 だが、「35歳を前にして本当に身体が動かなくなってきたとすごく感じる。全然走れなかった」。脚の痛みにも耐えながら何とか仕上げたからこそ、「13秒かからないで日本選手権を終えられた」。それでも、参加標準記録(12秒77)に届かず、ワールドランキングでも出場枠には届かなかった。 「オリンピックイヤーに合わせられなかったのは、前の自分に戻っちゃったのかなと思ったり…」。ただ、この大一番で12秒台をそろえてトップ3位 に入る存在感は際立つ。 これまで何度も「最後のオリンピックへの挑戦」と口にしてきた寺田。明言は避けたが、「これが最後の日本選手権になるかもしれない」。それだけ「懸けてきた」。だからこそ、簡単に来年のことは語れない。 「(福部)真子ちゃん、(田中)佑美ちゃん、青木(益未)を含めて、みんなで3枠を争ってきて、行けなかったのはすごく残念です」 寺田の元にともに戦ったハードラーが駆け寄る。みな、寺田明日香の偉大さを理解し、その背中を追って成長してきた。 「一度引退した時の日本選手権では予選で落ちて、みなさんにご挨拶できずに姿を消しました。次にトップシーンから退く時は、いろんな方の前で走って辞めたい。中高生と一緒に走るのか、陸上教室なのか、いろいろなところにいって辞めたいと思っています」 もう少し、その美しく、芸術的なハードリングを見たい。そう思うファンは多い。今は静かに、寺田の決断を待つ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.03

パリ五輪女子200m金のトマスが出場辞退 男子砲丸投銀のコヴァクスは出場権得られず/東京世界陸上

米国陸連は9月13日に開幕する東京世界選手権の米国代表を発表し、女子200mでパリ五輪金メダリストのG.トマスが出場しないことが明らかになった。トマスは7月の全米選手権で22秒20をマークして3位に入ったが、アキレス腱の […]

NEWS 100mアモ・ダジエが9秒87の自己新マーク 英国4×100mR代表選出の33歳

2025.09.03

100mアモ・ダジエが9秒87の自己新マーク 英国4×100mR代表選出の33歳

8月30日に英国・ロンドンで開催されたBFTTAで、E.アモ・ダジエ(英国)が9秒87(+2.0)の自己新で優勝した。 アモ・ダジエは現在33歳。これまでの自己記録は23年にマークした9秒93で、100mでは東京世界選手 […]

NEWS イタリア代表にタンベリらが選出 インゲブリグトセンは2種目、17歳ガウト200mで出場/東京世界陸上

2025.09.03

イタリア代表にタンベリらが選出 インゲブリグトセンは2種目、17歳ガウト200mで出場/東京世界陸上

9月13日に開幕する東京世界選手権の代表選手が各国から発表されている。 イタリア代表では、男子走高跳の東京五輪金メダリストM.タンベリが選ばれた。パリ五輪の女子10000mで銀メダルを獲得したN.バットクレッティが500 […]

NEWS 大塚製薬が東京世界陸上をポカリスエットでサポート!製品提供やイベントブースでさまざまなコンテンツを展開

2025.09.03

大塚製薬が東京世界陸上をポカリスエットでサポート!製品提供やイベントブースでさまざまなコンテンツを展開

大塚製薬は9月3日、グローバルサポーターとして協賛する東京世界選手権において、「人の可能性を信じる。」をキーメッセージに、ポカリスエットをはじめとする製品を通じて世界中から集う選手たちやすべての大会関係者をサポートすると […]

NEWS 東京世界陸上 日本代表一覧

2025.09.02

東京世界陸上 日本代表一覧

【男子】 ・100m 桐生祥秀(日本生命)   4回目 守祐陽(大東大)     初出場 サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)6回目 ・200m 鵜澤飛羽(JAL)      2回目 飯塚翔太(ミズノ)    6回目 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top