2025.12.01
日本陸連は12月1日、第12期ダイヤモンドアスリート・ダイヤモンドアスリートNextageの認定式を開いた。
同プログラムは東京五輪に向けた中長期的なエリートアスリートの国際人としての育成を目的に2014年にスタート。これまで、北口榛花(JAL)、サニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)、橋岡優輝(富士通)、藤井菜々子(エディオン)ら、今の日本陸上界を牽引する選手たちが選出されてきた。
前回から自薦での募集と、「『次のステージ (nextstage)』に進み、『次の世代 (next age)』を担う可能性を秘めた選手を対象としたプログラム」である『ダイヤモンドアスリートNextage』も新設。第12期は、女子中長距離の澤田結弥(ルイジアナ州立大)、男子3000m障害の永原颯磨(順大)、男子走高跳の中谷魁聖(東海大)が継続認定、Nextageから男子短距離の濱椋太郎(法大)、男子110mハードルの古賀ジェレミー(東京高3)、女子中長距離のドルーリー朱瑛里(津山高3岡山)の3人がダイヤモンドアスリートに昇格・認定され合計6人。また、新規のダイヤモンドアスリートNextageに男子短距離の松下碩斗(静岡高1)と男子短距離・ハードルの後藤大樹(洛南高1京都)が選出された。
認定式とその後に開かれたリーダーシッププログラムには、第1期の修了生であるサニブラウンが出席。リーダーシッププログラムでは、自らの海外経験を踏まえて経験談などを伝えた。
また、サニブラウンから「スポーツに大事なものとは?」というテーマで質問も。選手たちからは「楽しむこと、楽しませること」「つながり」など、いろいろな答えが出された。
サニブラウンは東京五輪が無観客だった影響で価値観が変化したことを明かし、「観客、サポート、応援してくださる方々がいてのスポーツ」と語る。自身もDAWN GAMESやトレーニングキャンプなどをはじめ、社会貢献活動を続けており、「一瞬の出来事、つながりかもしれないけど、身になって輝くものになっていく。社会になって輝く人が出るかも知れない。そういうチャンスを与えられるように。現役だからこその影響力があるからこそ、そういった活動をやっている」と説いた。
最後には「競技人生もそうだし、競技以外も山あり谷ありの生活になる。忘れてほしくないのは失敗を恐れずチャレンジすること。成功し続けて最終的にトップに残る人はほとんどいない。失敗から学んで強くなって戻ってくる選手がほとんど。失敗しても、そこから学んでまた大きくなることを大事にしてほしい」とアスリートとしての心得を伝授。
加えて「横のつながりを大事にしてほしい。横にいる人たちが将来、国旗を一緒に背負って戦う仲間になるかもしれいないし、競技を終えてから一緒に仕事をするかもしれない。小さいところの縁、つながりが、大きくなる。1日、1日を大切にして、いつかみんなと一緒に代表として戦えるのを期待しています」と背中を押した。
その後、報道陣の取材に応じたサニブラウン。「もう10年(以上)前か、と。時が経つのは早い。今の高校生たちが何を考えて練習しているのか、生活しているのか学ぶ機会になりました」と振り返り、当時の自分と比べて「みんなものすごく考えていますね。自分は大学に入って、いろんな人と触れ合ってやっとそういう考えに至った」と笑顔を見せる。
高1で認定されてからは、海外遠征も経験。仲間数名と現地で食材を調達して料理をしたり、切符を買って競技場に行ったり、現地の生活をする経験をしている。「小さい経験かもしれませんが、そういうことを積み重ねて、世界に出て生活して挑みたいという思いにつながった」と語る。
ダイヤモンドアスリートでは英会話や食事面などのプログラムも組まれており、後輩たちに向けても「ダイヤモンドアスリートのプログラムを有効的に活用して成長してほしい」とアドバイスを送った。
東京世界選手権ではケガの影響もあり100m予選敗退に終わったサニブラウン。来季に向けては「今年は残念なシーズンだった。一回リセットしないといけない。今までの自分よりもワンステップ、ツーステップしていけるように日々練習したい。純粋にヨーロッパを回っていろんなレースをして、いろんな人と触れ合いたい」と見据えていた。
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