HOME PR
PR

2024.03.14

「高気圧酸素」と「低圧低酸素」の両方の環境を1台で作り出せる【2way酸素ルーム】のメリットと活用術
「高気圧酸素」と「低圧低酸素」の両方の環境を1台で作り出せる【2way酸素ルーム】のメリットと活用術

日本気圧バルク工業の特許製品である2way酸素ルームについて語り合った高橋尚子さん(右)と石井整骨院の石井俊久院長。石井整骨院の2way酸素ルームは幅1.85m、高さ2.0m、奥行き4.0mのビッグサイズ。同時に10人以上も入ることができる

日本気圧バルク工業の特許製品【2way酸素ルーム】の魅力とは――

高地トレーニングを積極的に行って2000年のシドニー五輪女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さん(日本気圧バルク工業スペシャルトレーニングアドバイザー)、日本気圧バルク工業の特許製品である2way酸素ルーム(O2Room®)を活用して治療にあたっている八ヶ岳コンディショニングサポート「石井整骨院」(長野県富士見町)の石井俊久院長に、それぞれの経験と治験を踏まえ、「酸素」と「気圧」の高低差を駆使したトレーニングやコンディショニングなどについてお話を伺った。

「人の持つ自然治癒力を最大限に引き出してくれるのが2way酸素ルームです」(石井院長)

標高約1200~1300mに位置する準高地の富士見高原(長野)は、長距離ランナーの合宿の聖地としても知られている。八ヶ岳の麓で、特急が停車するJR小淵沢駅から10km、JR富士見駅から5㎞の場所にある石井整骨院には、その噂を聞き付け、北は北海道から南は九州の鹿児島まで、さまざまな競技のオリンピアンをはじめとする数多くのアスリートや一般の患者さんが訪れている。その治療の中心にあるのが2015年12月に導入された日本気圧バルク工業の2way酸素ルーム(O2Room®)だ。

高橋 こちらの整骨院には、全国各地から施術を受けに患者様が訪れていると伺いました。

石井 はい、周りにほとんど民家もないような自然豊かな場所ですが、大勢の方々に来ていただいています。長距離選手の合宿地からも近く、土地柄、スケート選手も多いので、そうしたアスリートにも多く利用していただいています。

「治す」から「鍛える」をコンセプトに、ケガや故障をして治すだけでなく、鍛える(正確な動きを身に付ける)ことでケガの予防であったり、パフォーマンスアップにつなげてほしいという思いがあり、施設には多くのトレーニング機器を導入しています。

そして何より「早く治す」というのが当院の一番のテーマとなります。そのために必要不可欠となるのが高気圧酸素と低圧低酸素の両方が使える日本気圧バルク工業の2way酸素ルーム(O2Room®)です。

体育館かトレーニングジムと見間違えてしまうほど広いスペースで営業している長野・富士見高原の石井整骨院。周囲には民家が少ないが、ここでしか受けられない治療や施術を頼りにして全国各地から患者さんが訪れている

高橋 最近では、治療院やトレーニングジムなどでも、酸素カプセルであったり高気圧酸素ルームや低圧低酸素ルームのどちらか片方のみの酸素を活用した機器を見かけるようになりましたが、こちらでは2wayを導入されているということですね。そのきっかけやメリットはどんな点でしょうか?

石井 私が2way酸素ルームの導入を考えていた時期(2015年)は、サッカーのベッカム選手(イングランド)や高校野球で活躍した〝ハンカチ王子〟の影響などもあり、酸素カプセルに代表される高気圧酸素は知られていましたが、低圧低酸素の方は高地トレーニングでその効果は実証されているものの、機器としてまだほとんど普及していなかったこともあり、治療の現場では活用されていませんでした。

酸素ルームを導入する以前に、酸素カプセルを使っていましたが、1年もたたない間に壊れてしまい、耐久性・安全性で信頼のおけるメーカーを探している時に出会ったのが日本気圧バルク工業の酸素ルームです。

最初は高気圧酸素をリカバリー用で導入しようと考えていましたが、天野(英紀)社長から低圧低酸素も良いと言うことをお聞きし、どうせ入れるならと2way酸素ルームの導入に踏み切りました。当初は高気圧酸素をリカバリー、低圧低酸素はケガをした際の心肺機能の維持やコンディショニングなどに使っていましたが、試行錯誤を繰り返し、身体が圧を受けると元に戻ろうとする性質を利用し、血流(血行)を促進して人が持つ本来の自然治癒力を生かそうと考えるようになりました。それが「早く治す」という当院のテーマとも合致。活用法を探る大きなきっかけとなりました。

低圧低酸素の環境下では、通常より気圧が低いため、体内の血管や筋肉が緩んで血流が促進されます。その後、高気圧酸素の環境に移ると一気に血管や筋肉が収縮します。これを一定時間で繰り返すことで、通常の環境(常圧)では得られない血流が促進され、痛みの改善はもちろん、通常より早い回復が期待できます。

最近でも、6月中旬にあった陸上の地区高校総体の後に疲労骨折し、病院で〝全治2ヵ月以上〟と診断されて当院にやって来た高校アスリートがいたのですが、高気圧酸素の環境下に微弱電流を流せる機器を持ち込み、その中で治療後、低圧低酸素に入ってもらうことを繰り返すことで、8月上旬のインターハイ本番に間に合ったという例もあります。

▲▼施設内には診療ベッド10台と2way酸素ルームのほか、各種トレーニングマシンがずらりと揃っている

最終的にケガや病を治すのは自身の治癒力です。私たち治療家は、手技やさまざまな機器によってその手助けをする。人の持つ自然治癒力を最大限に引き出してくれるのが2way酸素ルームだと感じています。確かに高気圧酸素だけ、低圧低酸素だけでも、それぞれ効果はあります。しかし、それ以上に、交互に使用することで、それぞれの良さ、利点をさらに引き出す効果が2way酸素ルームにはあります。そのことで、より早く治すことができるようになり、全国から患者様が来てくれるようになりました。

高橋 治療面、早く治すことのメリットはよくわかりました。アスリートのトレーニングやコンディショニングにおける2way酸素ルームのメリットとはどういうところでしょうか? 私は現役時代、アメリカのボルダーに高地トレーニングに出かけていました。私は高地での練習環境に何も支障なく順応することができましたが、選手の中には高地が苦手な人や、思ったような練習ができない人も多く見かけます。また、こうした海外の高地に出かけるには、お金も時間も随分とかかってしまいます。

石井 せっかく高地トレーニングに行っても、身体が順応しなければ、練習をすることもできず、時間と労力の無駄になってしまいます。高地トレーニングにはさまざまなエビデンスが出ているように、その効果は皆さんが知られている通りです。

高地、いわゆる低圧低酸素環境下でのトレーニングは通常の常圧環境以上に身体に負荷がかかります。そこでコンディショニング(リカバリー)に有効となるのが高気圧酸素です。人の身体は、それぞれの環境下に順応しようと作用します。

高地トレーニングに出かける前に、低圧低酸素と高気圧酸素の両方に交互に入ることで、目的に応じた効果をより得ることができると考えています。

平地の気圧が1気圧なのに対し、2way酸素ルームの高気圧酸素は人体に安全な1.3気圧、低圧低酸素は約0.72気圧までの設定になっています。水深3m(約1.3気圧)から標高3000m(約0.72気圧)までの気圧の落差を活用することができるのも2way酸素ルームならではの利点です。さらに、それぞれモード(段階切り替え)が4つあり、利用者の目的、体調などによって使い分けられるのも大きなメリットと言えます。

低圧低酸素の場合、その中でバイクを漕いだりトレッドミルでランニングをしたりすることで高地トレーニングと同様の効果を得ることができますが、さらに、トレーニング前に低圧低酸素ルームに入ってから練習を行うことでも、高地とあまり変わらないトレーニング効果が得られることがわかってきました。高地ではスピード練習を行うのは難しいですが、このやり方なら、練習自体は平地で行うので問題なく取り組むことができます。

低圧低酸素ルームを活用することで、高地が体質的に合わない選手でも、高地に行くことなく同様のトレーニングを積むことができ、さらに2way酸素ルームの場合、トレーニング後のリカバリーも行えるなど一石二鳥の効果が期待できます。

「高気圧酸素と低圧低酸素の〝気圧の落差〟が身体を整える!!」と話す石井院長の言葉に、高橋さんは2way酸素ルームの可能性の広さを改めて感じ取っていた

高橋 この2way酸素ルームがあれば、わざわざ海外へ高地トレーニングに出かけることなく、日本に居ながらにして、さらに場所をほとんど移動することなく効果的なトレーニングが積めるということですね。また、高地トレーニングから戻った際も、低圧低酸素を活用することで、その効果をより長く持続させることもできます。時間や費用面も抑えることができ、持続性や練習後のリカバリーにも活躍といいことずくめですね。

ところで、最初に導入された酸素カプセルは1年も経たないうちに壊れてしまったそうですが、2way酸素ルームはいかがですか?

石井 2015年に導入してからほぼ毎日使用していますが、1度も故障などもなく安全に稼働しています。

高橋 治療やトレーニングで2way酸素ルームを使う場合、1回それぞれ、どのぐらいの時間入っていますか?

石井 だいたい1回それぞれ50分前後ですね。仲間とおしゃべりしている人もいれば、寝ている人、読書している人、テレビやスマホで動画を見ている人など過ごし方はさまざまです。リラックスして過ごしていただくのが一番ですね。当院の場合は、低圧低酸素と高気圧酸素のどちらかというのでなく、交互に入ることを勧めています。

長距離ランナーに多い〝ぬけぬけ病〟の治療にも2way 酸素ルームが役立っている

長距離ランナーのイップスとも言われる〝ぬけぬけ病〟(局所性ジストニア)。かつて大東文化大学陸上競技部に所属し、全日本大学駅伝の優勝メンバーとなり、正月の学生駅伝で活躍した石井院長は自身も〝ぬけぬけ病〟に悩まされ、実業団生活を1年で断念している経験者。治療家の道に入ってから「他の選手たちには自分のような思いをさせたくない」と独学でぬけぬけ病について研究を重ね、発生メカニズムや対処法を探り出したことで注目されているが、ぬけぬけ病の治療にも2way酸素ルームが大いに役立っているという。

高橋 脚が抜けるような感じになり、力が入らなくなったり、これまでのフォームで走れなくなるなどやろうとしている動きが突然できなくなる運動障害でもあるぬけぬけ病。私の周りでも悩んでいる選手を数多く目にします。その〝ぬけぬけ病〟の治療でも2way酸素ルームが大きな効果を発揮しているとお聞きしています。

石井 人間の身体の約60%は水分でできています。また、人にはタイプによって動きやすい動作と動きにくい動作があります。しっかり体幹部分から正確に自分にマッチした動作であれば身体に負担をかけることはありませんが、動きにくい誤った動作を繰り返すと身体に過剰な負荷がかかり、スポンジ状の筋膜に水分を蓄えにくい部分ができ、水分バランスが崩れ、それが痛みやイップスの症状になって現れます。

やっかいなことに、筋膜に負担がかかっていても、すぐに痛みなど外傷として現れないので、イップスなど症状が深刻化するまで気付かないケースが多くなります。過緊張で手汗をかいたり、長距離レースの後半にぬけぬけ病が出るなどの場合もこの筋膜の中の水分量が関係していると思われます。

〝ぬけぬけ病〟の治療でも有名な石井整骨院。施術後、トレッドミルでのランニングですぐに状態をチェックできるのが当院の特長だ

最近では、厚底シューズの普及などもあり、本来のその選手の動きとは異なるフォーム(動き)で走り続けることで、故障やぬけぬけ病を発症するランナーも増加傾向にあります。身体の細い女性ランナーだけでなく、ある程度しっかりした体型の男性ランナーでも股関節を痛めたり大腿骨を疲労骨折するなどのケースは、まさにその象徴だと言えます。

緊張からくる交感神経と副交感神経のバランスを含め、偏かたよった筋膜の水分のバランスを整えるのに有効なのが酸素と気圧の関係です。筋膜内の水分不足による癒着部分(しこり)を見つけて施術によって水分バランスを回復させる(ほぐす)ことに加え、高気圧酸素および低圧低酸素の環境に交互に入ることで、人体が本来から持つ治癒力、元に戻そうとする力を引き出し、血流を良くして筋膜内の水分バランスを整えていくことで改善につながります。体内における変化には、気圧の高低差が大きく作用しており、日本気圧バルク工業の2way酸素ルームは、その意味でも大きな役割を果たしてくれています。

イップスや局所性ジストニアの症状は、野球選手では30~40%、ゴルフでは競技ゴルファーのうち33~48%が経験していると記述している文献もあります。また、アスリートに限ったことではなく、音楽家や画家など同じ動きを繰り返す芸術家、職人や工場などで作業をする人たちにも見られるものです。そうした人たちの症状は長年の無理が積み重なった結果でもあり、完治にも時間がかかってしまいます。そうならないためにも、発症のメカニズムを理解し、身体および動きのバランスを整えること、2way酸素ルームなどを定期的に活用し、日頃からその予防とコンディショニングに努めることが何よりも大切だと感じています。

当院では〝ぬけぬけ病〟を克服するため大腿四頭筋を鍛えるレッグエクステンションでのトレーニングなどもすすめているという

高橋 私は学生時代、もっと腕を大きく振りなさいとよく言われていました。しかし、小出(義雄)監督のところに行ったら「そのまま(の走り)でいいよ」と言われ、動きに対して指摘を受けることはありませんでした。自分にマッチした動き(フォーム)で走れていたからこそ、大きな故障も少なく、競技で結果を残せた要因になっていたということですね。今回、石井院長のお話を聞き、いろいろなことがつながった感じがします。血流と酸素・気圧の関係はもちろんのこと、交感神経と副交感神経のバランス、筋膜の水分、ケガやトレーニング、そして治療など、いろいろなことに酸素と気圧が関係していることがわかり、その意味でも2way酸素ルームの今後の可能性を知ることができました。

石井 最近では、糖尿病でも症状が改善した患者さんが現れるなど可能性、活用法は広がっています。もっともっと2way酸素ルームの良さを知っていただくことはもちろん、当院を訪れた患者さん全員が笑顔で帰ってくれることを目指してこれからもがんばっていきたいと思っています。

糖尿病の症状が改善した患者さんがいるそうで、石井院長は「もっともっと2way酸素ルームの良さを知ってほしい」と願っている

石井整骨院の2way酸素ルームの活用方は弊誌2022年12月号で紹介しているほか、2023年3月号では「石井式筋膜調整 ぬけぬけ病の発生メカニズムと対処法」を特集してる。

八ヶ岳コンディショニングサポート
石井整骨院 イップス施術
長野県諏訪郡富士見町乙事2445番地
TEL 0266-62-5111 / FAX 0266-62-5333
ホームページ

構成/花木 雫、撮影/船越陽一郎

※この記事は『月刊陸上競技』2024年4月号に掲載しています

日本気圧バルク工業の特許製品【2way酸素ルーム】の魅力とは――

高地トレーニングを積極的に行って2000年のシドニー五輪女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さん(日本気圧バルク工業スペシャルトレーニングアドバイザー)、日本気圧バルク工業の特許製品である2way酸素ルーム(O2Room®)を活用して治療にあたっている八ヶ岳コンディショニングサポート「石井整骨院」(長野県富士見町)の石井俊久院長に、それぞれの経験と治験を踏まえ、「酸素」と「気圧」の高低差を駆使したトレーニングやコンディショニングなどについてお話を伺った。

「人の持つ自然治癒力を最大限に引き出してくれるのが2way酸素ルームです」(石井院長)

標高約1200~1300mに位置する準高地の富士見高原(長野)は、長距離ランナーの合宿の聖地としても知られている。八ヶ岳の麓で、特急が停車するJR小淵沢駅から10km、JR富士見駅から5㎞の場所にある石井整骨院には、その噂を聞き付け、北は北海道から南は九州の鹿児島まで、さまざまな競技のオリンピアンをはじめとする数多くのアスリートや一般の患者さんが訪れている。その治療の中心にあるのが2015年12月に導入された日本気圧バルク工業の2way酸素ルーム(O2Room®)だ。

高橋 こちらの整骨院には、全国各地から施術を受けに患者様が訪れていると伺いました。 石井 はい、周りにほとんど民家もないような自然豊かな場所ですが、大勢の方々に来ていただいています。長距離選手の合宿地からも近く、土地柄、スケート選手も多いので、そうしたアスリートにも多く利用していただいています。 「治す」から「鍛える」をコンセプトに、ケガや故障をして治すだけでなく、鍛える(正確な動きを身に付ける)ことでケガの予防であったり、パフォーマンスアップにつなげてほしいという思いがあり、施設には多くのトレーニング機器を導入しています。 そして何より「早く治す」というのが当院の一番のテーマとなります。そのために必要不可欠となるのが高気圧酸素と低圧低酸素の両方が使える日本気圧バルク工業の2way酸素ルーム(O2Room®)です。 [caption id="attachment_130013" align="alignnone" width="800"] 体育館かトレーニングジムと見間違えてしまうほど広いスペースで営業している長野・富士見高原の石井整骨院。周囲には民家が少ないが、ここでしか受けられない治療や施術を頼りにして全国各地から患者さんが訪れている[/caption] 高橋 最近では、治療院やトレーニングジムなどでも、酸素カプセルであったり高気圧酸素ルームや低圧低酸素ルームのどちらか片方のみの酸素を活用した機器を見かけるようになりましたが、こちらでは2wayを導入されているということですね。そのきっかけやメリットはどんな点でしょうか? 石井 私が2way酸素ルームの導入を考えていた時期(2015年)は、サッカーのベッカム選手(イングランド)や高校野球で活躍した〝ハンカチ王子〟の影響などもあり、酸素カプセルに代表される高気圧酸素は知られていましたが、低圧低酸素の方は高地トレーニングでその効果は実証されているものの、機器としてまだほとんど普及していなかったこともあり、治療の現場では活用されていませんでした。 酸素ルームを導入する以前に、酸素カプセルを使っていましたが、1年もたたない間に壊れてしまい、耐久性・安全性で信頼のおけるメーカーを探している時に出会ったのが日本気圧バルク工業の酸素ルームです。 最初は高気圧酸素をリカバリー用で導入しようと考えていましたが、天野(英紀)社長から低圧低酸素も良いと言うことをお聞きし、どうせ入れるならと2way酸素ルームの導入に踏み切りました。当初は高気圧酸素をリカバリー、低圧低酸素はケガをした際の心肺機能の維持やコンディショニングなどに使っていましたが、試行錯誤を繰り返し、身体が圧を受けると元に戻ろうとする性質を利用し、血流(血行)を促進して人が持つ本来の自然治癒力を生かそうと考えるようになりました。それが「早く治す」という当院のテーマとも合致。活用法を探る大きなきっかけとなりました。 低圧低酸素の環境下では、通常より気圧が低いため、体内の血管や筋肉が緩んで血流が促進されます。その後、高気圧酸素の環境に移ると一気に血管や筋肉が収縮します。これを一定時間で繰り返すことで、通常の環境(常圧)では得られない血流が促進され、痛みの改善はもちろん、通常より早い回復が期待できます。 最近でも、6月中旬にあった陸上の地区高校総体の後に疲労骨折し、病院で〝全治2ヵ月以上〟と診断されて当院にやって来た高校アスリートがいたのですが、高気圧酸素の環境下に微弱電流を流せる機器を持ち込み、その中で治療後、低圧低酸素に入ってもらうことを繰り返すことで、8月上旬のインターハイ本番に間に合ったという例もあります。 [caption id="attachment_130240" align="alignnone" width="800"] ▲▼施設内には診療ベッド10台と2way酸素ルームのほか、各種トレーニングマシンがずらりと揃っている[/caption] 最終的にケガや病を治すのは自身の治癒力です。私たち治療家は、手技やさまざまな機器によってその手助けをする。人の持つ自然治癒力を最大限に引き出してくれるのが2way酸素ルームだと感じています。確かに高気圧酸素だけ、低圧低酸素だけでも、それぞれ効果はあります。しかし、それ以上に、交互に使用することで、それぞれの良さ、利点をさらに引き出す効果が2way酸素ルームにはあります。そのことで、より早く治すことができるようになり、全国から患者様が来てくれるようになりました。 高橋 治療面、早く治すことのメリットはよくわかりました。アスリートのトレーニングやコンディショニングにおける2way酸素ルームのメリットとはどういうところでしょうか? 私は現役時代、アメリカのボルダーに高地トレーニングに出かけていました。私は高地での練習環境に何も支障なく順応することができましたが、選手の中には高地が苦手な人や、思ったような練習ができない人も多く見かけます。また、こうした海外の高地に出かけるには、お金も時間も随分とかかってしまいます。 石井 せっかく高地トレーニングに行っても、身体が順応しなければ、練習をすることもできず、時間と労力の無駄になってしまいます。高地トレーニングにはさまざまなエビデンスが出ているように、その効果は皆さんが知られている通りです。 高地、いわゆる低圧低酸素環境下でのトレーニングは通常の常圧環境以上に身体に負荷がかかります。そこでコンディショニング(リカバリー)に有効となるのが高気圧酸素です。人の身体は、それぞれの環境下に順応しようと作用します。 高地トレーニングに出かける前に、低圧低酸素と高気圧酸素の両方に交互に入ることで、目的に応じた効果をより得ることができると考えています。 平地の気圧が1気圧なのに対し、2way酸素ルームの高気圧酸素は人体に安全な1.3気圧、低圧低酸素は約0.72気圧までの設定になっています。水深3m(約1.3気圧)から標高3000m(約0.72気圧)までの気圧の落差を活用することができるのも2way酸素ルームならではの利点です。さらに、それぞれモード(段階切り替え)が4つあり、利用者の目的、体調などによって使い分けられるのも大きなメリットと言えます。 低圧低酸素の場合、その中でバイクを漕いだりトレッドミルでランニングをしたりすることで高地トレーニングと同様の効果を得ることができますが、さらに、トレーニング前に低圧低酸素ルームに入ってから練習を行うことでも、高地とあまり変わらないトレーニング効果が得られることがわかってきました。高地ではスピード練習を行うのは難しいですが、このやり方なら、練習自体は平地で行うので問題なく取り組むことができます。 低圧低酸素ルームを活用することで、高地が体質的に合わない選手でも、高地に行くことなく同様のトレーニングを積むことができ、さらに2way酸素ルームの場合、トレーニング後のリカバリーも行えるなど一石二鳥の効果が期待できます。 [caption id="attachment_130016" align="alignnone" width="800"] 「高気圧酸素と低圧低酸素の〝気圧の落差〟が身体を整える!!」と話す石井院長の言葉に、高橋さんは2way酸素ルームの可能性の広さを改めて感じ取っていた[/caption] 高橋 この2way酸素ルームがあれば、わざわざ海外へ高地トレーニングに出かけることなく、日本に居ながらにして、さらに場所をほとんど移動することなく効果的なトレーニングが積めるということですね。また、高地トレーニングから戻った際も、低圧低酸素を活用することで、その効果をより長く持続させることもできます。時間や費用面も抑えることができ、持続性や練習後のリカバリーにも活躍といいことずくめですね。 ところで、最初に導入された酸素カプセルは1年も経たないうちに壊れてしまったそうですが、2way酸素ルームはいかがですか? 石井 2015年に導入してからほぼ毎日使用していますが、1度も故障などもなく安全に稼働しています。 高橋 治療やトレーニングで2way酸素ルームを使う場合、1回それぞれ、どのぐらいの時間入っていますか? 石井 だいたい1回それぞれ50分前後ですね。仲間とおしゃべりしている人もいれば、寝ている人、読書している人、テレビやスマホで動画を見ている人など過ごし方はさまざまです。リラックスして過ごしていただくのが一番ですね。当院の場合は、低圧低酸素と高気圧酸素のどちらかというのでなく、交互に入ることを勧めています。

長距離ランナーに多い〝ぬけぬけ病〟の治療にも2way 酸素ルームが役立っている

長距離ランナーのイップスとも言われる〝ぬけぬけ病〟(局所性ジストニア)。かつて大東文化大学陸上競技部に所属し、全日本大学駅伝の優勝メンバーとなり、正月の学生駅伝で活躍した石井院長は自身も〝ぬけぬけ病〟に悩まされ、実業団生活を1年で断念している経験者。治療家の道に入ってから「他の選手たちには自分のような思いをさせたくない」と独学でぬけぬけ病について研究を重ね、発生メカニズムや対処法を探り出したことで注目されているが、ぬけぬけ病の治療にも2way酸素ルームが大いに役立っているという。

高橋 脚が抜けるような感じになり、力が入らなくなったり、これまでのフォームで走れなくなるなどやろうとしている動きが突然できなくなる運動障害でもあるぬけぬけ病。私の周りでも悩んでいる選手を数多く目にします。その〝ぬけぬけ病〟の治療でも2way酸素ルームが大きな効果を発揮しているとお聞きしています。 石井 人間の身体の約60%は水分でできています。また、人にはタイプによって動きやすい動作と動きにくい動作があります。しっかり体幹部分から正確に自分にマッチした動作であれば身体に負担をかけることはありませんが、動きにくい誤った動作を繰り返すと身体に過剰な負荷がかかり、スポンジ状の筋膜に水分を蓄えにくい部分ができ、水分バランスが崩れ、それが痛みやイップスの症状になって現れます。 やっかいなことに、筋膜に負担がかかっていても、すぐに痛みなど外傷として現れないので、イップスなど症状が深刻化するまで気付かないケースが多くなります。過緊張で手汗をかいたり、長距離レースの後半にぬけぬけ病が出るなどの場合もこの筋膜の中の水分量が関係していると思われます。 [caption id="attachment_130017" align="alignnone" width="800"] 〝ぬけぬけ病〟の治療でも有名な石井整骨院。施術後、トレッドミルでのランニングですぐに状態をチェックできるのが当院の特長だ[/caption] 最近では、厚底シューズの普及などもあり、本来のその選手の動きとは異なるフォーム(動き)で走り続けることで、故障やぬけぬけ病を発症するランナーも増加傾向にあります。身体の細い女性ランナーだけでなく、ある程度しっかりした体型の男性ランナーでも股関節を痛めたり大腿骨を疲労骨折するなどのケースは、まさにその象徴だと言えます。 緊張からくる交感神経と副交感神経のバランスを含め、偏かたよった筋膜の水分のバランスを整えるのに有効なのが酸素と気圧の関係です。筋膜内の水分不足による癒着部分(しこり)を見つけて施術によって水分バランスを回復させる(ほぐす)ことに加え、高気圧酸素および低圧低酸素の環境に交互に入ることで、人体が本来から持つ治癒力、元に戻そうとする力を引き出し、血流を良くして筋膜内の水分バランスを整えていくことで改善につながります。体内における変化には、気圧の高低差が大きく作用しており、日本気圧バルク工業の2way酸素ルームは、その意味でも大きな役割を果たしてくれています。 イップスや局所性ジストニアの症状は、野球選手では30~40%、ゴルフでは競技ゴルファーのうち33~48%が経験していると記述している文献もあります。また、アスリートに限ったことではなく、音楽家や画家など同じ動きを繰り返す芸術家、職人や工場などで作業をする人たちにも見られるものです。そうした人たちの症状は長年の無理が積み重なった結果でもあり、完治にも時間がかかってしまいます。そうならないためにも、発症のメカニズムを理解し、身体および動きのバランスを整えること、2way酸素ルームなどを定期的に活用し、日頃からその予防とコンディショニングに努めることが何よりも大切だと感じています。 [caption id="attachment_130155" align="alignnone" width="800"] 当院では〝ぬけぬけ病〟を克服するため大腿四頭筋を鍛えるレッグエクステンションでのトレーニングなどもすすめているという[/caption] 高橋 私は学生時代、もっと腕を大きく振りなさいとよく言われていました。しかし、小出(義雄)監督のところに行ったら「そのまま(の走り)でいいよ」と言われ、動きに対して指摘を受けることはありませんでした。自分にマッチした動き(フォーム)で走れていたからこそ、大きな故障も少なく、競技で結果を残せた要因になっていたということですね。今回、石井院長のお話を聞き、いろいろなことがつながった感じがします。血流と酸素・気圧の関係はもちろんのこと、交感神経と副交感神経のバランス、筋膜の水分、ケガやトレーニング、そして治療など、いろいろなことに酸素と気圧が関係していることがわかり、その意味でも2way酸素ルームの今後の可能性を知ることができました。 石井 最近では、糖尿病でも症状が改善した患者さんが現れるなど可能性、活用法は広がっています。もっともっと2way酸素ルームの良さを知っていただくことはもちろん、当院を訪れた患者さん全員が笑顔で帰ってくれることを目指してこれからもがんばっていきたいと思っています。 [caption id="attachment_130018" align="alignnone" width="800"] 糖尿病の症状が改善した患者さんがいるそうで、石井院長は「もっともっと2way酸素ルームの良さを知ってほしい」と願っている[/caption] 石井整骨院の2way酸素ルームの活用方は弊誌2022年12月号で紹介しているほか、2023年3月号では「石井式筋膜調整 ぬけぬけ病の発生メカニズムと対処法」を特集してる。 八ヶ岳コンディショニングサポート 石井整骨院 イップス施術 長野県諏訪郡富士見町乙事2445番地 TEL 0266-62-5111 / FAX 0266-62-5333 ホームページ 構成/花木 雫、撮影/船越陽一郎 ※この記事は『月刊陸上競技』2024年4月号に掲載しています

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.04.28

100mH日本記録保持者の福部真子は挑戦者としてレースに臨む「とびきりの笑顔になれば」/織田記念

第58回織田幹雄記念国際大会(4月29日)を前日に控えた4月28日、会場の広島広域公園陸上競技場(ホットスタッフフィールド広島)で出場選手の会見が行われた。 女子100mハードルに出場する福部真子(日本建設工業)。202 […]

NEWS 100mの兒玉芽生が前日会見で意気込み「今出せる最大限のパフォーマンスを発揮したい」/織田記念

2024.04.28

100mの兒玉芽生が前日会見で意気込み「今出せる最大限のパフォーマンスを発揮したい」/織田記念

第58回織田幹雄記念国際大会(4月29日)を前日に控えた4月28日、会場の広島広域公園陸上競技場(ホットスタッフフィールド広島)で出場選手の会見が行われた。 女子100mに出場する兒玉芽生(ミズノ)は「何度か出場している […]

NEWS 最終日は4種目で金 落合晃が800m1分48秒01 ドルーリーと増子もV 100mH谷中と松田がワン・ツー/U20アジア選手権

2024.04.28

最終日は4種目で金 落合晃が800m1分48秒01 ドルーリーと増子もV 100mH谷中と松田がワン・ツー/U20アジア選手権

◇第21回U20アジア選手権(4月24日~27日/UAE・ドバイ) 4日目 最終日の日本勢は4種目で金メダルを獲得した。 広告の下にコンテンツが続きます 男子800mでは落合晃(滋賀学園高3)が終始トップを譲らず、自己ベ […]

NEWS 今春から順大コーチ就任の田中秀幸が日本勢トップ 女子は飛田凜香が5位/ぎふ清流ハーフ

2024.04.28

今春から順大コーチ就任の田中秀幸が日本勢トップ 女子は飛田凜香が5位/ぎふ清流ハーフ

高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン2024は4月28日、岐阜市の岐阜メモリアルセンターを発着点としたコースで行われ、男子はヒラリー・キプコエチ(ケニア)が1時間1分26秒で、女子はステラ・チェサン(ウガンダ)が1時間7分5 […]

NEWS 田中希実 米国で伝統あるペン・リレーに出場 3週連続の1500mは4分08秒32で3位

2024.04.28

田中希実 米国で伝統あるペン・リレーに出場 3週連続の1500mは4分08秒32で3位

ペン・リレーが4月27日、米ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われ、女子1500mに田中希実(New Balance)が出場し、4分08秒32で3位に入った。 田中は序盤から上位でレースを進めると、3分04秒29で通過 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top