2023.12.02
第311回日体大長距離競技会兼第7回NITTAIDAI Challenge Gamesが12月2日に行われ、NCG男子10000mで長嶋幸宝(旭化成)がU20日本歴代2位となる27分44秒86をマークした。
会心のレースを終えた後、「よっしゃー!」と雄叫びを上げ、スタッフと喜びを分かち合うと、「大野さんの記録は超えましたか!?」と長嶋。1週間前、佐藤圭汰(駒大)に抜かれるまでは、長くU20日本記録として君臨していた27分59秒32は旭化成の大先輩でもある大野龍二が作った記録だった。佐藤の27分28秒50、そして大野の記録は高校卒業2年目のもの(早生まれ)。そのため、高卒1年目として初めて27分台をマークしたランナーとなる。
ペースを示すウエーブライトの27分50秒をターゲットに進んだレース。ペースメーカーを含め「外国人の方々のペースが上がったり、下がったりしていました」と、記録を狙う大会としては安定しなかった。しかし、「海外レースでもあること」と切り替え、27分台ランナーの吉田礼志(中央学大)にピタリとついた。
「絶対に離れちゃダメ」と粘ると、ラスト2000mでややペースが落ちた時に「日本人トップも狙っていた。これは一番を取るしかない」と、元々は残り150mからと考えていたスパートだったが、残り2周を切ったところで鮮烈なロングスパートをかけて引き離した。会場にいたギャラリーや、運営している日体大の学生たちから「やばい」「出るぞ」と声が聞こえるなか、勢いよくフィニッシュに飛び込んだ。
中学時代から全中3000mで3位と世代トップクラスのランナーで、兵庫の名門・西脇工高では5000mで13分37秒46(当時高校歴代6位)をマークし、昨年の全国高校駅伝1区でも独走劇で区間賞を獲得した。大学ではなく世界への近道だと選んだのは旭化成だった。
1年目からU20アジア選手権3000mと5000mの2冠など活躍したが、「前半シーズンはまったく結果が出なくて泣いてしまったこともありました」。だが、刺激になったのは、同じ兵庫で競い合ってきた前田和摩(東農大)の存在だった。
大学長距離界で輝きを放つ前田に「一番近くで走ってきた選手。彼が走れて僕が走れないわけがない」と大きな刺激を受けた。「ケガなく練習が積めるようになった」と言い、11月の九州実業団駅伝では旭化成Bとオープンながら1区4位相当と力走。10000mでは10月に28分39秒16。着実に成長している中で迎えた今回のレース。「これで前田君とまた同じ舞台で走って競り合えるように」と自信を深めた。
実業団を選んだことで「無理だとか思われたかもしれませんが、自分には絶対にできるんだ、とその声に逆らいたかった」。そして「(プライドも)ありますが、プロとして活動しているようなものなので、自分だけの結果ではなく、陸上界を盛り上げたい気持ちがあります」と語る。
「日体大は記録が出ると聞いていて、最高の準備をして作り上げてくださって、そうした最高の舞台で結果を出せて本当にうれしいです」と感謝の言葉を並べる。
12月の日本選手権には間に合わなかったが、来年5月の日本選手権10000mを見据える長嶋。「チーム内にも強い先輩たちがいます。トラックでオリンピックや世界選手権に出て、世界の選手と勝負がしたい。来年のパリはポイント(ワールドランキング)的にも厳しいと思いますが、東京世界選手権に出たいです。まだ1年目なので、まずは土台作りをしていきます」。
「幸宝」と書いて「そなた」と呼ぶ長距離界のホープ。その名をしっかりと刻んでおかなくてはならないだろう。
男子100000m U20日本歴代10傑
27.28.50 佐藤圭汰(駒大2) 2023.11.25 27.44.86 長嶋幸宝(旭化成) 2023.12. 2 27.59.32 大野龍二(旭化成) 2004. 6. 5 28.03.51 前田和摩(東農大1) 2023. 6.17 28.03.90 吉居大和(中大2) 2021.12. 4 28.05.91 石原翔太郎(東海大2) 2021. 5.20 28.06.27 吉居駿恭(中大1) 2022.11.26 28.07.39 佐藤悠基(佐久長聖高3長野) 2004.11.27 28.10.32 佐藤秀和(仙台育英高3宮城) 2004.11.27 28.12.81 北村 聡(日体大1) 2004.11.27RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.08.29
110mH村竹ラシッドの初ファイナルは悔しい8位 前半でリズム崩す/DLファイナル
-
2025.08.27
2025.08.27
アディダス アディゼロから2025年秋冬新色コレクションが登場!9月1日より順次販売
-
2025.08.24
-
2025.08.25
-
2025.08.25
-
2025.08.23
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
-
2025.08.27
-
2025.08.24
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.29
110mH村竹ラシッドの初ファイナルは悔しい8位 前半でリズム崩す/DLファイナル
◇ダイヤモンドリーグ・ファイナル(8月27日、28日、スイス・チューリヒ) 2日目 世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルが行われ、男子110mハードルに村竹ラシッド(JAL)が出場して8位だった。 自 […]
2025.08.28
東京世界陸上 マラソン、競歩の交通規制を発表 9月14日、15日午前に銀座、秋葉原などで通行止め
東京2025世界陸上財団は、9月に開催される東京世界選手権におけるマラソンおよび競歩種目の実施に伴い、交通規制についてSNSや公式ホームページで注意を呼びかけている。 大会では、女子マラソンが9月14日(日)、男子マラソ […]
2025.08.28
来年香港で開催のU20アジア選手権選考要項発表 25年世界トップリストで8位以内など選考対象に
日本陸連は8月28日、来年5月に香港で開催されるU20アジア選手権の日本代表選考要項を発表した。 編成方針は、同年夏に開催されるU20世界選手権(米国・ユージン)の「成功を念頭におく」としている。選考基準は、2025年U […]
2025.08.28
東京マラソン財団企画「東京マラソンカード」8/29から募集開始!大会出走権などキャンペーン展開、利用額の一部は子供支援活動に
一般財団法人東京マラソン財団は8月28日、東京マラソンのグローバル・マーケティング・パートナーおよびオフィシャル・ペイメント・パートナーであるMastercardと連携し、「東京マラソンカード」を企画することを発表した。 […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99