HOME 国内

2023.11.14

デフリンピック陸上金メダリスト山田真樹「耳が聞こえないだけでルールも同じ」「強く、速く、美しくが求められる」
デフリンピック陸上金メダリスト山田真樹「耳が聞こえないだけでルールも同じ」「強く、速く、美しくが求められる」

デフリンピック金メダリストの山田真樹

4年に一度の聴覚障がい者のための総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が2025年11月15日から26日まで、初めて東京で開催される。開幕を2年前に控えたことを記念して東京・原宿に「みるカフェ」を期間限定(2023年11月15日~26日)でオープン。そのオープニングセレモニーにイベントに東京2025デフリンピック応援アンバサダーの長濱ねるさんらとともに、陸上デフリンピック金メダリストの山田真樹(渕上ファインズ)が登壇し、トークイベントなどで盛り上げた。

山田は2017年のトルコ・サムスンで行われた夏季デフリンピックの男子200mと4×100mリレーで金メダル、400mで銀メダルを獲得。2022年大会では100m7位入賞を果たしている。トークイベントでは「すべての人が楽しめる大会になるようにしていきたい。今日がそのスタートになって、きっかけの場になれば」と語った。その後、手話通訳を交えてインタビューに応えてくれた。

広告の下にコンテンツが続きます

――イベントを終えていかがでしたか。
「これまでにないカフェで、日常生活の中で聴覚障がいを持つ人と会う機会は、みなさんそれほど多くないと思います。原宿という立地も、若い人から高齢者まで多くの人が寄り添い合って、新しい文化を発信する街。すごく大きな意味のあるものだと感じています」

――山田選手にとって陸上競技の魅力とは。
「肉体の限界を超える挑戦。そしてパフォーマンスとして発揮すること。これはオリンピックもデフリンピックも同じなのです。私たちは耳が聞こえないだけで、ルールも同じ。強さ、速さ、遠くへ、高く、そして美しく。それが求められます。今年は日本選手権でデフ陸上が開催されましたが、あこがれの場所であり、晴れの舞台でした。うれしい気持ちもある一方で、同じ選手として出場したいという気持ち強く持っています」

――鹿児島特別国体では、青森の佐々木琢磨選手がトラック種目で初めて聴覚障がい者として出場しました。
「佐々木さんはとても良いライバルですし、親友なんです。国体に出場されたことはとてもうれしいことでもありますが、抜かれてしまって悔しい気持ちもあります。昨年のデフリンピック(ブラジル)で僕はメダルを取れなくて、その後少し練習と向き合えない時間がありました。それもあって今季はパッとしないシーズンになってしまいました」

――デフ陸上のこんなところを見てほしい、というのは?
「タイムも平等、風や条件も平等。それほどハンディとは思っていません。一つ違うのは、スタートです。スタートランプを使っています。耳が聞こえないから陸上をあきらめる人もいますが、ランプがあるから大丈夫。佐々木さんや僕らがそうしたところを見せることで、子どもたちに夢を与えられる選手になりたいです」

広告の下にコンテンツが続きます

――2年後に控えるデフリンピックに向けて。
「走る技術はずっと進化し続けています。聞こえる、聞こえないに関係なく、自分の限界を超えていく挑戦に期待していただきたいです。やはり、リレー種目は注目を集めると思います。僕らは掛け声でバトンパスができないので、そこをどうしているか。年間通じて、代表候補選手が集まってバトンの呼吸を合わせています。いろいろなことを覚えて本番を迎えるので、すでに戦いは始まっています。どうやってバトンパスしているか? それをぜひ観に来てください!」

4年に一度の聴覚障がい者のための総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が2025年11月15日から26日まで、初めて東京で開催される。開幕を2年前に控えたことを記念して東京・原宿に「みるカフェ」を期間限定(2023年11月15日~26日)でオープン。そのオープニングセレモニーにイベントに東京2025デフリンピック応援アンバサダーの長濱ねるさんらとともに、陸上デフリンピック金メダリストの山田真樹(渕上ファインズ)が登壇し、トークイベントなどで盛り上げた。 山田は2017年のトルコ・サムスンで行われた夏季デフリンピックの男子200mと4×100mリレーで金メダル、400mで銀メダルを獲得。2022年大会では100m7位入賞を果たしている。トークイベントでは「すべての人が楽しめる大会になるようにしていきたい。今日がそのスタートになって、きっかけの場になれば」と語った。その後、手話通訳を交えてインタビューに応えてくれた。 ――イベントを終えていかがでしたか。 「これまでにないカフェで、日常生活の中で聴覚障がいを持つ人と会う機会は、みなさんそれほど多くないと思います。原宿という立地も、若い人から高齢者まで多くの人が寄り添い合って、新しい文化を発信する街。すごく大きな意味のあるものだと感じています」 ――山田選手にとって陸上競技の魅力とは。 「肉体の限界を超える挑戦。そしてパフォーマンスとして発揮すること。これはオリンピックもデフリンピックも同じなのです。私たちは耳が聞こえないだけで、ルールも同じ。強さ、速さ、遠くへ、高く、そして美しく。それが求められます。今年は日本選手権でデフ陸上が開催されましたが、あこがれの場所であり、晴れの舞台でした。うれしい気持ちもある一方で、同じ選手として出場したいという気持ち強く持っています」 ――鹿児島特別国体では、青森の佐々木琢磨選手がトラック種目で初めて聴覚障がい者として出場しました。 「佐々木さんはとても良いライバルですし、親友なんです。国体に出場されたことはとてもうれしいことでもありますが、抜かれてしまって悔しい気持ちもあります。昨年のデフリンピック(ブラジル)で僕はメダルを取れなくて、その後少し練習と向き合えない時間がありました。それもあって今季はパッとしないシーズンになってしまいました」 ――デフ陸上のこんなところを見てほしい、というのは? 「タイムも平等、風や条件も平等。それほどハンディとは思っていません。一つ違うのは、スタートです。スタートランプを使っています。耳が聞こえないから陸上をあきらめる人もいますが、ランプがあるから大丈夫。佐々木さんや僕らがそうしたところを見せることで、子どもたちに夢を与えられる選手になりたいです」 ――2年後に控えるデフリンピックに向けて。 「走る技術はずっと進化し続けています。聞こえる、聞こえないに関係なく、自分の限界を超えていく挑戦に期待していただきたいです。やはり、リレー種目は注目を集めると思います。僕らは掛け声でバトンパスができないので、そこをどうしているか。年間通じて、代表候補選手が集まってバトンの呼吸を合わせています。いろいろなことを覚えて本番を迎えるので、すでに戦いは始まっています。どうやってバトンパスしているか? それをぜひ観に来てください!」

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.19

葛西潤が英国で10000m27分34秒14 ポイント重ね五輪出場圏内に浮上 相澤晃は28分02秒84

5月18日、英国・ロンドンで「Night of the 10,000m PBs」が行われ、葛西潤と相澤晃(ともに旭化成)が出場し、葛西が27分34秒14で5位に入った。 葛西は1000mを2分41秒、2000m5分23秒 […]

NEWS 北口、サニブラウンら国立競技場で“世界”を体感!!セイコーゴールデンGP今日5/19開催

2024.05.19

北口、サニブラウンら国立競技場で“世界”を体感!!セイコーゴールデンGP今日5/19開催

◇セイコーゴールデングランプリ(5月19日/東京・国立競技場) 世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリが今日5月19日に国立競技場で行われる。WAの試合の格付けでは日本選手権よりも高 […]

NEWS 山西利和が復活V 金メダリスト抑える殊勲 五輪代表池田向希は5位 柳井綾音が自己新の1時間29分44秒/WA競歩ツアー

2024.05.19

山西利和が復活V 金メダリスト抑える殊勲 五輪代表池田向希は5位 柳井綾音が自己新の1時間29分44秒/WA競歩ツアー

5月18日に世界陸連(WA)競歩ツアー・ゴールドの第37回ラ・コルーニャ国際グランプリ(スペイン)が行われ、男子20km競歩の山西利和(愛知製鋼)が1時間17分47秒で5年ぶり2回目の優勝を飾った。 同大会はゴールドラベ […]

NEWS 男子400m中島佑気ジョセフが45秒63のシーズンベスト ノーマン44秒53で快勝/ロサンゼルスGP

2024.05.19

男子400m中島佑気ジョセフが45秒63のシーズンベスト ノーマン44秒53で快勝/ロサンゼルスGP

5月18日、WAコンチネンタルツアー・ゴールド第3戦のロサンゼルスGPが米国カリフォルニア州で行われ、男子400mの中島佑気ジョセフ(富士通)が45秒63のシーズンベストで7位に入った。 この春に社会人となった中島は5月 […]

NEWS 5000m競歩で濱西諒が4年ぶり日本新!デーデー・ブルーノが100m10秒32で快勝!男女1500mで大会新ラッシュ/東日本実業団

2024.05.19

5000m競歩で濱西諒が4年ぶり日本新!デーデー・ブルーノが100m10秒32で快勝!男女1500mで大会新ラッシュ/東日本実業団

◇第66回東日本実業団選手権(5月18日~19日/埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場) 東日本実業団選手権の1日目が行われ、男子5000m競歩で濱西諒(サンベルクス)が18分16秒97の日本新記録をマークした。従来の記 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年6月号 (5月14日発売)

2024年6月号 (5月14日発売)

別冊付録学生駅伝ガイド

page top