8月19日から始まるブダペスト世界陸上。注目の日本代表たちをピックアップする。
苦しんだ時期を乗り越えて自身3度目の世界選手権へと挑む田中希実(New Balance)。前回は得意の1500mと5000mに加え、800mを合わせて3種目に出場した。「去年の3種目出場ほどしんどいことはない」と言って笑みを浮かべる。
オレゴンの3種目出場はそれだけで快挙。ただ、田中にとっては「自己ベスト」も「結果(=入賞)」のどちらも得られなかったはがゆさが残った。初出場のドーハでは5000mで自己新。東京五輪では1500mで日本新を出して8位入賞と世界をアッと驚かせた。それだけに、目に見えた結果が出なかったことをなかなか消化できないでいた。
今季も序盤はレースをなかなか楽しめない時期もあり、練習でも思うような走りができない。それでも、6月の日本選手権で1500mと5000mの2冠を果たすと、その後はケニア合宿で己を磨いた。そこでは「世界選手権の決勝」を想定してトレーニング。「精神的にも強くなれた」と言う。
帰国後、ホクレンディスタンスチャレンジでは1500mに出場して4分12秒75。だが、実はこの時も「1000mで3分を切れないくらい調子が悪かった」。その後に控えていたフィンランド遠征も「行くのを止めたほうがいいのかもしれない」と悩んでいたくらいだった。
それでも、「今までなら無理をしていたところを、調子が悪いなら無理をせず、その時にできることを我慢しながらやる」と気持ちを変化させ、フィンランドには「ボロボロになってもいいから逃げない」と向かった。
当地では1500mで4分07秒05のシーズンベスト(当時)で優勝し、5000mでは自己新となる14分53秒60をマークして勝ち切った。そのままバンコクへ向かい、アジア選手権1500mを今季最高の4分06秒75の大会新で圧勝。8月に長野で合宿を積んだ田中は、パリを経由してブダペストへ。
「今回は(タイムで拾われる)プラス通過がないので、予選から決勝のつもりで。自分のペースを見失わず、自分の力を信じたい」
1500mでは東京五輪以来の入賞、しかも下位入賞ではなく、上位争いに加わるイメージを持つ。その後は、約14時間後に5000m予選。ここでも「決勝に残るという強いイメージで臨みたい」と決意を語る。
自身初の2種目決勝・2種目入賞へ。田中希実らしく、己の道を全力で突き進む。
文/向永拓史
■女子1500m(日本時間)
予 選:19日(土) 20時15分~
準決勝:20日(日) 深夜0時05分~
決 勝:22日(火) 深夜4時30分~
■女子5000m(日本時間)
予 選:23日(水) 18時10分~
決 勝:26日(土) 深夜3時50分~
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