HOME 国内、世界陸上、日本代表
3000m障害・三浦龍司「上位入賞、表彰台を目指す」DL2位の実績引っさげ再びファイナルで勝負/ブダペスト世界陸上
3000m障害・三浦龍司「上位入賞、表彰台を目指す」DL2位の実績引っさげ再びファイナルで勝負/ブダペスト世界陸上

今季はダイヤモンドリーグで手応えをつかんでいる三浦龍司。予選落ちとなった前回のリベンジを誓う

8月19日から始まるブダペスト世界陸上。注目の日本代表たちをピックアップする。

三浦龍司(順大)の世界デビューは衝撃だった。21年東京五輪では7位入賞。しかし、昨年のオレゴン世界選手権では「最低、決勝進出」を掲げながらも予選敗退に終わる。前に出るか出ないか。その一瞬のためらいが結果に表れ、「なんで、あそこ(ラスト2周)で行けなかったんだろう」という悔しさは今も残っている。

今年は春から「動きが悪かった」と、フラットレースで持ち味のバネを生かした走りができないレースが続いた。しかし、セイコーゴールデングランプリ、日本選手権と徐々に状態を上げると、ダイヤモンドリーグ(DL)パリ大会では世界新が誕生したレースで2位を確保。自身の日本記録も0.01秒更新する8分09秒91をマークした。

「日本記録はレースが終わるまで知りませんでした。順位が評価できると思います」。内容についても「ハイペースでも冷静に対応できて、2000mまでもいつもの感覚と違って粘れている。良いなと思っていました」と振り返る。順大の長門俊介駅伝監督が「世界トップ」と評する水濠や障害を越えるたびに前との差を詰めていく。

「まだまだ経験不足ですが、勝負についていけそうな感覚やビジョンは見えました」

7月12日のホクレンディスタンスチャレンジ5000m(13分31秒31)を経て、2週間ほど長野・湯の丸高原で高地合宿を実施。8月11日の順大競技会3000m障害で2000mまで走り5分29秒。合宿の成果も「平地に戻ってきて動きにもあると思います」と手応えがあった。すでにブダペスト入りして調整に入っている。

広告の下にコンテンツが続きます

世界記録(7分52秒11)保持者のラメチャ・ギルマ(エチオピア)と世界王者のソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)という7分台が2人、その他の面々も強力なライバルたちがいるが、「楽しみです。そこに食らいつきたいです。海外選手は最後までめちゃくちゃ身体を動かしますが、競り合っていると集中が切れる瞬間というのがあるんです。そういうふうに持っていける力をつけたい」。

持ち記録だけで言えば、この2年の成長幅は0.01秒かもしれない。ただ、「レースに向かっていく気持ち、レースの中で挑む気持ちは今のほうがあります。『ただ速い』ところから、いろいろな経験、スキルがあるので厚みが違うと思っています」と胸を張る。

「今回は確実に決勝に残りたい。しっかりと上位入賞、表彰台を目指していきます」

もう躊躇はしない。自分の感覚を頼りに勝負を仕掛ける。

文/向永拓史

■男子3000m障害(日本時間)
予選:8月19日 18時35分~
決勝:8月22日 深夜4時42分~

8月19日から始まるブダペスト世界陸上。注目の日本代表たちをピックアップする。 三浦龍司(順大)の世界デビューは衝撃だった。21年東京五輪では7位入賞。しかし、昨年のオレゴン世界選手権では「最低、決勝進出」を掲げながらも予選敗退に終わる。前に出るか出ないか。その一瞬のためらいが結果に表れ、「なんで、あそこ(ラスト2周)で行けなかったんだろう」という悔しさは今も残っている。 今年は春から「動きが悪かった」と、フラットレースで持ち味のバネを生かした走りができないレースが続いた。しかし、セイコーゴールデングランプリ、日本選手権と徐々に状態を上げると、ダイヤモンドリーグ(DL)パリ大会では世界新が誕生したレースで2位を確保。自身の日本記録も0.01秒更新する8分09秒91をマークした。 「日本記録はレースが終わるまで知りませんでした。順位が評価できると思います」。内容についても「ハイペースでも冷静に対応できて、2000mまでもいつもの感覚と違って粘れている。良いなと思っていました」と振り返る。順大の長門俊介駅伝監督が「世界トップ」と評する水濠や障害を越えるたびに前との差を詰めていく。 「まだまだ経験不足ですが、勝負についていけそうな感覚やビジョンは見えました」 7月12日のホクレンディスタンスチャレンジ5000m(13分31秒31)を経て、2週間ほど長野・湯の丸高原で高地合宿を実施。8月11日の順大競技会3000m障害で2000mまで走り5分29秒。合宿の成果も「平地に戻ってきて動きにもあると思います」と手応えがあった。すでにブダペスト入りして調整に入っている。 世界記録(7分52秒11)保持者のラメチャ・ギルマ(エチオピア)と世界王者のソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)という7分台が2人、その他の面々も強力なライバルたちがいるが、「楽しみです。そこに食らいつきたいです。海外選手は最後までめちゃくちゃ身体を動かしますが、競り合っていると集中が切れる瞬間というのがあるんです。そういうふうに持っていける力をつけたい」。 持ち記録だけで言えば、この2年の成長幅は0.01秒かもしれない。ただ、「レースに向かっていく気持ち、レースの中で挑む気持ちは今のほうがあります。『ただ速い』ところから、いろいろな経験、スキルがあるので厚みが違うと思っています」と胸を張る。 「今回は確実に決勝に残りたい。しっかりと上位入賞、表彰台を目指していきます」 もう躊躇はしない。自分の感覚を頼りに勝負を仕掛ける。 文/向永拓史 ■男子3000m障害(日本時間) 予選:8月19日 18時35分~ 決勝:8月22日 深夜4時42分~
       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.21

女子200m君嶋愛梨沙がアジア選手権辞退 代表の入れ替えはナシ

日本陸連は5月21日、韓国・クミで行われるアジア選手権の代表選手1名の出場辞退を発表した。 女子200mの君嶋愛梨沙(土木管理総合)が辞退し、「ケガのため」としている。なお、これによる代表選手の入れ替えや追加招集はない。 […]

NEWS 関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

2025.05.21

関東学連が箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金支給「競技力向上と学修支援の一助に」

一般社団法人関東学生陸上競技連盟は2025年度から、箱根駅伝、関東インカレ、関東大学女子駅伝で奨学金を支給する。これまで、トワイライト・ゲームス、関東学生新人、関東学連10000mで贈られてきたが、3月の定例理事会で決定 […]

NEWS コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

2025.05.21

コニカミノルタが新ユニフォーム発表!白とブルーで「夜明け」をイメージ 東日本実業団でお披露目

コニカミノルタ陸上競技部は5月21日、公式試合で着用するユニフォームをリニューアルすることを発表した。 新デザインのイメージは「夜明け」。白を基調に、同社のコーポレートカラーであるブルーのグラデーションでそれを表現してい […]

NEWS トーエネックの河合拓巳が引退 ニューイヤー駅伝に2度出場「充実した競技生活を送ることができました」

2025.05.20

トーエネックの河合拓巳が引退 ニューイヤー駅伝に2度出場「充実した競技生活を送ることができました」

5月20日、トーエネックは所属する河合拓巳が退部したことを発表した。 河合は26歳。愛知・豊橋工高から本格的に走りはじめ、3年時には県高校駅伝1区3位の実績を残す。大学は駿河台大に進み、1年目から箱根駅伝の予選会のメンバ […]

NEWS サニブラウンが渡米 世界陸上まで4ヵ月切り「危機感足りない」日本選手権に向け転戦予定

2025.05.20

サニブラウンが渡米 世界陸上まで4ヵ月切り「危機感足りない」日本選手権に向け転戦予定

男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が5月20日、拠点とする米国へと向かうにあたり取材に応じた。 18日のセイコーゴールデングランプリについては「左ハムストリングスの付け根の張りがあった」ことで棄権。「ウ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年6月号 (5月14日発売)

2025年6月号 (5月14日発売)

Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定

Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析