HOME 高校

2023.06.18

洪水被害乗り越えた和歌山開催「近畿のみなさんに温かく見守っていただいた」近隣高校生も尽力/IH近畿
洪水被害乗り越えた和歌山開催「近畿のみなさんに温かく見守っていただいた」近隣高校生も尽力/IH近畿

近畿地区大会の閉会式

◇インターハイ近畿地区大会(6月15日~18日/和歌山・紀三井寺公園競技場)4日目

夏の北海道インターハイを懸けた近畿地区大会が行われ、4日間の激闘が幕を下ろした。大会総務として運営に奔走した吉田克久先生は、「約2週間前の洪水被害があって大変な時に、多くの人に協力していただいて、なんとか開催することができて良かったです」と感慨深げに振り返る。

6月2日、台風2号と梅雨前線の影響で豪雨となり、和歌山県内の一部地域には警戒レベル最大の「レベル5」である緊急安全確保が発令されたのをはじめ、各地に大きな爪痕を残した。

広告の下にコンテンツが続きます

今大会の会場となった紀三井寺公園競技場も、洪水の被害を受けた。大雨によって各所からあふれた水で、競技場内はあっという間に浸水。さらに、公園北側に近い亀の川が氾濫し、その勢いは増した。

同公園管理事務所『紀の国はまゆう』の山本浩次総務総括部長は、「突然真っ暗になってテントが吹っ飛ぶほどの突風も吹き、あっという間に水がやってきました。土嚢で防ごうとしましたが、間に合いませんでした」と当時の状況を振り返る。

競技場のスタンド裏側の部屋が避難所になるなか、事務所やトレーニングルーム、器具庫などは水に浸かり、陸上の記録計測に関わる機器のいくつかが使用不能に。

豪雨が収まり、水が引いてからがまた深刻な状況となった。一面が泥まみれになり、その処理をするだけで膨大な時間を費やしそうなほど。近畿大会だけでなく、ゲートボールやラグビーなどの大会も控えており、関係者は開催の可否について頭を悩ませることとなった。

そんなかで、奮闘したのが近隣の高校生たちだった。「箕島高校の相撲部、和歌山工業のラグビー部、星林高校のラグビー部と野球部、日高中津高校野球部のみなさんが、野球場なども含めてボランティアとして清掃作業を手伝ってくれました」と『紀の国はまゆう』の橘誠所長。そして、「あの子たちがいなかったら、今回の大会も開催できなかったのではないでしょうか」と感謝の言葉を続けた。

吉田先生も、近隣の競技場から計測機器を借り入れるなど対応。多くの人たちの協力、支えを受け、4日間ともに何の支障もなく大会は開催された。

選手たちも大会側の思いの応えるように男子棒高跳で前中颯斗(近大和歌山2)が1位タイ、同円盤投で永江翔太朗(紀央館2)が優勝するなど、各種目で奮闘した。

吉田先生は「開会式、閉会式、声出し応援など、4年ぶりの通常開催。我々にとっても久しぶりの経験で、生徒たちにとっては初めてだったので、戸惑いもありました。審判や補助員の人数も少なく、いろいろとご迷惑をおかけしたところもありますが、近畿のみなさんに温かく見守っていただきました。近畿の強豪校の勢力図も少し変わりつつあることを感じられ、全体としていい大会になったのではないでしょうか」と、4日間を締めくくった。

写真/弓庭保夫
写真提供/紀の国はまゆう

◇インターハイ近畿地区大会(6月15日~18日/和歌山・紀三井寺公園競技場)4日目 夏の北海道インターハイを懸けた近畿地区大会が行われ、4日間の激闘が幕を下ろした。大会総務として運営に奔走した吉田克久先生は、「約2週間前の洪水被害があって大変な時に、多くの人に協力していただいて、なんとか開催することができて良かったです」と感慨深げに振り返る。 6月2日、台風2号と梅雨前線の影響で豪雨となり、和歌山県内の一部地域には警戒レベル最大の「レベル5」である緊急安全確保が発令されたのをはじめ、各地に大きな爪痕を残した。 今大会の会場となった紀三井寺公園競技場も、洪水の被害を受けた。大雨によって各所からあふれた水で、競技場内はあっという間に浸水。さらに、公園北側に近い亀の川が氾濫し、その勢いは増した。 同公園管理事務所『紀の国はまゆう』の山本浩次総務総括部長は、「突然真っ暗になってテントが吹っ飛ぶほどの突風も吹き、あっという間に水がやってきました。土嚢で防ごうとしましたが、間に合いませんでした」と当時の状況を振り返る。 競技場のスタンド裏側の部屋が避難所になるなか、事務所やトレーニングルーム、器具庫などは水に浸かり、陸上の記録計測に関わる機器のいくつかが使用不能に。 豪雨が収まり、水が引いてからがまた深刻な状況となった。一面が泥まみれになり、その処理をするだけで膨大な時間を費やしそうなほど。近畿大会だけでなく、ゲートボールやラグビーなどの大会も控えており、関係者は開催の可否について頭を悩ませることとなった。 そんなかで、奮闘したのが近隣の高校生たちだった。「箕島高校の相撲部、和歌山工業のラグビー部、星林高校のラグビー部と野球部、日高中津高校野球部のみなさんが、野球場なども含めてボランティアとして清掃作業を手伝ってくれました」と『紀の国はまゆう』の橘誠所長。そして、「あの子たちがいなかったら、今回の大会も開催できなかったのではないでしょうか」と感謝の言葉を続けた。 吉田先生も、近隣の競技場から計測機器を借り入れるなど対応。多くの人たちの協力、支えを受け、4日間ともに何の支障もなく大会は開催された。 選手たちも大会側の思いの応えるように男子棒高跳で前中颯斗(近大和歌山2)が1位タイ、同円盤投で永江翔太朗(紀央館2)が優勝するなど、各種目で奮闘した。 吉田先生は「開会式、閉会式、声出し応援など、4年ぶりの通常開催。我々にとっても久しぶりの経験で、生徒たちにとっては初めてだったので、戸惑いもありました。審判や補助員の人数も少なく、いろいろとご迷惑をおかけしたところもありますが、近畿のみなさんに温かく見守っていただきました。近畿の強豪校の勢力図も少し変わりつつあることを感じられ、全体としていい大会になったのではないでしょうか」と、4日間を締めくくった。 写真/弓庭保夫 写真提供/紀の国はまゆう

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.18

駒大4年生4本柱は主要区間を熱望! 主将・山川拓馬「エース区間に挑みたい」 佐藤圭汰「しっかり走って恩返しを」

第102回箱根駅伝で3年ぶりの総合優勝を狙う駒大が12月18日、オンラインで合同会見を行い、エントリー選手が出席した。 今季の駒大は4年生の4人が強力。それぞれ希望区間を問われると、主将の山川拓馬は2区と5区、伊藤蒼唯は […]

NEWS 箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

2025.12.18

箱根駅伝Stories/青学大3連覇へ、過去最高レベルの戦力 「チームを勝たせる走り」を結集

前回優勝メンバーから6人が卒業 前回、10時間41分19秒の大会新記録で連覇を飾ったメンバーから6人が卒業。それも4区で歴代2位の好タイムをマークした太田蒼生(現・GMOインターネットグループ)に5、6区連続区間新で、「 […]

NEWS 横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

2025.12.18

横山隆義氏が死去 由良育英高でインターハイ2度の総合V 全国高校駅伝でも準優勝に導く

鳥取・由良育英高(現・鳥取中央育英高)の陸上部顧問として、インターハイで2度の総合優勝に導き、高校駅伝でも全国大会で2度の準優勝を果たした横山隆義氏が、12月15日、肺炎のため亡くなった。81歳だった。 横山氏は1944 […]

NEWS 26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

2025.12.18

26年7月に第1回U23アジア選手権開催が決定! アジア跳躍選手権も実施予定

アジア陸連は11月に理事会を開催し、2026年7月9日から12日の日程で、第1回U23アジア選手権を中国・オルドスで開催することを発表した。 陸上競技では、U18やU20など年齢別の競技会が実施されており、U20カテゴリ […]

NEWS 中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

2025.12.18

中大・吉居駿恭主将「一番恩返しできるのが優勝」 溜池一太は初マラソン意向も「箱根だけしか考えていない」

第102回箱根駅伝で30年ぶりとなる総合優勝を狙う中大が12月18日、東京・八王子市の多摩キャンパスで合同取材を開いた。 主将の吉居駿恭(4年)は「昨年の11月中旬くらいに(総合優勝の)目標を立てました。昨年の全日本の結 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top