◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)5日目
オレゴン世界陸上5日目のイブニングセッションに行われた男子400mハードル決勝。昨年の東京五輪では史上初の45秒台、世界歴代1~3位の記録が誕生する歴史に残るレースとなって注目を集めたこの種目を制したのは、ブラジルのアリソン・ドス・サントス。8台目を越えてから力強く抜け出し、29年ぶり大会新の46秒29で初の世界一に輝いた。
前半は、4レーンに入った45秒94の世界記録保持者カールステン・ワルホルム(ノルウェー)がスタートから弾丸のように突っ走るいつものスタイルで飛ばすが、6レーンのドス・サントスもハードル間12歩のダイナミックな走りで譲らない。3レーンに入った東京五輪銀メダルのライ・ベンジャミン(米国)も地元で世界大会初タイトルを目指してワルホルムをピタリ追走する。
勝負の明暗が分かれたのが8台目。ワルホルムが疲労からか足が届かず失速したのに対し、ドス・サントスとベンジャミンがスムーズに越えて前に出る。そこから強さを見せたのがドス・サントスだった。地元の大歓声を背負うベンジャミンを引き離してフィニッシュ。銅メダルだった東京五輪でマークした自己ベスト(46秒72/世界歴代3位)を大一番で大幅に短縮した。世界陸上のブラジル勢の金メダルは男子では初、11年テグ大会女子棒高跳のファビアナ・ムレル以来2人目の快挙だ。
身長2mの恵まれた体格を持つ22歳。今季、ダイヤモンドリーグ(DL)では開幕戦のドーハ大会から出場した4戦すべてに優勝と絶好調。今大会前最後のDLだった6月30日のストックホルム大会では今季世界最高の46秒80をマークし、勢いに乗ってオレゴンに入っていた。
従来の大会記録(47秒13、1993年)を持っていたケヴィン・ヤング(米国)は、1992年に46秒78の世界記録も作った偉大なハードラー。その記録が昨年大幅に塗り替えられ、さらに世界陸上の大会記録も更新された。新時代に入った男子ヨンパーの世界水準は、これからさらに上がっていきそうだ。
2位はベンジャミンで今季ベストの46秒89。トレヴォー・バシット(米国)とウッルフレッド・ハピオ(フランス)が並ぶようにフィニッシュした3位争いは、バシットが47秒39でハピオを0.02秒抑えた。
ワルホルム(ノルウェー)は48秒72で7位にとどまり、3連覇ならず。今季初戦だった6月5日のDLラバトで左脚ハムストリングスを痛めた影響で、今大会がほぼぶっつけ本番。予選(49秒34)、準決勝(48秒00)と危なげない走りを見せていたが、3本目の決勝でベストの走りをするコンディションにまでは仕上げられなかったようだ。
■男子400mH上位成績
1位 アリソン・ドス・サントス(ブラジル) 46秒29=大会新
2位 ライ・ベンジャミン(米国) 46秒89
3位 トレバー・バシット(米国) 47秒39
4位 ウィルフリード・アピオ(フランス) 47秒41
5位 カリフ・ロッサー(米国) 47秒88
6位 ジャヘール・ハイド(ジャマイカ) 48秒03
7位 カールステン・ワルホルム(ノルウェー)48秒42
8位 ラスムス・マギ(エストニア) 48秒92
※一部記録に誤りがありましたので訂正しました。

RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.08.24
-
2025.08.24
-
2025.08.24
-
2025.08.24
-
2025.08.23
-
2025.08.23
2025.08.19
15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会
-
2025.08.24
2025.08.16
100mH・福部真子12秒73!!ついに東京世界選手権参加標準を突破/福井ナイトゲームズ
-
2025.08.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.08.24
ドキュメント/今年も歴史が刻まれた福井の夜に熱狂!東京世界陸上前に過去最大規模の“お祭り”が夏を彩る
2019年に産声を上げたAthlete Night Games in FUKUIは、今年で6回目を迎えた。17年に行われた日本インカレの男子100mで、桐生祥秀(東洋大、現・日本生命)が日本初の9秒台を刻んだ時の感動から […]
2025.08.24
100mH清山ちさと 34歳自己新連発 ラストチャンスは惜しくも標準届かず世界陸上代表ならず
東京世界選手権出場のための記録の有効期間最終日となる8月24日、九州選手権が大分スポーツ公園クラサスドーム大分で行われ、女子100mハードルに清山ちさと(いちご)が出場した。 東京世界選手権の参加標準記録(12秒73)を […]
2025.08.24
【“陸女”インタビュー】バラエティーや情報番組に引っ張りだこ!タレント・国本梨紗さん 中学3年間の陸上部「あの時の記憶が数年後の自分を助けてくれる」
オリンピックの花形である陸上競技! 球技に比べると、すこーし“地味”な印象があるかもしれない……。しかし、中高生合わせて、なんと約30万人以上が「陸部」なんです。 実は芸能界で活躍するあの人も、この人も、結構、陸上経験者 […]
2025.08.24
東京世界陸上と「進撃の巨人」がコラボ!大会記念グッズ販売も決定
TBSは8月24日、公式SNSやYouTubeを更新し、東京世界陸上とアニメ『進撃の巨人』とのコラボレーションを発表した。 世界的に人気を誇る『進撃の巨人』とのコラボとなる「進撃の世界陸上」。そのコラボVTRが公開された […]
2025.08.24
100m桐生祥秀 世界陸上への「刺激入れ」で10秒03w!「ここから磨いていきたい」
東京世界選手権出場のための記録の有効期間最終日となる8月24日、奈良市サーキットの男子100mに桐生祥秀(日本生命)が出場。追い風参考ながら10秒03(+2.8)の好記録をマークして会場にいた中高生たちの歓声を浴びた。 […]
Latest Issue
最新号

2025年9月号 (8月12日発売)
衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99