◇ミドルディスタンスサーキット東京大会(10月30日/東京・駒沢)
東京五輪女子10000m代表の新谷仁美(積水化学)が、五輪後初めて公の場に登場。5000mでチームメイトらのペースメーカーを務めた。
「正直、まだ気持ちは前を向けていない」。ときおり声をつまらせながら語る。東京五輪で21位に終わった後は、「8月は引きこもっていました」。9月からようやく練習を再開。「ケガもしていないし、走らない理由はない」。だが、「結果がすべて」と自らを追い込んできただけに、「存在を消したいと思った」と、東京五輪の結果を受けて、身体とは裏腹に心はボロボロだった。
公の場で走るのはこれが東京五輪以降で初めて。「魅せる走りはできない。恥ずかしい」。それでも走ったのは仲間のため。「積水化学のメンバーはこんな私でも慕ってくれる。なんとか立ち上がらないといけない」と、全日本実業団女子駅伝を控えるチームのために、ペースメーカーをしっかり務めた。スタンドには自分の名前に拍手を送り、サインを求める人がいてくれる。それもうれしかった。
コーチである横田真人氏が今回の大会のように、さまざまな活動を通して陸上競技のあり方、楽しみ方を提供し、「結果だけじゃないところに価値があるのも理解できるし、大切なこと」と新谷。それでも、五輪を通じて「世間の声が直接に届いた」ことで、より「やっぱり結果を出さないといけない」と実感した。
それでも辞めなかったのは、「私が苦しんでいる以上苦しんでいると思う」(新谷)という横田コーチや、仲間・ファンの存在があったからだろう。次に残すべき「結果」は決まっている。
「実業団として、駅伝日本一の大事さは理解しています。今年はチームメイトの力も上がっていると聞いているので、今年こそ日本一を目指したい」
走ることは「仕事。好きではない」と公言する新谷が、唯一「楽しい」と言うのが仲間とタスキをつなぐ駅伝。若手が躍動する日本女子長距離界において、まだまだ新谷の存在が必要だ。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.04.29
女子100mH・田中佑美が混戦抜け出し13秒00でV 「しっかり流れに乗れた」/織田記念
-
2024.04.29
-
2024.04.29
2024.04.26
やり投・北口榛花 五輪シーズン初戦へ「結果がどうであれ次につなげられれば」/DL蘇州
2024.04.12
40年以上の人気シューズ”ペガサス”シリーズの最新作!「ナイキ ペガサス 41」が登場!
-
2024.04.26
-
2024.04.07
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.04.29
3000m障害・三浦龍司 パリ五輪内定は持ち越しも8分22秒07で制し「勝負に勝つという意味では良かった」/織田記念
◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリシリーズG1の織田記念が行われ、男子3000m障害は三浦龍司(SUBARU)が8分22秒07で優勝した。昨年のブダペスト世界選手権6位のた […]
2024.04.29
女子100mH・田中佑美が混戦抜け出し13秒00でV 「しっかり流れに乗れた」/織田記念
◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリG1の織田記念が行われ、12秒台のベストを持つ日本人5人が出場した女子100mハードルは、ブタペスト世界選手権代表の田中佑美(富士通)が1 […]
2024.04.29
110mH村竹ラシッドが13秒29!社会人デビューもフィニッシュ後転倒で「2年連続ヒヤヒヤ」/織田記念
◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島) 日本グランプリG1の織田記念が行われ、男子110mハードルは村竹ラシッド(JAL)が13秒29(-0.6)をマークして制した。 広告の下にコンテンツが続 […]
2024.04.29
【大会結果】第58回織田幹雄記念(2024年4月29日)
【大会結果】第58回織田幹雄記念(2024年4月29日/ホットスタッフフィールド広島) グランプリ ●男子 100m 守祐陽(大東大) 10秒26(+0.7) 1500m G.アブラハム(阿見AC) 3分39 […]
Latest Issue 最新号
2024年5月号 (4月12日発売)
パリ五輪イヤー開幕!