
写真/時事
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目
雨上がりのトラックで日本の若き才能が世界に立ち向かった。男子3000m障害の三浦龍司(順大)だ。
予選で8分09秒92の日本記録を樹立して、1972年ミュンヘン五輪の小山隆治以来、49年ぶりに予選を突破した三浦。決勝はスローペースになり、最初の水濠を跳び越えた後に三浦が先頭に立つ。1000mを2分50秒04で通過。その後はエチオピア勢が前に出て、三浦は4~5番目に後退。2000mはトップが5分35秒66で通過した。
残り2周で5人が抜け出し、残り1周で三浦は10番目。最後の水濠を越えた時は9番目だったが、持ち味のスパート力を世界の舞台で発揮する。2人をかわして最終的には7位(8分16秒90)に食い込んだ。
「オリンピックの舞台で決勝をしっかり走るという目標はクリアできました。入賞もできたんですけど、正直悔しい気持ちもあります」
世界大会特有のペースチェンジに戸惑っただけでなく、集団の中では踏み切りのタイミングがなかなか合わなかったという。それでも三浦はしっかりと結果を残した。
小山隆治の過去最高9位を上回り、日本人初入賞の快挙を達成。トラックの個人種目での入賞は2000年シドニー大会10000m7位高岡寿成以来21年ぶりとなる。
ラストで順位を上げるのはこれまでの日本人選手にはなかなか見られなかったもの。歴史を塗り替える快走劇だったと言ってもいいだろう。
島根県浜田市出身。小学校の頃からクラブチーム「浜田ジュニア陸上競技教室」に通い始めた。80mハードルにも挑戦し、ハードリングの基礎を身につけた。決勝のレース後、飛躍の秘訣を聞かれ、「高校で基礎を作っていただいて、大学でつなげられている」と話した三浦。浜田東中から京都の名門・洛南高に進学し、奥村隆太郎先生の指導により走力がアップし、「3000m障害の申し子」とまで言われた才能をさらに磨いた。
高3時で高校記録(櫛部静二、8分44秒77/1989年)を30年ぶりに更新し、昨年は37年ぶりのU20日本新(※従来=愛敬重之8分31秒27/1983年)、41年ぶりの日本学生新記録(※従来=新宅雅也8分25秒8/1979年)と、次々に歴史を塗り替えた。今年5月に8分17秒46と18年ぶり日本新(※従来=岩水嘉孝8分18秒93/2003年)、翌月の日本選手権では転倒しながらも8分15秒99と更新して五輪代表を勝ち取った。
障害のないフラットレースでも5000mはU20日本歴代2位の13分26秒78がベスト。これは今季の日本人学生トップ、日本ランキング2位だ。昨年の箱根駅伝予選会のハーフマラソンでは1時間01分41秒のU20日本最高記録(それまでの記録は大迫傑の1時間01分47秒)で日本人トップ。11月の全日本大学駅伝では1区9.5kmを区間新の27分07秒で1年生区間賞を獲得するなど、ロード、クロカンなどでも活躍。異彩を放っている。
「オリンピックでいっぱいいっぱい」だったが、このあとは「駅伝」にシフト。「チームとして駅伝をやっていくので、切り替えたい」と三浦は、秋に向けて「1人の学生ランナー」に戻って順大の仲間たちと戦う。
「東京五輪は自分にとって大切な経験になったと思います。3年後のパリ五輪では今回の7位を上回り、自分が納得できる走りをしたいと思います。サンショーは自分の個性を出せる唯一の種目。自分の持っている力を出し切るまで向き合っていきたい」
19歳の三浦はまだまだ「先」を見つめている。今度はどんな景色を見せるのだろうか。
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◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目
雨上がりのトラックで日本の若き才能が世界に立ち向かった。男子3000m障害の三浦龍司(順大)だ。
予選で8分09秒92の日本記録を樹立して、1972年ミュンヘン五輪の小山隆治以来、49年ぶりに予選を突破した三浦。決勝はスローペースになり、最初の水濠を跳び越えた後に三浦が先頭に立つ。1000mを2分50秒04で通過。その後はエチオピア勢が前に出て、三浦は4~5番目に後退。2000mはトップが5分35秒66で通過した。
残り2周で5人が抜け出し、残り1周で三浦は10番目。最後の水濠を越えた時は9番目だったが、持ち味のスパート力を世界の舞台で発揮する。2人をかわして最終的には7位(8分16秒90)に食い込んだ。
「オリンピックの舞台で決勝をしっかり走るという目標はクリアできました。入賞もできたんですけど、正直悔しい気持ちもあります」
世界大会特有のペースチェンジに戸惑っただけでなく、集団の中では踏み切りのタイミングがなかなか合わなかったという。それでも三浦はしっかりと結果を残した。
小山隆治の過去最高9位を上回り、日本人初入賞の快挙を達成。トラックの個人種目での入賞は2000年シドニー大会10000m7位高岡寿成以来21年ぶりとなる。
ラストで順位を上げるのはこれまでの日本人選手にはなかなか見られなかったもの。歴史を塗り替える快走劇だったと言ってもいいだろう。
島根県浜田市出身。小学校の頃からクラブチーム「浜田ジュニア陸上競技教室」に通い始めた。80mハードルにも挑戦し、ハードリングの基礎を身につけた。決勝のレース後、飛躍の秘訣を聞かれ、「高校で基礎を作っていただいて、大学でつなげられている」と話した三浦。浜田東中から京都の名門・洛南高に進学し、奥村隆太郎先生の指導により走力がアップし、「3000m障害の申し子」とまで言われた才能をさらに磨いた。
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障害のないフラットレースでも5000mはU20日本歴代2位の13分26秒78がベスト。これは今季の日本人学生トップ、日本ランキング2位だ。昨年の箱根駅伝予選会のハーフマラソンでは1時間01分41秒のU20日本最高記録(それまでの記録は大迫傑の1時間01分47秒)で日本人トップ。11月の全日本大学駅伝では1区9.5kmを区間新の27分07秒で1年生区間賞を獲得するなど、ロード、クロカンなどでも活躍。異彩を放っている。
「オリンピックでいっぱいいっぱい」だったが、このあとは「駅伝」にシフト。「チームとして駅伝をやっていくので、切り替えたい」と三浦は、秋に向けて「1人の学生ランナー」に戻って順大の仲間たちと戦う。
「東京五輪は自分にとって大切な経験になったと思います。3年後のパリ五輪では今回の7位を上回り、自分が納得できる走りをしたいと思います。サンショーは自分の個性を出せる唯一の種目。自分の持っている力を出し切るまで向き合っていきたい」
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