【シューズレポ】
サブスリー編集者が語る!!
ホカ オネオネ「CARBON X(カーボン エックス)2」
中学時代から陸上競技に取り組み、今も市民ランナーとして走り続けている月陸編集者(マラソンの自己ベストは2時間43分)が、注目のシューズをトライアル! 今回は1月1日に発売されたHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)の「CARBON X(カーボン エックス)2」(税込み27,500円)を紹介する。
長距離用レーシングモデルであるHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)の「CARBON X(カーボン エックス)2」
カーボンファイバープレート搭載モデルを全面リニューアル
2020年11月に“ブランド最速モデル”として「ROCKET X(ロケット エックス)」を発売したばかりのHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)から、今度は新たに長距離レーシングモデルが登場した。2019年に話題となった厚底モデルの後継である「CARBON X(カーボン エックス)2」だ。
その名の通り、CARBON X 2のミッドソールにはカーボンファイバープレートが内蔵されている。EVAのミッドソールと、ラバライズドEVA素材のアウトソールでプレートを挟み込み、クッション性と高い推進力を両立。このPROFLY(プロフライ)テクノロジーが快適な走り心地を実現するという仕組みだ。
初代CARBON Xに全面にリニューアルを加え、より快適な走り心地を追求した。カーボンプレートはアウトソールとミッドソールに挟まれて配置され、ミッドソールは中央で2つに分かれるのではなく、1つのEVAで構成されている。
ソールは二股に分かれた踵が印象的。中央の穴からは内蔵されたカーボンファイバープレートが確認できる
また、見た目にもインパクトのある踵は後方にせり出して二股に分かれ、着地時の安定感を向上。アッパーも一新され、シュータン(ベロ)は薄くて軽量なタイプが採用された。全体のシルエットやディテールはレーシングシューズらしさをより一層感じられるデザインだ。
ちなみに、サイズ感は標準よりやや大きめで、普段25.0~25.5cmのシューズを履くことの多い筆者はウィメンズの24.5cmがジャストフィット。シューズの重量は27.0cmで239gと、ROCKET Xの210gに比べるとやや重いが、実際に履いて走ってみると筆者は特に気にならず、スピードを上げてみても「重い」とは思わなかった。
「楽に速く」走らせてくれるシューズ
ROCKET Xが「ブランド最速」であるならば、CARBON X 2はどんなポジションになるのか。この疑問は実際にCARBON X 2を履いて走ることで解決した。ROCKET Xがスピードを追い求めたモデルなのに対し、CARBON X 2は安定性と走行効率を重視したシューズと言えそうだ。
まず、CARBON X 2のソールはホカの代表的モデルであるCLIFTON(クリフトン)7やROCKET Xに比べるとそこまで柔らかくない。もちろん硬いわけではないが、ソールがあまり沈み込まないため安定感がある。
そして、最大の特徴はシューズが重心移動をサポートしてくれる点だ。踵や中足部で接地した後は転がるように重心が前足部へと移り、自然なキックが促される。その一連の動作をシューズが導いてくれるのだ。
ある程度速いペースになっても転がるように脚が滑らかに回転するので、明らかに脚が疲れにくい。「楽に走らせてくれるシューズ」という表現がぴったりだ。2020年の5000mベストが18分22秒84だった筆者の場合は、1km4分~4分20秒くらいのペースで走った時に最もこの恩恵を受けられるように感じた。
靴がフォームを修正
これは私見だが、おそらくCARBON X 2はマラソンやハーフマラソンのリズムに最適化された設計なのだと思う。シューズの動きに逆らって無理にスピードを上げようとすると、ピッチの速さに重心移動が間に合わず、キックがやや「空振り」するようにも感じた。このような“速度超過”をしないペースであれば、接地→重心移動→蹴り出しという一連の動作がスムーズに行われ、「楽に速く」走れる感覚がある。
丸みを帯びたソール(メタロッカーテクノロジー)が転がるような重心移動を実現。長い距離でも楽に速く走れる
さらに、このCARBON X 2にはもう一つ見逃せない特徴がある。それは、疲れてフォームが崩れてきてもシューズが脚の動きを修正してくれることだ。サポート機能が強いため、左右のブレや接地の乱れが出てくると、シューズがそれらのロスを抑制してまっすぐに脚を出すように誘導してくれる。これはマラソンやウルトラマラソンなど長い距離のレースほど威力を発揮するだろう。
スピードが出せるシューズというのはその分、筋力を強く動員させることから、マラソンのような長丁場のレースになると痙攣(けいれん)や故障といったリスクが高くなる。その点、CARBON X 2であれば、「失敗したくないレース」を確実に走らせてくれるはずだ。
なお、1月23日にはCARBON X 2を履いて100kmの世界記録に挑むレース「PROJECT CARBON X 2」が米国で開催される。2019年に開催された前回の「PROJECT CARBON X」で50マイル(約80.4672km)の世界最高記録(4時間50分08秒)を打ち立てたジム・ウォームズレー(米国)もエントリーしており、こちらもどんな結果になるか注目だ。
※「PROJECT CARBON X 2」の詳細はこちらを参照
文/山本慎一郎
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カーボンファイバープレート搭載モデルを全面リニューアル
2020年11月に“ブランド最速モデル”として「ROCKET X(ロケット エックス)」を発売したばかりのHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)から、今度は新たに長距離レーシングモデルが登場した。2019年に話題となった厚底モデルの後継である「CARBON X(カーボン エックス)2」だ。 その名の通り、CARBON X 2のミッドソールにはカーボンファイバープレートが内蔵されている。EVAのミッドソールと、ラバライズドEVA素材のアウトソールでプレートを挟み込み、クッション性と高い推進力を両立。このPROFLY(プロフライ)テクノロジーが快適な走り心地を実現するという仕組みだ。 初代CARBON Xに全面にリニューアルを加え、より快適な走り心地を追求した。カーボンプレートはアウトソールとミッドソールに挟まれて配置され、ミッドソールは中央で2つに分かれるのではなく、1つのEVAで構成されている。
「楽に速く」走らせてくれるシューズ
ROCKET Xが「ブランド最速」であるならば、CARBON X 2はどんなポジションになるのか。この疑問は実際にCARBON X 2を履いて走ることで解決した。ROCKET Xがスピードを追い求めたモデルなのに対し、CARBON X 2は安定性と走行効率を重視したシューズと言えそうだ。 まず、CARBON X 2のソールはホカの代表的モデルであるCLIFTON(クリフトン)7やROCKET Xに比べるとそこまで柔らかくない。もちろん硬いわけではないが、ソールがあまり沈み込まないため安定感がある。 そして、最大の特徴はシューズが重心移動をサポートしてくれる点だ。踵や中足部で接地した後は転がるように重心が前足部へと移り、自然なキックが促される。その一連の動作をシューズが導いてくれるのだ。 ある程度速いペースになっても転がるように脚が滑らかに回転するので、明らかに脚が疲れにくい。「楽に走らせてくれるシューズ」という表現がぴったりだ。2020年の5000mベストが18分22秒84だった筆者の場合は、1km4分~4分20秒くらいのペースで走った時に最もこの恩恵を受けられるように感じた。靴がフォームを修正
これは私見だが、おそらくCARBON X 2はマラソンやハーフマラソンのリズムに最適化された設計なのだと思う。シューズの動きに逆らって無理にスピードを上げようとすると、ピッチの速さに重心移動が間に合わず、キックがやや「空振り」するようにも感じた。このような“速度超過”をしないペースであれば、接地→重心移動→蹴り出しという一連の動作がスムーズに行われ、「楽に速く」走れる感覚がある。
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