2025.07.06
◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目
東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子100mは桐生祥秀(日本生命)が10秒23(+0.4)で5年ぶり3回目の優勝を遂げた。
今年の男子100mは予選から波乱が続いた。アジア選手権王者の柳田大輝(東洋大)が不正スタートで失格すると、股関節上部の骨挫傷で強行出場したサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)も敗退。準決勝では前回覇者の坂井隆一郎(大阪ガス)と日本記録保持者の山縣亮太(セイコー)が姿を消した。
8人に絞られた“日本人最速”を決める特別な舞台。前回から7人の顔ぶれが変わったなかで“ファイナリストの住人”だけは別次元だった。日本人で最初に9秒台をマークした桐生祥秀(日本生命)だ。
3レーンに入った桐生は出場選手で最速となる0.133秒のリアクションタイムで飛び出すと、スムーズに加速していく。「最後の2mぐらいでちょっと横を見たときに出ていたので勝ったなと思いました」と歓喜のゴールに駆け込んだ。
優勝タイムは10秒23(+0.4)と伸びなかったが、後続に0.05秒差をつけて完勝。桐生の後は3人が10秒28の同タイムで、大上直起(青森県庁)が2位、関口裕太(早大)が3位、井上直紀(早大)が4位という結果になった。
「やっぱり優勝はうれしいですね。久々。5年ぶりかな。高校から日本選手権に出場して、連覇はしていないですけど、すべて決勝で勝負できているのは自分の強み。今回は予選をしっかり走れて、準決勝はちょっとミスしたんですけど、決勝でうまく修正できた。そこが良かったのかなと思います」
衝撃の10秒01をマークした高校3年時から12年。今年で日本選手権の出場は11回目で、そのすべてでファイナルを戦ってきた。何度も悔し涙を流してきたが、その度に強く、たくましくなった。
「小島茂之コーチや後藤勤トレーナーからは、大学時代から『桐生なら行ける』という言葉をずっとかけていただきました。今日はコーチやトレーナーさんの日かなと思うので、僕は明日、喜びを噛みしめればいいかなと思います」
今回は初めて“うれし涙”がこぼれた。
それでも世界選手権代表への道はまだまだ険しい。男子100mで参加標準記録(10秒00)を突破している日本勢はサニブラウンのみ。現時点のワールドランキングにおいて、ターゲットナンバー(48)内にはサニブラウンが17番目、栁田が30番目につけている。桐生は8月24日までに参加標準記録を突破するか、競技会で好走して世界ランキングを出場圏内まで押し上げなければ、個人種目の代表権を得ることができないのだ。
今後は7月に欧州の競技会に出場したい意向を持つ。8月は富士北麓ワールドトライアルとAthlete Night Games in FUKUIでタイムを狙いにいくつもりだ。
「明日は休んで、月曜日からしっかり練習したい。そして日本選手権に勝てたことを自信に海外で挑戦したいと思います」
桐生の言葉には日本スプリント界を引っ張っていく覚悟がみなぎっていた。
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