HOME 駅伝

2023.10.10

“もうひとつの出雲駅伝” 駒大・赤星雄斗がトップ「ここで勝ち切らないとアピールにはならない」/出雲市陸協記録会
“もうひとつの出雲駅伝” 駒大・赤星雄斗がトップ「ここで勝ち切らないとアピールにはならない」/出雲市陸協記録会

23年出雲市陸協記録会5000mで1着だった赤星雄斗

駒大が圧勝を飾った10月9日の出雲駅伝の直後、各大学のメンバー外だった選手たちが出場する出雲市陸協記録会、通称「もうひとつの出雲駅伝」が島根県浜山陸上競技場で開催された。

ここでも強さを見せたのは駒大の選手だった。

この記録会は5000mが全2組行われ、2組目には青学大の若林宏樹(3年)、早大の菖蒲敦司(4年)といった5000m13分台を持つ有力校の選手が多数出場した。

序盤は若林が集団を牽引し、入りの1000mは2分50秒、2000m通過は5分39秒と比較的ゆっくりしたペースで展開した。2000mからは國學院大の1年生、田中愛睦が先頭に立つ積極性を見せた。

満を持して残り3周で先頭に立ったのが、駒大の4年生・赤星雄斗だった。法大の宮岡幸大(3年)も食らいつき、2人は激しい先頭争いを繰り広げた。残り1周の鐘を前に宮岡が前に出たが、残り300mで赤星が先頭を奪い返した。そして、赤星がそのまま逃げ切って14分01秒23で1着でフィニッシュ。見事に出雲駅伝の“7区”を務め上げた。

「全日本と箱根に向けて、ここで勝ち切らないとアピールにはならないと思っていました。最後に出るだけのかたちになってしまいましたが、勝ちにこだわってやってきました」と、赤星にとっては狙い通りの結果だった。

広告の下にコンテンツが続きます

出雲駅伝は5区にエントリーされていたものの、当日変更で出走が叶わず、2区を走った佐藤圭汰(2年)の付き添いを務めた。

藤田敦史監督は「サポートした後でも、こうやって勝ち切れるのは立派ですよ。さすが最上級生だなと思います。最後のキレがあまりないのですが、その中でも今日は最後に勝てるレースができた。収穫は非常に大きいんじゃないですか」と赤星の好走を称える。全日本のメンバー入りへ、赤星のアピールはうまくいったと見ていい。

昨年も、駒大の4年生・円健介が同記録会で5000m日本人トップの2着で走り、その後、全日本、箱根と活躍を見せた。「円さんも去年良い形で走って、全日本、箱根とつながっていった。それを意識した」と、赤星も先輩の円のような活躍を誓う。

今年の箱根駅伝の優勝メンバーでもある赤星は、関東インカレ(2部)のハーフマラソンを制するなど、どちらかと言えば長い距離を得意とする選手だ。出雲を走れなかったのは「自分の実力不足」と認めるが、赤星得意の長い距離となる全日本と箱根ではチームの力になるつもりだ。

また、4着には、約2週間前の一関ハーフで好走した庭瀬俊輝(3年)、5着には安原海晴(1年)が入った。庭瀬、安原の走りには「あともうちょっと……」と藤田監督は及第点を与えることはなかったが、「もうひとつの出雲駅伝」でも駒大勢の存在感は際立っていた。

なお、2着の宮岡は14分03秒16の自己ベストをマーク。3着には中大の大澤健人(4年)が入った。

文/和田悟志

駒大が圧勝を飾った10月9日の出雲駅伝の直後、各大学のメンバー外だった選手たちが出場する出雲市陸協記録会、通称「もうひとつの出雲駅伝」が島根県浜山陸上競技場で開催された。 ここでも強さを見せたのは駒大の選手だった。 この記録会は5000mが全2組行われ、2組目には青学大の若林宏樹(3年)、早大の菖蒲敦司(4年)といった5000m13分台を持つ有力校の選手が多数出場した。 序盤は若林が集団を牽引し、入りの1000mは2分50秒、2000m通過は5分39秒と比較的ゆっくりしたペースで展開した。2000mからは國學院大の1年生、田中愛睦が先頭に立つ積極性を見せた。 満を持して残り3周で先頭に立ったのが、駒大の4年生・赤星雄斗だった。法大の宮岡幸大(3年)も食らいつき、2人は激しい先頭争いを繰り広げた。残り1周の鐘を前に宮岡が前に出たが、残り300mで赤星が先頭を奪い返した。そして、赤星がそのまま逃げ切って14分01秒23で1着でフィニッシュ。見事に出雲駅伝の“7区”を務め上げた。 「全日本と箱根に向けて、ここで勝ち切らないとアピールにはならないと思っていました。最後に出るだけのかたちになってしまいましたが、勝ちにこだわってやってきました」と、赤星にとっては狙い通りの結果だった。 出雲駅伝は5区にエントリーされていたものの、当日変更で出走が叶わず、2区を走った佐藤圭汰(2年)の付き添いを務めた。 藤田敦史監督は「サポートした後でも、こうやって勝ち切れるのは立派ですよ。さすが最上級生だなと思います。最後のキレがあまりないのですが、その中でも今日は最後に勝てるレースができた。収穫は非常に大きいんじゃないですか」と赤星の好走を称える。全日本のメンバー入りへ、赤星のアピールはうまくいったと見ていい。 昨年も、駒大の4年生・円健介が同記録会で5000m日本人トップの2着で走り、その後、全日本、箱根と活躍を見せた。「円さんも去年良い形で走って、全日本、箱根とつながっていった。それを意識した」と、赤星も先輩の円のような活躍を誓う。 今年の箱根駅伝の優勝メンバーでもある赤星は、関東インカレ(2部)のハーフマラソンを制するなど、どちらかと言えば長い距離を得意とする選手だ。出雲を走れなかったのは「自分の実力不足」と認めるが、赤星得意の長い距離となる全日本と箱根ではチームの力になるつもりだ。 また、4着には、約2週間前の一関ハーフで好走した庭瀬俊輝(3年)、5着には安原海晴(1年)が入った。庭瀬、安原の走りには「あともうちょっと……」と藤田監督は及第点を与えることはなかったが、「もうひとつの出雲駅伝」でも駒大勢の存在感は際立っていた。 なお、2着の宮岡は14分03秒16の自己ベストをマーク。3着には中大の大澤健人(4年)が入った。 文/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

PR

2025.05.01

KIPRUNが環境に優しい新たなシューズを発表 接着剤不使用の「KIPX」はリサイクル可能な次世代アイテム

KIPRUNは4月上旬、フランス・パリで発表会を行い、新たなブランドロゴを発表するとともに、今後日本国内でも発売を予定している新モデルシューズを発表した。 競歩世界チャンピオンも愛用したシューズ 2021年にブランド初の […]

NEWS セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら

2025.05.01

セイコーGGPトラック種目の海外選手を発表! 100mにパリ五輪4継金メダルブレーク、110mHに同7位ベネットら

日本陸連は5月1日、セイコーゴールデングランプリ2025(5月18日/東京・国立競技場)の出場選手第10弾としてトラック種目の海外選手を発表した。 男子100mには昨年のパリ五輪男子4×100mリレーで金メダルのジェロー […]

NEWS 坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

2025.05.01

坂井隆一郎、中島佑気ジョセフ、水久保漱至らがケガのため欠場/セイコーGGP

5月1日、日本陸連はセイコーゴールデングランプリ(5月18日/東京・国立競技場)の欠場者を発表した。 日本人選手で欠場するのは、男子100mの坂井隆一郎(大阪ガス)、同200mの水久保漱至(宮崎県スポ協)、同400mの中 […]

NEWS アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

2025.05.01

アジア選手権男子400m中島佑気ジョセフが故障のため辞退 44秒台の佐藤風雅が代表入り

日本陸連は5月1日、韓国・クミで開催されるアジア選手権の代表選手の入れ替えを発表した。 男子400mで選出されていた中島佑気ジョセフ(富士通)が辞退。右ハムストリングスのケガのためとしている。中島は昨年のパリ五輪代表。4 […]

NEWS 東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top