HOME 海外

2023.07.12

欧州人権裁判所がセメニャの訴えを一部認める判決 世界陸連は「DSD規則を変更することはない」と声明
欧州人権裁判所がセメニャの訴えを一部認める判決 世界陸連は「DSD規則を変更することはない」と声明

リオ五輪女子800mで金メダルを獲得しているセメニャ

7月11日、欧州人権裁判所は女子800m五輪金メダリストのC.セメニャ(南アフリカ)が訴えていた世界陸連(WA)が定めたDSD(性の発達が先天的に非定型的である状態)の規則に関して、訴えの一部を認める判決を下した。

WAは19年施行の規則で、DSDを持つ競技者の400mからマイルまでの女子種目でテストステロン値の上限が設けられ、セメニャはこの規則のため当該種目への出場が不可能に。このため、これまでにスポーツ仲裁裁判所(CAS)やスイス連邦最高裁に規則の撤回を求めていたが、いずれも訴えを退けられていた。

しかし、セメニャはこの審理の過程で不備があったとして、CASとスイス政府を相手に訴訟を起こし、今回「DSDのため差別的な扱いを受けたという妥当な主張に対し、審査のための十分な制度的・手続き的保護措置がスイスにおいて与えられていなかった」という判決が出された。

広告の下にコンテンツが続きます

WAはこの件を受け、DSDに関する規則は「公正な競争を保全するための必要かつ合理的で相応の方法であるという見解に変わりはない」との声明を発表。現行規則も変更なく適用することが確認された。さらに、「今回の訴訟は世界陸連ではなくスイス政府に対して提起されたものだが、今回の判決に対してはスイス政府と連帯して上訴する」と表明している。

WAが定めるDSD選手の措置については、体内のテストステロン値を薬品を使用して強制的に下げるように求めていることから人権侵害であるという声もある一方、女性アスリートの公平性の観点からこれを支持する意見もあり、議論が続いている。

7月11日、欧州人権裁判所は女子800m五輪金メダリストのC.セメニャ(南アフリカ)が訴えていた世界陸連(WA)が定めたDSD(性の発達が先天的に非定型的である状態)の規則に関して、訴えの一部を認める判決を下した。 WAは19年施行の規則で、DSDを持つ競技者の400mからマイルまでの女子種目でテストステロン値の上限が設けられ、セメニャはこの規則のため当該種目への出場が不可能に。このため、これまでにスポーツ仲裁裁判所(CAS)やスイス連邦最高裁に規則の撤回を求めていたが、いずれも訴えを退けられていた。 しかし、セメニャはこの審理の過程で不備があったとして、CASとスイス政府を相手に訴訟を起こし、今回「DSDのため差別的な扱いを受けたという妥当な主張に対し、審査のための十分な制度的・手続き的保護措置がスイスにおいて与えられていなかった」という判決が出された。 WAはこの件を受け、DSDに関する規則は「公正な競争を保全するための必要かつ合理的で相応の方法であるという見解に変わりはない」との声明を発表。現行規則も変更なく適用することが確認された。さらに、「今回の訴訟は世界陸連ではなくスイス政府に対して提起されたものだが、今回の判決に対してはスイス政府と連帯して上訴する」と表明している。 WAが定めるDSD選手の措置については、体内のテストステロン値を薬品を使用して強制的に下げるように求めていることから人権侵害であるという声もある一方、女性アスリートの公平性の観点からこれを支持する意見もあり、議論が続いている。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.10.27

各地で都道府県高校駅伝続々開催 週末の3連休は30都府県 11月4日に都道府県代表決定

年末の全国高校駅伝の出場権を懸けた高校駅伝都道府県大会が各地で行われている。 今週は、明日10月28日の長崎をはじめ、平日にも順次実施され、週末の3連休(11月1日~3日)には一気に30都府県で開催。11月4日の埼玉をも […]

NEWS 男子は鳥栖工が16連覇 節目の50回目の都大路へ! 女子は佐賀清和が2年ぶりV/佐賀県高校駅伝

2025.10.27

男子は鳥栖工が16連覇 節目の50回目の都大路へ! 女子は佐賀清和が2年ぶりV/佐賀県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた佐賀県高校駅伝が10月26日、佐賀市立スポーツパーク川副多目的広場北道路を発着点とするコースで行われ、男子(7区間42.195km)は鳥栖工が2時間6分6秒で16年連続50回目の優勝を果たした […]

NEWS 関東学生連合チーム 個人枠選手が発表! 東大・秋吉拓真が2年連続選出 東大院・本多健亮もメンバー入り/箱根駅伝

2025.10.27

関東学生連合チーム 個人枠選手が発表! 東大・秋吉拓真が2年連続選出 東大院・本多健亮もメンバー入り/箱根駅伝

10月27日、関東学生陸上競技連盟は、第102回箱根駅伝にオープン参加で出場する関東学生連合チームの出場選手の一部を発表した。 関東学生連合チームは前回まで予選会の落選校の所属選手のうち、各校1名で、予選会個人順位の上位 […]

NEWS 世界陸上マラソン金のシンブ、ジェプチルチルらがノミネート 世界陸連年間最優秀選手スタジアム外部門の候補発表!

2025.10.27

世界陸上マラソン金のシンブ、ジェプチルチルらがノミネート 世界陸連年間最優秀選手スタジアム外部門の候補発表!

10月27日、世界陸連(WA)はワールド・アスレティクス・アワード2025「ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー」のスタジアム外種目候補選手を発表した。 男子では9月の東京世界選手権マラソン金メダルのA.シンブ(タンザ […]

NEWS 11月22日、23日に奥能登で陸上教室を開催 朝原宣治さん、塚原直貴さん、君嶋愛梨沙らが被災地の子どもたちを指導

2025.10.27

11月22日、23日に奥能登で陸上教室を開催 朝原宣治さん、塚原直貴さん、君嶋愛梨沙らが被災地の子どもたちを指導

日本財団は10月27日、2024年の能登半島地震および水害で大きな被害を受けた石川県能登半島地域で、復興支援の一環として「奥能登陸上教室」を開催することを発表した。 日本財団では、アスリートとともに社会課題の解決に取り組 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top