2023.02.16
2月19日に第106回日本選手権20km競歩が兵庫・六甲アイランドで行われる。ブダペスト世界選手権代表を懸けたレース。特に男子は文字通り“世界一熾烈”と言えるほど、世界が注目する一戦となる。
2019年ドーハ、22年オレゴンと世界選手権を連覇している山西利和(愛知製鋼)は出場を見送り。ディフェンディング・チャンピオンに与えられる「ワイルドカード」により、すでにブダペスト世界選手権の代表権を持つだけに、「冬季練習で少しもたついた」ため、大事をとったかたち。焦りはない。
世界王者不在のなか、優勝候補筆頭は池田向希(旭化成)か。21年東京五輪では日本人最上位の銀メダル、オレゴン世界選手権では山西に次ぐ銀メダルと、世界トップウォーカーの一人だ。意外にも日本選手権の優勝はなく、初優勝なるか。オレゴンの結果により、参加標準記録(1時間20分10秒)を突破すれば内定となる。
それ以外の選手は日本陸連が定める派遣設定記録(1時間19分30秒)を突破して池田を除く最上位となれば世界選手権代表に内定する。
日本選手権で無類の強さを誇るのが髙橋英輝(富士通)で、これまでこの種目最多6度の優勝を誇る。世界選手権に4度出場している髙橋も30歳とベテランの域に入ったが、昨年も1時間29分04秒で制して世界選手権内定を勝ち取るなど、勝負強さは健在。7度目の王座と5度目の世界選手権切符を狙う。
もう一人、注目なのが川野将虎(旭化成)だろう。東京五輪50km競歩6位、オレゴン世界選手権35km競歩銀メダル。長い距離で実績を残しているが、東洋大時代には20kmでも1時間17分24秒の学生記録を樹立している。20km競歩は2年ぶりで、同種目の日本選手権出場は学生記録樹立時以来、4年ぶり。磨きをかけたスタミナやスピード持久力で一気に初Vもあり得る。
同じく世界選手権代表組では、20km競歩で8位入賞を果たした住所大翔(順大院)も上位候補。また、同35km競歩代表の松永大介(富士通)、野田明宏(自衛隊体育学校)、丸尾知司(愛知製鋼)も出場を予定している。特に松永は20km競歩でリオ五輪入賞の実績があり、スピードは世界でも屈指。長くケガに苦しんだが、ようやく本領を発揮してきた。
他ではスピードが武器の古賀友太(大塚製薬)も力がある。歩型にやや課題があったが、昨年10月には栃木国体10000m競歩で池田に次ぐ2位、全日本競歩高畠大会20km競歩を制するなど安定感が出てきた。
この辺りが上位争いを繰り広げることになる。世界王者不在とは言え、世界トップウォーカーが激突する一戦となりそうだ。
女子のブダペスト世界選手権派遣設定記録1時間28分30秒。これを切って優勝すれば代表に内定だが、このタイムを越えたことがあるのは日本記録(1時間27分41秒)保持者の岡田久美子(富士通)と、2009年に当時日本記録の1時間28分03秒を出した渕瀬真寿美(建装工業)の2人だけ。一筋縄ではいかないだろう。
破れる可能性があるのは岡田と、ドーハ・オレゴンと世界選手権2大会入賞の藤井菜々子(エディオン)で、今回も2人の一騎打ちが予想される。
2人からやや離されるが、35km競歩で世界選手権に出場した園田世玲奈(NTN)は昨年の国体5000m競歩も優勝するなど、スピードに磨きをかけている。河添香織(自衛隊体育学校)や伸び盛りの内藤未唯(神奈川大)、日本インカレ10000m競歩優勝・梅野倖子(順大)も有力。U20世界選手権10000m競歩銅メダリスト・柳井綾音(立命大)の初20kmにも注目だ。
併催されるU20にも、男子10kmは下池将多郎(鹿児島工高3鹿児島)や女子10kmにはU20世界選手権銀メダルの大山藍(鹿児島女高2鹿児島)ら若きトップウォーカーが集結する。
ブダペスト世界選手権、さらには来年に控えるパリ五輪も視野に入る大事な一戦。日本選手権20km競歩は2月19日、男子は8時50分、女子は10時35分にスタート。レースの模様はライブ配信される予定だ。
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