HOME ニュース、国内

2022.02.01

新谷仁美が東京マラソンへ意気込み タイムを求めて「納得のいくかたちで成功させたい」
新谷仁美が東京マラソンへ意気込み タイムを求めて「納得のいくかたちで成功させたい」


東京五輪女子10000m代表の新谷仁美(積水化学)が、自身4度目のフルマラソンとなる3月6日の東京マラソンに向けてオンラインで会見を行い、「SNSでマラソン挑戦を発表して、本当に多くの人が私のマラソンを楽しみにしてくださっていたと感じた。自分が納得する、みんなが喜んでくれる結果で終われたらなと思う」と意気込みを語った。

これまで、自ら「遠ざけてきた」と話すマラソン出場に踏み切る決断をしたのは、11月末の全日本実業団女子駅伝(クイーンズ駅伝)を走り終えてから。練習拠点にするTWOLAPS TCの横田真人コーチに、自分の口で「マラソンをやります」と伝えたという。

広告の下にコンテンツが続きます

2013年のモスクワ世界選手権10000mで5位入賞を果たした後、いったんは現役を引退。18年に復帰した後は、横田コーチの指導を受けながら、トラックで早々に国内トップの位置へと返り咲いた。そして20年1月にハーフマラソンで1時間6分38秒の日本新を樹立。同年12月の日本選手権10000mでは30分20秒44という驚異的な日本新をマークし、東京五輪代表に内定した。

しかし、1年延期後に迎えた肝心の五輪本番では、21位どまり。コロナ禍で開催された五輪に対する思いを整理しきれず、心身ともにコンディションを整えきれなかった。

「常に結果を大事にしてきた人間として、結果を出せなかった」ことのショックは大きく、大会後もその気持ちを引きずっていたという。

そんななかで、横田コーチやチームメイトをはじめ、周りの支えがあることに少しずつ気がついた。

広告の下にコンテンツが続きます

「苦しんだのは私だけじゃない。私が苦しむ中で横田コーチもそうだったし、所属先、スポンサー、ファンの方々のお陰でここに立てている。それを返せるのはシンプルに結果だけ」

クイーンズ駅伝で5区を走ってチームの初優勝を貢献し、一緒に走ったチームメイトと喜びを分かち合ったことで、気持ちは決まった。「今、必要なのは結果。私が完全に立ち直りたいという思いがある」と13年ぶり4度目のマラソン挑戦へ覚悟を決めた。

東京マラソンで求めていくのは「タイム」。具体的な数字の目標は明言を避けたが、2時間20分を切って、日本記録(2時間19分12秒)を視野に入れていることは間違いない。心に秘める思いがある。

「自分の中ではっきりとしたタイムを決めている部分はあって、『納得した結果』はそこが(出せるかどうかが)一番強い部分。もちろん、そのタイムを出せば今後につながるという部分はあるけど、(実際のレースは)そのことを考えずに『自分が納得する記録を出したい』ということだけを思って走りたい」

そのために始めたマラソン練習について横田コーチは「ほぼ完璧にこなしている」といい、目指すレースプランは、「シンプルに3分20秒を切るペースをどこまで維持できるか」だと言う。

まだトラックも視野に入れる新谷にとっては、今のスピードを生かしたかたちのマラソンを目指していく必要がある。そのため、「10000mのレースペースから落したくない」という思いがあり、またそのスピードこそが自分の武器だとも思っている。

「トレーニングはこれまでの経験だったり、マラソンにはこれぐらいが必要だという距離、質を決めて取り組んでいる。完全に不安がなくなったわけではないが、ただ、そこをどうにか失速しないように質や距離をカバーできるように、横田コーチが練習を組み立ててくれているので、安心感はあります」

オレゴン世界選手権の選考レースでもあり、パリ五輪選考会MGCの出場権もかかる一戦。すでにコースの試走は28㎞までを2回実施しており、2月13日の全日本実業団ハーフマラソンをステップに、最後までコースをチェックしたうえで本番に臨む。

「高速レースというのはわかっているので、じゃあどうすれば記録が出るのか。難しくタフなコースですが、自分の持ち味を出せるコース。東京五輪の結果を引きずっているけど、どうしても戦いたい。自分が遠ざけていた、苦手なマラソンに出ると決めた。納得のいくかたちで成功させたい」

13年ぶりに再びマラソンを走る新谷。これまでとは違う景色が広がっているはずだ。

■新谷仁美のマラソン全成績
2007年2月 東京 2時間31分02秒=優勝
2008年8月 北海道 2時間32分19秒=2位
2009年3月 名古屋 2時間30分58秒=8位

東京五輪女子10000m代表の新谷仁美(積水化学)が、自身4度目のフルマラソンとなる3月6日の東京マラソンに向けてオンラインで会見を行い、「SNSでマラソン挑戦を発表して、本当に多くの人が私のマラソンを楽しみにしてくださっていたと感じた。自分が納得する、みんなが喜んでくれる結果で終われたらなと思う」と意気込みを語った。 これまで、自ら「遠ざけてきた」と話すマラソン出場に踏み切る決断をしたのは、11月末の全日本実業団女子駅伝(クイーンズ駅伝)を走り終えてから。練習拠点にするTWOLAPS TCの横田真人コーチに、自分の口で「マラソンをやります」と伝えたという。 2013年のモスクワ世界選手権10000mで5位入賞を果たした後、いったんは現役を引退。18年に復帰した後は、横田コーチの指導を受けながら、トラックで早々に国内トップの位置へと返り咲いた。そして20年1月にハーフマラソンで1時間6分38秒の日本新を樹立。同年12月の日本選手権10000mでは30分20秒44という驚異的な日本新をマークし、東京五輪代表に内定した。 しかし、1年延期後に迎えた肝心の五輪本番では、21位どまり。コロナ禍で開催された五輪に対する思いを整理しきれず、心身ともにコンディションを整えきれなかった。 「常に結果を大事にしてきた人間として、結果を出せなかった」ことのショックは大きく、大会後もその気持ちを引きずっていたという。 そんななかで、横田コーチやチームメイトをはじめ、周りの支えがあることに少しずつ気がついた。 「苦しんだのは私だけじゃない。私が苦しむ中で横田コーチもそうだったし、所属先、スポンサー、ファンの方々のお陰でここに立てている。それを返せるのはシンプルに結果だけ」 クイーンズ駅伝で5区を走ってチームの初優勝を貢献し、一緒に走ったチームメイトと喜びを分かち合ったことで、気持ちは決まった。「今、必要なのは結果。私が完全に立ち直りたいという思いがある」と13年ぶり4度目のマラソン挑戦へ覚悟を決めた。 東京マラソンで求めていくのは「タイム」。具体的な数字の目標は明言を避けたが、2時間20分を切って、日本記録(2時間19分12秒)を視野に入れていることは間違いない。心に秘める思いがある。 「自分の中ではっきりとしたタイムを決めている部分はあって、『納得した結果』はそこが(出せるかどうかが)一番強い部分。もちろん、そのタイムを出せば今後につながるという部分はあるけど、(実際のレースは)そのことを考えずに『自分が納得する記録を出したい』ということだけを思って走りたい」 そのために始めたマラソン練習について横田コーチは「ほぼ完璧にこなしている」といい、目指すレースプランは、「シンプルに3分20秒を切るペースをどこまで維持できるか」だと言う。 まだトラックも視野に入れる新谷にとっては、今のスピードを生かしたかたちのマラソンを目指していく必要がある。そのため、「10000mのレースペースから落したくない」という思いがあり、またそのスピードこそが自分の武器だとも思っている。 「トレーニングはこれまでの経験だったり、マラソンにはこれぐらいが必要だという距離、質を決めて取り組んでいる。完全に不安がなくなったわけではないが、ただ、そこをどうにか失速しないように質や距離をカバーできるように、横田コーチが練習を組み立ててくれているので、安心感はあります」 オレゴン世界選手権の選考レースでもあり、パリ五輪選考会MGCの出場権もかかる一戦。すでにコースの試走は28㎞までを2回実施しており、2月13日の全日本実業団ハーフマラソンをステップに、最後までコースをチェックしたうえで本番に臨む。 「高速レースというのはわかっているので、じゃあどうすれば記録が出るのか。難しくタフなコースですが、自分の持ち味を出せるコース。東京五輪の結果を引きずっているけど、どうしても戦いたい。自分が遠ざけていた、苦手なマラソンに出ると決めた。納得のいくかたちで成功させたい」 13年ぶりに再びマラソンを走る新谷。これまでとは違う景色が広がっているはずだ。 ■新谷仁美のマラソン全成績 2007年2月 東京 2時間31分02秒=優勝 2008年8月 北海道 2時間32分19秒=2位 2009年3月 名古屋 2時間30分58秒=8位

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.29

【高校生FOCUS】走高跳・中村佳吾(関大北陽高)「プレッシャーがあったほうが跳べる」

FOCUS! 高校生INTERVIEW 中村佳吾 Nakamura Keigo 関大北陽3大阪 毎月恒例掲載の高校生FOCUSは、男子走高跳の中村佳吾選手(関大北陽3大阪)に2025年を締めくくってもらいます。7月の広島 […]

NEWS インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

2025.12.29

インフル乗り越えた大東大・外園監督「出場できることに感謝」名城大・米田監督「総合力で勝ち切る」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

2025.12.29

全日本女王・城西大の赤羽監督は初Vへ「100%が出せれば見えてくる」立命大・杉村監督「この布陣で連覇を」/富士山女子駅伝

12月30日に開催される2025全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)の前日会見と開会式が、29日に静岡県富士市内で行われた。 会見には城西大の赤羽周平監督、大東大の外園隆監督、名城大の米田勝朗監督、東北福祉大の冠木雅 […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】全日本王者・駒大は6区に3度目となる伊藤蒼唯! 主将・山川拓馬、エース・佐藤圭汰らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 全日本大学駅伝を制し、3年ぶりの優勝を狙う駒大は前回経験者4人を登録。1区は伊勢路でも同区間で区間4位と好走した小山翔也(3年) […]

NEWS 【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

2025.12.29

【箱根駅伝区間エントリー】悲願の初Vへ國學院大は2区に主将・上原琉翔! ルーキー・髙石樹が5区 野中恒亨らは補欠

第102回箱根駅伝(2026年1月2日、3日)の区間エントリーが12月29日に発表された。 出雲駅伝を制し、悲願の初優勝を狙う國學院大は2区に主将の上原琉翔(4年)を登録。1区には前回6区の嘉数純平(4年)、4区には出雲 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top