Athlete Night Games in FUKUI 2021(福井県営陸上競技場)を前日に控え、東京五輪代表の桐生祥秀(日本生命)、山下潤(ANA)、福井・ユティック所属の大久保有梨、壹岐いちこが会見に臨んだ。
東京五輪が終わってから初レース。「終わってから数週間。練習はできています。練習してきたことが(すぐ)実になっているわけではないですが、やりたいことの動きができれば」。アキレス腱痛の不安は払拭しているような充実した表情を浮かべる。
「(個人は)日本選手権で終わりだと考えていました」という桐生が、五輪を終えて再スタートの地に選んだのは、会見中何度も口にした「思い出の地」である福井だった。2017年に日本人初の100m9秒台を出したこの競技場には「9.98スタジアム」と名付けられている。この大会は3回目だが、そのすべてに出場している。
今回は100mに出場するだけではなく、自らが立ち上げたプロジェクト・ブランド「K-Project」のイベントとして行う「Sprint 50 Challenge」のお披露目もあり、誰もが走ったことのある50mで小学生と勝負する。「自分が小学生の時にあればいいなと思ったイベント。スターティングブロックを使わず、今後はサッカーや野球をする人など枠組みを超えてやっていきたい。小学生にはスピード感を味わってほしい」と話す。
もちろん、“本職”でも魅せるつもりだ。東京五輪で感じた世界との差。「9秒9を出せば決勝に残れると思ってやってきたが、今は向かい風で9秒9、追い風なら9秒8台を出さないと決勝の舞台に立てない」と桐生。海外勢とは「ハムストリングス、お尻の大きさも違うし、中盤から後半の動きは自分のタイミングでは遅くて勝負できない。10秒0台をコンスタント、では予選止まりになってしまう」と違いを話し、「トレーニングをゼロにしてやっていかないといけない」と気持ちを新たにした。
今シーズンは「これが最後」と桐生。「来年の世界選手権の参加標準記録10秒05を目指したい。タイムを狙う」。数少ない有観客での試合。「盛り上がるレースをするのが僕らの仕事。歓声はダメですが、少しでも大きな拍手が生まれるようなレースをしたいです」。日本を引っ張ってきたスプリンターが、思い出の地で再スタートを切る。
◇山下「相性のいい大会、競技場で自己ベストを」
東京五輪200mに出場した山下は「五輪後は疲労がありましたが、時間も経って、自己ベストを出せる身体の状態だと思います」と言う。2年前にはこの大会で20秒40をマークし、ドーハ世界選手権代表、そして東京五輪へとつながった。「相性のいい大会、競技場なので自己ベストを出したい。グラウンドの近くで見られるのでトップ選手の生の走りを感じてもらえれば」と意気込みを語った。
地元出身の大久保(敦賀高卒)は、「地元でこのような素晴らしい試合ができるのをうれしく思います。来られる方、来られない方(はライブ配信で)も、一緒に盛り上がってもらえれば」と話す。壹岐は「昨年、この大会に初出場して、楽しくて盛り上がれる雰囲気」と話し、滋賀出身の壹岐は「自然がいっぱいあって海鮮がおいしいので、ぜひ機会があれば食べてみてください」と福井をアピールした。
大会の様子はYouTubeでライブ配信される。
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