HOME 東京五輪、日本代表、五輪
5000m松枝&坂東の富士通コンビは世界との差を痛感
5000m松枝&坂東の富士通コンビは世界との差を痛感


写真/時事

◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技5日目

陸上競技5日目のイブニングセッション、男子5000m予選。日本勢は世界との差をまざまざと見せつけられる結果となる。

広告の下にコンテンツが続きます

予選通過ラインは2組5着+5人。1組には坂東悠汰(富士通)が出場した。スローな展開になる中で坂東は集団後方でレースを進める。トップ集団は1000m2分50秒59、2000m5分43秒50、3000m8分34秒38というスプリットタイムを刻んだ。

その後、ケニア勢がペースを上げて、集団は縦長に。残り4周を切って、坂東が苦しくなる。トップ集団は4000mを11分13秒23で通過すると、坂東は5秒近い差をつけられた。

15人が残り1周でスパート合戦を繰り広げると、ラスト1周を54秒06で走破したN.K.キメリ(ケニア)が13分38秒87で1着。着順通過の5着は13分39秒42で、坂東は14分05秒80の17着でレースを終えた。

「想定内のレース展開になり、3000mまでは少し余裕を持って走れていたんです。しかし、ペースが切り替わって、『あ、ヤバい』と思った後、一気に脚が止まってしまいました……」

坂東はホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会(7月17日)の1500mで日本歴代6位の3分37秒99をマーク。終盤のスピードには自信をつけたはずだったが、ラスト勝負に入る前に脚が残っていなかった。

「学生時代からトラックの日本代表を目標にやってきたので、オリンピックを走れたことは本当にうれしいです。でも、みなさんの期待に応えられなかったことは悔しい。東京五輪を経験して、『強くなった』と言われるように、これからもっと練習していきたいと思います」

24歳で東京五輪に出場した坂東。国立競技場で味わった悔しさを糧に大きく成長することを期待したい。

2組目に出場したのは同じ富士通の松枝博輝。「13分41秒64以内の10着」という〝決勝進出ライン〟を見つめてレースを進めた。

松枝は集団後方に位置取ると、先頭は1000mを2分50秒76で通過。ここからペースが上がり、2000mは5分36秒09、3000mを8分21秒06で通過した。残り4周でD.フィカド(バーレーン)が転倒。松枝は巻き込まれたわけではなかったが、トップ集団についていくことができない。その後はズルズルと後退して、14分15秒54の最下位(18着)に沈んだ。

「ずっと力を使わないように、あえて集団後方でマークしている選手を遠目で見ながら走っていたんです。転倒と同時に、レースが動いたので、うまく気持ちの切り替えができなかったですね。オリンピック東京にが決まってから、海外の練習やレースを意識的に入れてきました。自分の中では特別な感情なく戦いたかったんですけど、それができませんでした」

M.カティル(スペイン)が13分30秒10で1着を奪ったレース。決勝には2組から5人が拾われ、「13分34秒11」が通過ラインになった。終盤のスピードが持ち味の松枝には絶好のレース展開になったが、そのチャンスを生かすことができなかった。

「ラストの走りには自信があったので、自分の良さを出せないまま終わってしまい、情けないですね。ここに立ちたかった選手はたくさんいます。だからこそ、ただ走るだけで終わらせたくなかった。こんな結果になってしまい申し訳ない気持ちです」

ともに日本長距離界にとっては厳しい現実を突きつけられたかたちになったが、夢の舞台で感じた悔しさを今後に生かしてほしい。

写真/時事 ◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技5日目 陸上競技5日目のイブニングセッション、男子5000m予選。日本勢は世界との差をまざまざと見せつけられる結果となる。 予選通過ラインは2組5着+5人。1組には坂東悠汰(富士通)が出場した。スローな展開になる中で坂東は集団後方でレースを進める。トップ集団は1000m2分50秒59、2000m5分43秒50、3000m8分34秒38というスプリットタイムを刻んだ。 その後、ケニア勢がペースを上げて、集団は縦長に。残り4周を切って、坂東が苦しくなる。トップ集団は4000mを11分13秒23で通過すると、坂東は5秒近い差をつけられた。 15人が残り1周でスパート合戦を繰り広げると、ラスト1周を54秒06で走破したN.K.キメリ(ケニア)が13分38秒87で1着。着順通過の5着は13分39秒42で、坂東は14分05秒80の17着でレースを終えた。 「想定内のレース展開になり、3000mまでは少し余裕を持って走れていたんです。しかし、ペースが切り替わって、『あ、ヤバい』と思った後、一気に脚が止まってしまいました……」 坂東はホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会(7月17日)の1500mで日本歴代6位の3分37秒99をマーク。終盤のスピードには自信をつけたはずだったが、ラスト勝負に入る前に脚が残っていなかった。 「学生時代からトラックの日本代表を目標にやってきたので、オリンピックを走れたことは本当にうれしいです。でも、みなさんの期待に応えられなかったことは悔しい。東京五輪を経験して、『強くなった』と言われるように、これからもっと練習していきたいと思います」 24歳で東京五輪に出場した坂東。国立競技場で味わった悔しさを糧に大きく成長することを期待したい。 2組目に出場したのは同じ富士通の松枝博輝。「13分41秒64以内の10着」という〝決勝進出ライン〟を見つめてレースを進めた。 松枝は集団後方に位置取ると、先頭は1000mを2分50秒76で通過。ここからペースが上がり、2000mは5分36秒09、3000mを8分21秒06で通過した。残り4周でD.フィカド(バーレーン)が転倒。松枝は巻き込まれたわけではなかったが、トップ集団についていくことができない。その後はズルズルと後退して、14分15秒54の最下位(18着)に沈んだ。 「ずっと力を使わないように、あえて集団後方でマークしている選手を遠目で見ながら走っていたんです。転倒と同時に、レースが動いたので、うまく気持ちの切り替えができなかったですね。オリンピック東京にが決まってから、海外の練習やレースを意識的に入れてきました。自分の中では特別な感情なく戦いたかったんですけど、それができませんでした」 M.カティル(スペイン)が13分30秒10で1着を奪ったレース。決勝には2組から5人が拾われ、「13分34秒11」が通過ラインになった。終盤のスピードが持ち味の松枝には絶好のレース展開になったが、そのチャンスを生かすことができなかった。 「ラストの走りには自信があったので、自分の良さを出せないまま終わってしまい、情けないですね。ここに立ちたかった選手はたくさんいます。だからこそ、ただ走るだけで終わらせたくなかった。こんな結果になってしまい申し訳ない気持ちです」 ともに日本長距離界にとっては厳しい現実を突きつけられたかたちになったが、夢の舞台で感じた悔しさを今後に生かしてほしい。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.01

洛南が3区の1年生・稲垣翔馴で首位を奪い11連覇 立命館宇治はオール区間賞で全国出場は“皆勤”の37に/京都府高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた京都府高校駅伝が11月1日、府立丹波自然運動公園周回コースで行われ、男子(7区間42.195km)は、洛南が2時間6分37秒で11年連続32回目の優勝を決めた。午前に行われた女子は、立命館宇治 […]

NEWS 鳥取城北オール区間賞で男女V 男子は2時間3分49秒の県高校最高 転校選手が快走 女子は大量リードで7連覇/鳥取県高校駅伝

2025.11.01

鳥取城北オール区間賞で男女V 男子は2時間3分49秒の県高校最高 転校選手が快走 女子は大量リードで7連覇/鳥取県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた鳥取県高校駅伝が11月1日、境港市営竜ケ山陸上競技場を発着点に行われ、男女ともに鳥取城北がいずれもオール区間賞で優勝を遂げた。男子(7区間42.195km)は2時間3分49秒で、従来の県高校最 […]

NEWS 三井住友海上・根塚みのりが10月末で退部 2月の実業団ハーフ19位

2025.11.01

三井住友海上・根塚みのりが10月末で退部 2月の実業団ハーフ19位

11月1日、三井住友海上は所属する根塚みのりが10月末で退部したことを発表した。 根塚は富山県出身の23歳。堀川中では800mで全中5位に入賞したほか、柳樂あずみ(現・名城大)とともに全国中学校駅伝でも活躍した。富山商高 […]

NEWS 東大阪大敬愛・久保凛は2区区間2位「全然納得行かない」と涙 「悔しさをつなげて」近畿大会で全国狙う/大阪府高校駅伝

2025.11.01

東大阪大敬愛・久保凛は2区区間2位「全然納得行かない」と涙 「悔しさをつなげて」近畿大会で全国狙う/大阪府高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた大阪府高校駅伝が11月1日、大阪市のヤンマースタジアム長居・長居公園周回コースで行われた。 女子(5区間21.0975km)は薫英女学院が1時間7分13秒のオール区間賞で20連覇を達成。201 […]

NEWS 世田谷246ハーフに青学大・安島莉玖、荒巻朋熙らが登録!中大は吉居駿恭、溜池一太、本間颯らがエントリー

2025.11.01

世田谷246ハーフに青学大・安島莉玖、荒巻朋熙らが登録!中大は吉居駿恭、溜池一太、本間颯らがエントリー

世田谷246ハーフマラソンの主催者は、11月9日に開催される第20回大会のエントリーリストを発表した。 同大会は駒沢オリンピック公園陸上競技場発着で、国道246号や多摩堤通りなどを通るコースで実施。埼玉県で開催の上尾シテ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top