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2021.03.26

福岡国際マラソンが今年の第75回大会で幕 経済面、注目度から「継続は困難」
福岡国際マラソンが今年の第75回大会で幕 経済面、注目度から「継続は困難」


日本陸連は3月26日、朝日新聞社(樋口太氏/オリンピック・パラリンピック・スポーツ戦略室長)、テレビ朝日(三雲薫氏/役員待遇)と合同でオンライン会見を開き、福岡国際マラソンが2021年12月5日の第75回大会をもって終了することを発表した。本日行われた日本陸連の理事会で承認された。

会見に登壇した日本陸連の尾縣貢専務理事は、福岡国際マラソンについて「高く評価されてきた」が、一方で「大会を取り巻く環境は厳しくなり、大変な苦労で開催されてきた」と述べ、主催者で協議した結果、「継続は困難である」と判断し、2021年大会をもって終了することが決まった。「世界のマラソンの主流はエリートのみから市民マラソンとなっており、エリートマラソンだけで存続していくのは難しい」と尾縣専務理事。近年は「大都市マラソンの影響もあり、トップ選手が分散する傾向もあり、以前のような注目度ではなくなった」と樋口氏が言うように、スポンサーの確保など含めて経済的にも厳しいものとなっていた。

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尾縣専務理事は「極めて大事な大会が終わるのは大変残念」とコメントし、「支援企業、地元の方々、ファンの皆様、ランナーの皆様に心より御礼申し上げます」と感謝を述べた。また、樋口氏は「大きな大会に育てていただき、強化にも貢献できた。大会の歴史に幕を下ろすのは申し訳なく思う」と言い、三雲氏は「数々のトップランナーの誕生を全国の皆様にお伝えできたことを誇りに思う。今年の大会は、最後を飾るにふさわしい放送になるように準備していきたい」と心境を語る。

福岡マラソンなどとの統合についても検討がなされたが、「コースを鑑みると難しい」となかなか条件が整わなかった。今後については「重要な大会が一つ減るわけですから、強化と話し合いながら検討していきたい」(尾縣専務理事)としている。

福岡国際マラソンは「日本マラソンの父」金栗四三の功績を称え、1947年に前身である「金栗賞朝日マラソン」として産声を上げた。国内有数の伝統ある大会で、1967年と81年には当時の世界最高記録がマークされ、2000年には藤田敦史(現・駒大コーチ)が当時の日本記録(2時間6分51秒)を樹立。国際大会の代表選考レースの一つとして数々の名勝負、名シーンが刻まれ、昨年には世界陸連(WA)が陸上界の歴史において多大なる貢献を果たした個人や団体に贈る「ヘリテージプラーク」にも選ばれた。

同じく伝統あるびわ湖毎日マラソンが今年の大会を最後に事実上の廃止となり、大阪マラソンと統合することが決まっている。福岡国際終了の一報に選手、関係者からも驚きと落胆の声が上がり、4度の優勝を誇る瀬古利彦氏(日本陸連強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)も陸連を通してコメントを発表。「福岡国際マラソンに育ててもらった」という瀬古氏は、「特に思い出に残るのはモスクワ五輪代表の座が懸かった1979年大会」と、宗茂・猛兄弟との死闘を挙げ、「マラソンの真髄を覚えた」と語る。「私自身の歴史もなくなってしまうような気がして、すごく寂しいです」と惜しんだ。また、プロランナーで福岡国際に11度の出場経験を持つ川内優輝(あいおいニッセイ同和損害)は自身のSNSを更新し、「衝撃的であり残念です」と心境を綴った。

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びわ湖毎日マラソンに続いて、人々の心に刻まれてきた伝統あるマラソン大会の廃止決定。日本記録や好記録が続出する一方で、エリートマラソンを取り巻く厳しい現実を突きつけられ、マラソン大会の在り方を再考しなければいけない状況に直面している。

■横川浩・日本陸連会長コメント
「日本のマラソンを代表する大会に幕を下ろさざるを得なくなったことは、誠に残念です。主催者間で検討を重ねた末の苦渋の決断であることをご理解いただきたく存じます。師走の福岡を舞 台に開催してきた大会は、一刻も目を離せないような名勝負を毎年繰り広げ、世界的に活躍する名ランナーも数多く輩出しました。大会運営の面でも世界屈指の質の高さを誇り、日本マラソン界を牽引してきました。大会の価値は、ワールドアスレティックス(WA)から昨年、『ヘリテージプラーク』の認定を受けたことでも証明されています。その功績は極めて多大であり、役目を終えた後も多くの方々の記憶にとどまることと確信しています。長年にわたり大会を支え、育ててくださった、福岡県、福岡市をはじめ多くの皆様には、改めまして心より感謝申し上げます。本連盟では、福岡国際マラソンの終了が選手らに及ぼす影響を最小限に抑え、さらにマラソンが活性化しレベルも向上するよう努めてまいります」

日本陸連は3月26日、朝日新聞社(樋口太氏/オリンピック・パラリンピック・スポーツ戦略室長)、テレビ朝日(三雲薫氏/役員待遇)と合同でオンライン会見を開き、福岡国際マラソンが2021年12月5日の第75回大会をもって終了することを発表した。本日行われた日本陸連の理事会で承認された。 会見に登壇した日本陸連の尾縣貢専務理事は、福岡国際マラソンについて「高く評価されてきた」が、一方で「大会を取り巻く環境は厳しくなり、大変な苦労で開催されてきた」と述べ、主催者で協議した結果、「継続は困難である」と判断し、2021年大会をもって終了することが決まった。「世界のマラソンの主流はエリートのみから市民マラソンとなっており、エリートマラソンだけで存続していくのは難しい」と尾縣専務理事。近年は「大都市マラソンの影響もあり、トップ選手が分散する傾向もあり、以前のような注目度ではなくなった」と樋口氏が言うように、スポンサーの確保など含めて経済的にも厳しいものとなっていた。 尾縣専務理事は「極めて大事な大会が終わるのは大変残念」とコメントし、「支援企業、地元の方々、ファンの皆様、ランナーの皆様に心より御礼申し上げます」と感謝を述べた。また、樋口氏は「大きな大会に育てていただき、強化にも貢献できた。大会の歴史に幕を下ろすのは申し訳なく思う」と言い、三雲氏は「数々のトップランナーの誕生を全国の皆様にお伝えできたことを誇りに思う。今年の大会は、最後を飾るにふさわしい放送になるように準備していきたい」と心境を語る。 福岡マラソンなどとの統合についても検討がなされたが、「コースを鑑みると難しい」となかなか条件が整わなかった。今後については「重要な大会が一つ減るわけですから、強化と話し合いながら検討していきたい」(尾縣専務理事)としている。 福岡国際マラソンは「日本マラソンの父」金栗四三の功績を称え、1947年に前身である「金栗賞朝日マラソン」として産声を上げた。国内有数の伝統ある大会で、1967年と81年には当時の世界最高記録がマークされ、2000年には藤田敦史(現・駒大コーチ)が当時の日本記録(2時間6分51秒)を樹立。国際大会の代表選考レースの一つとして数々の名勝負、名シーンが刻まれ、昨年には世界陸連(WA)が陸上界の歴史において多大なる貢献を果たした個人や団体に贈る「ヘリテージプラーク」にも選ばれた。 同じく伝統あるびわ湖毎日マラソンが今年の大会を最後に事実上の廃止となり、大阪マラソンと統合することが決まっている。福岡国際終了の一報に選手、関係者からも驚きと落胆の声が上がり、4度の優勝を誇る瀬古利彦氏(日本陸連強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)も陸連を通してコメントを発表。「福岡国際マラソンに育ててもらった」という瀬古氏は、「特に思い出に残るのはモスクワ五輪代表の座が懸かった1979年大会」と、宗茂・猛兄弟との死闘を挙げ、「マラソンの真髄を覚えた」と語る。「私自身の歴史もなくなってしまうような気がして、すごく寂しいです」と惜しんだ。また、プロランナーで福岡国際に11度の出場経験を持つ川内優輝(あいおいニッセイ同和損害)は自身のSNSを更新し、「衝撃的であり残念です」と心境を綴った。 びわ湖毎日マラソンに続いて、人々の心に刻まれてきた伝統あるマラソン大会の廃止決定。日本記録や好記録が続出する一方で、エリートマラソンを取り巻く厳しい現実を突きつけられ、マラソン大会の在り方を再考しなければいけない状況に直面している。 ■横川浩・日本陸連会長コメント 「日本のマラソンを代表する大会に幕を下ろさざるを得なくなったことは、誠に残念です。主催者間で検討を重ねた末の苦渋の決断であることをご理解いただきたく存じます。師走の福岡を舞 台に開催してきた大会は、一刻も目を離せないような名勝負を毎年繰り広げ、世界的に活躍する名ランナーも数多く輩出しました。大会運営の面でも世界屈指の質の高さを誇り、日本マラソン界を牽引してきました。大会の価値は、ワールドアスレティックス(WA)から昨年、『ヘリテージプラーク』の認定を受けたことでも証明されています。その功績は極めて多大であり、役目を終えた後も多くの方々の記憶にとどまることと確信しています。長年にわたり大会を支え、育ててくださった、福岡県、福岡市をはじめ多くの皆様には、改めまして心より感謝申し上げます。本連盟では、福岡国際マラソンの終了が選手らに及ぼす影響を最小限に抑え、さらにマラソンが活性化しレベルも向上するよう努めてまいります」

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