◇第97回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
出場4回目、11月の全日本大学駅伝にも出場できなかった創価大が往路でサプライズVを飾った。
レース前に優勝候補に挙げられていたのは、全日本で4位までに入った駒大、東海大、明大、青学大の4校。前回王者の青学大と全日本3位の明大が2区終了時で13位、17位と大きく出遅れた一方、東海大と駒大は3区終了時で1位、3位と、優勝候補で明暗が分かれた。
そんななか、1区(福田悠一/4年)で3位、2区(フィリップ・ムルワ/2年)で2位に浮上し、3区(葛西潤/2年)でも順位をキープするなど安定していたのが創価大だった。続く4区の嶋津雄大(3年)は前回10区で区間賞(区間新)を獲得している実力者。前を行く東海大の佐伯陽生(1年)を5.6kmで捕らえると、小田原中継所では2位に上がった駒大に1分42秒差をつけた。
「自分の役目と与えられたタイムで走ることを目標に走っていて、5区の三上(雄太/3年)に1位でタスキを渡せたことがうれしいです」(嶋津)
先頭でタスキを受けた三上は、初めての箱根駅伝を楽しむように山を駆け上がっていく。「最後は身体が動かないくらいキツかった」と振り返るが、区間2位の1時間12分05秒で20.8kmを走破し、初の往路優勝のフィニッシュテープを切った。
2019年2月に就任して2年目の榎木和貴監督は「1区の福田(悠一)から良いスタートを切り、2区の(フィリップ)ムルワ(2年)が2位と予定通りの流れを作ってくれた。3区と4区はしのぐ区間だと思っていましたが、この2区間で逆に押し上げてくれたおかげで5区の三上に良いかたちでつなぐことができました」とレースを振り返る。
前回の箱根では総合9位で初シードを獲得したものの、11月の全日本は選考会が中止になったことによる書類選考で落選。出場権を得ていた出雲駅伝も中止になるなど、早くから「箱根駅伝一本」にターゲットを絞ってきた。
わずか数年でここまで成績を上げてきた要因について指揮官は「特別なことは何もしていません。調整の段階でうまくハマったのと、走った5人が持てる力を100%出してくれた」と話す。ライバル校が苦戦するなか、1区から5区までの区間順位は3位、6位、3位、2位、2位と、すべて6位以内で走破。区間賞なしの往路優勝は2002年の神奈川大以来、19年ぶりだった。
2位の東洋大に2分14秒差をつけ、当然総合優勝も狙える位置だが「当初は総合3位以内を目標にしていたので、復路は他大学とのタイム差よりも自分たちの力を発揮するだけです」と、榎木監督。あくまでも謙虚な姿勢を貫いたが、復路にも前回9区区間6位と好走している石津佳晃(3年)を残すなど、まだまだサプライズを起こす可能性がありそうだ。
創価大学 5時間28分08秒 往路優勝
1区福田悠一(4年) 1.03.15(区間3位)
2区P.ムルワ(2年) 1.07.18(区間6位)
3区葛西 潤(2年) 1.02.41(区間3位)
4区嶋津雄大(3年) 1.02.49(区間2位)
5区三上雄太(3年) 1.12.06(区間2位)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.03.28
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.28
-
2024.03.27
-
2024.03.28
-
2024.03.23
-
2024.03.22
-
2024.03.10
-
2024.03.18
-
2024.03.03
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.03.28
世界パラ選手権の代表66人発表! 車いすの佐藤友祈や前回400mVの福永凌太、女子走幅跳・髙桑早生らが選出 5月に神戸で開催
3月28日、日本パラ陸上競技連盟は第11回世界パラ選手権(5月17日~25日/兵庫・神戸)の日本代表選手を発表した。 代表に選ばれたのは男女66人。車いすクラスの400m、1500mで東京パラリンピック2冠に輝いた佐藤友 […]
2024.03.28
【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」
山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」 桜の開花予報が伝えられるこの季節は、年度 […]
2024.03.28
東京2025世界陸上財団が日本陸連、東京都、TBSと連携・協力に関する協定を締結!大会の成功と満員のスタジアム目指して マラソンは東京マラソン財団と協定結ぶ
2025年東京世界陸上の大会運営を主管する一般財団法人東京2025世界陸上財団は3月28日、理事会を開催し、大会の成功を目指して日本陸連、東京都、世界陸連メディアパートナーであるTBSとの間で相互に連携・協力体制を構築す […]
2024.03.28
東農大エースの並木寧音がSUBARUへ「攻めのスタイルを生かしたレースをしたい」
SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 東農大で今年の箱根駅伝2区を務め、区間7位と力走した並木寧音は、真新しいジャージを着用し「重みを感じます」と気を引き締める。 広告の […]
2024.03.28
山の妖精がSUBARUで世界へ!山本唯翔が意気込み「ロス五輪でマラソン代表に」
SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 城西大で箱根駅伝の5区を2年連続区間賞・区間新記録を打ち立てて今年は金栗四三杯を受賞した“山の妖精”こと山本唯翔。2月末に入寮し「1 […]
Latest Issue 最新号
2024年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 記録年鑑2023
パリ五輪マラソン代表決定