男子砲丸投の世界記録保持者のライアン・クラウザー(米国)が9月6日、都内で練習を公開し、本誌の単独取材に応じた。
23m56の世界記録を持ち、五輪初の3連覇、世界選手権も2連覇中のクラウザー。だが、今季は肘のケガもあり、前回王者として出場権を得ていたため試合に出場しなかった。
「今年は期待していたよりも少し難しいシーズンになりました。まず、身体のコンディションができる限り最高の状態になるように最善を尽くすため、試合に出場しませんでした。肘のケガが長引いてしまい、完璧な状態とは言えません。そのため、投てき練習もかなり制限をせざるを得なかったです」
それでも、今大会に向けてできる限り、しっかりと仕上げてきたという。
「状態はかなり良くなっていると感じています。フィジカル面も段々と良くなりましたし、精神状態も安定しています。また競争できることを恐怖ではなく、ワクワクできるようになった。それはとても良いことです。逆境を乗り越えて戻ってこられたことを誇りに思います」
クラウザーは、ターン始動時にステップを加える新たな技術「クラウザースライド」と呼ばれるフォームに取り組んできた。技術の習得について、興味深い言葉が返ってきた。
「私のテクニックは常に変化しています。良くも悪くも、『完璧』になることはないのです。『自分の技術が完璧だ』、と思ってしまった瞬間から、その技術は完璧ではないのです。常に何かを改善し、変化を加えていく。常に今よりもより良くしようと努力し続けてきたことが、私の成功の秘訣の一つです」
2021年東京五輪以来の来日であり、国立競技場での投てきになる。4年前は五輪2連覇。大会前に砲丸投を始めるきっかけになった祖父が急逝したが、その思いを込めて五輪新記録で優勝した思い出の場所でもある。
「東京五輪ではオリンピック新記録(23m30)を投げて優勝できました。東京は特別な場所です。スタジアムも大好きです。ただ、東京オリンピックの時はコロナ禍で、選手村とスタジアムの行き来だけだったことです。私は日本の文化や歴史が大好きで、とても興味深い。だから、今回は東京の街を見て、文化に触れるのが楽しみです」
3連覇が懸かる今大会。どんな目標を掲げるのか。
「とにかく試合に出られるのがうれしいし、他の選手のシーズンベストを上回る投てきができればそれでいいと思っています。正直、肘を使って強い投げができていないので、記録の目標を設定するのは難しいです。ただ、若い頃のように練習で遠くまで投げられないのは当然のことです。必要な要素はすべてそろっています」
「私にとって、記録は自分が望むものとイコールではありません。記録よりも技術的に、そしてアグレッシブに投げること。特に最近はアグレッシブに投げられていない。フィニッシュまでアグレッシブでいられたら、必ず飛距離は伸びると思います。みなさん、スタジアムで会いましょう!」
東京世界選手権は9月13日から21日まで、国立競技場をメイン会場に行われる。クラウザーが出場する男子砲丸投は予選が初日の13日の午前セッションに予選、午後セッションに決勝が行われる。
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